- 英
- imatinib
- 化
- imatinib mesylate
- 商
- グリベック
- 関
- nib
- 分子標的薬剤
分類
-
概念
特徴
構造
作用機序
- ABLや、活性複合体であるv-ABL, BCR-ABL, [EVT6]-ABLを阻害する (GOO.1367)
- (そのほかに)PDGFRとKITに対しても競合阻害作用を持つ (GOO.1367)
- KITはgastrointestinal stromal tumor(GIST)と関連
- ETV6-PDGFRはchronic myelomonocytic leukemia(CMML)と関連
- FIP1L1-PDGFRAはhypereosinophilic syndrome(HES)と関連
薬理作用
動態
適応
グリベック錠100mg
- 1. 慢性骨髄性白血病
- 2. KIT陽性消化管間質腫瘍
- 3. フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病
注意
禁忌
副作用
相互作用
類似薬
添付文書
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/4291011F1028_1_11/4291011F1028_1_11?view=body
WordNet
- the writing point of a pen (同)pen nib
PrepTutorEJDIC
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/10/15 21:04:26」(JST)
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イマチニブ
|
IUPAC命名法による物質名 |
4-(4-Methylpiperazin-1-ylmethyl)-N-[4-methyl-3-(4-pyridin-3-ylpyrimidin-2-ylamino)phenyl]benzamide monomethanesulfonate |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
|
投与方法 |
経口 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
98% |
血漿タンパク結合 |
95% |
代謝 |
肝臓(主にCYP3A4) |
半減期 |
約18時間 |
排泄 |
糞中(68%) 及び尿中(13%) |
識別 |
CAS番号 |
152459-95-5 220127-57-1 (メシル酸化合物) |
ATCコード |
L01XX28 |
PubChem |
CID 5291 |
KEGG |
D08066 |
化学的データ |
化学式 |
C29H31N7O |
分子量 |
493.603
589.71(メシル酸化合物) |
イマチニブ(imatinib)は、フィラデルフィア染色体の遺伝子産物Bcr-Ablを標的とした分子標的治療薬としてブライアン・ドラッカーとスイスのノバルティスファーマ社により開発された抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)。
イマチニブ製剤は、慢性骨髄性白血病 (CML)、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病 (Ph+ALL) 、KIT (CD117) 陽性消化管間質腫瘍 (GIST) に対する治療薬として用いられる。投与はメシル酸塩で行われる。製造・販売元はノバルティスファーマ株式会社で、商品名は「グリベック(Glivec、米国でのみGleevec)」。
目次
- 1 販売までの経緯
- 2 効能・効果
- 3 作用機序
- 4 人以外の動物への使用
- 5 参考資料
- 6 関連事項
- 7 外部リンク
販売までの経緯
イマチニブは、欧米において1992年より非臨床試験が、1998年より臨床試験が開始され、Bcr-Ablチロシンキナーゼ活性を選択的に阻害し、慢性期、移行期ならびに急性期CMLにおける効果及び安全性が確認されたことから、2001年5月に米国で承認された。
日本においては、2000年7月より第I/II相試験が開始され、外国での使用成績が集積されていること、また、CMLという重篤かつ患者数が少ない疾患を対象とすることなどが加味され、2001年4月中間集計にて承認申請を行い、11月に輸入承認を受けた。更に適応追加として、2003年7月GISTに、2007年1月Ph+ALLに対して追加承認された。
効能・効果
- 慢性骨髄性白血病(CML)
- KIT (CD117) 陽性消化管間質腫瘍(GIST)
- フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(ALL)
- FIP1L1-PDGFRα融合遺伝子陽性の慢性好酸球性白血病/特発性好酸球増加症候群(CEL/HES)
作用機序
CML, Ph+ALL
通常、骨髄造血幹細胞の増殖は遺伝子情報のシグナル伝達により正常にコントロールされている。しかし、CMLでは、第9番染色体と第22番染色体が相互転座し、abl遺伝子とbcr遺伝子が融合したbcr-abl遺伝子を持つ異常染色体(フィラデルフィア染色体)が形成されている。このフィラデルフィア染色体は、チロシンキナーゼ活性が亢進された210kDのBcr-Abl融合蛋白 (p210) を生成する。その結果細胞増殖のシグナル伝達に異常が起こり、過剰な細胞増殖が引き起こされCML病態が形成される。Ph+ALLにおいても同様に、異常染色体であるフィラデルフィア染色体によってBcr-Abl融合蛋白(p185あるいはp190)が形成され、細胞増殖のシグナル伝達の異常によりPh+ALL病態が形成される。
イマチニブはBcr-Abl、v-abl、c-abl、PDGF受容体及びc-Kitチロシンキナーゼ活性を阻害するが、その抑制作用は、PDGF 受容体及びc-Kit のチロシンキナーゼ活性では、これらの自己リン酸化及び直接のリン酸化を阻害することによるものと考えられ、c-Ablチロシンキナーゼ活性では、ATPと競合拮抗することにより阻害することが示唆されている。
GIST
GISTは消化管間葉系腫瘍の一種であり、形態学的に平滑筋や神経への明瞭な分化を示さない腫瘍であることがわかってきている。さらに、免疫組織学的検討から平滑筋系腫瘍又は神経系腫瘍では認められないKIT (CD117) がGISTにのみ発現していると報告されている。またGISTの発症原因のひとつとしてc-kit遺伝子が機能獲得性突然変異を起こし、KITチロシンキナーゼ活性が亢進していることが考えられている。
イマチニブはCMLで活性が亢進しているBcr-Ablチロシンキナーゼ活性を阻害するほぼ同等の濃度でKITチロシンキナーゼ活性も阻害し、GISTに対する抗腫瘍効果を発揮する。
他にもc-abl、p185Bcr-Abl、Tel-Ablチロシンキナーゼに対しても同様な阻害作用機序を示す。
人以外の動物への使用
犬における肥満細胞腫に対して用いられる事がある。
参考資料
- 『グリベック錠100mg』医薬品インタビューフォーム・新様式第3版(ノバルティスファーマ)
関連事項
- 白血病/慢性骨髄性白血病
- 消化管間質腫瘍 (GIST)
- 化学療法
- 抗がん剤/分子標的治療薬
外部リンク
- ノバルティス ファーマ株式会社
- ノバルティス ファーマ株式会社による、「グリベック」の紹介ページ
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 胸腔鏡下肺生検で類上皮細胞性肉芽腫を認めたメシル酸イマチニブの薬剤性肺障害の1例
- 小出 卓,皿谷 健,中本 啓太郎,中島 明,石井 晴之,藤原 正親,柴田 英克,岡 輝明,呉屋 朝幸,後藤 元
- 日本呼吸器学会雑誌 = The journal of the Japanese Respiratory Society 49(6), 465-471, 2011-06-10
- NAID 10029088453
- 慢性骨髄性白血病と分子標的治療 (特集 身近になる血液疾患の治療--専門医から実地医家へ)
- 小分子化合物 イマチニブ (分子標的治療薬--最新の選び方・使い方) -- (がん分子標的治療薬の使い方)
Related Links
- イマチニブ(グリベック)はノバルティスファーマが開発した分子標的薬で、日本では慢性骨髄性白血病と消化管間質腫瘍(GIST)に対して承認されています。慢性骨髄性白血病では第一選択薬となりつつあります。
- イマチニブ (グリベックジェネリック) 錠は(1)慢性骨髄性白血病 (2)KIT(CD117)陽性消化管間質腫瘍 (3)フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病 効能関連注意 (1)慢性骨髄性白血病については,染色体検査又は遺伝子検査により ...
- グリベックとは?イマチニブの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:病気別版) ... 概説 白血病や消化管間質腫瘍を治療するお薬です。おもに慢性骨髄性白血病に用いられています。 作用 【作用-1】
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
グリベック錠100mg
組成
成分・含量
- 1錠中イマチニブメシル酸塩119.5mg(イマチニブとして100mg)を含有する。
添加物
- 無水ケイ酸、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ヒプロメロース、三二酸化鉄、マクロゴール、タルク
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
効能または効果
- 慢性骨髄性白血病
- KIT(CD117)陽性消化管間質腫瘍
- フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病
- **FIP1L1-PDGFRα陽性の下記疾患
好酸球増多症候群、慢性好酸球性白血病
- 慢性骨髄性白血病については、染色体検査又は遺伝子検査により慢性骨髄性白血病と診断された患者に使用する。
- 消化管間質腫瘍については、免疫組織学的検査によりKIT(CD117)陽性消化管間質腫瘍と診断された患者に使用する。なお、KIT(CD117)陽性の確認は、十分な経験を有する病理医又は検査施設において実施すること。
- 急性リンパ性白血病については、染色体検査又は遺伝子検査によりフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病と診断された患者に使用する。
- **好酸球増多症候群又は慢性好酸球性白血病については、染色体検査又は遺伝子検査によりFIP1L1-PDGFRα陽性であることが確認された患者に使用する。
慢性骨髄性白血病の場合
慢性期
- 通常、成人にはイマチニブとして1日1回400mgを食後に経口投与する。なお、血液所見、年齢・症状により適宜増減するが、1日1回600mgまで増量できる。
移行期又は急性期
- 通常、成人にはイマチニブとして1日1回600mgを食後に経口投与する。なお、血液所見、年齢・症状により適宜増減するが、1日800mg(400mgを1日2回)まで増量できる。
KIT(CD117)陽性消化管間質腫瘍の場合
- 通常、成人にはイマチニブとして1日1回400mgを食後に経口投与する。なお、年齢・症状により適宜減量する。
フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の場合
- 通常、成人にはイマチニブとして1日1回600mgを食後に経口投与する。なお、血液所見、年齢・症状により適宜減量する。
**FIP1L1-PDGFRα陽性の好酸球増多症候群又は慢性好酸球性白血病の場合
- 通常、成人にはイマチニブとして1日1回100mgを食後に経口投与する。なお、患者の状態により、適宜増減するが、1日1回400mgまで増量できる。
- 消化管刺激作用を最低限に抑えるため、本剤は食後に多めの水で服用すること。
- 慢性骨髄性白血病については、重篤な有害事象がなく、白血病に関連がない重篤な好中球減少や血小板減少が認められず、下記に該当する場合は、【用法及び用量】に従って本剤を増量することができる。
- 病状が進行した場合(この場合はいつでも)
- 本剤を少なくとも3ヵ月以上投与しても、十分な血液学的効果がみられない場合
- これまで認められていた血液学的効果がみられなくなった場合
肝機能検査と用量調節
- 本剤投与中に肝機能検査値(ビリルビン、AST(GOT)、ALT(GPT))の上昇が認められた場合は次記を参考に投与量を調節すること。
**慢性骨髄性白血病(CML)、消化管間質腫瘍(GIST)、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)、好酸球増多症候群(HES)又は慢性好酸球性白血病(CEL)
- 慢性期CML、移行期CML又は急性期CML、GIST、Ph+ALL、HES又はCEL
ビリルビン値/AST(GOT)、ALT(GPT)値
- ビリルビン値>施設正常値上限の3倍
又は
AST、ALT値>施設正常値上限の5倍
投与量調節
- ビリルビン値が1.5倍未満に、AST、ALT値が2.5倍未満に低下するまで本剤を休薬する。
- 本剤を減量して治療を再開する。
血液検査と用量調節
- 本剤投与中に好中球減少、血小板減少が認められた場合は次記を参考に投与量を調節すること。
**慢性骨髄性白血病(CML)、消化管間質腫瘍(GIST)、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)、好酸球増多症候群(HES)又は慢性好酸球性白血病(CEL)
好中球数/血小板数
- 好中球数<1,000/mm3
又は
血小板数<50,000/mm3
投与量調節
- 好中球数1,500/mm3以上及び血小板数75,000/mm3以上に回復するまで休薬する。
- 休薬前(重度の副作用の発現前)と同用量で治療を再開する。
**慢性骨髄性白血病(CML)、消化管間質腫瘍(GIST)、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)、好酸球増多症候群(HES)又は慢性好酸球性白血病(CEL)
- 慢性期CML、GIST(初回用量400mg/日)、HES又はCEL(用量400mg/日)
好中球数/血小板数
- 好中球数<1,000/mm3
又は
血小板数<50,000/mm3
投与量調節
- 好中球数1,500/mm3以上及び血小板数75,000/mm3以上に回復するまで休薬する。
- 400mg/日で治療を再開する。
- 再び好中球数が1,000/mm3を下回るか、又は血小板数が50,000/mm3を下回った場合は、1)へ戻り、300mg/日で治療を再開する。
**慢性骨髄性白血病(CML)、消化管間質腫瘍(GIST)、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)、好酸球増多症候群(HES)又は慢性好酸球性白血病(CEL)
- 移行期CML、急性期CML又はPh+ALL(初回用量600mg/日)
好中球数/血小板数
- 注1好中球数<500/mm3
又は
血小板数<10,000/mm3
投与量調節
- 血球減少が白血病に関連しているか否かを確認(骨髄穿刺)する。
- 白血病に関連しない場合は400mg/日に減量する。
- 血球減少が2週間続く場合は更に300mg/日に減量する。
- 白血病に関連しない血球減少が4週間続く場合は好中球数が1,000/mm3以上、及び血小板数が20,000/mm3以上に回復するまで休薬し、その後300mg/日で治療を再開する。
- 注1:原則として、少なくとも1ヵ月治療を継続後(患者の全身状態に十分注意すること)
慎重投与
- 肝障害のある患者〔代謝機能が低下しているため、本剤の体内濃度が上昇する可能性がある。また、肝障害が悪化するおそれがある。〕
- 高齢者〔浮腫があらわれやすい。〕(「高齢者への投与」の項参照)
- **心疾患又はその既往歴のある患者〔症状が悪化するおそれがある。また、心合併症を有する好酸球増多症候群患者において、心原性ショック及び左室機能不全が発現したことが報告されている。〕
重大な副作用
骨髄抑制
- 汎血球減少(1%未満)、白血球減少(35%未満)、好中球減少(25%未満)、血小板減少、貧血(各30%未満)があらわれることがあるので定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項4.参照)
出血(脳出血、硬膜下出血、消化管出血)(1%未満)
- 脳出血、硬膜下出血、消化管出血があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
消化管穿孔、腫瘍出血(各1%未満)
- 消化管穿孔があらわれることがあるので観察を十分に行い、適切な処置を行うこと。また特に、消化管間質腫瘍の患者では、腫瘍の急激な壊死・縮小をきたし腫瘍出血、消化管穿孔、腹膜炎等があらわれることがあるので、定期的に血液検査等を実施し、下血、吐血、貧血、腹痛、腹部膨満感、嘔気、嘔吐等の初期症状に注意するなど観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には、直ちに腹部CT検査等を実施して出血部位、穿孔所見の有無の確認を行い、必要に応じて投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項1.参照)
肝機能障害(10%未満)、黄疸(1%未満)、肝不全(頻度不明)
- AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、ビリルビン上昇を伴う肝機能障害、黄疸、肝不全があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項3.参照)
重篤な体液貯留(胸水、腹水:各5%未満、肺水腫、心膜滲出液、うっ血性心不全:各1%未満、心タンポナーデ:頻度不明)
- 重篤な体液貯留(胸水、肺水腫、腹水、心膜滲出液、心タンポナーデ、うっ血性心不全)があらわれることがあるので、体重を定期的に測定するなど観察を十分に行い、本剤投与中に急激な体重の増加、呼吸困難等の異常が認められた場合には投与を中止し、利尿剤を投与するなど、適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項2.参照)
感染症
- 肺炎(5%未満)、敗血症(1%未満)等の感染症があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施し、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重篤な腎障害(5%未満)
- 急性腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に腎機能検査(血清クレアチニン、BUN等)を実施し、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(5%未満)、肺線維症(頻度不明)
- 間質性肺炎、肺線維症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重篤な皮膚症状
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)(頻度不明)、剥脱性皮膚炎、多形紅斑(各1%未満)等の重篤な皮膚症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
ショック、アナフィラキシー様症状(1%未満)
- ショック、アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
心膜炎(頻度不明)
- 心膜炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、胸痛等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
脳浮腫、頭蓋内圧上昇(頻度不明)
- 脳浮腫、頭蓋内圧上昇があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
麻痺性イレウス(頻度不明)
- 麻痺性イレウスがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、嘔気、嘔吐、腹痛、便秘等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
血栓症、塞栓症(頻度不明)
- 深部静脈血栓症、肺塞栓症等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
横紋筋融解症(頻度不明)
- 筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、このような場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
*腫瘍崩壊症候群(頻度不明)
- 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。
薬効薬理
bcr-abl遺伝子陽性細胞又はGIST細胞に対する、増殖抑制作用又は抗腫瘍作用20〜31)
- イマチニブは、bcr-abl遺伝子導入細胞及びbcr-abl遺伝子発現がみられる慢性骨髄性白血病(CML)又は急性リンパ性白血病(ALL)由来細胞の増殖を抑制した。また、in vitro試験においてbcr-abl遺伝子陽性細胞に対しアポトーシス誘導作用を示し、CML及びALL患者の末梢血及び骨髄サンプルを用いたコロニー形成試験では、bcr-abl遺伝子発現コロニーの形成を選択的に阻害した。
- イマチニブは、bcr-abl遺伝子陽性細胞を移植した担癌マウスにおいて、腫瘍の形成又は増大を抑制した。
- イマチニブは、KITチロシンキナーゼが介する細胞増殖を抑制し、消化管間質腫瘍(GIST)患者由来細胞の細胞増殖を抑制した。また、イマチニブにより幹細胞因子(SCF)依存性抗アポトーシス作用は阻害され、GIST細胞におけるアポトーシス細胞数は増加した。
作用機序20,21,28,29,32)
- イマチニブはチロシンキナーゼ活性阻害剤であり、in vitro試験において、Bcr-Abl、v-Abl、c-Ablチロシンキナーゼ活性を阻害する。更に、血小板由来成長因子(PDGF)受容体及びSCF受容体であるKITのチロシンキナーゼ活性を阻害し、PDGFやSCFが介する細胞内シグナル伝達を阻害する。
- イマチニブはSCF刺激によるKITチロシンキナーゼの活性化、及びGIST患者由来細胞において亢進されたKITチロシンキナーゼ活性をそれぞれ阻害した。
代謝物33)
- N-脱メチル体代謝物は、in vitro試験において、c-Abl、PDGF受容体及びKITチロシンキナーゼ活性を、未変化体とほぼ同程度に阻害する。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- イマチニブメシル酸塩(Imatinib Mesilate)
化学名
- 4-(4-Methylpiperazin-1-ylmethyl)-N-[4-methyl-3-(4-pyridin-3-ylpyrimidin-2-ylamino)phenyl]benzamide monomethanesulfonate
分子式
分子量
性状
- 白色〜淡黄色又はうすい褐色の粉末である。水に極めて溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(95)に溶けにくく、その他の低極性溶媒にはほとんど溶けない。また、溶解度にpH依存性があり、酸性側では溶けやすいが、pHが5.5より大きくなると溶けにくくなる。
分配係数
- <0.01(1-オクタノール/0.1mol/L塩酸)
>100(1-オクタノール/pH6.8のリン酸塩緩衝液)
★リンクテーブル★
[★]
- 30歳の男性。貧血の精査のため来院した。昨年の健康診断では異常を指摘されなかったが、2週前から労作時息切れが出現したため自宅近くの診療所を受診したところ、貧血を指摘され精査のため紹介されて受診した。脈拍 88/分、整。血圧 122/78mmHg。眼瞼結膜は貧血様で眼球結膜に黄染を認めない。胸骨右縁第2肋間を最強点とする収縮期駆出性雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 302万、Hb 8.3g/dL、Ht 28%、白血球 2,400(桿状核好中球 3%、分葉核好中球 28%、好酸球 2%、単球 5%、リンパ球 62%)、血小板 5万。血液生化学所見:総蛋白 7.4g/dL、アルブミン 4.2g/dL、総ビリルビン 0.5mg/dL、直接ビリルビン 0.2mg/dL、AST 27U/L、ALT 19U/L、LD 948U/L(基準 120~245)、ALP 476U/L(基準 115~359)、尿素窒素 12mg/dL、クレアチニン 0.9mg/dL、尿酸 8.5mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 102mEq/L、Ca 10.0mg/dL、P 6.0mg/dL。CRP 0.8mg/dL。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本(別冊No. 5)を別に示す。異常細胞のペルオキシダーゼ染色は陰性で、表面マーカー解析ではCD10とCD19が陽性で、CD20とCD33は陰性であった。染色体検査でPhiladelphia染色体が検出された。
- この患者に投与すべき薬剤はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114D021]←[国試_114]→[114D023]
[★]
- 38歳の女性。血液検査値異常の精査目的で来院した。1週前から37℃台の発熱と咽頭痛とがみられていた。昨日、自宅近くの診療所で実施した血液検査で異常がみられたため紹介されて受診した。既往歴に特記すべきことはない。意識は清明。体温37.6℃.脈拍92/分、整。血圧98/60mmHg。眼瞼結膜に貧血を認める。口腔粘膜に点状出血が散在し、咽頭発赤を認める。心音と呼吸音とに異常を囲めない。腹部は平迫、軟で、右肋骨弓下に肝を1cm触知する。脾は触知しない。両側下腿に点状出血を認める。血液所見:赤血球 330万、Hb 10.2g/dl、Ht 33%、白血球 1.800(桿状核好中球6%、分葉核好中球58%、好酸球2%、単球12%、リンパ球22%)、血小板2.8万。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本(別冊No.20)を別に示す。
- 初期治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D047]←[国試_105]→[105D049]
[★]
- 43歳の男性。健診で白血球増多を指摘され来院した。自覚症状は特にない。体温 36.5℃。脈拍 84/分、整。血圧 136/76mmHg。表在リンパ節を触知しない。左肋骨弓下に脾を3cm触知する。血液所見:赤血球 430万、Hb 12.8g/dL、Ht 42%、白血球 35,000(骨髄芽球 2%、前骨髄球 2%、骨髄球 5%、後骨髄球 7%、桿状核好中球 4%、分葉核好中球 60%、好酸球 8%、好塩基球 7%、リンパ球 5%)、血小板 35万。血清ビタミンB12 8,600pg/mL(基準 250~950)。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本(別冊No. 18A)、骨髄細胞染色体分析(別冊No. 18B)及び末梢血好中球bcr/abl遺伝子のFISH解析(別冊No. 18C)を別に示す。
- 治療薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113D047]←[国試_113]→[113D049]
[★]
- 65歳の男性。健康診断で赤血球増加を指摘され来院した。3年前に下肢深部静脈血栓症の既往がある。意識は清明。顔面と口腔粘膜が紅潮している。心音と呼吸音とに異常を認めない。肝を右肋骨弓下に1cm触知し、脾を左肋骨弓下に4cm触知する。脈拍 88/分、整。血圧 170/100mmHg。血液所見:赤血球 760万、Hb 20.1g/dL、Ht 54%、白血球 7,100(骨髄球 1%、後骨髄球 1%、桿状核好中球 2%、分葉核好中球 69%、好酸球 1%、単球 9%、リンパ球 17%)、血小板 39万。エリスロポエチン 3mIU/mL(基準 8~36)。骨髄生検で赤芽球、顆粒球および巨核球の3血球系統の過形成を認める。骨髄細胞染色体分析で異常を認めない。JAK2遺伝子変異を認める。
- 対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [110D055]←[国試_110]→[110D057]
[★]
- イマチニブ(イマチニブメシル酸塩)が有効なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107A008]←[国試_107]→[107A010]
[★]
- 英
- gastrointestinal stromal tumor GIST ジスト ギスト, gastrointestinal stromal tumors GISTs
- 同
- 平滑筋芽細胞腫 leiomyoblastoma
- 関
- 胃腸間質性腫瘍、粘膜下腫瘍
[show details]
概念
- 食道(ほとんどなし)・胃(60-70%)・小腸(20-30%)・大腸(5%)などの消化管の固有筋層にできる
- カハール介在細胞由来とされる
- 胃の弓隆部から体上部に多い。幽門部ではほとんどなし
疫学
病理
gloss appearance
- 辺縁なだらか(bridging fold)。delle(腫瘍頂部のくぼみ)。
[show details]
免疫組織学的所見
- 異常KIT蛋白の発現(90%異常)
- 異常PDGFRαの発現(5%)
組織型
- BP.625
- 1. 平滑筋に分化する腫瘍
- 2. 神経に分化する腫瘍
- 3. 混合型の腫瘍
- 4. これらの系統へに分化しない腫瘍
進展形式
転移
- 原発巣を切除後20年以上に転移が見られることがある。
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腫瘍径
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腫瘍細胞分裂像数*
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超低リスク
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<2cm
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<5/50HPF
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低リスク
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2~5cm
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<5/50HPF
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中リスク
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<5cm
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6~10/50HPF
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5~10cm
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<5/50HPF
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高リスク
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>5cm
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>5/50HPF
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>10cm
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Any Mitotic Rate
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Any Size
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>10/50HPF
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*:高倍率視野50視野当たりの細胞分裂を示す腫瘍細胞数
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HPF:High-Power Field(400倍率)
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Christopher DM et al : Hum Pathol 33 : 459-465, 2002
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治療
外科治療
外科治療の原則
- 1. 切除可能GISTの治療の第一選択は外科的完全切除。
- 2. 偽被膜を損傷することなく外科的に安全なマージンを確保,肉眼的断端陰性とする。
- 3. 原則として臓器機能温存を考慮した部分切除が推奨される。
- 4. 予防的或いは系統的リンパ節郭清術は不要である。
- 5. 肉眼的断端が陽性の場合,追加切除を考慮すべきである。
- 6. イマチニブの術前使用に当たっては,病理組織学的にGISTであること,1ヵ月前後での早期のイマチニブ有効性の確認が必要である。 (アルゴリズム6.臨床試験段階の治療)
内科治療
参考
- http://www.jsco-cpg.jp/item/03/index.html
- https://gist.jp/
国試
[★]
- 英
- chronic myeloid leukemia chronic myelogenous leukemia chronic myelocytic leukemia CML
- 関
- 白血病、染色体異常
- 血液・造血器 081030I
- first aid step1 2006 p.294,303,304,309,310,
概念
- 造血幹細胞に遺伝子的な変異が生じ、正常な分化能を保持したまま腫瘍性に増殖し、特に顆粒球系の血球の増殖をきたす。
- 白血球は著増、血小板は増加するが、赤血球は正常もしくは減少する。
- 慢性に経過するが、急性転化(blastic crisis)により急性白血病と同様の病態をとりうる。
検査
- 赤血球:→or↓
- 白血球:↑↑↑
- 血小板:↑ → 急性転化例では↓
- 好中球アルカリホスファターゼ:低値
- NAPスコア:低下 → 急性転化例では↑
- 血清ビタミンB12、LDH、尿酸、リゾチーム:高値 → 白血球の破壊による
- 白血病裂孔:なし → 分化能は保たれているため
- 染色体:Ph染色体の出現
- → 急性転化例では複数のPh染色体、環状Ph1、形態異常をきたしたPh染色体の出現がみられる(QB.G247)。頻度:複数のPh染色体の出現>トリソミー>17番同腕染色体>19トリソミー?(+19) (WCH.2243)。染色体の変化は血液学的な変化に数ヶ月先だって起こるが、必ずしもblast crisisに繋がるわけではない(WCH.2243)。急性転化例の2/3では骨髄性、1/3でリンパ性にtransformationする。後者の場合、MPO染色陰性、PAS染色陽性、B細胞表面抗原の発現(多くの場合CD10,CD19を発現し,sIgは欠く)、TdT発現(抗体の遺伝子再構成における多様性付与に関与)。(WCH.2243)
治療
- イマチニブが第一選択となる。適応があれば同種幹細胞移植。
治療に用いる薬物・治療法
- イマチニブ
- 自己幹細胞移植:?
- 同種幹細胞移植
- 白血球除去(leukapheresis)・脾摘
- インターフェロンα:イマチニブが登場する前は、同種幹細胞移植ができない症例において治療の選択肢の一つであった。
- ヒドロキシウレア:。インターフェロンと併用して使われる。代謝拮抗薬。DNA合成を阻害する。骨髄抑制、二次発癌は稀。
- シタラビン:Ara-CTPとなり、DNA合成過程のシチジン二リン酸(CDP)還元酵素やDNAポリメラーゼを阻害
慢性期
- 参考2
移行期
- 参考2
急性期
- 参考2
- 1. myeloid crisisに対してはAML、lymphoid crisisに対してはALLに対する寛解導入療法に準じた化学療法を行う。
- 2. 同種幹細胞移植
国試
参考
- http://www.gan-pro.com/professional/cancer/child-leukemia/chronic-myelogenous-leukemia.html
[★]
nib
[★]
- 同
- KIT kit c-kit receptor for stem cell factor
- 関
- 消化管間質腫瘍 GIST
概念
- 造血幹細胞が有する。
- チロシンキナーゼの受容体をコードしている(BPT.625)。大部分のGISTではc-KITに変異が生じている(BPT.625) ← 治療薬:イマチニブ(慢性骨髄性白血病に使われる)
- 分子量145kDaの前がん遺伝子c-kitの産物
- クラスIIIレセプタ型チロシンキナーゼ・ファミリーに属する
発現細胞
- hematopoietic progenitors (IMM.790)
- ごく少数の正常骨髄細胞に発現。発現している骨髄細胞はCD34を発現している
- 肥満細胞(1)
機能
- stem-cell factor receptor(SCF受容体 SCF receptor)
参考
- http://www.bc-cytometry.com/Data/db_search/CD117.htm
[★]
- 英
- platelet-derived growth factor receptor、PDGF receptor
- 関
- PDGF受容体、血小板由来成長因子レセプター、PDGFレセプター、血小板由来増殖因子レセプター、血小板由来増殖因子受容体
- 同受容体のチロシンキナーゼがイマチニブの標的となる。
[★]
- 英
- imatinib mesilate
- 関
- イマチニブ