- 英
- fat embolism
- 関
- 脂肪塞栓症
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/06/01 02:34:31」(JST)
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膵炎の後、重篤な脂肪塞栓症により死亡した症例では、肺血管に脂肪組織の遊離を確認した (ERCP=内視鏡的逆行性胆膵管造影、HE染色)
脂肪塞栓症(しぼうそくせんしょう、英: fat embolism、独: Fettembolie)は、脂肪細胞が血管を塞栓させて起こる病気である。
目次
- 1 病態
- 2 原因
- 3 統計
- 4 症状と治療
- 5 脂肪塞栓症で死亡した著名人
- 6 社会的影響
- 7 プルチェル網膜症
- 8 関連項目
病態
脂肪細胞に血管を塞栓された臓器が虚血による不全を起こす事が本症の病態である。塞栓される臓器によって様々な臓器不全を起こす。
長管骨の骨折もしくは軟部組織の広範な挫滅を伴う外傷、手術、熱傷、炎症などにより、骨髄もしくは皮下の脂肪組織が遊離し、血管もしくはリンパ管内に流入して循環障害を来すのが脂肪塞栓症である。損傷を受けた静脈系に流入した脂肪滴が肺血管を閉塞し、数時間から数日後に呼吸困難、チアノーゼを呈して肺水腫に陥り、重篤となることがある。まれに肺を通過して動脈系に入り、脳や腎血管を閉塞することがある。また、プルチェル網膜症は全身性の脂肪塞栓症と同様に脂肪塞栓によるものである。
原因
原因は、外傷時に脂質代謝が変化し血液内の脂肪が脂肪滴になるため、あるいは外傷部分の血管から骨髄などの脂肪が入り込むためと考えられている。全身性の脂肪塞栓症の原因としては、骨折の他に、皮下脂肪組織の挫滅、脂肪肝による障害、急性膵炎、減圧症、広範囲の火傷、糖尿病、骨髄炎などがある。
統計
骨折時に起きやすい。通常、受傷後12 - 48時間後に発症する。
症状と治療
塞栓が軽度であれば無症状の事も多いが、たとえば脂肪が肺動脈を塞栓すれば低酸素症を起こし、脳を栄養する動脈を塞栓すれば意識障害等を起こす。最悪の場合、死亡することもある。全身性の脂肪塞栓症に対しては、ステロイドの大量療法と機械的換気が行われる。
脂肪塞栓症で死亡した著名人
社会的影響
本症は生命に危険がなさそうな骨折患者でも起こり得るが、重症感の無い患者や家族に対しては医療者はインフォームド・コンセント(以下IC)を十分行わない事が多いので、本症で死亡した遺族から医療ミスを疑われやすい。本症を考える事によって重症感と実際のリスクが比例しない病気について認識を深め、重症感に拠らずICを徹底する事が重要である。
プルチェル網膜症
プルチェル網膜症(英:Purtscher's retinopathy、独:Purtscher-Retinopathie)は、外傷性網膜血管症 traumatic retinal angiopathy、プルチェル症候群 Purtscher's syndrome、プルチェル病 Purtscher's disease ともいう。プルチェル(Otmar Purtscher, 1852 - 1927)はドイツの眼科医である。
主な眼圧所見は両眼の綿花状白斑と静脈拡張である。綿花状白斑は後極部に好発、多発し、融合傾向が見られ、また主幹血管に沿った火炎状出血が認められる。発症後に呼吸困難、頻呼吸を伴う切迫呼吸症候群が起こることがある。病態、原因、治療については全身性の脂肪塞栓症に準ずる。
眼球以外における外傷、特に頭部に受けた打撲、胸部に受けた圧迫損傷などにより生じる網膜症で、外傷性網膜症 traumtic retinopathy、遠達性網膜障害 distant injury of the retina などとも呼ばれてきた。現在はその発生病理から外傷、特に骨折による脂肪塞栓を含め、脂肪塞栓による網膜症と広く解釈されている。
関連項目
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 肺梗塞
- 閉塞性動脈硬化症
- バージャー病
- 網膜動脈閉塞症⇒眼科学
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- 血栓性静脈炎
- 静脈血栓塞栓症 (エコノミークラス症候群)
- 動脈血栓塞栓症
- 播種性血管内凝固症候群(DIC)
- 抗血小板剤
- 抗凝固薬
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治療 |
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外科的治療
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冠動脈バイパス術(CABG)
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CABG | off-pump CAB(OPCAB) | MIDCAB(en) | TECAB(en)
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弁膜症手術
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小児心臓外科
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動脈管結紮術 | BTシャント | 肺動脈絞扼術(en) | ノーウッド手術 | グレン手術 | フォンタン手術 | ジャテン手術 | ラステリ手術 | ロス手術
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心不全外科
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心移植術 | 補助人工心臓装着術 | 左室形成術(Dor・SAVE・Overlapping)
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不整脈外科
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メイズ手術(en) | 心臓ペースメーカー | 植え込み型除細動器
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大動脈手術
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大動脈人工血管置換術 | 大動脈基部置換術 (Bentall, David) | ステントグラフト内挿術(en)
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末梢血管手術
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末梢動脈血行再建術 | 末梢静脈血行再建術 | 静脈抜去術(en) | 静脈血栓摘除術(en) | 内シャント作成術 | 肢切断
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内科的治療
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循環作動薬
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抗不整脈薬
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Ia群: プロカインアミド, キニジン
Ib群: リドカイン, フェニトイン
Ic群: フレカイニド(en), プロパフェノン(en)
II群: 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)
III群: アミオダロン, ソタロール(en)
IV群: カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
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心不全治療薬(en)
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利尿薬 | 血管拡張薬 | 強心配糖体 | 強心剤 | PDEⅢ阻害薬
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狭心症治療薬
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交感神経β受容体遮断薬 | 硝酸薬
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高血圧治療薬
|
利尿薬 | 交感神経β受容体遮断薬 | レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系 (ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬(英語版)) | カルシウム拮抗剤 | アドレナリン作動薬 | 脂質降下薬
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血管内治療
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経皮的冠動脈形成術
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循環器系の正常構造・生理 |
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Japanese Journal
- 特発性間質性肺炎の治療中に,左大腿骨頸部骨折を契機に急激な呼吸不全を呈した脂肪塞栓症候群の1例
- 小田 桂士,川波 敏則,矢寺 和博,生越 貴明,神崎 未奈子,長田 周也,西田 千夏,山崎 啓,石本 裕士,迎 寛
- 産業医科大学雑誌 33(3), 255-261, 2011-09-01
- … 工呼吸管理を要した.間質性肺炎の急性増悪が疑われたが,D-dimer値の経時的な上昇や,眼瞼結膜や頸部の点状出血斑,気道検体から肺胞マクロファージの脂肪滴の貪食像を認めたことから,大腿骨頸部骨折に伴う脂肪塞栓症候群と診断した.呼吸管理に加え,ステロイド治療,シベレスタットナトリウムの投与により,呼吸状態の改善を認め,第21病日に退院となった.本症例は,特徴的な皮膚・粘膜所見などの丁寧な診察および気道検 …
- NAID 110008711326
- 高齢者の大腿骨頚部骨折に合併した脂肪塞栓症候群 (fat embolism syndrome : FES) の2例
- 久保田 迅是,藤原 靖大,林田 達郎,岡 佳伸,野々村 卓,小倉 卓
- 中部日本整形外科災害外科学会雑誌. 中部日本整形外科災害外科学会抄録 54(5), 957-958, 2011-09-01
- NAID 10029799430
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- NEJMに脂肪塞栓の教育的な症例提示がありました(Fat Embolism Syndrome ― NEJM)。 脂肪塞栓はこの症例のように大腿骨のような大きな骨が折れたときに起こる ことがあります。骨の中にある脂肪が骨が折れたことをきっかけに血流に乗り、肺や脳に ...
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★リンクテーブル★
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- 28歳の初産婦。妊娠39週で自然陣痛が起こり入院した。身長158cm、体重83kg、脈拍80/分、整。血圧120/80mmHg。分娩経過観察中であったが、子宮ロ5cm開大で分娩進行が停止した。胎児心拍数異常も出現したので緊急帝王切開術が行われた。児は2,450gの女児、出血量は680 g、手術時間は45分であった。術後48時間のベッド上安静後、歩行を開始したところ、トイレで排尿後に突然激しい胸痛と呼吸困難とを訴え、チアノーゼが出現した。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [095C013]←[国試_095]→[095C015]
[★]
- 英
- fat embolism syndrome FES
症状
- 受傷後12-48時間(SOR.637)/24-72時間(参考4)の潜伏期。 12時間以内に発症する場合もあるし、2週間後に発症することもある(参考4)
- 古典的な三徴:低酸素血症、神経学的異常、点状出血斑(参考4)
- 初期には発熱・頻脈、出血斑(前胸部、眼窩部、結膜)
検査
- 血液検査:Hb低下、血小板減少、赤沈口唇、低酸素血症
- 胸部X線写真:吹雪様陰影
- 聴診:湿性ラ音
診断基準
Gurdの診断基準
- 点状出血斑
- 呼吸困難とX線像上の両肺野の吹雪様陰影
- 頭部外傷や他の原因によらない脳神経症状
- 頻脈
- 発熱
- 網膜変化(脂肪滴または出血斑)
- 尿変化(無尿、乏尿、脂肪滴)
- ヘモグロビン値の急激な低下
- 血小板の急激な減少
- 赤沈値の亢進
- 喀痰中の脂肪滴
- 臨床診断
- 大基準1項目以上と小基準4項目以上
鶴田の診断基準
- 点状出血
- 呼吸器症状・肺X線所見
- 頭部外傷がない脳神経症状
- 頻脈
- 発熱
- 尿中脂肪酸
- 血小板減少
- 赤沈亢進
- 血清リパーゼ上昇
- 血中遊離脂肪滴
- 臨床診断
- 大基準2項目以上
- 大基準1、中小基準4以上
- 疑症
- 大基準0、中基準1、小基準4
参考
- http://tokushukai-amami-area.com/_src/sc514/0904_01.pdf
- http://ys-db.com/html/modules/pico/index.php?content_id=587
- http://www.fmu.ac.jp/home/cmecd/igakusei_kensyui/lecture/H22/lecture_100907.pdf
- 4. [charged] Fat embolism syndrome - uptodate [1]
[★]
- 英
- fat embolism
- ラ
- fat embolism
- 関
- 脂肪塞栓
[★]
- 英
- fat
- 関
- トリアシルグリセロール、脂肪酸
[★]
- 英
- plug、cock、stopper
- 関
- コック、ストッパー、栓子、共栓、塞ぐ、プラグ、雄鳥
[★]
- 英
- embolus, (pl.)emboli
- 関
- 塞栓症