たこつぼ型心筋症
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たこつぼ心筋症 |
たこつぼ心筋症(A) と 正常な心臓(B) の左心室収縮時のシェーマ
|
分類及び外部参照情報 |
ICD-9 |
429.83 |
DiseasesDB |
33976 |
eMedicine |
article/1513631 |
MeSH |
D054549 |
たこつぼ心筋症(-しんきんしょう、Takotsubo cardiomyopathy)とは、突然発症する左心室心尖部の一過性収縮低下をきたす心疾患のこと。[1]
目次
- 1 疫学
- 2 病態
- 3 症状
- 4 検査
- 5 予後
- 6 引用・参照
疫学
高齢女性(閉経後女性)での発症が多い。性差は男:女=1:7である。[2]ストレスが誘引となることがあるため(27.7%)[3]、大規模被災地でしばしばみられる。(新潟県中越地震や阪神大震災、東日本大震災での症例報告がある。)クモ膜下出血などの疾病に合併するものは36%,誘引不詳のものが28.5%と報告された[3]。
病態
詳細は不明であるが、ストレスなどによるカテコラミンなどの影響から、微小循環不全に陥りやすい心尖部の機能不全・収縮不全が一因ともいわれている。ノルアドレナリンによる心筋細胞内へのブドウ糖取り込み阻害も研究されている。[4]
- 災害時にはたこつぼ心筋症の発症が増えることが報告されている。新潟県中越地震では、地震の前後で比較し、地震後に発症数に明らかに増加したことが報告されている。[5]
症状
- 突然発症の胸痛・呼吸困難で急性冠症候群・狭心症に類似した症状をきたす。[6]
検査
- 心電図 … ST上昇、異常Q波、陰性T波がみられることがある。
- aVRでST低下があり、かつV1でST上昇がみられないことは、たこつぼ心筋症診断の感度 91%、特異度 96%であった[7]。
-
- AST,ALT,LDH,CPK … 上昇することもある。
- トロポニンT … 陽性となることがある。
- 心臓カテーテル検査 … 狭心症・心筋梗塞などと鑑別診断をする上で最も重要な検査。
- 心エコー … 心筋の動きをリアルタイムに確認できる。
- MRI … 診断に有用との報告がある。[8]
予後
- 一般的には良好で、自然に軽快・治癒することも多い。
- 心原性ショック,心肺停止,心腔内血栓を形成するもの,再発するものなどもあるため、軽視はできない[3]。
引用・参照
- ^ Lyon A. et al.:Stress(Takotsubo) cardiomyopathy : a novel pathophysiological hypothesis to explain catechoramine-induced acute myocardial stunning. Nat Clin Pract Cardivasc Med 2008;5:22-29
- ^ CARDIAC PRACTICE 22(3): 227-232.
- ^ a b c Christian Templin C. , et al. Clinical Features and Outcomes of Takotsubo (Stress) Cardiomyopathy. N Engl J Med 2015; 373:929-938. DOI: 10.1056/NEJMoa1406761
- ^ Yoshida et al., A pathophysiologic study of tako-tsubo cardiomyopathy with F-18 fluorodeoxyglucose positron emission tomography, Eur Heart J (2007) 28(21): 2598-2604
- ^ Watanabe H, et al: Impact of earthquakes on Takotsubo cardiomyopathy. JAMA 294: 305-307, 2005.
- ^ 栗栖 他: 冠動脈の臨床(下) 日本臨床 2003; 61: 728-732.
- ^ Kosuge M, et al. Simple and Accurate Electrocardiographic Criteria to Differentiate Takotsubo Cardiomyopathy From Anterior Acute Myocardial Infarction. J Am Coll Cardiol. 2010;55(22):2514-2516. doi:10.1016/j.jacc.2009.12.059
- ^ Eitel I et al.Clinical Characteristics and Cardiovascular Magnetic Resonance Findings in Stress (Takotsubo) Cardiomyopathy.JAMA. 2011;306(3):277-286.
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Japanese Journal
- たこつぼ心筋症ないし心筋障害の病理 (特集 心疾患の病理)
- 肝細胞癌に対するラジオ波焼灼術中に、たこつぼ心筋症をきたした1例
- 三根 祥一郎[他],田浦 直太,市川 辰樹 [他]
- 長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi 87(2), 87-92, 2012-06-25
- 症例は74歳、女性。2004年HCV抗体陽性を指摘された。2008年4月肝S5約2cm大の肝細胞癌に対し、肝動脈塞栓術(TACE)を施行。2009年1月腹部MRIにてTACE後の局所再発を認め、4月ラジオ波焼灼療法(RFA)を施行した。施行中に胸部不快感、上腹部痛が出現しジアゼパム5mg静注後、呼吸停止状態となりフルマゼニル0.5mg静注を行うも呼吸状態が改善せず経口気管内挿管を施行。
- NAID 110009456179
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- 心臓の動きが急に悪くなり、心臓がたこつぼのように広がってしまい、心臓の働きが低下します。たこつぼとは ... コメント1件 医知場 | 2011.07.01 22:18 今回の、東北大震災でも、たこつぼ心筋症が増えているようです。 皆様のコメントを ...
- たこつぼ型心筋症についての疾患別看護です。病態生理や原因、治療方法なども一発でわかります。見やすいので、忘れた時にもすぐに確認。看護師以外にも活用できる。
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★リンクテーブル★
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- 48歳の女性。食欲低下と倦怠感を主訴に来院した。5日前から感冒様症状と食欲低下があり、市販薬を内服して寝込んでいた。昨日から倦怠感が強くなり、さらに今朝になって呼吸困難やふらつきも生じたため受診した。既往歴、生活歴および家族歴に特記すべきことはない。身長 160cm、体重 50kg。脈拍 116/分、整。血圧 86/50mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 93%(room air)。心音は奔馬調律。両下胸部にcracklesを聴取する。血液所見:赤血球 495万、Hb 14.6g/dL、白血球 11,000、血小板 17万。血液生化学所見:AST 2,324U/L、ALT 2,532U/L、LD 3,292U/L(基準 120~245)、CK 6,064U/L(基準 30~140)、尿素窒素 47mg/dL、クレアチニン 0.9mg/dL、総ビリルビン 1.4mg/dL。CRP 2.3mg/dL。来院時の心電図(別冊No.9A)を別に示す。心エコー検査で左室拡張末期径50mm、左室駆出率は20%。その後、完全房室ブロックが出現し、一時的ペースメーカー留置とともに冠動脈造影を行った。冠動脈造影像(別冊No.9B)を別に示す。
- 最も疑われる疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114D025]←[国試_114]→[114D027]
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- 70歳の女性。胸の重苦しさと息苦しさを主訴に来院した。1週間前から、朝の犬の散歩中に胸の重苦しさと息苦しさを自覚するようになったが、2~3分の休息で症状が消失していた。本日、午前9時から同症状が出現し持続するため、午前10時に家族とともに受診した。65歳時に高血圧症と脂質異常症を指摘されたが、定期的な通院は行っていない。家族歴に特記すべきことはない。喫煙歴はない。身長 156cm、体重 60kg。体温 36.2℃。脈拍 84/分、整。血圧 116/78mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 99%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。胸部エックス線写真に異常を認めない。12誘導心電図でV2、V3、V4でST低下を認める。心エコー検査で左室前壁の壁運動低下を認めるが、心嚢液の貯留を認めない。
- 最も可能性が高いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113A060]←[国試_113]→[113A062]
[★]
- 英
- takotsubo cardiomyopathy
[show details]
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- 英
- cardiac muscle (K), heart muscle, myocard cardiac muscle, myocardium
- 関
- 心筋の活動電位、横紋筋、筋肉
- 筋小胞体が発達していない
心筋の酸素消費量 (SPC.226)
- (tension-time index)=左心室内圧曲線収縮期相の面積(mmHg/s)×心拍数
- (doble product)∝(tension-time index)
- 1. 骨格筋細胞と違い心筋細胞は介在板を有しており、介在板近傍に存在するギャップ結合によって活動電位が伝播する。
- 2. ギャップジャンクションを通じて活動電位が伝播すると、心筋細胞膜上の電位依存性Na+チャネルが開き、脱分極が筋細胞全体に広がる。
- 3. 脱分極はT細管(横行管)に伝わり、T細管に存在する電位依存性のタンパク質の構造を変化させ、筋小胞体上のCa2+放出チャネルを開く。
- 4. さらに少し遅れてCa2+/Na+チャネルが長時間開口し、細胞内に多量のCa2+/Na+を取り込む。
- 5. 心筋細胞のT細管は細胞外部に開口しており、Ca2+の取り込みが容易になっている。
- 6. このようにして、細胞外と筋小胞体中のCa2+が細胞質に拡散する。
- 7. ここで、筋収縮に関わるアクチンフィラメントにトロポミオシンとトロポニンが結合し、収縮開始を妨げているが、Ca2+がトロポニンに結合すると、トロポミオシンがアクチンフィラメント上で場所を変える。
- 8. この結果、トロポミオシンが覆い隠していたアクチンフィラメントのミオシン結合部位が露出する。
- 9. ミオシンはATPの加水分解のエネルギーを使って、アクチンフィラメントに結合できる構造をとり、アクチンに結合する。
- 10. ミオシンがアクチンフィラメントで首振り運動をすることで筋収縮が起こる。
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
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- 英
- cardiomyopathy CM
- 関
心筋症比較
- HIM.1482
YN
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C-132
|
C-134
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C-136
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HIM
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1481
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1484
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1485
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拡張型心筋症
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肥大型心筋症
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拘束型心筋症
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DCM
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HCM
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RCM
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胸部単純X線写真
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中等度~重度心陰影拡大
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中等度~重度心陰影拡大
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軽度心陰影拡大
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肺静脈拡張
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心電図
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ST領域、T波の異常
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ST領域、T波の異常
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低電位
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左室肥大
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伝導障害
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異常Q波
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心エコー
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左心室拡張・機能不全
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非対称性中隔肥大
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左心室壁肥厚
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収縮期僧帽弁前方運動
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収縮能:正常~軽度減少
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核医学検査
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左心室拡張・機能不全
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収縮能亢進
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収縮能:正常~軽度減少
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血液還流異常(201Tl/Tc-MIBI)
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心カテーテル検査
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左心室拡張・機能不全
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収縮能亢進
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収縮能:正常~軽度減少
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左室・(右室)充満圧上昇
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左室・右室充満圧上昇
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左室・右室充満圧上昇
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心拍出量減少
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左室流出路狭窄
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- 英
- sis, pathy