- 英
- aortic dissection
- 関
- 解離性大動脈瘤
大動脈解離の病態
ガイドライン
- 1. 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2006年改訂版)
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2006_takamoto_h.pdf
文献
- 腹部大動脈瘤の血管内手術と開腹手術、長期死亡率に差なし
- 腹部大動脈瘤(AAA)の修復を血管内手術または開腹手術によって受けた患者の転帰を8年間にわたって調べた試験(EVER1)で、両者の全死因死亡率、動脈瘤関連死亡率に差はないことが明らかになった。また、開腹手術が適用にならないAAA患者を対象に、血管内手術を受けた患者と介入なしの患者の長期的な転帰を比較した試験(EVER2)では、両者の全死因死亡率にも差はないことが明らかになった。
- Endovascular repair of aortic aneurysm in patients physically ineligible for open repair.
- N Engl J Med. 2010 May 20;362(20):1872-80. Epub 2010 Apr 11.
- United Kingdom EVAR Trial Investigators et al.
- PMID 20382982
- Endovascular versus open repair of abdominal aortic aneurysm.
- N Engl J Med. 2010 May 20;362(20):1863-71. Epub 2010 Apr 11.
- United Kingdom EVAR Trial Investigators et al.
- PMID 20382983
- Long-term outcome of open or endovascular repair of abdominal aortic aneurysm.
- N Engl J Med. 2010 May 20;362(20):1881-9.
- De Bruin JL et al.
- PMID 20484396
国試
- 105I059:Stanford A偽腔閉塞型急性大動脈解離。ガイドライン1では内科的治療が良いか外科的治療が良いかはどちらともいえないと記載がある。いずれにせよ、早急な降圧が重要である。
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大動脈解離 |
分類及び外部参照情報 |
左鎖骨下動脈起始部 (3) から腹部大動脈 (4) に至る大動脈解離。上行大動脈 (1) および大動脈弓 (2) には及んでいない。
|
ICD-10 |
I71.0 |
ICD-9 |
441.0 |
DiseasesDB |
805 |
MedlinePlus |
000181 |
eMedicine |
emerg/28 |
Patient UK |
大動脈解離 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
大動脈解離(だいどうみゃくかいり、英: Aortic dissection)とは、3層構造を作っている大動脈のうち、何らかのきっかけで真ん中の層の膜(中膜)に血流が入り込み、層構造が別々に剥がれていく(解離してしまう)疾患。
なお、大動脈解離と解離性大動脈瘤(かいりせいだいどうみゃくりゅう、dissecting aneurysm of the aorta)とを混同しないよう留意されたい。この症例においては特に瘤形成を認めないことも多く、前述の症状の中でも、大動脈の径が拡大して瘤形成を認めた場合にのみ「解離性大動脈瘤」と呼ばれるからである[1]。
目次
- 1 病態
- 2 分類
- 2.1 Stanford分類
- 2.2 Debakey分類
- 3 症状
- 4 検査・診断
- 5 治療・予後
- 6 脚注
- 7 参考文献
- 8 関連項目
- 9 外部リンク
病態
正常な層構造が壊れた大動脈は弱くなり、最悪の場合破裂してしまう。また、大動脈の出発点である大動脈起始部(バルサルバ洞)から心臓にかけて解離が進めば、そこから出ている冠動脈の血流を阻害して心筋梗塞を起こしたり、大動脈弁輪拡張に伴い大動脈弁を壊したり(大動脈弁閉鎖不全症)、心臓を包む心嚢という袋の中に出血を起こしたりすると、心タンポナーデを起こす。これらの合併症は死に至るものであり、大動脈解離が危険な病気である所以といえる。
また、急性大動脈解離においては破裂や心タンポナーデのみが危険と言うわけではない。解離によって偽腔が重要血管を閉塞すると、脳梗塞、脊髄梗塞、腸管などの消化管虚血、下肢の虚血を引き起こす。重要臓器に対する虚血が起きた場合の救命率は手術を行い得た場合でも70%以下であり、血管疾患の中でも特に重篤なものである。
分類
各種分類
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|
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頻度 |
60% |
10–15% |
25–30% |
分類 |
DeBakey I |
DeBakey II |
DeBakey III |
Stanford A |
Stanford B |
近位 |
遠位 |
Stanford(スタンフォード)分類、DeBakey(ドゥベイキー)分類が用いられる。
Stanford分類
- Stanford A
- 上行大動脈に解離が及んでいる状態
- Stanford B
- 上行大動脈に解離が及んでいない状態
Debakey分類
- DeBakey I
- 上行大動脈に入口部があり、腹部大動脈まで解離が及ぶ状態
- DeBakey II
- 上行大動脈のみ解離している状態
- DeBakey IIIa
- 下行大動脈に入口部があり、腹部大動脈に解離が及ばない状態
- たとえ上行大動脈に解離があっても下行大動脈に入口部があれば、DeBakey IIIとなる(逆行性大動脈解離)。ちなみにこの場合、Stanford分類ではA型となる。
- DeBakey IIIb
- 下行大動脈に入口部があり、腹部大動脈に解離が及ぶ状態
症状
強烈な痛みは患者の96%に見られ、解離の場所を推定するのにも重要な症状である。しかし解離が腹部大動脈まで及ぶと「全身を動き回るように痛む」とも言われている。加藤茶が、2008年にStanford Aを発症した際の痛みとして述べたことがある。心不全症状を起こすこともあるほか、初発症状が突然死であることもある。また、解離によって血圧の上昇または低下が起こるほか、胸水の貯留が見られることもある。
検査・診断
激痛から大動脈解離を疑う。胸部X線で大動脈陰影や上縦隔の拡大が見られることがあるが、特に所見が見られないこともあるため、基本的にCTやMRIで診断する。
- CT
- 静脈内に造影剤(ヨウ素系)を注入して造影する撮影法が基本である。真腔、偽腔、フラップの検出が可能で、感度は83~87%、特異度は87~100%と高い。最近登場したヘリカルCTはより正確な診断が可能であり、感度は96%、特異度は100%にも及ぶ。
また、近年の多チャンネルヘリカルCTでは造影CTではなく単純CTで診断可能な場合も希では無い。
- MRI
- さまざまな断面で鮮明な画像を得られるのが特徴である。解離の範囲や状態を正確に把握するのに適している。感度・特異度はともに96%。
- 心エコー
- 内膜フラップを検出できれば確定できる。また、Stanford A型解離では心タンポナーデ(エコーフリースペースとして見える)をきっかけに解離を診断するケースもある。
治療・予後
予後はStanford AであるかStanford Bのどちらかによって大きく異なる。
Stanford Bの場合、脳に血流を送る腕頭動脈、左総頚動脈が保たれるため、保存的に治療が行われる。ただし、腹腔動脈、両側腎動脈、上腸間膜動脈に解離が及んだ場合は手術適応となりえる。また、腸骨動脈が解離によって閉塞された場合も下肢の筋壊死を引き起こすため、ステントや非解剖学的バイパスなどの手術治療が行われる場合がある。この場合、閉塞した時間が長ければ、筋腎代謝症候群(MNMS: MyoNephrotic Metabolic Syndrome)を引き起こし、これにより命を失う場合もある。
Stanford Aの場合、腕頭動脈、左総頚動脈に血流が減少し脳死の危険が高いので、緊急手術適応となる場合が多い。ただし、早期血栓閉塞型であれば保存的に治療を行う。大動脈弁に解離が及んで大動脈弁閉鎖不全、心筋梗塞、心タンポナーデを起こした場合、予後は非常に悪い。
なお、大動脈解離に伴う急性心筋梗塞 (AMI: Acute Myocardial Infarction)に対して血栓溶解療法や抗凝固療法、IABP(Intra Aortic Balloon Pumping:大動脈内バルーンパンピング)が禁忌であるが、実際の診療の場においては、医師の慎重な判断の下にIABPが行なわれることがある。
脚注
- ^ 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2011 年改訂版)
参考文献
関連項目
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Ib群: リドカイン, フェニトイン
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II群: 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)
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IV群: カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
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- からだチェック(81)大動脈解離 : 太い血管が裂ける
- 胸痛 (特集 研修医のためのER診療マニュアル(1)症候学・鑑別診断編)
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- 次の文を読み、39、40の問いに答えよ。
- 58歳の男性。夜間の呼吸困難のため救急車で搬入された。
- 現病歴: 4年前に狭心症と診断され、アスピリンと硝酸薬とを服薬していたが、半年前から中断していた。3か月前から駅の階段を昇るとき軽度の胸痛を感じていた。2日前冷汗を伴う前胸部絞扼感が数時間持続し、自宅での安静で軽快した。しかし、昨夜就寝後呼吸困難のため覚醒した。横になると呼吸困難が再発するので眠れず、午前3時に来院した。
- 既往歴: 8年前に糖尿病を指摘された。
- 現症: 意識は清明。身長169cm、体重75㎏。呼吸数28/分。脈拍104/分、整。血圧102/88mmHg。頸静脈の怒張を認めるが、心雑音はない。両側下肺野にcoarse cracklesを聴取する。右肋骨弓下に圧痛を認める。両側下腿に浮腫を認める。
- 検査所見: 尿所見: 蛋白1+、糖2+。血液所見: 赤血球430万、Hb14.2g/dl、Ht42%、白血球9,500、血小板30万。血清生化学所見: 血糖150mg/dl、HbA1c8.8%(基準4.3~5.8)、総蛋白7.0g/dl、尿素窒素26mg/dl、クレアチニン1.2mg/dl、総コレステロール224mg/dl、トリグリセライド190mg/dl、総ビリルビン0.8mg/dl、AST60単位、ALT34単位、LDH620単位(基準176~353)、CK960単位(基準10~110)、Na148mEq/l、K4.6mEq/l、Cl103mEq/l。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)96%(酸素3l/分投与下)。入院時の胸部エックス線写真と心電図とを次に示す。
心電図
- 異常Q波:I, aVL, V1-V3
- 陰性T波:I, aVL, V2-V6
- R波減高:V4-V6
- ST上昇:V1-V4
-
- 心筋梗塞#心電図の異常波形と時間経過 PHD.105
- ST上昇が残存
胸部単純X線写真
心筋梗塞の場合、上昇してくる生化学マーカー
- 上昇してくる時間
- AST 6-12時間
- LDH やんわりと出てくる。
- CK (CK-MBの場合) 3-4時間
[show details]
- ・主訴 呼吸困難
- ・現病(S)
- 狭心症(4年前~) → 狭心症の増悪や心筋梗塞を疑う根拠
- アスピリンと硝酸薬の休薬 → 狭心症の増悪因子
- 労作時の軽度の胸痛 → 労作性狭心症
- 数時間にわたる前胸部絞扼感 → 狭心症に続発した心筋梗塞
- 就寝時に呼吸困難で覚醒し、横になると再発 → 起坐呼吸(肺のうっ血と圧上昇が肺コンプライアンス減少、気道抵抗増大を生じ呼吸困難を来す。
- ) → うっ血性心不全?
- 8年前からの糖尿病 → 肝動脈疾患のリスクファクター
- ・現症(O)
- BMI = height/(weight)^2 = 26.3 軽度肥満? → 肝動脈疾患のリスクファクター
- 頻呼吸 → 換気の低下? → 低酸素血症(急性心不全、肺性心、肺梗塞、肺炎、呼吸窮迫症候群などの呼吸・循環器疾患の際にみられ、これは低酸素血症による頸動脈体刺激)
- 頻脈 → 交感神経↑ or 心拍出量低下よる代償的作用
- 頚静脈怒張 → うっ血性心不全
- 両側下肺野にcoarse crackles → 肺水腫かな?
- 右肋骨弓下に圧痛 → 肝腫大 → うっ血性心不全
- 両下腿浮腫 → うっ血性心不全
- ・検査所見(O)
- 蛋白 1+ → 糖尿病性腎症?
- 糖 2+ → 血糖やや高い(が、食後であれば正常) → 糖尿病
- HbA1c高値(正常4.3-5.8%(日本糖尿病学会)) → 糖尿病
- 尿素窒素高値 26 mg/dL → 糖尿病性腎症
- クレアチニン高値 1.2mg/dL → 糖尿病性腎症
- T-cho高値 224mg/dL 120-220 mg/dL → 高脂質血症 → 冠動脈疾患のリスクファクター
- TG高値 190 mg/dL 50-150 mg/dL → 高脂質血症 → 冠動脈疾患のリスクファクター
- LDH高値620単位 (基準 176-353) → 心筋梗塞を示唆
- AST高値60単位 40単位以下 → 心筋梗塞を示唆
- CK高値 960単位 (基準 10-40) → 心筋梗塞を示唆
- Na高値 148 mEq/l
- SpO2 96% (酸素3l/分投与下) → 換気能の悪化。
- ・心電図
- ・左房負荷:P terminal force 1mm2 → 左房に容量負荷がかかっている
- ・心筋梗塞を示唆 → 心筋梗塞が疑い
- 異常Q波:I, aVL, V1-V3
- 陰性T波:I, aVL, V2-V6
- R波減高:V4-V6
- ST上昇:V1-V4
- ・所見
- 1. 発症数日程度の左前下行枝領域の急性前壁梗塞
- 2. 心室瘤を伴う陳旧性心筋梗塞
- ・胸部X線単純写真
- 心陰影拡大著明 → 心肥大?心拡張?心膜液貯留 →(状況証拠から)心不全による心拡張が疑わしい
- butterfly shadow → 肺水腫
- ====
- a. 陰影が認められるが、ここまでの情報で適当じゃない。
- b. 心筋梗塞だってば
- c. ○
- d. 他に原因の求められない原因不明の心室収縮障害 ← 心エコーで異常な心室壁運動。血液生化学正常だろう。胸部Xpで心拡大、ECG異常は認められる。
- e. 左心不全の後方障害が説明できない。ECG、心エコーで否定。高血圧の病歴、移動する突然の胸痛、来院時の高血圧。
- ====
- ax 高浸透圧性非ケトン性昏睡とかだったら補液で脱水の改善してからインスリン打つんだがな
- b 利尿薬。血管拡張薬(ニトログリセリン(静脈を拡張させる)など)もよい
- cx 抗不整脈薬(Naチャネルブロック。心室性不整脈。class Ib(APD短縮))、局所麻酔薬
- dx カルシウム拮抗薬は血管拡張薬(動脈系に強く作用する)。心不全の治療に用いられるが、本症例では血圧が高くなく適応にならない。
- ex 末梢血管を収縮させて血圧を上げる。うっ血性心不全の治療にならない。
- ====
- AMIかなと、考えて
- 上昇してくる時間
- AST 6-12時間
- LDH やんわりと出てくる。
- CK (CK-MBの場合) 3-4時間
[正答]
※国試ナビ4※ [100D038]←[国試_100]→[100D040]
[★]
- 次の文を読み、69~71の問いに答えよ。
- 66歳の男性。胸背部痛と左上下肢の筋力低下のため救急車で搬入された。
- 現病歴:本日午前11時、デスクワーク中に本棚上段から書類を取ろうと手を伸ばしたところ、激烈な胸背部痛が突然出現した。その後すぐに左片麻痺が出現し、さらに重苦しい胸痛と冷汗が出現したため、発症から30分後に救急車を要請した。
- 既往歴:2年前から高血圧症で通院治療中。
- 生活歴:妻と2人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴:父親は脳出血のため86歳で死亡。母は胃癌のため88歳で死亡。
- 現症:意識は清明。身長 162cm、体重 80kg。血圧 78/62mmHgで明らかな左右差を認めない。脈拍 108/分(微弱)、整。呼吸数 18/分。SpO2 99%(room air)。頸静脈の怒張を認める。眼瞼結膜に貧血を認めない。心音はⅠ音Ⅱ音とも減弱しており、胸骨左縁第3肋間を最強とするⅡ/Ⅵの拡張期灌水様雑音を認める。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。左上下肢に不全片麻痺を認め、Babinski徴候は陽性である。
- 検査所見:心電図は、心拍数 108/分の洞調律で、肢誘導および胸部誘導ともに低電位で、Ⅱ、Ⅲ、aVfにST上昇を認めた。ポータブル撮影機による仰臥位の胸部エックス線写真(別冊No.16A)及び6か月前に撮影された立位の胸部エックス線写真(別冊No.16B)を別に示す。胸部エックス線写真を見比べながら、研修医が指導医に所見や解釈を報告した。
[正答]
※国試ナビ4※ [114C069]←[国試_114]→[114C071]
[★]
- 次の文を読み、28、29の問いに答えよ。
- 72歳の男性。突然の背部痛と冷汗とを主訴に来院した。
- 現病歴:本日午後2時、庭仕事中に突然の背部痛と冷汗とを自覚した。背部痛は、痛み始めが最も強く、腰部へ移動した。症状が続くため受診した。
- 既往歴:53歳時に高血圧症を指摘され自宅近くの診療所に通院中である。
- 生活歴:夫婦2人暮らし。現在は無職。喫煙は70歳まで25本/日を50年間。飲酒は機会飲酒。
- 現症:意識は清明。身長 158cm、体重 60kg。脈拍 120/分、整。右上肢血圧 178/90mmHg、左上肢血圧 172/92mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 450万、Hb 13.8g/dL、Ht 42%、白血球 11,800(桿状核好中球 22%、分葉核好中球 40%、好酸球 2%、好塩基球 1%、単球 7%、リンパ球 28%)、血小板 18万。血液生化学所見:総蛋白 6.0g/dL、AST 52IU/L、ALT 55IU/L、LD 290IU/L(基準 176~353)、尿素窒素 32mg/dL、クレアチニン 0.9mg/dL、CK 98IU/L(基準 30~140)。胸部CT水平断像(別冊No. 5A)、腹部CT水平断像(別冊No. 5B)及び胸腹部CT矢状断像(別冊No. 5C)を別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [110F027]←[国試_110]→[110F029]
[★]
- 次の文を読み、47、48の問いに答えよ。
- 54歳の男性。冷汗を伴う胸痛を訴え、救急車で搬送された。
- 現病歴 : 5か月前から労作時に胸痛を自覚していた。胸痛は5分間持続し、安静で消失した。2週前から頻度が増し、安静時にも出現するようになった。4時間前から冷汗を伴う胸痛が持続している。
- 既往歴 : 10年前から高脂血症を指摘されていた。
- 家族歴 : 兄が40歳で突然死。
- 生活歴 : たばこ40本/日を30年間。機会飲酒。
- 現症 : 意識は清明。身長166cm、体重75㎏。呼吸数18/分。脈拍96/分、整。血圧120/74mmHg。顔貌は苦悶様。心音ではIII音を聴取する。呼吸音は正常。腹部は平坦で、軟。下腿に浮腫を認めない。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。
- 血液所見:赤血球450万、Hb14.6g/dl、Ht46%、白血球12,800、血小板16万。
- 血清生化学所見:総蛋白6.8g/dl、アルブミン3.4g/dl、クレアチニン0.8mg/dl、総コレステロール260mg/dl、総ビリルビン0.9mg/dl、AST250単位、ALT35単位、LDH350単位(基準176~353)、CK1,850単位(基準10~40)、Na138mEq/l、K3.6mEq/l、Cl 99mEq/l。CRP1.6mg/dl。
- 来院時の心電図を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [099C046]←[国試_099]→[099C048]
[★]
- 次の文を読み、16~18の問いに答えよ。
- 59歳の男性。4時間持続する前胸部痛のために搬入された。
- 現病歴: 1か月前から階段を上がった際に前胸部絞扼感を自覚した。安静にすると消失するので放置していた。本日早朝に前胸部絞扼感で覚醒した。しばらく我慢していたが次第に増強してきた。
- 既往歴: 5年前から高血圧で降圧薬を服用している。
- 現症: 意識は清明。身長168cm、体重82kg。体温36.6℃。呼吸数24/分。脈拍104/分、欠代あり。血圧160/94mmHg。冷汗を伴い、四肢は冷たい。心雑音はないが、奔馬調律を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認めない。
- 検査所見: 尿所見:尿蛋白(-)、糖1+。
- 血液所見:赤血球480万、Hb15.8g/dl、Ht46%、白血球9.800、血小板48万。
- 血清生化学所見:総蛋白7.6g/dl、クレアチニン1.0mg/dl、AST88IU/l、ALT24IU/l、CK540IU/l(基準40~200)。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%。心電図を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [101E015]←[国試_101]→[101E017]
[★]
- 78歳の女性。夜間の呼吸困難のため救急車で搬入された。
- 現病歴 : 2年前から労作時の息切れを自覚していた。昨晩、就寝2時間後息苦しくなり、ふとんの上で座ると少し楽になるものの、息苦しさが持続している。
- 既往歴 : 56歳から高血圧症で加療中である。
- 現症 : 意識は清明。身長154cm、体重60kg。体温36.6℃。呼吸数24/分。脈拍108/分、整。血圧184/110mmHg。貧血と黄疸とを認めない。頸静脈怒張を認めない。心音は奔馬調律。両側下部野にcoarse cracklesを聴取する。下腿に浮腫を認めない。
- 検査所見:尿所見:比重1.024、蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)、沈渣に異常を認めない。血液所見:赤血球360万、Hb12.2g/dl、Ht35%、白血球8,900、血小板19万。血清生化学所見:尿素窒素24mg/dl、クレアチニン1.2mg/dl、AST28単位、ALT30単位、LDH317単位(基準176~353)、CK108単位(基準10~40)、Na139mEq/l、K4.5mEq/l、Cl105mEq/l。胸部エックス線写真を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [100D042]←[国試_100]→[100D044]
[★]
- 次の文を読み、10~12の問いに答えよ。
- 68歳の女性。前胸部痛と呼吸困難とを主訴に来院した。
- 現病歴 : 3週前から咳嗽と労作時息切れとが出現し、昨日から吸気時に増強する前胸部痛と安静時の呼吸困難とを自覚するようになった。
- 既往歴 : 2年前に肺癌の手術と化学療法とを受けた。
- 現症 : 苦悶様顔貌。身長158cm、体重48kg。体温36.6℃。呼吸数24/分。脈拍116/分、整。血圧74/52mmHg。頚静脈の怒張を認める。胸部にラ音を聴取しない。腹部では肝を右肋骨弓下に3cm触知する。両下腿に浮腫を認める。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。
- 血液所見:赤血球320万、Hb9.7g/dl、Ht31%、白血球9,600、血小板18万。
- 血清生化学所見:総蛋白6.2g/dl、アルブミン3.2g/dl、クレアチニン0.8 mg/dl、AST50単位、ALT35単位、LDH380単位(基準176~353)、CK36単位(基準10~40)。CRP2.6 mg/dl。心電図と心エコー図とを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [099I010]←[国試_099]→[099I012]
[★]
- 76歳の男性。背部痛と右上下肢の脱力とを主訴に来院した。今朝、午前7時ころ突然の背部から左頸部へ移動する痛みを自覚した。その後、徐々に疹痛が緩和してきたため、消炎鎮痛薬の貼付剤で様子をみていた。10分程して右上肢の脱力も出現した。ソファで休もうとしたところ、右下肢にも脱力があることに気付いた。横になって約30分でいずれの症状も改善したが、心配した家族とともに午前10時に受診した。高血圧症と糖尿病で内服治療中である。意識は清明。身長 172cm、体重 68kg。体温 36.5℃。脈拍 88/分、整。右上肢血圧 136/70mmHg、左上肢血圧 110/62mmHg。呼吸数 18/分。SpO2 98%(room air)。神経学的所見に異常を認めない。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110F015]←[国試_110]→[110F017]
[★]
- 56歳の男性。大腿骨腫瘍で入院治療中。早朝離床時に突然の胸痛と呼吸困難とを訴えた。体温37.0℃。呼吸数28/分。脈拍120/分、整。血圧 90/64mmHg。呼吸音に異常を認めない。血液所見:赤血球520万、Hb 16.2g/dl、Ht 48%、白血球 11,600、血小板 19万。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air): pH 7.48、PaO2 55Torr、PaCO2 32Torr。胸部エックス線写真と胸部造影CTとを以下に示す。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103I074]←[国試_103]→[103I076]
[★]
- 60歳の女性。子宮頸癌のため入院し、広汎子宮全摘術を受けた。術後3日目に初めて歩行を開始したところ、突然呼吸困難を訴え、間もなく意識を消失しチアノーゼが出現した。すぐに酸素吸入を開始した。身長154cm、体重65kg。呼吸数38/分。脈拍140/分、整。血圧60/40mmHg。胸部聴診で心雑音はなく、呼吸音は正常である。動脈血ガス分析(自発呼吸、マスクO2 3l/分):PaO2 70Torr、PaC02 28Torr。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098B010]←[国試_098]→[098B012]
[★]
- 72歳の女性。屋内で尻もちをついた直後から腰部に激しい痛みを生じ、歩行困難となり搬入された。身長151cm、体重55kg。体温36.8℃。腰部に強い叩打痛を認める。血液所見:赤血球390万、白血球5,400。血清生化学所見:AST25単位、ALT28単位、ALP280単位(基準260以下)、Ca9.1mg/dl、P3.1mg/dl。CRP0.4mg/dl。腰椎エックス線単純写真側面像を以下に示す。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100D021]←[国試_100]→[100D023]
[★]
- 56歳の男性。突然に発症した胸背部痛を主訴に来院した。意識は清明。顔貌は苦悶様で冷汗を伴う。呼吸数26/分。脈拍104/分、整。血圧:右上腕150/82mmHg、左上腕122/70mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)92%。胸部造影CTを以下に示す。
- 処置として適切でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101G022]←[国試_101]→[101G024]
[★]
- 日齢3の新生児。在胎39週、出生体重 2,950gで出生した。瞼裂斜上、内眼角贅皮、鼻根部平坦および巨舌を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。筋緊張が低下している。心エコー検査で異常を認めない。
- この児の長期管理上、注意すべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114F053]←[国試_114]→[114F055]
[★]
- 15歳の女子。学校の健康診断で心電図異常を指摘され来院した。
- 運動時に時々胸部絞扼感があった。
- 脈拍76/分、整。血圧126/76mmHg。心電図と動脈造影写真とを以下に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098A019]←[国試_098]→[098A021]
[★]
- 胸痛の特徴と疑われる疾患の組合せで適切でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109F004]←[国試_109]→[109F006]
[★]
- 安静による改善が乏しい背部痛をきたすのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [113F036]←[国試_113]→[113F038]
[★]
- StanfordB型急性大動脈解離の合併症として可能性が最も低いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109I009]←[国試_109]→[109I011]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [099E027]←[国試_099]→[099E029]
[★]
- 英
- acute arterial occlusion
- 同
- 急性動脈閉塞
- 関
- 動脈閉塞症
病因
- ガイドライン1改変
臨床的分類
|
予後
|
臨書所見
|
ドプラ聴診器所見
|
|
知覚消失
|
筋力低下
|
動脈
|
静脈
|
I
|
viable (下肢循環が維持されている状態)
|
ただちに下肢生命が脅かされることはない
|
|
なし
|
聞こえる
|
聞こえる
|
IIa
|
threatened viability (下肢生命が脅かされる状態)/marginally(境界型)
|
早急な治療により救肢が可能
|
軽度(足趾)/なし
|
なし
|
(しばしば) 聞き取れない
|
聞き取れる
|
IIb
|
threatened viability (下肢生命が脅かされる状態)/immediately(緊急型)
|
ただちに血行再建することにより救肢が可能
|
足趾以外にも 安静時痛を伴う
|
軽度~中等度
|
聞き取れない
|
聞き取れる
|
III
|
irreversible (不可逆的な状態)
|
組織大量喪失または、恒久的な神経障害が避けられない
|
重度 知覚消失
|
重度 麻痺(筋硬直)
|
聞き取れない
|
聞き取れない
|
治療
- ガイドライン1 SSUR.421 YN.C-152
- 急性動脈閉塞症の診断がつけばすぐに血栓形成の進展、およびこれによる再閉塞を予防するためにヘパリンを投与。
- 急性下肢虚血の臨床的分類(TASC区分?)I, IIaでは経カテーテル直接血栓溶解療法(catheter directed thrombolysis, CDT)を考慮
- TASC区分IIbでは外科的血行再建の適応(フォガティカテーテルによる血栓除去など)
- TASC区分IIIやTASC区分IIb以上で血栓塞栓除去術が奏効しない例において、肢切断が行われる。
合併症
予後
- ガイドライン1
- 動脈閉塞から6時間以内であれば高率に救肢可能であり、血栓塞栓除去術の良い適応。
- 24時間を経過すると約20%の症例で肢切断を要する。
- 死亡率は15-20%
ガイドライン
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_shigematsu_h.pdf
- 2. INTER-SOCIETY CONSENSUS FOR THE MANAGEMENT OF PERIPHERAL ARTERIAL DISEASE (TASC II)
- http://www.tasc-2-pad.org/upload/SSRubriqueProduit/Fichier2/597.pdf
[★]
- 英
- blood pressure, BP
- 同
- 動脈圧 arterial pressure AP
- 関
- 血圧測定
成人の血圧
- 至適血圧:<120mmHg かつ <80mmHg
- 正常血圧:130mmHg かつ 85mmHg
- 正常高値血圧:130~139mmHg または 85~89mmHg
- I度高血圧(軽症):140~159mmHg または 90~99mmHg
- II度高血圧(中等症):160~179mmHg または 100~109mmHg
- III度高血圧(重症):≧180mmHg または ≧110mmHg
- 収縮期高血圧:≧140mmHg かつ <90mmHg
糖尿病性腎症
- 管理目標: 130/80 mmHg
- 尿蛋白1g/日以上:125/75 mmHg
冠血管と血圧
- In the normal state, autoregulatory mechanisms adjust coronary tone tomatch myocardial oxygen supply with oxygen requirements. In the absence of obstructive coronary disease, thesemechanisms maintain fairly constant rate of coronary flow, as long as the aortic perfusion pressure is approximately 60 mmHg or greater.
血圧の異常
血圧の上肢における左右差
- 大動脈炎症候群:腕頭動脈、鎖骨下動脈の狭窄・閉塞を生じる
- 動脈硬化:鎖骨下動脈領域の病変があるとき、左右の脈拍差や皮膚温の違いを生じる
血圧の上下肢の差(下肢>上肢)
- 大動脈炎症候群:大動脈弓部が冒されやすいが、鎖骨下動脈が冒された場合に上肢の血圧が低下。
- 解離性大動脈瘤:解離腔に生じた血腫が鎖骨下動脈を圧迫すると、上肢の血圧が低下
- 大動脈閉鎖不全症:Hill徴候
収縮期血圧のみ高い。拡張期血圧は高くない
- 拡張期に動脈血流が減少する病態(血流が体循環に押し出されないか、心収縮力のみ上昇している状態?(体循環の血管抵抗が上がっていない?))
- 脈圧が上昇する
- 1. 大動脈基部の血流が逆流やシャントにより減少する場合
ショック
非侵襲的な血圧測定法による血圧の上肢・下肢の差
- 血圧を測定するために駆血帯で血流を遮断する必要がある。このとき、下肢の動脈の方が深部を走行しているため上肢より強く駆血帯で圧迫する必要がある。強く圧迫を要する分だけ下肢の血圧が高く測定されてしまう。
心血管とその周囲の血圧 YN.C-29
- see also PHD.61
中心静脈
|
|
肺動脈楔入圧
|
4~8
|
8~20
|
右心房
|
左心房
|
1~4
|
8~20
|
右心室
|
左心室
|
8~20
|
120~20
|
肺動脈
|
大動脈
|
8~20
|
120~70
|
臓器移植における脳死判定の除外
- 脳死判定#脳死判定の除外規定、臓器の移植に関する法律施行規則#第二条第四項
- 収縮期血圧が以下で定められる数値未満の場合には脳死判定ができない。
- 1歳未満の者 65
- 1歳以上13歳未満の者 年齢x2+65
- 13歳以上の者 90
国試
[★]
- 英
- chest pain, thoracodynia, pectoralgia
- 同
- 胸部痛
- 関
- 胸壁痛。胸部圧迫感
鑑別疾患
- 診断エッセンシャルズ新訂版
救急疾患
その他
鑑別診断
- DIF.84
胸痛の質
- 圧迫されるような痛み:狭心症、心筋梗塞
- 刺すような痛み:心膜炎、胸膜炎、肋間神経痛
胸痛と呼吸困難
- 参考1
- 気胸、肺炎、胸膜炎、慢性閉塞性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患の悪化、肺癌などの肺疾患、心不全
診察
【現病歴】
誘因、発生様式(突発、緩徐)、経時的変化(一定、動揺、増悪/寛解傾向)、部位(一番痛い部位、放散する部位)、軽快因子、増悪因子、(反復するエピソードあれば)前回との比較、随伴症状
【既往歴】基礎疾患(DM, HT, DL)
【嗜好】smoking, alcohl
【服用薬】
【職業】
【身体所見】
Appearance: Face anguish, Diaphoresis, Cyanosis
Vital:
Consciousness:
BT , BP / , HR (L Arm/R Arm, Lower Extrimity), RR , SpO2
Lymphnode: swollen/no swollen, breath sound →/↑/↓
Chest
Heart:Is →/↑/↓, IIs →/↑/↓, IIIs(±)/IVs(±), murmur, friction rub ±
Lung: crackle/rale
Abdomen: soft/hard, tenderness
Extremity: cold/pulse/edema
Skin: dry/wet/hot/cold
【検査】
ECG: ST segment change
Blood test:
biochemistry: CK-MB, Troponine T, AST, LDH, H-FABP
Blood count: WBC
Arterial blood gas: PaO2 torr
A-aDO2 = 150 - PaCO2/ 0.8 (torr) - PaO2 (normal below 20 Torr)
Chest XP:
Heart echography:
参考
- 1. 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2009_andoh_h.pdf
[★]
- 英
- dissecting aortic aneurysm DAA, dissecting aneurysm of the aorta DA
- 同
- 剥離性大動脈瘤、大動脈解離
- 関
- 急性大動脈解離, 解離性動脈瘤
分類
病因
- 1. 動脈硬化性
- 2. 嚢胞性中膜壊死:特に若年者で、かつ Marfan(マルファン)症候群を合併していることが多い。
症状
- PHD.354 HIM.1565
- 突発性、激烈な前胸部痛(Stanford A型)・背部痛(Stanford B型)。移動性。
- 血管の閉塞症状(頚動脈:意識障害、麻痺、上腸間膜動脈:悪心・嘔吐、上腹部痛、下血、腎動脈:乏尿、血尿、腸骨動脈:下肢痛、チアノーゼなど)
- 循環器症状:血圧↑ ← 狭窄部より近位の血圧が増大する(IMD.474)
- 消化器症状:悪心・嘔吐(痛みから交感神経刺激)
- 腎臓:乏尿(腎血流減少、交感神経興奮)、血尿
- 全身症状:疼痛と共にショックを起こす、発汗(交感神経刺激)
- ARをきたした場合:(急性ARによる)呼吸困難、血痰、動悸
- DeBakey I型・DeBakeyI II型(Stanford A型):大動脈弁閉鎖不全、脳卒中発作、鎖骨下動脈閉塞による上肢の疼痛(身体所見として左右上肢の血圧差)
- DeBakey III型(Stanford B型):III型では肝・腎不全、消化器症状、(大動脈分岐部)背部痛、下肢の阻血(下肢の疼痛)
検査
血液検査
画像検査
- 胸部単純X線写真 + 胸部造影CT/胸部CT
- 心電図
- 胸部単純X線写真:縦隔陰影の拡大や胸腔内血液貯留。縦隔の拡大、カルシウムサインを認める。カルシウムサイン(血管内腔のカルシウム沈着部位)と外膜の関係から内腔の大きさを推定できる。
- 胸部CT/胸部造影CT:解離の部位・広がり・大きさ
[show details]
[show details]
- Stanford B急性大動脈解離
- 胸部大動脈にしか解離腔を認めない。
- 経胸壁:上行大動脈瘤については解離の有無、内膜亀裂の位置、解離腔に血流があるかどうか、ARの有無や心嚢液貯留の有無(IMD)
- 経食道心エコー検査:下行大動脈における解離腔の広がりや血流の状態(IMD)
- 大動脈造影:大動脈弁閉鎖不全症や解離の範囲を評価できる。
治療
- Stanford A:緊急手術
- Stanford B:降圧療法
国試
[★]
- 英
- intraaortic balloon pumping intra-aortic balloon pumiping intra aortic balloon pumping IABP
- 同
- 大動脈バルーンパンピング、大動脈内バルーンパンピング法、バルーンパンピング法
- 関
- 経皮的心肺補助 PCPS
概念
- 先端にバルーンのついたカテーテルを大腿動脈から刺入し、先端が下行大動脈左鎖骨下動脈分岐部直下にとどまるように留置。
- バルーンにはヘリウムもしくは二酸化炭素が注入される。
メリット
- 1. 拡張期動脈圧が上昇 :バルーンが拡張 → 駆出された血液を停滞させる → 冠動脈血流量の増加 → 冠状動脈の血流は拡張期圧に依存
- 2. 収縮期の駆出抵抗減弱:バルーンが収縮 → バルーン容積(30-40 mL)に相当する血液量を心臓から吸引 → 駆出抵抗減弱 → 収縮期血圧が低下 → 心仕事量・心筋酸素消費量が低下
PCPS施行時にIABPを併用することが推奨される理由
- 1. 後負荷の軽減
- 2. 組織血流の拍動化
- 3. PCPS離脱時のバックアップ
適応
禁忌
[★]
- 英
- acute aortic dissection
- 関
- 解離性大動脈瘤
[★]
- 英
- dissociation、dissection、detachment、unbinding、maceration、dissociate
- 関
- 解体、解剖、精査、切開、脱離、剥離、分離、解離性障害、郭清、浸軟、結合解除、ダイセクション、解離反応、遁走
精神医学
- PSY.53
- 自我の同一性の障害により出現。
- 不安にさらされて圧倒されると心理的防衛機制が働き、適応不能に陥られないようにする。
- 心因性の健忘、遁走、ガンザー症候群、小児症、多重人格などで見られる。
- KPS.222
- 情動的苦悩を避けるために、自分の人格・独自性を、一時的かつ徹底的に一部変更すること。
- 遁走、ヒステリー転換反応はよく見られる解離の現象。
- 対抗恐怖的振る舞い、解離性同一性障害、薬物使用による高揚感、宗教的歓喜などでも見られる
参考
- http://www2.wind.ne.jp/Akagi-kohgen-HP/dissociation_example.htm
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A7%A3%E9%9B%A2_(%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6)
[★]
- 英
- aorta (Z), Ao
- 関
- 大動脈弁
- 大動脈径:胸骨左縁アプローチで左室長軸断面を得て、心エコーMモードで評価。
[★]
- 英
- artery (Z)
- ラ
- arteria
- 関
- 静脈