- 英
- psychotropic drug, psychotropic drugs, psychotropic agent, psychoactive drug, psychotropic, psychotropics
- 関
- 精神疾患
- 中枢神経系に作用して精神機能に影響を及ぼす薬物の総称
向精神薬に含まれる薬物
-
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向精神薬(こうせいしんやく、英:Psychoactive drug)とは、広義には、中枢神経系に作用し、生物の精神活動に何らかの影響を与える薬物の総称。
日本においては、麻薬及び向精神薬取締法で個別に指定された物質を狭義に指す。
目次
- 1 歴史
- 2 種類
- 3 法律
- 3.1 法規
- 3.2 向精神薬
- 3.3 麻薬
- 3.4 覚醒剤
- 4 脚注
- 5 関連
- 6 参考文献
- 7 外部リンク
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歴史
- 1952年 : フランスの精神科医ジャン・ドレー (Jean Delay) とピエール・ドニカー (Pierre Deniker) がクロルプロマジンの統合失調症に対する治療効果を初めて正しく評価し、精神病に対する薬物療法の時代が幕を開けた
- 1957年 : ベルギーの薬理学者パウル・ヤンセン (Paul Janssen) がクロルプロマジンより優れた抗精神病薬ハロペリドールを開発
- 1957年 : スイスの精神科医ローラント・クーンによってイミプラミンが、精神賦活作用を有することが見いだされ、うつ病の薬物療法への道が開かれた[1]
- 1984年 : 非定型抗精神病薬のリスペリドンが開発される
- 2007年 : 日本にてリタリンの不適切処方問題が表面化。うつ病がリタリンの適応症から外される。翌年に流通規制制度を設ける
この節は執筆中です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています。
種類
向精神薬は精神科で用いられるような精神安定剤から、手術における麻酔で用いられるものまで様々なものの総称である。
メジャートランキライザーの代表的な薬であるクエチアピン(セロクエル25mg錠)
ベンゾジアゼピン系抗不安薬(左ユーロジン、メイラックス、デパス、ソラナックス)
- 精神安定剤(tranquilizers)
-
- 抗精神病薬(major tranquilizers)
- 主に統合失調症の症状の対症療法での治療薬を指し完治させるものではない、また強力な睡眠薬であるベゲタミンに配合されているクロルプロマジンもここに分類される。統合失調症に有効な抗精神病薬は、全てがドーパミンD2受容体ファミリーに親和性を示し、ドーパミンのはたらきを抑制、あるいはコントロールする。
- 抗不安薬(minor tranquilizers)
- 不安や緊張を鎮める作用があり、睡眠薬としても利用される。ベンゾジアゼピン系が多い。
- なお、日本では法的にはデパスは向精神薬に該当しない。
- 抗うつ薬(antidepressant)
- うつ病や強迫性障害、社交不安障害の治療に用いられるもので、主要な作用は、セロトニンが少なくなっている状態に対してセロトニンを再利用する作用をもたらすことである。第1世代・第2世代の抗うつ薬である三環系抗うつ薬、第2世代の四環系抗うつ薬、第3世代の選択的セロトニン再取り込み阻害薬 (SSRI)、第4世代のセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (SNRI) がある。新しいモノアミン酸化酵素阻害薬 (MAOI) であるRIMA (Reversible inhibitors of monoamine oxidase type-A) という新薬もある (日本国内では未認可)。
- なお、日本では法的には抗うつ薬は向精神薬に該当しない物が多い。
- 抗躁薬(antimanic drugs)
- 気分が高まった躁状態を改善するための治療薬である。
- 中枢神経刺激薬
- メチルフェニデートやアンフェタミンのように、突然強い眠気を催すナルコレプシーや注意欠陥・多動性障害 (ADHD) の治療薬として処方される。メチルフェニデートやアンフェタミンは、ドーパミンの受容体に結合する。
- 睡眠導入剤
- 不眠症に対し、睡眠を誘導する治療薬として用いられる。 ベンゾジアゼピン系が多い。
- なお、日本では法的にはアモバンは向精神薬に該当しない。
- 鎮静催眠薬
- バルビタールなど、強い催眠作用のある薬物で、睡眠薬として用いられた。
- 抗ヒスタミン薬
以上のうち、主に抗不安薬、中枢神経刺激薬、鎮静催眠薬の一部が麻薬及び向精神薬取締法で向精神薬に指定されている。
法律
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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
日本においては以下の通りに法的に管理されている。
法規
- 麻薬及び向精神薬取締法
- 覚せい剤取締法
- あへん法
- 大麻取締法
向精神薬
医療用に指定された向精神薬は「麻薬及び向精神薬取締法施行令」によって医療上の有益性・濫用の危険を考慮し以下のように等級されている。
- 第一種向精神薬
- セコバルビタール(アイオナール®)
- メクロカロン
- フェネチリン
- モダフィニル(モディオダール®)
- メチルフェニデート(リタリン® コンサータ®)
- メタカロン
- フェンメトラジン
- ジペプロール
- 第二種向精神薬
- ブタルビタール
- グルテチミド
- ペントバルビタール(ラボナ® ネンブタール®)
- アモバルビタール(イソミタール®)
- ブプレノルフィン(レペタン® ノルスパン®)
- シクロバルビタール
- トレオ-2-アミノ-1-フェニルプロパン-1-オール
- フルニトラゼパム(サイレース® ロヒプノール®)
- ペンタゾシン(ソセゴン® ペンタジン®)
- 第三種向精神薬(第一種・第二種以外の向精神薬)
- アルプラゾラム(ソラナックス® コンスタン®)
- エスタゾラム(ユーロジン®)
- ゾルピデム(マイスリー®)
- オキサゾラム(セレナール®)
- クアゼパム(ドラール® ベノシール® ダルメート®)
- クロキサゾラム(セパゾン®)
- クロチアゼパム(リーゼ®)
- クロナゼパム(リボトリール® ランドセン®)
- クロバザム(マイスタン®)
- ジアゼパム(セルシン® ホリゾン® ダイアップ® ソナコン®)
- クロルジアゼポキシド(コントール® バランス®)
- トリアゾラム(ハルシオン®)
- ニトラゼパム(ベンザリン® ネルボン®)
- ニメタゼパム(エリミン®)
- ブロチゾラム(レンドルミン®)
- ブロマゼパム(レキソタン® セニラン®)
- ミダゾラム(ドルミカム®)
- メタゼパム(レスミット®)
- ロラゼパム(ワイパックス®)
いずれも麻薬及び向精神薬取締法により、調剤・検査目的以外での製造や、輸出入はすることができない。例外として、医師の処方がある場合や、個人利用目的として1か月分の分量である場合は、携帯して出入国ができる。ただし、フルニトラゼパムは、たとえ個人利用目的でもアメリカおよびカナダへ持ち込むことは一切禁止されている。特にアメリカでは麻薬指定を受けているため、所持していると逮捕される可能性もあるので注意が必要である[2]。どの薬剤においても、海外旅行中は、英文による医師の診断書を携行しているのが望ましい。(不法所持でなく、処方されたものだということを証明するため。)
なお、以下は上記と同類の薬剤ではあるが向精神薬に指定されていない。したがって一般的な薬と同様に、自己使用目的の場合に限り、少量ならば個人輸入が可能である。
ただし、上記の薬物も外国では日本の向精神薬のように扱われることが多いため、無駄なトラブルを避けるためにも、海外旅行時には医師の診断書(英文)の携帯をするのが望ましい。
麻薬
詳細は「麻薬」を参照
覚醒剤
詳細は「覚醒剤」を参照
脚注
- ^ 医薬品インタビューフォーム 「イミドール」 (PDF) 田辺三菱製薬 吉富薬品 2010年9月25日閲覧
- ^ 海外旅行と医薬品 (PDF) 愛知県薬剤師会薬事情報室
関連
- 精神科
- 精神医学
- 精神疾患
- 漢方薬 - 作用機序は明確でないものの、漢方方剤にも精神疾患の治療に使えるものが存在する。
- 薬物依存症
- 依存症
- 嗜癖
- 脳内麻薬
- 薬物乱用
- 麻薬
- 踏み石理論
- 多剤大量処方
参考文献
- 融道男 『向精神薬マニュアル第3版』(2008/09) 医学書院 ISBN 4260005995
- E.S.ヴァレンスタイン『精神疾患は脳の病気か?向精神薬の科学と虚構』みすず書房(2008/2/23) ISBN 978-4622073611
外部リンク
麻薬及び向精神薬取締法
精神と行動の疾患 (ICD-F - 290-319) |
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器質的 |
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認知症
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Mild cognitive impairment - アルツハイマー型認知症 - Multi-infarct dementia - Pick's disease - クロイツフェルト・ヤコブ病 - ハンチントン病 - パーキンソン病 - AIDS dementia complex - Frontotemporal dementia - Sundowning - Wandering
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その他
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せん妄 - Post-concussion syndrome - Organic brain syndrome
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向精神薬・薬物乱用・薬物に関する障害 |
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薬物中毒/オーバードース - 身体依存 - 薬物依存症 - リバウンド効果 - 二重リバウンド - 離脱
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統合失調症 - 妄想 |
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精神病 |
統合失調感情障害 - 統合失調症様障害 - 短期反応性精神病
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|
統合失調症 |
破瓜型統合失調症 - Delusional disorder - Folie a deux
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気分障害 (affective) |
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躁病 - 双極性障害(I型 - II型 - 気分循環症) - うつ病(大うつ病 - 気分変調症 - 季節性情動障害 - 非定型うつ病 - メランコリー型うつ)
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神経症 - ストレス関連 - 身体表現性障害 |
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不安障害
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恐怖症
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広場恐怖症 - 社会恐怖/社交不安障害 (Anthropophobia) - 単一恐怖(閉所恐怖症) - 単一社会恐怖
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その他
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パニック障害 - 全般性不安障害 - 強迫性障害 - ストレス(急性ストレス障害 - PTSD)
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適応障害
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うつ症状を伴う適応障害
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身体表現性障害
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身体化障害 - 身体醜形障害 - 心気症 - 疾病恐怖 - Da Costa's syndrome - 精神痛 - 転換性障害(ガンザー症候群 - 咽喉頭異常感症) - 神経衰弱 - Mass Psychogenic Illness
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解離性障害
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解離性同一性障害 - 解離性健忘 - Fugue state - 離人症性障害
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|
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生理的・身体的 |
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摂食障害
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神経性無食欲症 - 神経性大食症 - Rumination syndrome - NOS
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|
非器質性
睡眠障害
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過眠症 - 不眠症 - 睡眠時随伴症(レム睡眠行動障害 - 夜驚症 - 悪夢)
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|
性的機能不全
|
sexual desire - (Hypoactive sexual desire disorder - Hypersexuality) - sexual arousal - (Female sexual arousal disorder) - Erectile dysfunction - orgasm - (Anorgasmia - Delayed ejaculation - Premature ejaculation - Sexual anhedonia) - pain - (Vaginismus - Dyspareunia)
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|
産後
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産後うつ病 - Postnatal psychosis
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成人のパーソナリティ及び行動 |
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Sexual and
gender identity
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Sexual maturation disorder - Ego-dystonic sexual orientation - Sexual relationship disorder - 性的倒錯(性依存症 - 窃視症 - フェティシズム)
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Other
|
パーソナリティ障害 - 衝動制御障害(窃盗症 - 抜毛症 - 放火癖) - Body-focused repetitive behavior - 虚偽性障害(ミュンヒハウゼン症候群)
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|
小児の精神障害 |
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精神遅滞
|
X-Linked mental retardation - (Lujan-Fryns syndrome)
|
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Psychological development
(発達障害)
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Specific - 広汎性発達障害
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|
Emotional and behavioral
|
ADHD - 行為障害 (ODD) - 情動障害 (Separation anxiety disorder) - 社会的機能(場面緘黙症 - 愛着障害 - DAD) - チック症(トゥレット障害) - 言語障害(吃音症 - Cluttering) - Movement disorder (Stereotypic)
|
|
|
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未分類 |
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性同一性障害(性転換症 - 性別違和症候群) - 想像妊娠 - Catatonia - Intermittent explosive disorder - Psychomotor agitation - Stereotypy - Psychogenic non-epileptic seizures - Kluver-Bucy syndrome
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 集団自律訓練法の特徴と有効性(<特集>心身医療の臨床に活かす自律訓練法)
- 小林 志保,芦原 睦
- 心身医学 52(1), 38-44, 2012-01-01
- … かにATを有効活用していくかを検討することである.まず,当科における集団ATの構造と有効率を述べた.過去の研究と最近のものとを比較すると,15年間,ATの有効性は症例数によらず変わらなかった.次に,脱落症例を検討し,最も重要と考える"動機づけ"に関してのポイントを挙げた.ATの習得により,抗不安薬や睡眠導入剤程度の効果が期待できる.そのため,向精神薬の離脱法の1つとして,ATがさらに利用されることを推奨したい. …
- NAID 110008897856
- 医療の暗部を抉る集中連載 うつで病院に行くと殺される!?(第4回)本誌前号既報の「子供への向精神薬処方」が国会で炸裂! 製薬会社から精神医療界の大物に流れた「講演料」、「原稿監修料」
- 大反響! 医療の暗部を抉る集中連載 うつで病院に行くと殺される!?(第3回)日本の薬物処方に国連が懸念を表明、勧告 子どもへの向精神薬の処方で脳に薬が蓄積される
Related Links
- 3 第7 記録(法第50条の23第2項及び第4項) 第1種向精神薬又は第2種向精神薬を譲り受け、譲り渡し、又は廃棄したときは、次の項 を記録し、この記録を最終記載の日から2年間保存しなければなりません。 ① 向精神薬の品名 ...
- 第一条 この法律は、麻薬及び向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡し等について必要な取締りを行うとともに、麻薬中毒者について必要な医療を行う等の措置を講ずること等により、麻薬及び向精神薬の濫用による保健 ...
- 向精神薬を第1種、第2種、第3種別に一覧表示しています。また、記録や保管方法の取り扱いについても説明しています。 ... (1) 患者への向精神薬を譲り渡したとき、患者又は相続人等から向精神薬の返却を受けたとき、あるいは ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 52歳の男性。就寝中のいびきを主訴に来院した。会社で日中の居眠りが多く、最近、注意力の低下を自覚している。妻にいびきがひどいことを指摘され受診した。飲酒はビール1,000ml/日を18年間。身長165cm、体重90kg。ポリソムノグラフィにて無呼吸指数52(基準5未満)。
- この患者について適切なのはどれか。2つ選べ。
- a 在宅酸素療法を行う。
- b 体重を減らすよう指導する。
- c ビール1,000ml/日程度の飲酒は問題ない。
- d 向精神薬を投与して睡眠をコントロールする。
- e 睡眠中に経鼻的持続的気道陽圧法による呼吸管理を行う。
[正答]
※国試ナビ4※ [105G056]←[国試_105]→[105G058]
[★]
- 80歳の男性。発熱と食欲低下とを主訴に来院した。半年前から食事中にむせることがあった。3か月前に発熱で入院しペニシリン系抗菌薬で治癒した。2日前から発熱が出現し食事摂取ができなくなったため受診した。胸部エックス線写真で右下肺野に浸潤影を認め、前回と同じ抗菌薬で軽快した。1年前に脳梗塞の既往がある。
- この患者の繰り返す病態の予防に効果が期待できるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109I047]←[国試_109]→[109I049]
[★]
- 66歳の男性。町工場経営。左手首の切創の治療を希望し、かかりつけの診療所に1人で受診した。受傷の状況を尋ねると「気付いたら自分でナイフで切っていた」と言葉少なに答える。表情は陰うつである。傷は浅く出血は止まっている。
- 切創の処置を終えたあと、まず行うべきなのはどれか。
- a 家族を呼ぶ。
- b 精神科受診を勧める。
- c 工場の経営状態を尋ねる。
- d 向精神薬の服用を勧める。
- e 抑うつ症状について尋ねる。
[正答]
※国試ナビ4※ [109G044]←[国試_109]→[109G046]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [097G106]←[国試_097]→[097G108]
[★]
- ICUの患者が唇他所圏の下腹にもかかわらず不安状態になった。正しい処置は?
- (1) 向精神薬を投与する
- (2) 家族に面会させる。
- (3) 基礎疾患の治療を一時中断する。
- (4) 室内を一定の明るさに保つ
- (5) 一般病室へ移す。
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[★]
[★]
- 英
- schizophrenia
- 同
- 精神分裂病、分裂病
- 関
- 精神疾患、向精神薬、抗精神病薬
ICD-10
- F20.0 Paranoid schizophrenia
- F20.1 Hebephrenic schizophrenia
- F20.2 Catatonic schizophrenia
- F20.3 Undifferentiated schizophrenia
- F20.4 Post-schizophrenic depression
- F20.5 Residual schizophrenia
- F20.6 Simple schizophrenia
- F20.8 Other schizophrenia
- F20.9 Schizophrenia, unspecified
DSM-IV
概念
- 統合失調症 schizophrenia (=精神分裂病 shizo(分裂) + phrenia(心))
- 感情、思考、行動の統合がとれていない。
歴史
- クレペリン Kraepelin,E.(1899):早発性痴呆として統合失調症を分離
- ブロイラー Bleuler,E. (1911):schizophreniaの名称を与えた。ブロイラーの基本症状
- シュナイダー Schneider,K.(1939):シュナイダーの一級症状
疫学
- 100人に1人が罹患している。120人に1人とも(発病危険率0.8%)
- 発症年齢:15-35歳に集中。10歳以下や40歳以降に発症することは少なく、55歳におこるのはまれ。
- 性差:男性の方が発症年齢が少ない。
遺伝性
- 参考1
- 発症には遺伝要因と環境要因の関与が考えられる。
リスクファクター
病前性格
- 非社交的、物静か、控えめ、生真面目、変人
- 臆病、繊細、敏感、神経質、興奮しやすい、自然や書物に親しむ
- 従順、善良、温和、無頓着、鈍感
病型
病因
- 前頭葉、辺縁系、線条体、視床下部 → ドーパミンD2受容体遮断薬が治療薬 (抗精神病薬)
統合失調症の特徴
- 1.意識障害はおこらない
- 2.知的障害は起こらない
- 3. 特異的な症状がない
- 4. 個々の精神機能はそれ自体は障害は起こらない
ブロイラーの4つのA
- ①連合弛緩 Assosiationslockerung
- ②感動鈍麻 Affekverblodung
- ③両価性 Ambivalence
- ④自閉 Autisumus
統合失調症の陽性、陰性症状
- 陽性症状:本来あるべきでないことがあるもの:幻聴
- 陰性症状:本来あるべきものがないもの:感情の鈍麻
症状
- PSY.255-256
- 意欲・感情:不安、緊張、興奮。昏迷、カタレプシー
- 自我:自我の能動性が障害され、自らの思考や行動が他人の意志によって影響されていると思いこむこと。
- 知能:知的能力は低下しない。異常体験に支配されている場合や人格の崩壊が進行した例では、的確な判断能力が損なわれる。
- 疎通性:異常体験に支配されていたり、強い興奮や昏迷を示す場合には疎通性は得られない。
- 病識:統合失調患者は自らが異常な状態にあることを認識できない
診断基準
DSM-IVによる統合失調症の診断基準
A.
|
特徴的症状:以下のうち2つ以上が1ヶ月以上の存在
|
(1) 妄想
|
(2) 幻覚
|
(3) 解体した会話
|
(4) ひどく解体したまたは緊張病性の行動
|
(5) 陰性症状:感情平板化、思考貧困、意欲欠如
|
B.
|
社会的または職業的機能の低下
|
C.
|
期間:少なくとも6ヶ月間存在
|
D.
|
失調感覚障害(統合失調感情障害)と気分障害を除外
|
E.
|
物質や一般身体疾患の除外
|
F.
|
広汎性発達障害との関係:自閉性障害や 他の広汎性発達障害の既往歴がある場合、 顕著な幻覚や妄想が少なくとも1ヶ月存在すること
|
ICD-10による統合失調症の診断基準
- 一ヶ月以上ほとんどいつも明らかに存在すること
検査
治療
- 薬物療法
- 精神療法:支持的精神療法(安定した医師患者関係を樹立する)
- 電気痙攣療法:陽性症状が顕著で薬物療法の効果が見られない場合に適応。陽性症状の有無にかかわらず自殺のおそれがあり、他の治療によって改善に見られない場合も適応。
- 社会復帰のための治療:
- 作業療法:自発性と対人接触が改善。
- レクリエーション療法:
- 認知行動療法:生活技能訓練(ここの患者に適した目標を設定して行動療法を行う。対人及び社会的技能を学習し、実際の生活に応用していく)
参考
- 1. 統合失調症 学習テキスト 病客様とご家族の皆様がともに学んでいただくために 医療法人梁風会高梁病院 心理教育委員会編集
- http://www.ryoufhu.com/hp/sctekisuto.pdf
- 2. 【0738】一卵性双生児の統合失調症について
- http://kokoro.squares.net/psyqa0738.html
[★]
- 英
- quetiapine
- 商
- セロクエル Seroquel
-
-
概念
- ドパミンD2受容体阻害薬、セロトニン5-HT2A受容体阻害薬+その他の受容体阻害薬
- 統合失調症の陰性症状にも作用がある
構造
作用機序
- セロクエル25mg錠/セロクエル100mg錠/セロクエル200mg錠/セロクエル細粒50%
- 本薬の薬理学的特徴はドパミンD2受容体に比してセロトニン5HT2受容体に対する親和性が高いこと、及び種々の受容体に対して親和性があることであり、これらが臨床における作用に寄与しているものと考えられている。
薬理作用
- セロクエル25mg錠/セロクエル100mg錠/セロクエル200mg錠/セロクエル細粒50%
- ラット脳組織を用いたin vitro試験で、ドパミンD1及びD2受容体、セロトニン5HT1及び5HT2受容体、ヒスタミンH1受容体、アドレナリンα1及びα2受容体に対して親和性を示したが、ムスカリン受容体及びベンゾジアゼピン受容体に対してはほとんど親和性を示さなかった。また、ドパミンD2受容体に比して、セロトニン5HT2受容体に対する親和性は高かった13)。
- ドパミン作動薬のアポモルヒネにより誘発した行動(リスザルの瞬目反応、マウスのよじ登り運動及び遊泳障害)13)並びにセロトニン作動薬のキパジンで誘発した行動(ラット首振り運動)14)を、用量依存的に抑制した。
- サルにおけるジストニア惹起作用及びラットにおけるカタレプシー惹起作用は、ハロペリドールに比べて弱かった。ラットでの電気生理学的試験では辺縁系に対し選択的な作用を示し、錐体外路症状との関連が深いとされる黒質線条体系に対しては作用を示さなかった13)。
また、統合失調症患者を対象とした海外のプラセボ対照二重盲検比較試験において、錐体外路障害の発現頻度には、プラセボ投与群との間に有意な差を認めなかった。
- ラットにおいて、血漿中プロラクチン濃度推移はハロペリドールと異なり、持続的な上昇を示さなかった13)。また、統合失調症患者を対象とした海外のプラセボ対照二重盲検比較試験において、プロラクチン濃度には、プラセボ投与群との間に有意な差を認めなかった。
動態
適応
注意
警告
- セロクエル25mg錠/セロクエル100mg錠/セロクエル200mg錠/セロクエル細粒50%
- 1. 著しい血糖値の上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の重大な副作用が発現し、死亡に至る場合があるので、本剤投与中は、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。
- 2. 投与にあたっては、あらかじめ上記副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿等の異常に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること。(「重要な基本的注意」の項参照)
禁忌
- セロクエル25mg錠/セロクエル100mg錠/セロクエル200mg錠/セロクエル細粒50%
- 1. 昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]
- 2. バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強される。]
- 3. アドレナリンを投与中の患者(「相互作用」の項参照)
- 4. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 5. 糖尿病の患者、糖尿病の既往歴のある患者 ← 副作用として高血糖があるため。
副作用
- 高血糖(1-5%)、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡
相互作用
参考
- セロクエル25mg錠/セロクエル100mg錠/セロクエル200mg錠/セロクエル細粒50%
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179042C1023_2_11/1179042C1023_2_11?view=body
[★]
- 英
- rhabdomyolysis
- 関
- 横紋筋
原因
- also see 研修医直御法度第5版 157
-
病態
- 筋から逸脱したミオグロビンが糸球体で濾過され尿細管へ → 原尿が酸性の条件下でミオグロビンは尿細管上皮を障害 → 急性尿細管壊死 → 腎性腎不全 (ICU.608)
症状
検査所見
- 筋逸脱酵素の上昇(ミオグロビン、クレアチニンキナーゼ、AST、LDH)
- 正常の5倍以上あるいは1,000U/LのCKは臨床研究では横紋筋融解を示唆するとされてきた。CK 15,000 U/Lを上回る場合胃、重要の横紋筋融解症とミオグロビン尿性腎不全のリスク上昇を示唆する。(ICU.608)
治療
- 原発疾患の治療
- 輸液:積極的な輸液がミオグロビン尿性腎不全の予防や進展抑制に繋がる(ICU.609)
- 重炭酸:尿のアルカリ化による尿細管障害の軽減効果は臨床的に証明されていない。
- ループ利尿薬・マニトール:有用性は証明されていない。
- 血液浄化療法:重症例で。腎障害の進展を防ぐために透析によりヘモグロビン、ミオグロビン、尿酸を透析に除去する目的での透析の使用は証明されていない。(参考2)
- 研修医直御法度症例帳 145
- 研修医直御法度第5版 157
- 1. 生理食塩水 200ml/hr 点滴静注 ← 尿量は4ml/kg/hr目指す
- 2. 炭酸水素ナトリウム 100mEq 点滴静注 ← まぜるの禁止 (メイロン)
- 3. ラシックス 40mg 静注 ← 十分に輸液した後
- 4. マンニトール 25g 点滴静注 ← 十分に輸液した後
参考
- 1. [charged] Clinical manifestations, diagnosis, and causes of rhabdomyolysis - uptodate [1]
- 2. [charged] Prevention and treatment of heme pigment-induced acute kidney injury (acute renal failure) - uptodate [2]
[★]
- 英
- abnormal electroencephalogram
- 関
- 脳波
異常脳波
- 1. 速波化:β波やα波が多い状態:向精神薬服薬時、甲状腺機能亢進症、クッシング症候群など
- 2. 徐波化:δ波とθ波が多い状態:意識障害や代謝障害、脳腫瘍、脳血管障害など
- 3. 左右差:左右で異なる周波数を認める状態:大脳の片方に異常がある場合は左右差を認めることがある。
- 1. 棘波 spike:70ms未満で先鋭な波形
- 2. 鋭波 sharp wave:70ms以上で先鋭な波形
-
- 抑圧-群発交代:無酸素脳症、エーテルやサイクロプロパンなどの麻酔時、バルビツレートなどの薬物中毒
- 周期性片側性てんかん様発作、周期性一側性てんかん様放電 PLED:脳血管障害、代謝性・中毒性疾患
- 両側独立性周期性一側性てんかん様放電 BIPLED:無酸素脳症、中毒性脳症、脳炎
- 三相性波:肝性昏睡
プリント
[★]
- 英
- psychiatric disorder
- 関
- 向精神薬
精神状態と神経伝達物質 (BEHAVIORAL SCIENCE 4TH EDITION, p.32)
[★]
麻薬及び向精神薬取締法
[★]
- 英
- drug, agent
- 同
- 薬物
- 関
- 作用薬、剤、ドラッグ、媒介物、病原体、麻薬、薬剤、薬物、代理人、薬品
[★]
- 英
- psychotropic、psychoactive
- 関
- 向精神薬、精神賦活性、向精神剤