リチウム
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炭酸リチウム |
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別称
Carbolith®, Cibalith-S®, Duralith®, Eskalith®, Lithane®, Lithizine®, Lithobid®, Lithonate®, Lithotabs® Priadel®
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
554-13-2 |
KEGG |
D00801 |
RTECS番号 |
OJ5800000 |
特性 |
化学式 |
Li2CO3 |
モル質量 |
73.8909 g/mol |
外観 |
白色粉末 |
密度 |
2.11 g/cm3 |
融点 |
723 ℃
|
沸点 |
1310 ℃
|
構造 |
結晶構造 |
単斜晶系 |
熱化学 |
標準生成熱 ΔfHo |
−1215.9 kJ mol−1[1] |
標準モルエントロピー So |
90.37 J mol−1K−1 |
標準定圧モル比熱, Cpo |
99.12 J mol−1K−1 |
危険性 |
主な危険性 |
腐食性 |
Rフレーズ |
R22, R36 |
Sフレーズ |
S24 |
関連する物質 |
関連物質 |
硫酸リチウム
塩化リチウム
水素化リチウム
水酸化リチウム
臭化リチウム
フッ化リチウム
ヨウ化リチウム |
特記なき場合、データは常温(25 °C)・常圧(100 kPa)におけるものである。 |
炭酸リチウム(たんさんりちうむ、Lithium carbonate)は、化学式 Li2CO3 で表される無機化合物である。無色の塩であり、金属酸化物の製造において広く用いられている。
性質
他の無機塩類と同様に炭酸リチウムも多形を持つ。室温では水100mL対し1.33gしか溶けず、高温では溶解度が低下する。この低溶解性は鉱石の水性抽出物からのリチウムの分離に使われている。水溶液はアルカリ性を示す。外見上の溶解度は二酸化炭素の低圧力下で10倍に増加するが、この効果は準安定状態の炭酸水素塩の形成によるものである。
- Li2CO3 + CO2 + H2O → 2 LiHCO3
用途
炭酸リチウムは工業的に重要な化合物である。シリカや他の材料とともに低溶融剤を形成し、炭酸リチウムに由来するガラス製品は耐熱容器として役立つ。炭酸リチウムから作られたセメントは、より早くタイルを接着される。三フッ化アルミニウムに付加するとアルミニウムの処理にとって上質な電解質であるフッ化リチウムを形成する[2]。また、大部分のリチウムイオン電池の正極活物質の製造に使われるが、これはコバルト酸リチウム,LiCoO2でできている。
医学的用途
詳細は「リチウム塩」を参照
炭酸リチウムは躁病および双極性障害の治療に使われる。リチウムイオンは脳の細胞への情報伝達を増幅する化学反応に干渉する[3]。
花火
リチウムは炎色反応により濃赤色の炎を作るため、炭酸リチウムの形で花火に使われている。
脚注
- ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
- ^ Wietelmann, U.; Bauer, R. J. (2003). "Lithium and Lithium Compounds" in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Wiley-VCH: Weinheim.
- ^ Medical use
リチウムの化合物 |
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二元化合物 |
LiBr · Li2C2 · LiCl · LiF · LiH · LiI · LiN3 · Li3N · Li2O · Li2O2 · LiO2 · LiP · Li3P · Li2S · Li2Se
|
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三元化合物 |
LiAlCl4 · LiAlH4 · LiAlO2 · LiBF4 · LiBH4 · LiBO2 · Li2B4O7 · LiBrO3 · Li(C2H5)3BH · LiClO · LiClO2 · LiClO3 · LiClO4 · LiCN · LiCoO2 · Li2CO3 · Li2CrO4 · Li2Cr2O7 · LiIO3 · LiIO4 · LiMnO4 · Li2MoO4 · LiNbO3 · LiNH2 · LiNO2 · LiNO3 · LiOH · LiPF6 · Li3PO4 · Li2SO3 · Li2SO4 · LiTaO3 · Li2TiO3
|
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四元・五元化合物 |
CH3COOLi · LiHCO3 · LiHS · LiHSO3 · LiHSO4 · LiOCH3 · LiOC2H5 · LiSCN
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 糖尿病発症を契機に急性リチウム中毒に至った双極性障害の一例
- 石井 彰,菅原 斉,渡辺 珠美,吉川 修平,田代 研,石岡 春彦,深津 健,大沼 哲,牛木 真理子,讃井 將満,川上 正舒
- 自治医科大学紀要 33, 141-146, 2011-03-01
- … 症例は双極性障害の31歳男性で炭酸リチウムにて治療中であった。 … 糖尿病に関連したリチウム中毒の報告例はまれであり,今回教訓的な症例を経験したので,炭酸リチウム治療中には糖尿病の発症や血管内脱水に注意する必要がある。 …
- NAID 110008506977
- 珪質堆積岩のアルカリシリカ反応の膨張挙動と新たな抑制対策に関する検討
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- リチウム塩(リチウムえん)は化学的なリチウムの塩で気分安定薬であり、特に双極性 障害、うつ病に用いられるが、統合失調症の治療にも用いられる。略号はLi。通常は 炭酸リチウム (Li2CO3) が用いられるが、クエン酸塩であるクエン酸リチウムが用い られる ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
炭酸リチウム錠100「ヨシトミ」
組成
有効成分(1錠中)
添加物
- D-マンニトール,硬化油,ヒドロキシプロピルセルロース,トウモロコシデンプン,無水ケイ酸,ステアリン酸マグネシウム,ヒプロメロース,酸化チタン,タルク,ポリソルベート80,カルナウバロウ
禁忌
- てんかん等の脳波異常のある患者〔脳波異常を増悪させることがある.〕
- 重篤な心疾患のある患者〔心疾患を増悪し,重篤な心機能障害を引き起こすおそれがある.〕
- リチウムの体内貯留を起こしやすい状態にある患者〔リチウムの毒性を増強するおそれがある.〕
- 腎障害のある患者
- 衰弱又は脱水状態にある患者
- 発熱,発汗又は下痢を伴う疾患のある患者
- 食塩制限患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)
効能または効果
- 炭酸リチウムとして,成人では通常1日400〜600mgより開始し,1日2〜3回に分割経口投与する.以後3日ないし1週間毎に,1日通常1200mgまでの治療量に漸増する.
改善がみられたならば症状を観察しながら,維持量1日通常200〜800mgの1〜3回分割経口投与に漸減する.
なお,年齢,症状により適宜増減する.
- 過量投与による中毒を起こすことがあるので,投与初期又は用量を増量したときには1週1ないし2回,維持量の投与中には1月1回程度,早朝服薬前の血清リチウム濃度を測定しながら使用すること.
- 血清リチウム濃度が1.5mEq/Lを超えたときは臨床症状の観察を十分に行い,必要に応じて減量又は休薬等の処置を行うこと.
- 血清リチウム濃度が2.0mEq/Lを超えたときは過量投与による中毒を起こすことがあるので,減量又は休薬すること.
慎重投与
- 脳に器質的障害のある患者〔神経毒性があらわれるおそれがある.〕
- 心疾患の既往歴のある患者〔心機能障害を引き起こすおそれがある.〕
- リチウムの体内貯留を起こすおそれのある患者〔リチウム中毒を起こすおそれがある.〕
- 腎障害の既往歴のある患者
- 食事及び水分摂取量不足の患者
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
- 肝障害のある患者〔肝障害を増悪させるおそれがある.〕
- 甲状腺機能亢進又は低下症の患者〔甲状腺機能低下を起こすおそれがあるため,甲状腺機能亢進症の診断を誤らせる可能性がある.また,甲状腺機能低下症を増悪させるおそれがある.〕
- リチウムに異常な感受性を示す患者〔血清リチウム濃度が1.5mEq/L以下でも中毒症状があらわれることがある.〕
重大な副作用
リチウム中毒(頻度不明):
- リチウム中毒の初期症状として食欲低下,嘔気,嘔吐,下痢等の消化器症状,振戦,傾眠,錯乱等の中枢神経症状,運動障害,運動失調等の運動機能症状,発熱,発汗等の全身症状を示すことがあるので,このような症状が認められた場合には,減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと.なお,中毒が進行すると,急性腎不全により電解質異常が発現し,全身けいれん,ミオクローヌス等がみられることがある.
処置方法:リチウム中毒が発現した場合,特異的な解毒剤は見い出されていないので,投与を中止し,感染症の予防,心・呼吸機能の維持とともに補液,利尿剤(マンニトール,アミノフィリン水和物等)等により本剤の排泄促進,電解質平衡の回復を図ること.利尿剤に反応しない場合や腎障害が認められる場合は,血液透析を施行すること.血液透析を施行する場合は,施行後に低下した血清リチウム濃度が再上昇することがあるので,施行後血清リチウム濃度測定を行い再上昇がみられた場合には,再度の血液透析等の適切な処置を行うこと.
悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明):
- 向精神薬(抗精神病薬等)との併用により,悪性症候群があらわれることがあるので,無動緘黙,強度の筋強剛,嚥下困難,頻脈,血圧の変動,発汗等が発現し,それに引き続き発熱がみられる場合は,投与を中止し,体冷却,水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと.悪性症候群においては,筋肉障害〔CK(CPK)上昇〕や横紋筋融解症が起こることがある.この際,急性腎不全に至る場合もあり,十分な観察を行うこと.
徐脈(頻度不明):
- 洞機能不全等による重度の徐脈があらわれることがあるので,観察を十分に行い異常が認められた場合には投与を中止すること.
腎性尿崩症(頻度不明):
- 腎性尿崩症があらわれることがあるので,多飲,多尿などの症状が発現した場合には,電解質濃度の測定等の観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.
痴呆様症状,意識障害(頻度不明):
- 可逆性の痴呆様症状,昏睡に至るような意識障害(脳波所見上,周期性同期性放電(PSD)等を伴う)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
- 炭酸リチウム,Lithium Carbonate(JAN)
化学名:
分子式:
分子量:
性 状:
- 白色の結晶性の粉末で,においはない.水にやや溶けにくく,熱湯に溶けにくく,エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない.
希酢酸に溶ける.
本品1.0gを水100mLに溶かした液のpHは10.9〜11.5である.
融 点:
★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、53~55 の問いに答えよ。
- 78歳の男性。異常な言動を心配した家族に伴われて来院した。
- 現病歴:2年前から、前日の出来事を思い出せなかったり、当日の予定を30分おきに確認するようになった。同時期から夜間に大きな寝言を言ったり、手足をバタバタさせていることに家族が気付くようになった。1年前から、家にいるのに、家に帰らないといけない、亡くなった人が来ているというようになった。このころから動作が遅く、食事や着替えに時間がかかるようになった。数日前からは繰り返し、ものをとられた、隣人が自分の悪口を言っているといって騒ぎ立てるようになったため、困惑した家族に伴われて受診した。
- 既往歴:75歳時に両側の白内障手術。
- 家族歴:父親が脳梗塞。母親が胃癌。
- 生活歴:喫煙は65歳まで10本/日を45年間。13年前から禁煙している。飲酒は機会飲酒。76歳の妻と長女夫婦と同居している。
- 現症:意識は清明。身長 168cm、体重 62kg。体温 36.3℃。脈拍 72/分、整。血圧 148/82mmHg。呼吸数 16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。改訂長谷川式簡易知能評価スケール12点(30点満点)、Mini-Mental State Examination(MMSE)14点(30点満点)。脳神経に異常を認めない。四肢で左右対称性に軽度の筋強剛を認める。腱反射は正常で、Babinski徴候は陰性。運動麻痺、感覚障害および運動失調を認めない。歩行はやや不安定でつまずきやすい。
- 検査所見:尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球 418万、Hb 13.2g/dL、Ht 42%、白血球 6,300、血小板 23万、PT 78%(基準 80~120)。血液生化学所見:総蛋白 7.2g/dL、アルブミン 4.0g/dL、総ビリルビン 0.8mg/dL、AST 22IU/L、ALT 38IU/L、LD 328IU/L(基準 176~353)、ALP 254IU/L(基準 115~359)、γ-GTP 26IU/L(基準 8~50)、アミラーゼ 95IU/L(基準 37~160)、CK 96IU/L(基準 30~140)、尿素窒素 18mg/dL、クレアチニン 0.8mg/dL、尿酸 6.3mg/dL、血糖 102mg/dL、HbA1c 5.8%(基準 4.6~6.2)、総コレステロール 242mg/dL、トリグリセリド 186mg/dL、Na 136mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 98mEq/L、TSH 3.8μU/mL(基準 0.2~4.0)、FT3 2.6pg/mL(基準 2.5~4.5)、FT4 1.0ng/dL(基準 0.8~2.2)。CRP 0.4mg/dL。脳血流SPECT(別冊No. 10A)とドパミントランスポーターSPECT(別冊No. 10B)とを別に示す。
- この患者に適切な薬剤はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110B054]←[国試_110]→[110B056]
[★]
- 22歳の女性。不眠と、まとまらない言動とを心配した家族に伴われて来院した。3年前に母親を亡くした後に、まとまらない言動を示し、約1か月の入院加療で完全寛解に至り仕事に復帰した。その後、通院加療を受けていたが、1年前から通院を中断していた。10日前から友人と海外旅行に行ったが、不眠が続き何かにおびえているような態度を示すようになった。昨日、帰国後もおびえた様子で眠らず、とりとめのないことを呟き、急に攻撃的になったため受診した。診察時、質問に返答することはなく視線を合わせず黙り込んだかと思うと「今、真理をつかむために神と話し合っている。邪魔するな」と興奮状態となった。神経学的所見、血液所見、血液生化学所見、脳波所見および頭部単純CTに異常を認めない。
- 治療薬として最も適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109A022]←[国試_109]→[109A024]
[★]
- 20歳の男性。異常な言動を心配した両親に伴われて受診した。2年前に大学へ入学してからアパートで1人暮らしをしていた。1か月前に体調が優れないと言って実家に帰り、その後はほとんど自室に閉じこもって過ごしていた。1週前から「テレビで自分のことが毎日流れている」、「テレビの出演者が自分にだけわかるサインを送ってくる」、「周りの人が自分の悪口を言っている」と訴え、夜間に隣の家に向かって大声を出すなどの行動がみられるようになったという。このため両親に伴われ精神科を受診した。診察中は表情が乏しく、視線を合わせようとしない。問診に対しては小声で短く答える。大学入学以前は、発達上の問題や適応上の問題はなかった。血液検査、頭部MRI及び脳波検査に異常は認めない。
- 治療薬として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114D059]←[国試_114]→[114D061]
[★]
- 44歳の男性。過活動を心配した妻に連れられて受診した。3か月前から疲れがとれないと訴え、朝は起床が困難で、会社に遅刻するようになった。2週間前から、特にきっかけなく急に元気になった。「体調が最高なので、眠らなくても全く疲労を感じない」と言い、夜中に欧州支社の担当者と国際電話で話し続け、ほとんど眠らずに出勤するようになったため、妻に連れられ受診した。早口・多弁で、よく話すが話題が転々と変わりやすい。妻が家における患者の状態について話すと、些細なことで不機嫌になった。意識は清明であり、身体所見に異常を認めない。
- 治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [113D072]←[国試_113]→[113D074]
[★]
- 15歳の男子。不登校を心配した母親に伴われて来院した。10歳時に急に首を傾けたり、顔をしかめたり、咳払いや「オッ」という声を発作的に発したりするようになった。自分では制御できずに卑猥な言葉も発するようになった。緊張すると顔しかめや発声の発作が増えるため 学校では奇異な目で見られいじめられた。 2年前から欠席が目立ち始め、1か月前から不登校となった。身体所見に異常を認めない。尿、血液および血液生化学所見に異常を認めない。頭部CTと脳波とに異常を認めない。
- 治療薬として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D034]←[国試_105]→[105D036]
[★]
- 38歳の女性。言動の変化を心配した夫に伴われて来院した。1年前に、特にきっかけもなく元気がなくなり2か月ほど寝込むことがあったが、特に治療も受けずに回復した。1か月前から口数が多くなり.易刺激的で怒りやすく、活動的となった。町へ出て大量に衣服を購入し、夜も眠らずインターネット販売に手を出して高額の買い物をするようになった。身体疾患の既往歴と精神作用物質の使用歴とはない。
- 治療薬として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104D057]←[国試_104]→[104D059]
[★]
- 36歳の男性。けいれん発作のために救急車で搬送された。診察時けいれんはないが全身の著明な振戦を認める。記銘力と見当識とが著しく障害されている。家族からの情報により、現在医師から処方されている炭酸リチウムを、約10時間前に大量に服用したことが判明した。1か月前から悲観的になり、自殺の目的で服用したと推定された。
- 最も適切な処置はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [095D003]←[国試_095]→[095D005]
[★]
- 38歳の女性。気分の高揚、多弁および不眠を主訴に来院した。3年前に母親を亡くした後、憂うつで何も手につかなくなり、3か月仕事を休んだ。その後、逆に気分が高揚して活動性が亢進する時期と、気分が落ち込んで活動性が低下して寝込んでしまう時期とを交互に繰り返すようになった。
- 治療薬として適切なのはどれか。 2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D053]←[国試_105]→[105D055]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [097G106]←[国試_097]→[097G108]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [108I029]←[国試_108]→[108I031]
[★]
- a. 病前性格が循環気質であるものが多い
- b. 躁うつ病の遺伝負因を持つものが多い
- c. 炭酸リチウム療法によく反応するものが多い
- d. 1回の病相の期間が短いものが多い
- e. 初回発病年齢が30歳以降のものが多い
[★]
- 関
- 抗精神病薬
商品
[★]
- 英
- bipolar disorder、manic-depressive psychosis
- 同
- (日本での呼称)躁鬱病、躁うつ病、双極性うつ病
- 関
- 狂躁、躁状態、躁病、、うつ病
治療
- 病相に合わせて薬剤を変える。うつ病相に対しては抗うつ薬を、躁病相に対しては気分安定薬を用いる。
うつ病相
- 抗うつ薬として三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、SSRI、SNRIがあるが、三環系抗うつ薬は抗コリン作用が強く重症例のために用いられ、軽度~中等度の例ではSSRI、SNRIが第一選択となる。
- 効果の出現に時間がかかるために抗不安薬(ベンゾジアゼピン)を併用することが多い。
- 抗うつ薬の使用は症状消退後4ヶ月は持続する。
- 不安や焦燥が強いうつ病では抗うつ薬で症状が改善しにくい事があるため、鎮静効果のある抗精神病薬(レボメプロマジン)を併用してみる。
躁病相
参考
- 1. [charged] 成人における双極性障害:急性躁病、混合状態および軽躁病に対する薬物療法 - uptodate [1]
- 2. [charged] 成人における双極性障害:疫学および診断 - uptodate [2]
- 3. [charged] 成人における双極性障害:維持療法 - uptodate [3]
- 4. [charged] 成人における双極性障害:急性うつ病の薬物療法 - uptodate [4]
- 5. [charged] 成人における双極性障害の治療:リチウム - uptodate [5]
[★]
- 英
- nephrogenic diabetes insipidus NDI
- 関
- 尿崩症
分類
遺伝
病因
- 水腎症
- 低カリウム血症 ← つまりは尿濃縮障害をきたす疾患
- 高カルシウム血症 ← つまりは尿濃縮障害をきたす疾患
- 薬剤性(炭酸リチウム)
治療
先天性尿崩症
- HIM.1804
- チアジド系利尿薬 + 塩分制限:中等度の体液量減少状態にして尿量を減らす作用を期待する。これによって近位尿細管における等張液の再吸収を増加させ、自由水の産生を防ぐ。
- チアジド系利尿薬 + アミロライド系利尿薬:チアジド系利尿薬による低カリウム血症とアルカローシスを防ぐことができる。
- インドメタシン:プロスタグランジン産生抑制。プロスタグランジンは尿細管においてCl-の再吸収の抑制作用とADH作用の抑制をもたらす。従って、インドメタシンの投与によりCl-の再吸収が亢進することになり、尿量は減少する。(c.f. NSAID腎症)
後天性尿崩症
[★]
- 英
- polyuria
- 関
- 尿量
定義
3,000 mL/dayを超える場合 ← 文献は?
- 1日の尿量が2500mlを越える病態 (YN.E-5)
- 24時間尿量が40ml/kg以上 (参考1)
病因
- OLM.17 YN.E-5
-
-
標準的な尿量
- 男性:1500 mL/day
- 女性:1200 mL/day
参考
- 夜間多尿、夜間頻尿についての講演内容
- http://www.kanazawa-med.ac.jp/~urol/lecture.pdf
[★]
- 英
- renal excretion
- 関
- 肝排泄、薬物排泄
国試
[★]
- 英
- lithium
- 化
- 炭酸リチウム lithium carbonate
- 商
- リーマス、リチオマール
特徴
mood stabilizer
- inositol monophosphatase, IMPase
- wingless:ショウジョウバエ、ハネの発生に関する
- Int-1:マウス乳癌
- Wnt:相同遺伝子。分泌蛋白
- 作用箇所
- リン酸化GSK-3(不活型)-phosphatase(←Liにより抑制される)→GSK
- GSK-3βはインスリン受容体の下流にも存在する。インスリンのGタンパク質を介したシグナルがPKA,PKC,Akt,p90RSKに伝わり、さらにGSK-3βを介して(p-ser9が介在)下流に伝わる
- インスリンを経鼻投与すると海馬における学習や記憶力が向上するかもしれない
副作用
リチウム中毒と血中濃度
- 時々血中濃度を測定しなければならない
- 初期 1.5-2.5mEq/L 粗大振戦、失調、悪心、嘔吐、鎮静
- 中度 2.5-3.5mEq/L 耳鳴り
- 重度 3 -5 mEq/L 昏睡、血圧低下、腎障害
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義