- 英
- levomepromazine
- ラ
- levomepromazinum
- 化
- マレイン酸レボメプロマジン, levomepromazine maleate、塩酸レボメプロマジン, levomepromazine hydrochloride
- 商
- ヒルナミン、レボトミン、ソフミン、プロクラジン、レボホルテ
- 関
- メトトリメプラジン、フェノチアジン。抗精神病薬。フェノチアジン系抗精神病薬。ドパミンD2受容体
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/07/29 22:59:20」(JST)
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レボメプロマジン
|
IUPAC命名法による物質名 |
(2R)-3-(2-Methoxyphenothiazine-10-yl-)-N,N,2-trimethylpropanamine |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
? |
法的規制 |
? |
投与方法 |
経口、まれに筋肉注射 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
約 50 - 60% |
代謝 |
肝臓 |
半減期 |
15 - 30時間 |
排泄 |
糞便および尿 (代謝産物)、
未代謝1% |
識別 |
CAS登録番号 |
60-99-1 (7104-38-3 [マレイン酸塩], 1236-99-3 [塩酸塩]) |
ATCコード |
N05AA02 |
PubChem |
CID 72287 |
KEGG |
D00403 |
化学的データ |
化学式 |
C19H24N2OS |
分子量 |
328.473 g/mol |
レボメプロマジン(Levomepromazine)とは、フェノチアジン系の抗精神病薬である。
抗精神病作用、制吐作用、鎮静作用を示す。ノルアドレナリン系の遮断が強く、著しい衝動性の興奮や錯乱状態における異常行動を抑制する鎮静作用は強力である。日本では、商品名はヒルナミン、レボトミン(以上先発医薬品)、レボホルテなどがある。処方せん医薬品である。
目次
- 1 薬理作用と特徴
- 2 効果と対象
- 3 用法
- 4 副作用
- 5 関連
薬理作用と特徴
脳内のD2受容体(ドーパミン2受容体)を遮断することにより、不安、興奮、イライラ、不眠などの症状を改善する。ただ、力価が低いため、D2受容体への選択性は低く、幻覚、妄想などを抑える効果は低いが、ノルアドレナリン神経系への作用が強く、思考を抑制し、強力な鎮静作用を発揮する。α受容体の遮断や抗ヒスタミン作用などが強く、その分、血圧降下やめまい・眠気・判断力の低下が強く出ることがある。
効果と対象
強い鎮静効果と催眠効果を持ち、躁病、うつ病、統合失調症に利用されている。同じフェノチアジン系の向精神薬としてはクロルプロマジンなど数種類があるが、レボメプロマジンは他種よりも鎮静作用が極めて強い。そのため、救急外来や精神科救急においては、著しい興奮を抑制する際の処置薬としての第1選択薬とされることが多い。
また、睡眠薬の効果を強めるために使用されることがある。
用法
通常、成人にはマレイン酸レボメプロマジンとして錠剤や散剤、もしくは顆粒で経口投与する。
注射製剤により筋肉注射をすることが可能である。
副作用
抗コリン作用などが強く起こることがある。主に、眠気、だるさ、口の渇き、便秘、かすみ目、性機能障害、起立性低血圧などが起こることがある。抗アレルギー効果(ヒスタミン受容体遮断)があるため、鼻づまりなどの症状が起きることがある。
稀に錐体外路症状、悪性症候群、パーキンソン病症状(パーキンソニズム)が発生することがある。
関連
抗精神病薬 (N05A) |
|
定型抗精神病薬 |
ブチロフェノン系: アザペロン Benperidol ブロムペリドール Droperidol Fluanisone ハロペリドール Lenperone Moperone ピパンペロン スピペロン Trifluperidol; Diphenylbutylpiperidines: Clopimozide Fluspirilene Penfluridol Pimozide; フェノチアジン系: アセプロマジン Acetophenazine Butaperazine Carphenazine Chlorproethazine クロルプロマジン Cyamemazine Dixyrazine フルフェナジン レボメプロマジン Mesoridazine Perazine プロペリシアジン ペルフェナジン Piperacetazine Pipotiazine Prochlorperazine プロマジン プロメタジン Propiomazine Sulforidazine Thiethylperazine Thiopropazate Thioproperazine Thioridazine Trifluoperazine Triflupromazine; Thioxanthenes: Chlorprothixene Clopenthixol Flupentixol Thiothixene Zuclopenthixol; Tricyclics: アモキサピン Butaclamol Carpipramine Loxapine Metitepine/Methiothepin Octoclothiepin; Others: Molindone Oxypertine Prothipendyl
|
|
非定型抗精神病薬 |
Azapirones: ペロスピロン Tiospirone; ベンザミド系: Amisulpride Levosulpiride ネモナプリド Remoxipride スルピリド スルトプリド Tiapride Veralipride; ブチロフェノン系: Cinuperone Setoperone; Tricyclics: Asenapine Clotiapine クロザピン Fluperlapine Metitepine/Methiothepin モサプラミン オランザピン クエチアピン Tenilapine ゾテピン; Others: Amperozide アリピプラゾール Bifeprunox ブロナンセリン Cariprazine Iloperidone ルラシドン Ocaperidone パリペリドン Pardoprunox Pimavanserin リスペリドン Sertindole Ziprasidone
|
|
Others |
Cannabidiol D-Cycloserine Mifepristone Reserpine Rimcazole Secretin Talnetant Tetrabenazine Vabicaserin
|
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 脳波・筋電図の臨床 急性期統合失調症に対するペロスピロン単剤治療とレボメプロマジン併用治療での聴覚性事象関連電位の変化
- カルバマゼピン, レボメプロマジン, パーフェナジンの併用が血中ハロペリドール濃度に与える影響
- 染矢 俊幸,広兼 元太,屋鋪 哲也,白井 晶子,森田 幸代,下田 和孝,高橋 三郎
- 臨床薬理 29(1), 181-182, 1998-03-31
- NAID 10011504826
Related Links
- レボメプロマジン(Levomepromazine)とは、フェノチアジン系の抗精神病薬である。薬 力価はクロルプロマジンの約2倍とされるが、抗幻覚作用は弱い。ノルアドレナリン系の 遮断が強く、著しい衝動性の興奮や錯乱状態における異常行動を抑制する鎮静作用は ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
レボホルテ錠25mg
組成
組 成
- レボホルテ錠25mgは1錠中レボメプロマジンマレイン酸塩33.8mg(レボメプロマジンとして25mg)および添加物としてトウモロコシデンプン、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール6000、酸化チタン、タルクを含有する。
禁忌
(1)昏睡状態、循環虚脱状態の患者
(2)バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者
(3)エピネフリンを投与中の患者
(4)フェノチアジン系化合物及びその類似化合物に対し過敏症の患者
効能または効果
効能・効果
用法・用量
- レボメプロマジンとして、通常成人1日25〜200mg(レボホルテ錠25mg:1〜8錠)を分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
慎重投与
1)肝障害又は血液障害のある患者
2)褐色細胞腫、動脈硬化症あるいは心疾患の疑いのある患者
3)重症喘息、肺気腫、呼吸器感染症等の患者
4)てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
5)幼児、小児
6)高齢者
7)高温環境にある患者
- 〔体温調節中枢を抑制するため、環境温度に影響されるおそれがある。〕
8)脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者
- 〔Syndrome malin(悪性症候群)が起こりやすい。〕
重大な副作用
1.Syndrome malin(悪性症候群)(頻度不明):
- 無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎不全へと移行し、死亡した例が報告されている。
2.突然死(頻度不明):
- 血圧降下、心電図異常(QT間隔の延長、T波の平低化や逆転、二峰性T波ないしU波の出現等)につづく突然死が報告されているので、とくにQT部分に変化があれば投与を中止すること。また、フェノチアジン系化合物投与中の心電図異常は、大量投与されていた例に多いとの報告がある。
3.再生不良性貧血、無顆粒球症、白血球減少(頻度不明):
- 再生不良性貧血、無顆粒球症、白血球減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量又は投与を中止すること。
4.麻痺性イレウス(頻度不明):
- 腸管麻酔(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
5.遅発性ジスキネジア、遅発性ジストニア(頻度不明):
- 長期投与により、>遅発性ジスキネジア、遅発性ジストニア等の不随意運動があらわれ、投与中止後も持続することがある。
6.抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明):
- 低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
7.眼障害(頻度不明):
- 長期又は大量投与により、角膜・水晶体の混濁、網膜・角膜の色素沈着があらわれることがある。
8.SLE様症状(頻度不明):
9.横紋筋融解症(頻度不明):
- 横紋筋融解症があらわれることがあるので、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等に注意すること。
※ 10.肺塞栓症、深部静脈血栓症(頻度不明):
- 抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- フェノチアジン系薬物の作用機序は不明な点が多いが、主として間脳、脳幹網様体における諸機能を抑制して、抗精神病作用をあらわすと考えられており、動物実験(マウス)において鎮静作用、麻酔強化作用、体温下降作用、抗アポモルヒネ作用などが認められている3)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- レボメプロマジンマレイン酸塩(Levomepromazine Maleate)
化学名
- (2R)-3-(2-Methoxy-10H-phenothiazin-10-yl)-N,N,2-trimethylpropylamine monomaleate
分子式
分子量
旋光度
- 〔α〕20D :−13.5〜−16.5°(乾燥後、0.5g、クロロホルム、20mL、200mm)
性状
- マレイン酸レボメプロマジンは白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはなく、味はわずかに苦い。酢酸(100)に溶けやすく、クロロホルムにやや溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(95)又はアセトンに溶けにくく、水に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
融 点:184〜190℃(分解)
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[★]
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- 78歳の男性。異常な言動を心配した家族に伴われて来院した。
- 現病歴:2年前から、前日の出来事を思い出せなかったり、当日の予定を30分おきに確認するようになった。同時期から夜間に大きな寝言を言ったり、手足をバタバタさせていることに家族が気付くようになった。1年前から、家にいるのに、家に帰らないといけない、亡くなった人が来ているというようになった。このころから動作が遅く、食事や着替えに時間がかかるようになった。数日前からは繰り返し、ものをとられた、隣人が自分の悪口を言っているといって騒ぎ立てるようになったため、困惑した家族に伴われて受診した。
- 既往歴:75歳時に両側の白内障手術。
- 家族歴:父親が脳梗塞。母親が胃癌。
- 生活歴:喫煙は65歳まで10本/日を45年間。13年前から禁煙している。飲酒は機会飲酒。76歳の妻と長女夫婦と同居している。
- 現症:意識は清明。身長 168cm、体重 62kg。体温 36.3℃。脈拍 72/分、整。血圧 148/82mmHg。呼吸数 16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。改訂長谷川式簡易知能評価スケール12点(30点満点)、Mini-Mental State Examination(MMSE)14点(30点満点)。脳神経に異常を認めない。四肢で左右対称性に軽度の筋強剛を認める。腱反射は正常で、Babinski徴候は陰性。運動麻痺、感覚障害および運動失調を認めない。歩行はやや不安定でつまずきやすい。
- 検査所見:尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球 418万、Hb 13.2g/dL、Ht 42%、白血球 6,300、血小板 23万、PT 78%(基準 80~120)。血液生化学所見:総蛋白 7.2g/dL、アルブミン 4.0g/dL、総ビリルビン 0.8mg/dL、AST 22IU/L、ALT 38IU/L、LD 328IU/L(基準 176~353)、ALP 254IU/L(基準 115~359)、γ-GTP 26IU/L(基準 8~50)、アミラーゼ 95IU/L(基準 37~160)、CK 96IU/L(基準 30~140)、尿素窒素 18mg/dL、クレアチニン 0.8mg/dL、尿酸 6.3mg/dL、血糖 102mg/dL、HbA1c 5.8%(基準 4.6~6.2)、総コレステロール 242mg/dL、トリグリセリド 186mg/dL、Na 136mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 98mEq/L、TSH 3.8μU/mL(基準 0.2~4.0)、FT3 2.6pg/mL(基準 2.5~4.5)、FT4 1.0ng/dL(基準 0.8~2.2)。CRP 0.4mg/dL。脳血流SPECT(別冊No. 10A)とドパミントランスポーターSPECT(別冊No. 10B)とを別に示す。
- この患者に適切な薬剤はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110B054]←[国試_110]→[110B056]
[★]
- 英
- bipolar disorder、manic-depressive psychosis
- 同
- (日本での呼称)躁鬱病、躁うつ病、双極性うつ病
- 関
- 狂躁、躁状態、躁病、、うつ病
治療
- 病相に合わせて薬剤を変える。うつ病相に対しては抗うつ薬を、躁病相に対しては気分安定薬を用いる。
うつ病相
- 抗うつ薬として三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、SSRI、SNRIがあるが、三環系抗うつ薬は抗コリン作用が強く重症例のために用いられ、軽度~中等度の例ではSSRI、SNRIが第一選択となる。
- 効果の出現に時間がかかるために抗不安薬(ベンゾジアゼピン)を併用することが多い。
- 抗うつ薬の使用は症状消退後4ヶ月は持続する。
- 不安や焦燥が強いうつ病では抗うつ薬で症状が改善しにくい事があるため、鎮静効果のある抗精神病薬(レボメプロマジン)を併用してみる。
躁病相
参考
- 1. [charged] 成人における双極性障害:急性躁病、混合状態および軽躁病に対する薬物療法 - uptodate [1]
- 2. [charged] 成人における双極性障害:疫学および診断 - uptodate [2]
- 3. [charged] 成人における双極性障害:維持療法 - uptodate [3]
- 4. [charged] 成人における双極性障害:急性うつ病の薬物療法 - uptodate [4]
- 5. [charged] 成人における双極性障害の治療:リチウム - uptodate [5]
[★]
- 英
- phenothiazine derivative, phenothiazines
- 関
- フェノチアジン phenothiazine、抗精神病薬
作用機序
適応
副作用
- 錐体外路症状、意識障害、血圧低下(自律神経遮断作用による?)
所属する薬物
[★]
- 英
- mydriasis
- 同
- 瞳孔散大 pupillary dilatation
- 対
- 縮瞳
- 関
- 瞳孔
概念
- 瞳孔の大きさを大きくすること
- 交感神経の興奮により散瞳が起こる
臨床関連
薬物中毒
疾患
病態
[★]
- 英
- antimanic、antimanic agent、antimanic drug、antimaniacal
- 同
- 気分安定薬 mood-stabilizing drug
- 関
- 抗躁病
[★]
- 英
- methotrimeprazine
- 関
- レボメプロマジン
[★]
- 英
- pro
[★]
- 英
- promazine
- 関
- ブロマジン