- 56歳の男性。歩行時のふらつきを主訴に4か月前に来院した。酒に酔っているかのように左右にふらふらして歩くようになり、本人は「平衡感覚がおかしい」、「視点を動かすと風景の残像がしばらく残る」、「夜になるとものが見にくい」、「字が読みにくい」などと訴えていた。食欲はあった。2か月前から喋らなくなり、意思の疎通が困難になり、一日布団の上で寝て過ごすようになった。妻が世話していたが、トイレには行かずにオムツを使っていた。今月から呼びかけに全く反応しなくなり、周囲の物に視線を向けなくなった。また体がカチカチになってきて、上半身を起こすことができなくなった。食べ物は口に押しつければ、なんとか食べることができた。るいそう、脱水、褥瘡、除皮質硬直、ミオクローヌス及び四肢深部腱反射亢進を認める。頭部単純MRIのT2強調像と拡散強調像とを以下に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102I073]←[国試_102]→[102I075]
★リンクテーブル★
[★]
- 75歳の女性。咳嗽と呼吸困難とが増悪したため入院した。2年前に特発性間質性肺炎の診断を受けた。1年前の急性増悪以降、現在までアザチオプリン50mg/日とプレドニゾロン15mg/日とを内服中である。1か月前から微熱、咳嗽および 呼吸困難を自覚し、次第に増悪を認めた。12歳時に左胸膜炎。意識は清明。身長147cm、体重48kg。体温37.6℃。脈拍112/分、整。血圧132/64mmHg。心音に異常を認めない。胸部背面にcoarse cracklesを聴取する。血液所見:赤血球314万、Hb9.8g/dl、Ht29%、白血球7,400、血小板33万。血液生化学所見:血糖159mg/dl、総蛋白4.7g/dl、アルブミン2.4g/dl、尿素窒素10.4mg/dl、クレアチニン0.5mg/dl、AST12IU/l、ALT9IU/l、LDH217IU/l(基準176~353)、ALP182IU/l(基準260以下)。免疫学所見:CRP12.8g/dl、KL-6 1,020U/ml(基準500未満)。胸部エックス線写真、胸部単純CT及び喀痰のZiehl-Neelsen染色標本を以下に示す。
- 対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
- a. 患者隔離
- b. 嫌気性菌培養
- c. プレドニゾロン増量
- d. PCR法による菌の同定
- e. ペニシリン系抗菌薬投与
[正答]
※国試ナビ4※ [102I072]←[国試_102]→[102I074]
[★]
- 28歳の男性。乾性咳、全身倦怠感および呼吸困難を主訴に来院した。2か月前から乾性咳と全身倦怠感とが出現し、1か月前から労作時に呼吸困難を感じるようになった。1週前に38.2℃の発熱があり呼吸困難が安静時でもみられるようになった。意識は清明。身長176cm、体重52kg。体温37.8℃。脈拍104/分、整。血圧104/64mmHg。顔面蒼白で口唇にチアノーゼを認める。血液所見:赤血球364万、Hb1O.4g/dl、白血球13,200(桿状核好中球7%、分葉核好中球78%、好酸球3%、好塩基球1%、単球8%、リンパ球3%)、血小板26万。免疫学所見:CRP6.8mg/dl、Tリンパ球CD4/CD8比0.2(基準0.6~2.9)、β-D-グルカン26.0 pg/mg(基準20以下)、寒冷凝集素陰性。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH7.42、PaO2 48Torr、PaCO2 32Torr。呼吸困難の原因病原体として最も可能性の高いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102I074]←[国試_102]→[102I076]
[★]
[★]
- 英
- Creutzfeldt-Jakob disease, CJD
- 同
- Creutzfelt-Jakob病 クロイツフェルトヤコブ病 クロイツフェルト・ヤコブ症候群 クロイツフェルト-ヤコブ病、ヤコブ-クロイツフェルト病 Jakob-Creutzfeldt disease
- 関
- プリオン病、難病、感染症法
概念
- 変異プリオンが原因とされ、中枢神経内に蓄積することにより急速かつ進行性に細胞変性をきたす疾患。
- 特定疾患治療研究事業に指定されている難病で、感染症法によるところの五類感染症(全数報告)でもある。
疫学
- プリオン病の8割を占める。 (参考2)
- 罹患率:100万人に1人。 (参考2)
- 発症年齢:67歳。 (参考2)
症状
- 参考2
- 古典型CJD:認知症状とミオクローヌス
- 第1期:発症は60歳代が中心。倦怠感、ふらつき、めまい、日常生活の活動性の低下、視覚異常、抑鬱傾向、もの忘れ、失調症状等の非特異的症状。
- 第2期:認知症が急速に顕著となり、言葉が出にくくなり、意思の疎通ができなくなって、ミオクローヌスが出現する。歩行は徐々に困難となり、やがて寝たき りとなる。神経学的所見では腱反射の亢進、病的反射の出現、小脳失調、ふらつき歩行、筋固縮、ジストニア、抵抗症(gegenhalten)、驚愕反応 (startle response)等が認められる。
- 第3期:無動無言状態からさらに除皮質硬直や屈曲拘縮に進展する。ミオクローヌスは消失。感染症で1~2年程度で死亡する。
検査
- 参考2
- 脳萎縮
- 拡散強調画像、FLAIR:病初期より皮質や基底核の高信号
鑑別診断
- 参考2
参考
- http://www.asahi-net.or.jp/~zd8k-knk/pdf/CJDGuideline-9.pdf
- 2. プリオン病(1)クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)- 難病情報センター
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/240
- 3. 診断マニュアル - プリオン病(1)クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)- 難病情報センター
- http://www.nanbyou.or.jp/pdf/cjd_manual.pdf
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