出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/09/24 00:02:18」(JST)
アデノウイルスは、二重鎖直鎖状DNAウイルスで、カプシドは直径約80nmの正20面体の球形粒子をしており、エンベロープは持たない。また、アデノウイルスは、ライノウイルス等とともに、「風邪症候群」を起こす主要病原ウイルスの一つと考えられている。
人に感染するアデノウイルスは現在49種類(分類によっては51種類)が知られており、A~Fの6群に分類され、それぞれのウイルスに番号が付けられている。どの種類がどんな病気を起こすのか、ある程度判明している。
多くのアデノウイルスは、潜伏期は5~7日で、感染経路は便、飛沫、直接接触による。感染した場合、アデノウイルスは扁桃腺やリンパ節の中で増殖する(アデノとは扁桃腺やリンパ節を意味する言葉)。免疫がつきにくく、また、亜種多様の為、何回もかかる場合がある。
主として3・7・21型による。
特に7型は重症の肺炎を起こす。乳幼児がかかることが多く、髄膜炎、脳炎、心筋炎などを併発することもある。だらだらと長引く発熱、咳、呼吸障害など重症になることがあり、時に致命的なことがある。
主として3・4型による。
1日の間に39~40度の高熱と、37 - 38度前後の微熱の間を、上がったり下がったりが4~5日ほど続き、扁桃腺が腫れ、のどの痛みを伴う。その間、頭痛、腹痛や下痢を伴い、耳介前部および頸部のリンパ節が腫れることがある。両目または片目が真っ赤に充血し、目やにが出る。夏にプールを介して流行することがあるため、プール熱とも呼ばれているが、プールに入らなくても飛沫や糞便を通して感染する。うがい、手洗い、プールの塩素消毒などで、ある程度予防できる。症状がインフルエンザに似ているため、「夏のインフルエンザ」と呼ばれることもある。
咽頭結膜熱は学校保健安全法上の学校感染症の一つであり、主要症状がなくなった後、2日間登校禁止となる。
主として8型による。
目が充血し、目やにが出るが、咽頭結膜熱のように高い熱はなく、のどの赤みも強くはない。結膜炎経過後に点状表層角膜炎を作ることが多く、幼小児では偽膜性結膜炎になることがある。
流行性角結膜炎は学校保健安全法上の学校感染症の一つで、伝染の恐れがなくなるまで登校禁止となる。
主として11型による。
排尿時痛があり、真っ赤な血尿が出る。排尿時の痛みと肉眼的血尿が特徴で、これらの膀胱炎症状は2 - 3日で良くなり、尿検査での潜血も10日程度で改善する。
主として1・2・3・4・6・7型による。
眼の痛み、羞明、涙目、目やにを訴え、結膜に小さなぶつぶつができる。
主として31・40・41型による。
乳幼児期に多く、腹痛、嘔吐、下痢を伴うが、発熱の程度は軽い。
B群以外のアデノウイルスは免疫グロブリンスーパーファミリーに属するCARタンパク質をレセプターとして宿主細胞内に取り込まれる。そしてE1Aの転写をきっかけとして各種の初期遺伝子が活性化され、ウイルスのDNAポリメラーゼやDNA結合タンパク質、感染細胞のアポトーシスを抑制する物質が合成される。さらにE1AはウイルスのDNA複製に都合のよいS期に誘導する。その後、ウイルスDNAの複製が始まると後期遺伝子が発現され、カプシドなどが合成され成熟したウイルスとなる。
ウイルスの増殖に必要なE1領域を欠失させ代わりに外来の遺伝子を組み込んだアデノウイルスは、遺伝子を組み込むベクターとして用いられる。レトロウイルスの場合は細胞の染色体に組み込まれるが、アデノウイルスの場合は染色体に組み込まれない。ただ、欠点としては免疫系に認識され炎症反応がおき、遺伝子を導入した細胞が排除されてしまうことである。
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アレルゲンスクラッチエキス「トリイ」卵黄
(頻度不明)
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病因分類 | 組織分類 | 臨床病型分類 |
ウイルス | リンパ球性 | 急性 |
細菌 | 巨細胞性 | 劇症型 |
真菌 | 好酸球性 | 慢性(遷延性/不顕性) |
リケッチア | 肉芽腫性 | |
スピロヘータ | ||
原虫,寄生虫 | ||
その他の感染症 | ||
薬物,化学物質 | ||
アレルギー,自己免疫 | ||
膠原病,川崎病 | ||
サルコイドーシス | ||
放射線,熱射病 | ||
原因不明,特発性 |
ウイルス科 | ウイルス属 |
ピコルナウイルス | コクサッキーA群 |
コクサッキーB群 | |
エコーウイルス | |
ポリオウイルス | |
A型肝炎ウイルス | |
オルソミクソウイルス | A型インフルエンザ |
B型インフルエンザ | |
パラミクソウイルス | RSウイルス |
ムンプスウイルス | |
麻疹ウイルス | |
フラビウイルス | C型肝炎ウイルス |
デング熱ウイルス | |
黄熱病ウイルス | |
トガウイルス | 風疹ウイルス |
チクニングニアウイルス | |
ラブドウイルス | 狂犬病ウイルス |
レトロウイルス | HIVウイルス |
ポックスウイルス | ワクチニアウイルス |
ヘルペスウイルス | 帯状庖疹ウイルス |
サイトメガロウイルス | |
単純ヘルペスウイルス | |
EBウイルス | |
アデノウイルス | アデノウイルス |
パルボウイルス | パルボウイルス |
see. マイナーエマージェンシー第1版 p.65 SOP.174
疾患名 | 病原体 | 潜伏期 | 病型 | 症状、経過 | |||
感染性結膜炎 | 流行性角結膜炎 | epidemic keratoconjunctivitis | はやりめ | アデノウイルス8,19,37型(ときに4型) | 7-14日 | 急性濾胞性結膜炎 | 眼脂、流涙、羞明。眼瞼腫瘤、結膜充血、浮腫、結膜の小出血斑。耳前リンパ節の腫脹と圧痛。2-4週間で消退。発症後10日後に角膜に点状上皮化混濁。 |
咽頭結膜熱 | pharyngoconjunctival fever | プール熱 | アデノウイルス3型(ときに4,7型) | 5-6日 | 急性結膜炎 | 急性結膜炎、咽頭炎、発熱。点状上皮化混濁は少ない。 | |
急性出血性結膜炎 | acute hemorrhagic conjunctivitis | エンテロウイルス70型 | 1日 | 球結膜下出血。眼球は浮腫状、結膜充血、濾胞形成は軽度。耳前リンパ節腫脹軽度。発症より3-4日にびまん性の多発性びらん。眼痛、異物感、羞明。約1週間で治癒。罹患後2,3週間後に四肢の弛緩性の運動麻痺や脳神経麻痺があり得る。 | |||
トラコーマ | trachoma | ||||||
封入体結膜炎 | inclusion conjunctivitis | ||||||
新生児封入体結膜炎 | neonatal inclusion conjunctivitis | ||||||
細菌性結膜炎 | bacterial conjunctivitis | ||||||
淋菌性結膜炎 | gonococcal conjunctivitis | ||||||
新生児膿漏眼 | blennorrhea of the newborn | ||||||
アレルギー性結膜疾患 | アレルギー性結膜炎 | allergic conjunctivitis | |||||
春季カタル | vernal conjunctivitis | ||||||
その他の結膜炎 | フリクテン性結膜炎 | phlyctenular conjunctivitis | 束状結膜炎 | ||||
慢性濾胞性結膜炎 | chronic follicular conjunctivitis | ||||||
Stevens-Johnson症候群 | Stevens-Johnson syndrome | ||||||
眼類天疱瘡 | ocular pemphigoid | ||||||
結膜弛緩症 | conjunctivochalasis |
Family ウイルス科 -viridae |
Subfamily ウイルス亜科 -virinae |
Genus ウイルス属 -virus |
科 | 亜科 | 属 | 種 | 疾患名 |
ピコルナウイルス | コクサッキーウイルスA群 | 手足口病、ヘルパンギーナ | |||||
コクサッキーウイルスB群 | 流行性筋痛症、心筋炎 | ||||||
パラミクソウイルス | ニューモウイルス | RSウイルス | 上気道炎、間質性肺炎 | ||||
アデノウイルス | マストアデノウイルス | アデノ | マストアデノ | ヒトアデノウイルス | 急性熱性咽頭炎 急性上気道疾患 アデノウイルス肺炎 乳幼児急性胃腸炎 小児腸重積 急性出血性膀胱炎 咽頭結膜炎 急性濾胞性結膜炎 流行性角結膜炎 | ||
ヘルペスウイルス | アルファヘルペスウイルス | シンプレックスウイルス | ヘルペス | アルファヘルペス | シンプレックス | ヒトヘルペスウイルス1 (単純ヘルペスウイルス1型) |
口唇ヘルペス |
ヒトヘルペスウイルス2 (単純ヘルペスウイルス2型) |
陰部ヘルペス | ||||||
ベータヘルペスウイルス | サイトメガロウイルス | ベータヘルペス | サイトメガロウイルス属 | ヒトヘルペスウイルス5(サイトメガロウイルス) | 日和見感染 |
俗称 | 病原体 | 好発年齢 | 季節性 | 潜伏期 | 症状 | 感染症法 | 学校保健安全法 | 出席停止 | ||
流行性角結膜炎 | EKC | はやり目 | アデノウイルス8型 | なし | 春~夏 | 1-2週間 | 漿液性の目脂、流涙、羞明。乳幼児では発熱、感冒様症状、下痢、眼瞼結膜に偽膜形成。 眼瞼:腫脹。結膜:充血、浮腫、結膜の小出血斑。角膜:(発症約10日後)点状上皮下混濁。リンパ節:耳前リンパ節腫脹 |
五類感染症(眼科定点) | 第三類 | 医師が感染のおそれがないと認めるまで |
咽頭結膜熱 | PCF | プール熱 | アデノウイルス3,4,7型 | 小児 | 夏(基本的に通年) | 1週間 | 発熱、咽頭炎、結膜炎 | 五類感染症(小児科定点) | 第二種 | 出席停止は主要症状が消退した後二日を経過するまで |
急性出血性結膜炎 | AHC | コクサッキーウイルスA群24型、エンテロウイルス70型 | 成人 | なし | 1-2日 | 結膜下出血を伴う急性濾胞性結膜炎 | 五類感染症(眼科定点) | 第三類 | 医師が感染のおそれがないと認めるまで |
呼吸器粘膜の局所感染 | ライノウイルス |
アデノウイルス | |
コロナウイルス | |
RSウイルス | |
インフルエンザウイルス | |
全身感染 | ムンプスウイルス |
麻疹ウイルス | |
風疹ウイルス | |
ハンタウイルス | |
水痘・帯状疱疹ウイルス | |
ラッサウイルス | |
天然痘ウイルス |
目(order, -virales), 科(family, -viridae), 亜科(subfamily, -virinae), 属(genus, -virus), 種(species)
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