出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/20 10:54:44」(JST)
淋菌 | |||||||||||||||||||||
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淋菌のコロニー
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Neisseria gonorrhoeae Zopf 1885 |
淋菌(りんきん、Neisseria gonorrhoeae)はナイセリア属のグラム陰性双球菌である。ナイセリア属の菌は全部で11種類あり、その内病原性のものは、この淋菌と髄膜炎菌のみである。淋菌は淋病の原因となる。 その他の9種類のナイセリア菌は全て口腔内に存在する常在菌(日本人の5~10%に常在)である。粘膜から離れると数時間で感染性を失う[1]。日光、乾燥や温度の変化、消毒剤で簡単に死滅するので、分離培養が必要な場合には検体の取り扱いに注意を要する[1]。
1879年、アルベルト・ナイサーが発見してゴノコックス(Gonococcus)と命名したが、1885年にヴィルヘルム・ツォプフにより、ナイサーにちなみ命名された。
淋菌の大きさは0.6μm~1.0μmで線毛のある型と線毛のない型に分けられる。線毛は電子顕微鏡で確認できるが、光学顕微鏡では確認できないほど極細の構造である。生きている淋菌は、この線毛を活発に動かし粘膜上皮に付着、粘膜下に浸入するものと思われる。患者から採取した淋菌を血液寒天培地で培養すると、この線毛は消失する。病原性にはこの線毛が重要な鍵を握っていると考えられる。
淋菌は人とチンパンジーだけに感染する。白人は蒙古人よりも淋菌に対して感受性が高く、B血液型と関係するといわれている。
近年、性交の多様化により淋菌の抗生剤耐性菌が増え、新しい抗生剤や抗菌剤に対しても短期間に耐性を獲得する。
無害のほとんどのナイセリア菌は口腔内・咽頭内で常在菌として存在している。これらナイセリア菌は、宿主の人が気管支炎や風邪などの感染症に罹患する毎に、医師から処方される抗生剤の被曝チャンスを頻回に受ける。その結果、様々な抗生剤に対して耐性を獲得する。オーラルセックスで浸入した淋菌は、親戚である口腔内のナイセリア菌と遺伝子組み換え(交差現象)を行い、容易に抗生剤耐性を獲得すると考えられる。2010年時点ではニューキノロン系合成抗菌薬のオフロキサシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン等に対して高度耐性を獲得している。また、2011年にはセフトリアキソンなどのセフェム系抗生物質の耐性獲得株(H041株)の存在が報告されている[2]。
クラミジアとの重複感染もまれではなく、留意を要する。
N. gonorrhoeae菌株のゲノムは塩基配列が決定されている。 例として、多剤耐性がある菌株NCCP11945は、一つの環状染色体(2,232,025 bp、予測ORF 2,662箇所)と一つのプラスチド(4,153 bp、予測ORF 12箇所)によって構成される。 ゲノム全体において予測されるコーディング領域の密度は87%。平均GC含量は52.4%であり、菌株FA1090と似た値である。 NCCP11945のゲノムには、54コピーのtRNAと、4コピーの16S-23S-5S rRNAオペロンがコードされている。[3]
2011年、N. gonorrhoeaeゲノム中に、ヒトDNA断片とみられる痕跡が発見された。これは、ヒトから細菌性病原体へ遺伝子の水平伝播が生じたことを示す初の例である。[4][5]
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胎内感染 | 分娩時感染 | 母乳時感染 | ||||
経胎盤感染 | 上行性感染 | 経胎盤感染 | 産道感染 | 母乳感染 | ||
ウイルス | 風疹ウイルス | ○ | × | × | × | × |
サイトメガロウイルス | ○ | × | × | △ | △ | |
ヒトパルボウイルスB19 | ○ | × | × | × | × | |
水痘・帯状疱疹ウイルス | △ | × | × | ○ | × | |
単純ヘルペスウイルス | △ | △ | × | ○ | × | |
B型肝炎ウイルス | △ | × | △ | ○ | × | |
C型肝炎ウイルス | △ | × | △ | ○ | × | |
成人T細胞白血病ウイルス1型 | △ | × | × | × | ○ | |
ヒト免疫不全ウイルス | △ | △ | △ | ○ | △ | |
細菌 | 梅毒トレポネーマ | ○ | × | × | △ | × |
淋菌 | × | × | × | ○ | × | |
B群連鎖球菌 | × | × | × | ○ | × | |
真菌 | カンジダ・アルビカンス | × | × | × | ○ | × |
原虫 | トキソプラズマ | ○ | × | × | × | × |
クラミジア | クラミジア・トラコマチス | × | × | × | ○ | × |
病原体 | 疾患 | 感染経路 | 問題となる感染時期 | 母体 | 胎児 | |
ウイルス | 風疹ウイルス | 先天性風疹症候群 | 経胎盤感染 | 妊娠12週未満。18週未満は軽微 | 初感染妊婦 | |
サイトメガロウイルス | 巨細胞封入体症 | 経胎盤感染 | 妊娠前半 | 初感染妊婦。感冒様症状 | 小頭症、脳内石灰化、精神遅滞、網脈絡膜炎、感音性難聴、貧血、黄疸、出血斑、低体重児、肝脾腫 | |
ヒトパルボウイルスB19 | 経胎盤感染 | 妊娠20週未満 | 伝染性紅斑 | 非免疫性胎児水腫、胎児死亡 | ||
水痘・帯状疱疹ウイルス | 先天性水痘症候群 | 産道感染 | 妊娠20週未満 | 初感染妊婦 | 精神遅滞、網脈絡膜炎、皮膚瘢痕、四肢低形成、低出生体重児 | |
単純ヘルペスウイルス | 新生児ヘルペス | 産道感染 | ~ | 中枢神経:小頭症、眼:脈絡網膜炎、角結膜炎、皮膚:水疱疹 | ||
B型肝炎ウイルス | 産道感染 | ~ | 無症候キャリアー化 | |||
C型肝炎ウイルス | 産道感染 | ~ | ||||
成人T細胞白血病ウイルス1型 | 母乳感染 | ~ | ||||
ヒト免疫不全ウイルス | HIV感染症 | 産道感染 | ~ | HIV感染症 | HIV感染症 | |
細菌 | 梅毒トレポネーマ | 先天梅毒 | 経胎盤感染 | 妊娠14週以降 | 梅毒 | 水頭症、難聴、老人様顔貌、鼻炎、粘膜斑(梅毒性天疱瘡)、黄疸、貧血、点状出血、パロー仮性麻痺、肝脾腫、骨軟骨炎 晩発性梅毒、ハッチンソン三徴 |
淋菌 | 淋疾 | 産道感染 | ~ | 産科合併症(流産・早産、前期破水、絨毛膜羊膜炎、子宮内膜炎) | 化膿性結膜炎(膿漏眼) | |
B群連鎖球菌 | B群連鎖球菌感染症 | 産道感染 | ~ | 常在菌 | 髄膜炎 | |
真菌 | カンジダ・アルビカンス | 産道感染 | ~ | 常在菌。カンジダ膣炎 | 口腔内カンジダ症 | |
原虫 | トキソプラズマ | 先天性トキソプラズマ症 | 経胎盤感染 | 妊娠中後期 | 初感染妊婦。無症状 | 脳室拡大、小頭症、脳内石灰化、髄膜炎、精神遅滞、脳性麻痺、けいれん、網脈絡膜炎、黄疸、発疹、貧血、リンパ節腫脹、肝脾腫、低出生体重児 |
クラミジア | クラミジア・トラコマチス | 産道感染 | ~ | 無症状。早産・流産 | 新生児結膜炎、新生児肺炎 |
♂:淋菌性尿道炎 > クラミジア性尿道炎 > 性器ヘルペス > 尖圭コンジローマ ♀:クラミジア性尿道炎 > 性器ヘルペス > 尖圭コンジローマ > 淋菌性尿道炎
病原体 | 感染症 | 原因ウイルス |
ウイルス | 性器ヘルペス | 単純ヘルペスウイルス |
尖圭コンジローマ、子宮頚癌 | ヒト乳頭腫ウイルス | |
B型肝炎 | B型肝炎ウイルス | |
C型肝炎 | C型肝炎ウイルス | |
エイズ | ヒト免疫不全ウイルス | |
成人T細胞白血病 | ヒトTリンパ球向性ウイルス | |
サイトメガロウイルス感染症 | サイトメガロウイルス | |
伝染性軟属腫 | 伝染性軟属腫ウイルス | |
伝染性単核症 | EBウイルス | |
細菌 | 梅毒 | 梅毒トレポネーマ |
性器クラミジア感染症 | クラミジア・トラコマチス | |
淋病 | 淋菌 | |
軟性下疳 | ヘモフィルス・デュクレイ | |
鼠径部肉芽腫 | 肉芽腫カリマトバクテリウム | |
赤痢 | 赤痢菌 | |
非淋菌性尿道炎 | クラミジア・トラコマチス、マイコプラズマ、ウレアプラズマ | |
真菌 | 口腔カンジダ症 | カンジダ |
非淋菌性尿道炎 | カンジダ | |
寄生虫、 原虫 |
いろいろ | トリコモナス |
非淋菌性尿道炎 | 腟トリコモナス | |
アメーバ赤痢 | 赤痢アメーバ | |
毛ジラミ症 | Phthirus pubis | |
疥癬 | 疥癬虫 | |
白癬 | Trichophyton rubrum, Trichophyton mentagrophytes | |
ランブル鞭毛虫下痢症 | ランブル鞭毛虫 |
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