- 英
- Herpesviridae
- 同
- 疱疹ウイルス
- 関
- ヘルペスウイルス亜科、ウイルス
ヘルペス科に属するウイルスによる感染症 (SMB.526)
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2017/07/01 02:59:45」(JST)
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ヘルペスウイルス科 |
|
分類(ウイルス) |
群 |
: |
第1群(2本鎖DNA) |
目 |
: |
ヘルペスウイルス目
Herpesvirales |
科 |
: |
ヘルペスウイルス科 |
|
学名 |
Herpesviridae |
亜科 |
- アルファヘルペスウイルス亜科
Alphaherpesvirinae
- ベータヘルペスウイルス亜科
Betaherpesvirinae
- ガンマヘルペスウイルス亜科
Gammaherpesvirinae
|
ヘルペスウイルス科(ヘルペスウイルスか、Herpesviridae)は2本鎖DNAをゲノムとするDNAウイルスの一科。
目次
- 1 性状
- 2 分類
- 3 臨床像
- 4 抗ウイルス薬
- 4.1 一般ヘルペスウイルス
- 4.2 サイトメガロウイルス
- 5 関連項目
性状
ヘルペスウイルス科に属するウイルスは線状の2本鎖DNAをゲノムとして持つDNAウイルスであり、そのビリオンは正20面体のカプシドがエンベロープに包まれた直径120~200nmの球状粒子である。ウイルスの増殖は宿主細胞の核内で行われる。
分類
ウイルス学上は以下の3種類に分類される。詳細は各項目の記事参照。
- アルファヘルペスウイルス亜科
- ベータヘルペスウイルス亜科
- ガンマヘルペスウイルス亜科
臨床像
ヒト
人間が感染するヒトヘルペスウイルス(HHV:human herpes virus)には以下の種類がある。ウイルス学上はそれぞれ上記の3つの中に亜分類される。詳細は各項目の記事参照。
- 単純ウイルス属(Simplexvirus)
- 学名:Human herpesvirus 1 (HHV-1) = 一般名単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1:herpes simplex virus-1)
- 学名:Human herpesvirus 2 (HHV-2) = 一般名単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2:herpes simplex virus-2)
- バリセロウイルス属(Varicellovirus)
- 学名:Human herpesvirus 3 (HHV-3) = 一般名水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV:varicella zoster virus)
- リンフォクリプトウイルス属(Lymphocryptovirus)
- 学名:Human herpesvirus 4 (HHV-4) = 一般名エプスタイン・バール・ウイルス(EBV:Epstein-Barr virus)
- サイトメガロウイルス属(Cytomegalovirus)
- 学名:Human herpesvirus 5 (HHV-5) = 一般名ヒトサイトメガロウイルス(HCMV:human cytomegalovirus)
- ロゼオロウイルス属(Roseolovirus)
- 学名:Human herpesvirus 6A (HHV-6A):突発性発疹を引き起こす。
- 学名:Human herpesvirus 6B (HHV-6B):突発性発疹を引き起こす。
- 学名:Human herpesvirus 7 (HHV-7):突発性発疹を引き起こす。
- ラディノウイルス属(Rhadinovirus)
- 学名:Human herpesvirus 8 (HHV-8) = 一般名カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV:Kaposi's sarcoma-associated herpesvirus)
その他
抗ウイルス薬
ヘルペスウイルスに関しては以下の治療薬がある。
一般ヘルペスウイルス
- アシクロビル(ゾビラックス)
- バラシクロビル(バルトレックス)
- ペンシクロビル(デナビル)日本では未承認
- ファムシクロビル(ファムビル)
- 帯状疱疹
- ビダラビン(英語版)(アラセナ-A、カサールクリーム)
- イドクスウリジン(IDU点眼液)
- 単純ヘルペス性角膜炎
サイトメガロウイルス
「サイトメガロウイルス#治療」を参照
関連項目
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Japanese Journal
- 湯浅 襄
- 鶏病研究会報 47(4), 211-222, 2012-02-25
- … マレック病(MD)は,ヘルペスウイルス科に属するMDウイルス(MDF)に起因し,リンパ系細胞の腫瘍性増殖を主微とする鶏の病気である。 …
- NAID 10030166587
- ヘルペスウイルス(HHV1‐8)のウイルス学 3.サイトメガロウイルス(CMV)
- 小杉 伊三夫
- ウイルス 60(2), 209-220, 2010
- … ヒトサイトメガロウイルス(human cytomegalovirus:HCMV,HHV-5)はヘルペスウイルス科のサイトメガロウイルス属を代表する2本鎖DNAウイルスである.ゲノムサイズは235 kbで,予想されるORFは250に上りヒトヘルペスウイルス中で最大である.幼小児期に不顕性感染し,その後,潜伏・持続感染によって人体に終生寄生する.免疫が脆弱な胎児や臓器移植・AIDS患者などではウイルス増殖による細胞・臓器傷害で生命を脅かし, …
- NAID 130004470953
- 浅田 秀夫
- Journal of Nara Medical Association 60(1-2), 27-36, 2009-04-30
- … EBウイルス(EBV)は、ヘルペスウイルス科の腫瘍ウイルスである。 …
- NAID 120004973250
- 【耳鼻咽喉科ウイルス感染症】 EBウイルス感染と頭頸部腫瘍
- 高原 幹,原渕 保明
- ENTONI (99), 49-56, 2009-03
- … 雑誌掲載版EBウイルス(Epstein-Barr virus;以下、EBV)はDNAウイルスであり、ヘルペスウイルス科γヘルペス亜科のhuman herpes virus IVに分類される。 …
- NAID 120005311882
Related Links
- 性状 [編集] ヘルペスウイルス科に属するウイルスは線状の2本鎖DNAをゲノムとして持つDNAウイルスであり、そのビリオンは正20面体のカプシドがエンベロープに包まれた直径120~200nmの球状粒子である。ウイルスの増殖は宿主細胞の核内 ...
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- ヘルペスウイルス科のウイルス。性器ヘルペスを起こす単純ヘルペスウイルス、水痘 すいとう や帯状疱疹 ほうしん の原因となる水痘ウイルス、先天性異常をきたすサイトメガロウイルス、伝染性単核症の原因となる EB ウイルスなど。
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★リンクテーブル★
[★]
[正答]
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[★]
- 英
- infectious mononucleosis
- 同
- キス病 kissing disease、伝染性単核症、EBウイルス感染症 Epstein-Barr virus infection、腺熱 glandular fever
- 関
- 単核球症、EBウイルス
概念
疫学
- 多く(90%以上)は幼児期に初感染し、無症状(不顕性感染)か軽症である。
- 学童期から青年期(14-18歳)に多い。成人になってからの初感染では症状が出る。 → 肝炎様症状
- 日本では成人の80%が既感染者。健常者咽頭粘液:10-20%陽性
潜伏期間
- 4-6週(YN.H-75, ウイルス感染症 - 日本内科学会雑誌106巻11号)
病原体
感染経路
病態
- 飛沫感染 → 咽頭粘膜上皮細胞やリンパ組織で増殖 → Bリンパ球を介して全身に散布 → 増殖能を獲得したBリンパ球によるIgの産生(ポール・バンネル反応、ペニシリンアレルギーと関連)・腫瘍化したBリンパ球対して活性化した細胞障害性T細胞(異型リンパ球)の増加
- EBウイルスがB細胞に感染して癌化させる。ガン化にはEBウイルスが産生する核内抗原(EBNA)と表面抗原(LMA)が重要な役割りを果たす。ガン化したB細胞に対する傷害性T細胞が異型リンパ球として観察される。
経過
- その後、EBウイルスは持続感染する
症候
- 発熱、全身性リンパ節腫脹、絶対的リンパ球増加(10%以上の異型リンパ球)
- 発熱(1-2週間持続,90%)、扁桃炎・咽頭炎(咽頭痛・嚥下困難、発赤・腫脹)、全身性リンパ節腫脹(圧痛)、肝脾腫(10-50%)、結膜の充血、麻疹様・風疹様の発疹(10-40%)
- 扁桃炎・咽頭炎は溶連菌による扁桃炎に似て発赤が強く膿苔を伴うことが多い (SPE.340) → 扁桃白苔とも表現される(滲出性扁桃炎の所見)
- リンパ節腫脹:
- 年齢と共に咽頭、頸部リンパ節腫脹の所見は低下する。40歳以下で頸部リンパ節腫脹94%, 扁桃腺腫大84%, 40歳以上では頸部リンパ節腫脹47%, 扁桃腫大43%
- 後頸部リンパ節腫脹(陽性尤度比 3.1 95%CI 1.6~5.9)
検査
血算
- 末梢血白血球↑、
単核球↑?:白血球分画のリンパ球・単核球?が60%以上となる。 ← Bリンパ球で増殖するため減少、Tリンパ球は反応性に増殖
- 末梢血異型リンパ球(~50%)
- IMにおける異型リンパ球の陽性尤度比
異型リンパ球
|
陽性尤度比
|
95% CI
|
≧10%
|
11.4
|
2.7~35
|
≧20%
|
26
|
9.6~68
|
≧40%
|
50
|
38~64
|
- まれ:溶血性貧血、血小板減少症、再生不良性貧血、TTP、HUS、DIC (QB.H-196 参考1) ← 時に見られる造血系の異常は、EBウイルスにたいする抗体との交差反応によるもの、らしい(参考1)
免疫血清検査
- 1. ペア血清:VCA-IgM↑、VCA-IgG↑ ← VCA-IgMは一過性上昇 ← 急性期に上昇
- VCAとはウイルスキャプシド抗原(virus capsid antigen)
- 陽性→潜伏感染
- EBNA抗原はゆっくりと上昇し3ヶ月後に陽転する。3-6週後に陽転(ウイルス感染症 - 日本内科学会雑誌106巻11号)
肝臓酵素
- 肝逸脱酵素↑:AST、ALT、ALP、γ-GTP。ビリルビンも上昇する。
- 肝障害は80-90%の例にみられる。
診断
- 若年者の場合はCMVとEBVの両方を考慮して血清学的検査(VCA-IgG, VCA-IgM, EBNA, CMV-IgG, CMV-IgM)を提出する。
- トランスアミナーゼ上昇が認められているので、肝胆膵をスクリーニングするために腹部エコーを行うと良いのかもしれない。
鑑別診断
治療
- 特異的治療法無し
- 対症療法:解熱薬や肝庇護薬の投与、輸液など
合併症
注意
- ペニシリン系・セフェム系薬物の投与は禁忌:発疹などのアレルギー反応が起こる
- ペニシリン系抗菌薬では30-100%の割合で皮疹が生じるが、その際にはセフェム系抗菌薬を使う方がよいとされている(ウイルス感染症 - 日本内科学会雑誌106巻11号)
予防
予後
参考
- 1. [charged] Infectious mononucleosis in adults and adolescents - uptodate [1]
国試
[★]
- 英
- Epstein-Barr virus, EB virus, EBV
- 同
- エプスタイン-バーウイルス エプスタイン-バー・ウイルス、エプスタイン・バーウイルス
- 関
- EBウイルス感染症、ウイルス
ウイルス学
EBV関連抗原
- EA, early antigen
- VCA, virus capsid antigen
- EBNA, EB virus determined nuclear antigen
- LMA, late membrane antigen
- LYDMA, lymphocyte-detected membrane antigen
EBV特異抗体
感染症
感染経路
疫学
- 日本では3歳までに80%が感染する (SMB.530)
検査
- 急性期・回復期に、VCA-IGM, VCA-IgG, EA(早期抗原, early antigen)の高値、EBNA(核内抗原)の陰性を証明
- EBNAは感染後3ヶ月以上経たないと立ち上がらない。
- ウイルス抗体価:急性期(発病2~7日)と回復期(2~3週)の検体を同時測定し、回復期の抗体価が急性期の結果の4倍(2管差)以上に上昇したとき、血清学的に有意とみなす。
- 抗体のパターン
|
VCA IgG
|
VCA IgM
|
EBNA
|
EA IgG
|
感染前
|
ー
|
ー
|
ー
|
ー
|
急性期
|
+
|
+
|
ー
|
+/ー
|
回復期
|
+
|
+/ー
|
+/ー
|
+/ー
|
感染既往
|
+
|
ー
|
+
|
+/ー
|
再活性化
|
+
|
+/ー
|
+
|
+
|
- 目的別検査組み合わせ
[★]
- 英
- herpes simplex virus, HSV
- 同
- ヒトヘルペスウイルス
- 関
- ウイルスヘルペスウイルス科アルファヘルペス亜属
- 単純ヘルペスウイルス感染症、ウイルス
ウイルス学
- ヘルペスウイルス科アルファヘルペスウイルス属に属する
- エンベロープ有り
- 二本鎖DNA
- 三叉神経節(1型)、仙骨神経節(2型)に潜伏感染。
- 時折、再活性化される。
病原体
- 単純ヘルペスウイルスI型(ヒトヘルペスウイルス1型 human herpes virus-1 HHV-1)
- 単純ヘルペスウイルスII型(ヒトヘルペスウイルス2型 human herpes virus-2 HHV-2)
潜伏期間
- 単純ヘルペスウイルスI型(ヒトヘルペスウイルス1型)
- 口唇、目などに病巣を形成
- 単純ヘルペスウイルスII型(ヒトヘルペスウイルス2型)
- 陰部を中心とした感染
感染経路
症状
感染症
- 持続感染(潜伏感染)-→一生存在し続ける-→回帰発症(感冒、ストレス、日焼け、月経、末梢神経への外科的侵襲)
- 不顕性感染が多い?
- 神経向性が強い
- 一次増殖(局所)--(求心性の軸索流にのって神経節へ)-→神経細胞内に潜伏感染
- 母胎の単純ヘルペスウイルス感染による。約90%の症例が母子感染で、こののうち30%が死亡する。
- 母胎が性器ヘルペスに罹患してた場合、初感染の場合には50%、再感染では3%の割合で母子感染(経産道感染)が見られる。
治療薬
[★]
- 英
- 関
- ヘルペスウイルス科
ヘルペスウイルス亜科の特徴 (SMB.523)
ヘルペスウイルス亜科
|
宿主域
|
増殖サイクル
|
感染細胞
|
感染組織
|
慢性感染
|
α-ヘルペスウイルス
|
狭い~広い
|
比較的短
|
破壊
|
神経系組織
|
知覚神経節に潜伏感染
|
β-ヘルペスウイルス
|
狭い
|
長
|
肥大、封入体形成
|
|
分泌腺、リンパ網様系細胞、腎臓、肺に持続感染
|
γ-ヘルペスウイルス
|
狭い
|
様々
|
|
リンパ芽球様細胞
|
リンパ系組織に潜伏感染
|
[★]
- 英
- cytomegalovirus, CMV
- 関
- ウイルス、白血球中サイトメガロウイルスpp65抗原
ウイルス学
- ヘルペスウイルス科ベータヘルペスウイルス亜科サイトメガロウイルス属
- 二本鎖DNAゲノム。
- あらゆる臓器・組織に潜伏感染
- 感染細胞が巨大化
- 初感染はほとんどの場合は不顕性
- CMVの増殖には2-3日かかるので、病変の進行には約2週間かかる
- HSV:6-8hr, VZV:約14hr, CMV:48-72hr
病原性を示す場合
- 経胎盤感染:妊娠中に妊婦が初感染した場合:胎児:経胎盤感染→巨細胞封入体症
- 新生児・乳児期:未熟児として出生して以降抗体が不十分な場合
- 免疫不全患者:日和見感染症として再活性化して感染症を起こす。
- 免疫抑制患者(臓器移植):間質性肺炎
感染症
疫学
- 小児期にほとんど感染 → 近年成人の罹患率が低下しつつある。
感染経路
- 垂直感染:母子感染(経胎盤。経産道。経母乳)
- 水平感染:唾液、尿、精液、子宮頸管分泌液。医原性(臓器移植。輸血)。
[★]
- 英
- virus
- 同
- ウイルス粒子 virus particle、ビリオン virion
- 関
- 微生物学、抗ウイルス薬、国試に出がちなウイルス
感染経路による分類 SMB.374
学名
目(order, -virales), 科(family, -viridae), 亜科(subfamily, -virinae), 属(genus, -virus), 種(species)
増殖過程
- 吸着 absorption
- 侵入 penetration
- 脱殻 uncoating
- ゲノムの複製 replication、遺伝子発現 transcription
- ウイルス粒子の組み立て assembly
- 放出 release
感染の分類
持続時間
ゲノム
- 一本鎖RNA(-)をゲノムとするウイルスはウイルス粒子内にRNA依存性RNA合成酵素を有する。
[★]
- 英
- family
- 関
- 家族、系統群、ファミリ、ファミリー
[★]
- 英
- herpes
- 関
- 疱疹
[★]
ヘルペスウイルス科