- 英
- ledipasvir LDV
- 商
- ハーボニー配合
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レジパスビル
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IUPAC命名法による物質名 |
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IUPAC名 Methyl N-[(2S)-1-[(6S)-6-[5-[9,9-Difluoro-7-[2-[(1S,2S,4R)-3-[(2S)-2-(methoxycarbonylamino)-3-methylbutanoyl]-3-azabicyclo[2.2.1]heptan-2-yl]-3H-benzimidazol-5-yl]fluoren-2-yl]-1H-imidazol-2-yl]-5-azaspiro[2.4]heptan-5-yl]-3-methyl-1-oxobutan-2-yl]carbamate |
臨床データ |
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法的規制 |
|
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投与方法 |
Oral |
---|
薬物動態データ |
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生物学的利用能 |
76% |
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血漿タンパク結合 |
>99% |
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代謝 |
No cytochrome metabolism |
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半減期 |
47 hrs |
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識別 |
---|
CAS番号
|
1256388-51-8 |
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ATCコード |
none |
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ChemSpider |
29271894 |
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KEGG |
D10442 |
---|
ChEBI |
CHEBI:85089en:Template:ebicite |
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化学的データ |
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化学式 |
C49H54F2N8O6 |
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分子量 |
889.00 g/mol |
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SMILES
CC(C)[C@@H](C(=O)N1CC2(CC2)C[C@H]1C3=NC=C(N3)C4=CC5=C(C=C4)C6=C(C5(F)F)C=C(C=C6)C7=CC8=C(C=C7)N=C(N8)[C@@H]9[C@H]1CC[C@H](C1)N9C(=O)[C@H](C(C)C)NC(=O)OC)NC(=O)OC
|
InChI
InChI=1S/C49H54F2N8O6/c1-24(2)39(56-46(62)64-5)44(60)58-23-48(15-16-48)21-38(58)42-52-22-37(55-42)28-9-13-32-31-12-8-26(18-33(31)49(50,51)34(32)19-28)27-10-14-35-36(20-27)54-43(53-35)41-29-7-11-30(17-29)59(41)45(61)40(25(3)4)57-47(63)65-6/h8-10,12-14,18-20,22,24-25,29-30,38-41H,7,11,15-17,21,23H2,1-6H3,(H,52,55)(H,53,54)(H,56,62)(H,57,63)/t29-,30+,38-,39-,40-,41-/m0/s1 Key:VRTWBAAJJOHBQU-KMWAZVGDSA-N
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レジパスビル(Ledipasvir)はC型肝炎ウイルス)(HCV)のNS5A(英語版)阻害効果を持つ化合物である。レジパスビルとソホスブビルを組み合わせて投与すると、HCV複製の直接的阻害効果を示し、インターフェロンまたはリバビリンを併用することなく、ジェノタイプ1aまたは1bのC型肝炎を治療することができる。レジパスビル・ソホスブビル合剤の商品名ハーボニー。
2013年の第20回レトロウイルスおよび日和見感染症学会(Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections、CROI)で発表されたデータでは、ヌクレオチドアナログであるソホスブビル、レジパスビル、リバビリンの3剤併用療法のジェノタイプ1ウイルスに対する12週ウイルス学的著効率(SVR12)は100%であった。これには、未治療のC型肝炎も前治療に反応しなかった肝炎も含まれる[1][2]。
ソホスブビル・レジパスビル合剤についてリバビリン併用有無の両方の治療が試験された。2014年2月、インターフェロンおよびリバビリンの併用なしのソホスブビル・レジパスビル経口剤治療が米国FDAに承認申請され[3]、同年10月にレジパスビル90mg・ソホスブビル400mgの合剤が承認された[4]。日本では2015年7月に承認された[5]。開発コードGS-5885。
効能・効果
日本で承認されている効能・効果は正確には「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」である[6]。
この合剤は未治療のC型肝炎にも既治療のC型肝炎にも有効である[7]。
禁忌
レジパスビル・ソホスブビル合剤はソホスブビル単剤と同じく以下の患者に禁忌である[6]。
- 重度の腎機能障害(eGFR < 30mL/分/1.73m2)または透析を必要とする腎不全の患者
- カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシンを服用中の患者
- セイヨウオトギリ (セント・ジョーンズ・ワート)含有食品を摂取している患者
- 製剤成分に対し過敏症の既往歴のある患者
慎重投与
B型肝炎ウイルス感染の患者または既往感染者では、B型肝炎ウイルスが再活性化することがある。
副作用
日本国内で実施したレジパスビル・ソホスブビル合剤の臨床試験で認められた副作用(計:21.7%)は、瘙痒症(3.2%)、悪心(2.5%)、口内炎(2.5%)等であった[6]。海外での臨床試験で認められた副作用は、疲労感、頭痛等であった[8]。
重大な副作用として、高血圧と脳血管障害が添付文書に記載されているが何方も頻度不明である。
相互作用
P糖蛋白質の影響を受けるため、P糖蛋白質を誘導するセイヨウオトギリやリファンピシン等と相互作用する。併用すると血中濃度が低下し、治療効果が減弱される[8]。
作用機序
レジパスビルはウイルスにとって重要なリン蛋白質であるNS5A(英語版)を阻害し、ウイルスの複製、組立、放出の過程を妨げる[9]。
一方のソホスブビルは代謝されてウリジン三リン酸のアナログとなり、NS5BポリメラーゼによるRNA鎖の伸長停止薬として作用する[9]。
その他
2017年1月、奈良県でソホスブビルとの配合剤(ハーボニー配合錠)の偽造品が流通していることが判明。厚生労働省は、都道府県や関係団体に文書で注意を呼び掛けた[10]。
出典
- ^ ELECTRON: 100% Suppression of Viral Load through 4 Weeks’ Post-treatment for Sofosbuvir + Ledipasvir (GS-5885) + Ribavirin for 12 Weeks in Treatment-naïve and -experienced Hepatitis C Virus GT 1 Patients. Gane, Edward et al. 20th Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections. March 3–6, 2013. Abstract 41LB.
- ^ CROI 2013: Sofosbuvir + Ledipasvir + Ribavirin Combo for HCV Produces 100% Sustained Response. Highleyman, Liz. HIVandHepatitis.com. 4 March 2013.
- ^ “Gilead Files for U.S. Approval of Ledipasvir/Sofosbuvir Fixed-Dose Combination Tablet for Genotype 1 Hepatitis C”. Gilead Sciences (2014年2月10日). 2015年9月3日閲覧。
- ^ “U.S. Food and Drug Administration Approves Gilead’s Harvoni (Ledipasvir/Sofosbuvir), the First Once-Daily Single Tablet Regimen for the Treatment of Genotype 1 Chronic Hepatitis C” (2014年10月10日). 2014年10月10日閲覧。
- ^ “ジェノタイプ1型C型慢性肝炎治療薬1日1回1錠経口投与「ハーボニー配合錠」製造販売承認取得”. ギリアド・サイエンシズ (2015年7月3日). 2015年9月3日閲覧。
- ^ a b c “ハーボニー配合錠 添付文書” (2016年7月). 2016年7月31日閲覧。
- ^ Afdhal, N; Zeuzem, S; Kwo, P; Chojkier, M; Gitlin, N; Puoti, M; Romero-Gomez, M; Zarski, J. P. et al. (2014). “Ledipasvir and sofosbuvir for untreated HCV genotype 1 infection”. New England Journal of Medicine 370 (20): 1889-98. doi:10.1056/NEJMoa1402454. PMID 24725239.
- ^ a b Ledipasvir-Sofosbuvir (Harvoni) (PDF)
- ^ a b Ledipasvir-Sofosbuvir (Harvoni) Hepatitis C Online
- ^ C型肝炎薬に偽造品、厚労省注意呼びかけ…奈良 読売新聞オンライン(2017年01月17日)
ウイルス性肝炎 |
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| 合併症 | | 治療薬 |
- インターフェロン
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- ソホスブビル
- ダクラタスビル
- ダサブビル
- テラプレビル
- パリタプレビル
- リトナビル
- リバビリン
- レジパスビル
| 関連項目 | | 関連カテゴリ | |
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Japanese Journal
- 直接作用型抗ウイルス薬(direct acting antivirals : DAAs)の副作用発現状況並びに危険因子に関する検討
- 中川 幸紀,三木 育子,髙瀬 尚武,田中 智也,三浦 紋佳,濱口 常男,高尾 雄二郎,勝谷 誠,三井 康裕,室井 延之
- 日本病院薬剤師会雑誌 = Journal of Japanese Society of Hospital Pharmacists 55(2), 177-182, 2019-02
- NAID 40021798256
- 実臨床におけるレジパスビル/ソホスブビル又はシメプレビル/ペグインターフェロン/リバビリン服用中のC型慢性肝炎患者のQOL評価
- 四十物 由香,神山 紀子,鴨志田 敏郎,山元 俊憲,向後 麻里
- 薬学雑誌 139(11), 1427-1434, 2019
- <p>Recently, a clinical study using a Chronic Liver Disease Questionnaire (CLDQ) showed that ledipasvir/sofosbuvir (LDV/SOF)-treated patients' QOL was more favorable than that of IFN/ribavi …
- NAID 130007740034
- ソホスブビル/レジパスビル配合錠の粉砕投与を行い著効が得られたC型慢性肝炎の1例
- 世古口 悟,小山田 裕一,長尾 泰孝,池田 佳奈美,山根 慧己,竹村 圭祐,大阿久 達郎,堀田 祐馬,山田 展久,磯崎 豊
- 肝臓 60(9), 332-337, 2019
- … で近医より往診中であったが,C型慢性肝炎(genotype 2型)に対する抗ウイルス療法の希望があり,当院受診となった.若年性アルツハイマー病のため錠剤の服用が困難な状況にあったため,ソホスブビル/レジパスビル配合錠の粉砕品による治療を12週行い,治療開始後8週目でHCVRNA陰性化を認め,SVR12が得られた.C型慢性肝炎の抗ウイルス療法において,錠剤の服用が困難な症例で,粉砕投与による内服治療が奏功した症 …
- NAID 130007701681
Related Links
- レジパスビルの腸 管でのP-gpの阻害 作用により、ジゴ キシンのバイオア ベイラビリティが 増加する。リファブチン レジパスビル及びソ ホスブビルの血漿中 濃度が低下し、本剤 の効果が減弱するお それがある。これら薬剤のP-gp の ...
- レジパスビルの腸管でのP-gpの阻害作用により、ジゴキシンのバイオアベイラビリティが増加する。 リファブチン レジパスビル及びソホスブビルの血漿中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。
- ハーボニー配合錠(レジパスビル・ソホスブビル)の作用機序 レジパスビルは、ウイルスRNAの複製に関わる「HCV複製複合体」の中でも、 「NS5A複製複合体」を阻害 する薬剤です。
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ハーボニー配合錠
組成
有効成分・含量(1錠中)
添加物
- 結晶セルロース、乳糖水和物、コポリビドン、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、酸化チタン、マクロゴール4000、タルク、黄色5号アルミニウムレーキ
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は透析を必要とする腎不全の患者(【薬物動態】の項参照)
- 次の薬剤を投与中の患者:カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシン、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品(「相互作用」の項参照)
効能または効果
- セログループ1(ジェノタイプ1)又はセログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善
- 本剤の使用に際しては、HCV RNAが陽性であることを確認すること。また、肝予備能、臨床症状等により非代償性肝硬変でないことを確認すること。
- 通常、成人には1日1回1錠(レジパスビルとして90mg及びソホスブビルとして400mg)を12週間経口投与する。
- 本剤は、有効成分としてレジパスビル及びソホスブビルを含有した配合錠である。本剤の有効成分であるソホスブビルを含む製剤と併用しないこと。
慎重投与
- B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者〔再活性化するおそれがある。〕(「重要な基本的注意」の項参照)
重大な副作用
高血圧
(頻度不明)
- 高血圧があらわれることがあり、収縮期血圧180mmHg以上又は拡張期血圧110mmHg以上に至った例も報告されているので、投与中は血圧の推移等に十分注意すること。異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
脳血管障害
(頻度不明)
- 脳梗塞、脳出血等の脳血管障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
作用機序
- In vitro耐性発現試験及び交差耐性試験の結果から18)、レジパスビルは、HCVの複製及びHCV粒子の会合に必須である非構造タンパク質(NS)5Aを標的とする抗HCV剤であると考えられる。
ソホスブビルは、肝細胞内で活性代謝物であるウリジン三リン酸型に変換されるヌクレオチドプロドラッグであり、活性代謝物は、C型肝炎ウイルス(HCV)の複製に必須であるHCV非構造タンパク質5B(NS5B)RNA依存性RNAポリメラーゼを阻害する。活性代謝物のHCVジェノタイプ1b、2a、3a及び4a由来NS5Bポリメラーゼに対する50%阻害濃度(IC50値)は0.36〜3.3μmol/Lであった19)。活性代謝物はヒトDNA及びRNAポリメラーゼを阻害せず、ミトコンドリア生合成も阻害しない20)。
In vitro抗HCV活性
- HCVジェノタイプ1a及び1bレプリコン細胞に対するレジパスビルの50%有効濃度(EC50値)の平均値はそれぞれ0.031及び0.004nmol/Lであった21)。HCVジェノタイプ1a(30例)及び1b(3例)臨床分離株由来のNS5A領域含有レプリコン細胞に対するレジパスビルのEC50値(中央値)は、それぞれ0.018及び0.006nmol/Lであった22)。また、レジパスビルはジェノタイプ2〜6レプリコン細胞に対しても抗ウイルス活性を示し、そのEC50値は0.15〜530nmol/Lであった21)。HCVジェノタイプ2a[L31M 変異有(9例)]、2b[L31M 変異有(4例)]、2b[L31M 変異無(12例)]並びに2c、2e、2i、2j及び2k(計12例)臨床分離株由来のNS5A領域含有レプリコン細胞に対するレジパスビルのEC50値(中央値)は、147.8、834.3、6.2、462nmol/Lであった22)。40%ヒト血清存在下で、HCVジェノタイプ1aレプリコン細胞に対するレジパスビルの活性は約1/12に低下した23)。
ソホスブビルは、HCVジェノタイプ1〜6のレプリコン細胞におけるRNA複製を阻害した。HCVジェノタイプ1〜6レプリコン細胞に対するソホスブビルのEC50値(平均値)は0.014〜0.11μmol/Lであった24)。また、HCVジェノタイプ1a(67例)、1b(29例)、2(15例)及び3a(106例)臨床分離株由来のNS5B領域含有レプリコン細胞に対するソホスブビルのEC50値(中央値)は、それぞれ0.062、0.10、0.029及び0.081μmol/Lであった25)。
ソホスブビル/レジパスビル併用により、HCVジェノタイプ1a及び1bレプリコン細胞に対する相加的な抗ウイルス作用が認められた26, 27)。
薬剤耐性
- HCVジェノタイプ1a及び1bレプリコン細胞を用いたレジパスビルのin vitro耐性発現試験において、Y93Hが主な耐性変異として検出され、レジパスビルに対する強い耐性を示した。また、HCVジェノタイプ1aではQ30E耐性変異も検出された28)。一方、ソホスブビルの主な耐性変異S282Tを含め、報告されているNS3プロテアーゼ阻害剤(PI)並びに核酸型NS5B阻害剤及び非核酸型NS5B阻害剤関連耐性変異は、いずれもレジパスビルに対して交差耐性を示さなかった29-31)。
HCVジェノタイプ1〜6レプリコン細胞を用いたソホスブビルのin vitro耐性発現試験において、全てのジェノタイプレプリコン細胞株でNS5B領域のS282T変異が認められた30)。S282T変異を導入したすべてのジェノタイプレプリコン細胞でソホスブビルに対する感受性が低下し、対応する野生型と比較した場合、S282T変異型に対するEC50値は2.4〜18.1倍増加した31)。また、リバビリン、非核酸型NS5B阻害剤、NS3プロテアーゼ阻害剤又はNS5A阻害剤の耐性に関連した変異を含むレプリコン細胞において、ソホスブビルの活性は保持された31, 32)。また、NS5A阻害剤関連耐性変異はソホスブビルに対し交差耐性を示さなかった32)。
ジェノタイプ1(1a及び1b)のC型慢性肝炎患者又はC型代償性肝硬変患者を対象とした国内第3相臨床試験では、23.3%(74/318例)の患者でベースライン時にNS5A耐性変異が検出された(本剤単独投与群41例、本剤とリバビリンの併用投与群33例)。これら74例の患者のうち本剤単独投与群では41例全ての患者がSVR12を達成し、本剤とリバビリンの併用投与群では33例中32例がSVR12を達成した。本試験で本剤とリバビリンの併用投与により再燃に至った1例では、ベースライン時及びウイルス学的治療不成功が認められた時点で、Y93HのNS5A耐性変異が検出されたが、ソホスブビルに対する耐性と関連するNS5B変異の出現は認められなかった8)。
ジェノタイプ2のC型慢性肝炎患者又はC型代償性肝硬変患者を対象とした国内第3相臨床試験では、本剤投与群の91.5%(118/129例)の患者でベースライン時にL31M等のNS5A耐性変異が検出された(ジェノタイプ2a 85例、ジェノタイプ2b 33例)。これら118例の患者のうち、ジェノタイプ2aでは85例中84例(98.8%)がSVR12を達成し、ジェノタイプ2bでは33例中30例(90.9%)がSVR12を達成したのに対し、耐性変異が検出されなかった残りの11例では全ての患者がSVR12を達成した。本剤投与群で再燃に至った4例では、ベースライン時及びウイルス学的治療不成功が認められた時点で、L31M又はL28L/F+L31MのNS5A耐性変異が検出された。これら4例では、ウイルス学的治療不成功が認められた時点で新たなNS5A耐性変異の出現は認められなかったが、1例ではウイルス学的治療不成功が認められた時点で核酸型NS5B阻害剤関連耐性変異のS282Tの出現が認められた33)。
有効成分に関する理化学的知見
レジパスビル
一般名
- レジパスビル アセトン付加物
Ledipasvir Acetonate(JAN)
化学名
- Methyl{(1S)-1-[(1R,3S,4S)-3-(5-{9,9-difluoro-7-[2-((6S)-5-{(2S)-2-[(methoxycarbonyl)amino]-3-methylbutanoyl}-5-azaspiro[2.4]hept-6-yl)-1H-imidazol-4-yl]-9H-fluoren-2-yl}-1H-benzimidazol-2-yl)-2-azabicyclo[2.2.1]heptane-2-carbonyl]-2-methylpropyl}carbamate monoacetonate
分子式
分子量
性状
溶解性
- ジメチルスルホキシド、エタノール(99.5)、メタノールに溶けやすく、アセトンに溶けにくい。
融点
分配係数
- log P=6.9(1-オクタノール/pH 7.4の緩衝液)
ソホスブビル
一般名
化学名
- 1-Methylethyl N-[(S)-{[(2R,3R,4R,5R)-5-(2,4-dioxo-3,4-dihydropyrimidin-1(2H)-yl)-4-fluoro-3-hydroxy-4-methyltetrahydrofuran-2-yl]methoxy}phenoxyphosphoryl]-L-alaninate
分子式
分子量
性状
溶解性
- メタノール、アセトン、アセトニトリル又はエタノール(99.5)に溶けやすく、2-プロパノールにやや溶けやすく、酢酸エチルにやや溶けにくく、トルエン、ジクロロメタン又はヘプタンにほとんど溶けない。
融点
分配係数
- log P=1.62(1-オクタノール/0.15mol/L 塩化カリウム溶液)
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- hepatitis C HC
- 関
- C型肝炎ウイルス、慢性肝炎、肝炎。C型慢性肝炎。非A非B型肝炎
まとめ
- RNAウイルスでありエンベロープを有するフラビウイルスに属するC型肝炎ウイルスの感染により生じる肝炎である。潜伏期は60日程度であり、発症は潜行性である。感染経路は血液の接触に夜物が多い。劇症化することは稀(0.1%)であるが、非常に慢性化しやすい(85%)。慢性化例では肝機能の低下・荒廃を来しついには肝細胞癌を生じる。日本に多い1b型(70%)はインターフェロンが奏効しにくい。治療はインターフェロンとリバビリンである。予防は感染源との接触を避けることである。
概念
- C型肝炎ウイルスによる感染症である。
- 五類感染症(全数把握)
- C型肝炎ウイルスの感染により生じる。C型急性肝炎はA型やB型に比べて自覚症状は軽く劇症化することは稀であるが、70%程度の例でC型慢性肝炎に移行する(A-E型肝炎の中で最高)。以前は非A非B型肝炎と呼ばれており、同定されたのは1989年で、検出系が確立されたのは1988年である。
疫学
- C型肝炎患者+持続感染者(キャリア):150-200万人(参考1)
- C型肝炎患者数:C型ウイルス肝炎の総患者数は34万7千人(2005年10月時点, 『患者調査』【Z41-842】2005年版 上巻(全国編)p.652)(参考5)
病原体
- C型肝炎ウイルス:遺伝子型(1b型: 70%、2a型: 20%、2b型: 8-10%)
感染経路
- 血液感染:輸血(第二世代HCV抗体導入後は輸血後肝炎の発生はほとんどない)、針刺し事故、入れ墨、覚醒剤の回し打ち。頻度が比較的多い
- 性的接触:B型肝炎ウイルスに比較すると頻度は少ない。
- 垂直感染:低率
経過
- 自然治癒は稀
- 10-30年の経過で肝硬変 → 肝細胞癌
- 癌化には5,11,17番染色体の染色体異常が関わっている?
- HCVの初感染から30年間以上経過している患者では年間の肝細胞癌発症率は1-4%である(HIM.1963)
- C型肝炎を背景に肝細胞癌を発症した場合、C型肝炎ウイルスを駆逐し、肝細胞癌が治癒した後であっても発癌リスクは変わらない、らしい(出典不明)
症状
- 慢性肝炎では多くの場合症状が無くトランスアミナーゼ上昇のみで、長い経過の中で肝硬変や肝細胞癌を発症する。
合併症
検査
-
- 2. HCVコア抗体:コア粒子
- 3. E2/NS-1抗体:エンベロープ
- 4. NS抗体、C100-3抗体C-33c抗体、NS5抗体:被構造タンパク
- NATによるHCV-RNAの検出。ウインドウ期は1-2週間
病態の評価 - 目的別
- 肝障害の評価 → ALT
- 残存肝機能 → 血小板数(肝臓で産生されるトロンボポエチンを反映するはず)
- 治療効果判定 → HCV-RNA
治療
- インターフェロンとリバビリンの併用が有効な治療法とされたが、HCVが排除され肝炎が治癒する確率は40~50%程度であった。
- 近年核酸アナログの開発により、肝炎の治療が進展してきた。
抗ウイルス薬 - C型肝炎
治療フローチャート
治療に影響を及ぼす因子
- HCV RNA(少ない方が良い)、遺伝子型(2型が良好)、線維化(軽度)、年齢、性別、血小板。(参考(3))
- 年齢<45、感染期間が短い、HCV RNAが少ないこと、遺伝子型が1型でないこと(HIM.1095)
- HCV-RNA量、HCB遺伝子型、肝組織化の程度(QB.B-282)
B型肝炎とC型肝炎の比較
|
B型肝炎
|
C型肝炎
|
ソース
|
感染の特徴
|
慢性の肝細胞障害、 integrationによる変異誘発?
|
慢性の肝細胞障害
|
根拠なし
|
劇症化
|
0.1-1%
|
0.1%
|
HIM
|
慢性化率
|
1-10%
|
85%
|
HIM
|
キャリア化
|
稀。通常、母子感染でおこる
|
|
医学辞書
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肝細胞癌患者中
|
約20%
|
約70%
|
QB.B-281
|
肝細胞癌患者年齢
|
若年発症
|
|
QB.B-281
|
肝細胞癌発症形式
|
突発あり
|
緩徐進展
|
QB.B-281
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遺伝子型
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B型肝炎ウイルス#遺伝子型
|
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|
A型、C型
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1b型、2a型,、2b型
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日本ではC型多く、重症化しやすいが、慢性化しにくい。しかし、インターフェロン奏効しにくく、肝細胞癌発症しやすい。
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日本では1b型多い。インターフェロン奏効しづらい(15%)。平均は2型は奏効しやすい(80%以上でウイルス排除)
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治療
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インターフェロン ラミブジン アデフォビル エンテカビル テルビブジン
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ペグインターフェロン+リバビリン
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参考
- http://www.c-kan.net/
- 2. 独立行政法人国立国際医療研究センター 肝炎情報センター│C型肝炎およびC型肝炎ウイルス
- http://www.ncgm.go.jp/center/forcomedi_hcv.html
- http://kousei-hosp.com/C-PPT.pdf
- https://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/hepatitis_c
- 5. C型肝炎について - 国立国会図書館 リサーチナビ
- http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-400257.php
- http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_12.html
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商品名
会社名
成分
薬効分類
薬効
- セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を効能・効果とする新有効成分含有医薬品・新医療用配合剤
【優先審査】
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- 英
- building
- 関
- 建物