バソプレシン
- 英
- vasopressin VP
- 同
- バゾプレッシン, arginine vasopressin AVP、抗利尿ホルモン antidiuretic hormon ADH
- 商
- ピトレシン Pitressin
- 関
- デスモプレシン、尿細管
分類
性状
- ペプチド
産生組織
- PED. 1328
- 視床下部の視索上核(supraoptic nucleus SON)および室傍核(paraventricular nucleus PVN)にある大細胞性神経細胞(大神経細胞 magnocellular neuron)で産生
- 下垂体茎を経由して下垂体後葉まで軸索内を輸送される。
標的組織
生理作用
- 抗利尿
- 集合管に作用し水の再吸収を促進(V2受容体)
- 昇圧作用
- 血管平滑筋の収縮(V1受容体)
- V1受容体は抗利尿作用を示すより大用量で動作(SAN.189) ← 生理的な量では血管収縮による血圧上昇はない。
- 尿素再吸収
- 髄質内層集合管で尿素の再吸収を高める(SP.817)
- ACTH分泌?
作用機序
| 抗利尿作用 | 集合管上皮細胞 | V2R |
| 血管平滑筋収縮(昇圧作用) | 血管内皮 | V1R |
分泌調節
- 血漿浸透圧↑、循環血漿量↓→分泌↑ ( 出血 )
- 血漿浸透圧↓、循環血漿量↑→分泌↓ ( 水の大量摂取 )
- 1. 視床下部の浸透圧受容体→視索上核・傍室核
- 2. 内頚動脈・大動脈弓の圧受容器→延髄の血管運動中枢→視索上核・傍室核
- 3. その他
- 分泌刺激性:悪心、アンジオテンシンII、ニコチン酸
- 分泌抑制性:心房性Na利尿ペプチド、エタノール
| 分泌促進 | 分泌抑制 | |
| 血漿浸透圧・循環血液量 | 出血→血圧低下、循環血液量減少 | 水負荷→血漿浸透圧低下、循環血液量増加 |
| 水制限→循環血液量減少、血漿浸透圧上昇 | 等張液負荷→循環血液量増加 | |
| 高張食塩水負荷→血漿浸透圧上昇 | ||
| 薬物 | プロスタグランジンE2 | フェニトイン |
| モルフィン | アルコール | |
| ニコチン | 心房性Na利尿ペプチド | |
| β受容体作動薬 | α受容体作動薬 | |
| アンジオテンシンII | ||
| 麻酔薬 | ||
| 低酸素症 | ||
| 高炭酸ガス血症 | ||
| ビンクリスチン | ||
| シクロホスファミド | ||
| クロフィブレート | ||
| カルバマゼピン | ||
| バルビツール酸系薬 | ||
| アセチルコリン | ||
| ヒスタミン | ||
| メトクロプラミド | ||
| 環境など | 立位・失神、疼痛、陽圧呼吸、遠心力 | 寒冷、陰圧呼吸、水中、臥位 |
ADH分泌促進/作用増強する薬物
- QB.D-331
ADHの作用を修飾する物質
- 糖質コルチコイド:水代謝作用(水利尿):GFR↑させたりADHに拮抗することで細胞内への水移動を抑制する
癌患者とADH
- 日腎会誌 2012:54(7):1016-1022
- Ellison DH, Berl T. Clinical practice. The syndrome of inappropriate antidiuresis. NEJM. 2007;356:2064-2072. PMID 17507705
- 異所性ADH産生腫瘍、抗悪性腫瘍薬の副作用、手術侵襲、嘔気・嘔吐、疼痛
分子機構
ここまで、2007後期生理学授業プリント&想像 でまとめた
- 集合管の上皮の基底側に発現していると思われるV(75%){2};Rを介して、アクアポリン2(AQP2)が発現して尿細管腔側に局在、アクアポリン2から水を細胞内に取り込み、アクアポリン3を介して細胞基底側(血管腔)に水が移動する (2007後期生理学授業プリント, SP.817 図12-63)
- 以下の記述と矛盾する気がする・・・
- 水輸送体apuaporin1(AQP1)に作用して集合管における水透過性を高める(SP.817)。
効能又は効果
- ピトレシン注射液20
薬効薬理
- ピトレシン注射液20
- 1. 抗利尿作用
- 遠位尿細管における水の再吸収を促進することにより、抗利尿作用を発揮する1)。
- 2. 腸管平滑筋に対する作用
- 腸管平滑筋に直接作用してこれを収縮させる
- 3. 止血作用
- 腹部内臓の細動脈を収縮させ、門脈血流を減少させるので、一時的に門脈圧が下降するため、門脈圧亢進による食道出血時に止血作用を発揮する。
副作用
- ピトレシン注射液20
- 血管収縮による血圧上昇、狭心症、腹痛がありうる。(QB.D-357)
禁忌
- ピトレシン注射液20
- 1. 本剤の成分に対しアナフィラキシー又は過敏症の既往歴のある患者
- 2. 冠動脈硬化症 (心筋梗塞症、狭心症等) の患者[心筋虚血を延長させることがある。]
- 3. 急速な細胞外水分の増加が危険となるような病態 (心不全、喘息、妊娠中毒症、片頭痛、てんかん等) のある患者[水中毒を起こすことにより、それらの病態を悪化させるおそれがある。]
- 4. 血中窒素貯留のある慢性腎炎の患者[水分貯留を起こすことにより、血中窒素の排泄が抑制されるおそれがある。]
添付文書
- ピトレシン注射液20
- <click2in>http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2414402A1035_1_02/2414402A1035_1_02?view=body</click2in>
臨床検査
基準値
- 0.3-4.2pg/ml (RIA2抗体法) (検査の本)
- 0.3-4.0pg/ml (RIA2抗体法) (LAB.695)