- 72歳の女性。前頸部腫瘤を主訴に来院した。40歳代から甲状腺腫を指摘されていたが特に治療は受けていなかった。2週前から前頚部腫瘤が急に増大してきた。身長158cm、体温36.2℃。脈拍80/分、整。血圧138/64mmHg。前頸部に横径約9cmのびまん性の甲状腺腫を触れる。甲状腺腫は硬く、表面に凹凸がある。甲状腺に圧痛は認めない。頚部皮膚に発赤を認めない。右側頚部に径1cmのリンパ節を2つ触知する。血液所見:赤血球380万、Hb11.8g/dl、Ht38%、白血球5,600、血小板18万。血液生化学所見:TSH18.5μU/ml(基準0.2~4.0)、FT3 2.5pg/ml(基準2.5~4.5)、FT4 0.7ng/dl(基準0.8~2.2)。免疫学所見:抗サイログロブリン(TG)抗体18.8U/ml(基準0.3以下)、抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体45U/ml(基準0.3以下)。甲状腺超音波検査で右葉下部に著明な低エコー域を認める。
- 考えられるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [102I056]←[国試_102]→[102I058]
★リンクテーブル★
[★]
- 45歳の男性。四肢筋力低下を主訴に来院した。1か月前から両上下肢の筋力が低下した。5年前から高血圧を指摘されていたが放置していた。1年前から労作時に脈が乱れることに気付いていた。意識は清明。身長176cm、体重盟kg。体温36・4℃。脈拍84/分、不整。血圧172/104mmHg。収縮期駆出性雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白2+、糖1+。血液所見:赤血球420万、Hb16.0g/dl、Ht46%、白血球5,200、血小板32万。血液生化学所見:空腹時血糖122mg/dl、HbA1c 9.1%(基準4.3~5.8)、総蛋白7.2g/dl、アルブミン5.1g/dl、尿素窒素18.0mg/dl、クレアチニン1.1mg/dl、尿酸8.5mg/dl、総コレステロール252.1mg/dl、トリグリセライド182mg/dl、総ビリルビン0.8mg/dl、AST32IU/l、ALT22IU/l、Na145mEq/l、K3.1mEq/l、Cl1O4mEq/l、Ca9.0mg/dl、P3.0mg/dl、TSH3.OμU/ml(基準0.2~4.0)、ACTH32pg/ml(基準7~60)、FT33.5pg/ml(基準2.5~4.5)、FT41.8ng/dl(基準0.8~2.2)、コルチゾール10.1μg/dl(基準5.2~12.6)、アルドステロン16mg/dl(基準5~10)、血漿レニン活性(PRA)0.3ng/ml/時間(基準1.2~2.5)。腹部単純CTで右副腎に径1cmの腰痛性病変を認める。
- 診断に必要な検査はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102I057]←[国試_102]→[102I059]
[★]
- 35歳の男性。口渇を主訴に来院した。生来健康であったが、1か月前から口が異常に渇き、お茶やジュースなどを1日約5リットル飲むようになった。尿量も多く、夜間に3回以上排尿のために覚醒するので睡眠も障害されるようになった。意識は清明。身長172cm。体温36.7℃。脈拍80/分、整。血圧120/76mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。尿量4,500mg/dl。血液所見:赤血球520万、Hb14.5g/dl、Ht48%、血小板25万。血液生化学所見:血糖85mg/dl、HbA1c 5.2%(基準4.3~5.8)、総蛋白7.2g/dl、アルブミン5.2g/dl、尿素窒素24.0mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、尿酸7.5mg/dl、総コレステロール215mg/dl、AST32IU/l、ALT28IU/l、LDH220IU/l(基準176~353)、Na147mEq/l、K4.2mEq/l、Cl1O5mEq/l、Ca9.2mg/dl、P4.0mg/dl、尿浸透圧:デスモプレシン(DDAVP)5μg点鼻投与前160mOsm/l、投与後460mOsm/l。
- この患者にみられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102I055]←[国試_102]→[102I057]
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[★]
- 英
- Hashimoto disease
- 同
- 橋本病甲状腺炎 Hashimoto thyroiditis, (ほぼ同義)慢性甲状腺炎
病理
- 硬く瀰漫性に腫大、割面ではコロイド光沢を欠く、20-30gのものから100g以上のものまである。ゴム様硬
- ①甲状腺濾胞の変性、委縮、崩壊が瀰漫性に起きていることが必要②リンパ球や形質細胞の浸潤、リンパ濾胞の形成(必発)。胚中心形成。③線維化
- 腫大した濾胞上皮:好酸性細胞oxyphililic cell (H ürthle cell、機能低下型細胞、胞体が好酸性顆粒状となる、電顕では多数のミトコンドリア、橋本病で観察されるが特異的なものではない)。C細胞は保たれる。
亜型
- b)萎縮性甲状腺炎 atrophic thyroiditis:濾胞が消失し、線維に置換される。数グラム程度に委縮
検査
- 70-80%の症例で甲状腺機能は正常 (YN.D-39)
合併症
参考
- 1. [charged] 橋本病(慢性自己免疫性甲状腺炎)の病因 - uptodate [1]
国試