- 英
- ST mixture
- 同
- スルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤 sulfamethoxazole and trimethoprim mixture、スルファメトキサゾール・トリメトプリム SMX-TMP
- コトリモキサゾール co-trimoxazole
- 関
- サルファ合剤、サルファ剤
特徴
構造
作用機序
薬理作用
抗菌スペクトル
動態
適応
注意
禁忌
副作用
WordNet
- the 19th letter of the Roman alphabet (同)s
PrepTutorEJDIC
- sulfurの化学記号 / {略}South[ern]
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ST合剤
|
トリメトプリム(上)とスルファメトキサゾール(下)
|
組み合わせ |
トリメトプリム |
ジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害薬 |
スルファメトキサゾール |
サルファ剤系抗生物質 |
臨床データ |
商品名 |
Bactrim, Bactrimel, Biseptol, Co-trimoxazole, Cotrim, Resprim, Septrin, Septra, Sulfatrim, Trisul, Polytrim |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
- AU: Prescription Only (S4)
- CA: ℞-only
- UK: 処方箋のみ (POM)
- US: ℞-only
|
投与方法 |
Oral, Intravenous[1] |
識別 |
CAS番号 |
8064-90-2 |
ATCコード |
J01EE01 |
PubChem |
CID: 358641 |
DrugBank |
DB00440 |
ChemSpider |
318412 |
ST合剤(STごうざい)とはサルファ剤であるサルファメソキサゾール(SMX or SMZ)とトリメトプリム(TMP)という抗菌薬を5対1の比率で配合した合剤である。作用機序としては葉酸の合成を阻害することであり、2種類の葉酸合成拮抗薬を用いることで相乗効果を得ている。腸内細菌の葉酸合成も阻害するので副作用に葉酸欠乏がある。
目次
- 1 相乗効果
- 2 特徴
- 3 市販製剤
- 4 副作用
- 5 脚注
- 6 参考文献
- 7 関連項目
相乗効果
スルファメトキサゾールとトリメトプリムの併用療法がST合剤の組み合わせである。スルファメトキサゾール(スルホンアミド系薬物)はジヒドロプテロイン酸シンターゼ阻害薬(葉酸合成阻害)であり、トリメトプリムはジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害薬(DHFR阻害薬、葉酸活性化阻害)である。ジヒドロプテロイン酸シンターゼは細菌にはあるがヒトには存在しない。DHFR阻害薬は、葉酸を活性化させたテトラヒドロ葉酸の細胞内供給を決定的に不足させ、結果的にプリンとチミジンの新たな合成停止させることによってDNA合成とRNA合成を阻害する。スルホンアミド系薬物はジヒドロ葉酸の細胞内濃度を減少させることでDHFR阻害薬の効果を増強させる。また併用することで耐性菌の出現を抑えることができる。
- メソトレキセートもジヒドロ葉酸レダクターゼを阻害するため併用に注意が必要。
特徴
ニューモシスチス肺炎(旧:カリニ肺炎)の治療薬として有名であるが、ST合剤には様々な特徴がある。
- 細菌以外の微生物にも効果がある。
- 真菌の仲間であるカリニに効果がある以外にも原虫であるトキソプラズマなどにも効果がある。
- 多くのグラム陽性菌、グラム陰性菌に効果がある。
- 緑膿菌や嫌気性菌には効果がないが、肺膿瘍を起こすノカルジアや髄膜炎をおこすリステリア(ただし第一選択はアンピシリン)といった特殊な細菌から肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、モラキセラといった肺炎の起因菌にも効果がある。よってニューモシスチス肺炎か診断が十分につかない段階からも積極的に治療を行うことができる(呼吸苦の改善にはステロイドの方が効果的である)。非定型肺炎はカバーできないのでマクロライド、ミノサイクリン、ニューキノロン系を併用することもある。
- 消化管からの吸収が非常によくバイオアベイラビリティが高い。
- あらゆる器官の移行性に優れている。
- 特に尿路への移行性が高く、尿路感染症では第一選択となる。βラクタム薬が移行しない前立腺にも分布するため前立腺炎の治療にも用いることができる。
以上の特徴から岩田健太郎教授は
- 排尿時痛、頻尿あるいは肉眼的血尿のいずれかが認められれば50%の確率で膀胱炎とされている。膀胱炎ではバクタ®4錠分2などで3日ほどの投与が目安とされている。セフェム系で治療する場合は約7日の投与が必要である。
- セフェム系耐性の皮膚・軟部組織感染症(蜂窩織炎など。また市中獲得型MRSA (=CA-MRSA) もカバーする。)
- バクタ®4~8錠分2の投与がされることがある。これは改善するまで投与が必要である。抗菌活性自体はST合剤はセフェム系より弱いため、感染症内科と相談後の治療が望ましい。
- バクタ®1錠分1の投与が慣習で行われている。PSL20mg以上を1カ月以上投与している場合、高容量の免疫抑制剤を使用している場合、移植後6~12カ月、免疫不全やHIVでCD4陽性細胞が減少している場合などに予防投与は行われる。
での処方を推奨している。[2]
市販製剤
経口薬のバクタ®錠・顆粒(塩野義製薬)やバクトラミン®錠・顆粒、注射としてはバクトラミン®注(中外製薬)が有名である。トリメトプリムとしてどれくらい必要であるという書き方をされている場合が必要なので処方には注意が必要である。カリニ肺炎の治療では目安として60kgの成人ならばバクトラミンは一回3Aの一日4回投与が必要である。HIV感染者の肺炎ではカリニ肺炎を疑わなければならないが典型的には1週間くらいかけて進行する亜急性の高熱と労作時に増悪する呼吸苦が特徴である。しかし乾性咳嗽を伴う気道感染の頻度としては、非定型肺炎(マイコプラズマやクラミドフィラ)の方が多いので初期治療としてはST合剤とマクロライド併用が多い。
副作用
- 発疹
- 3~4%の割合で発生する。まれにスティーブンス・ジョンソン症候群に至ることもある。ペンタミジンなどへの処方の変更ができない場合は、専門家のもとで脱感作を行うべきである。
- 高カリウム血症
- 特に腎不全時は慎重投与が必要である。また高血圧治療薬であるアンジオテンシンI変換酵素阻害薬(ACE-I)やアンジオテンシン受容体阻害薬(ARB)との併用は高カリウム血症のリスクを持つため、避けるべきである。[3] ACE-I/ARBとST合剤併用による突然死リスクの上昇も報告されている[4]。
- またカリウム保持性利尿薬であるスピロノラクトンも同様の機序から高齢者での高カリウム血症が出現しやすく、注意を要する[5]。ST合剤とスピロノラクトンの併用は突然死とも関連したとの報告もある[6]。
- 薬物相互作用
- 抗痙攣薬のフェニトイン(アレビアチン)や糖尿病治療薬のスルフォニルウレア剤の血中濃度を上昇させ、経口避妊薬の血中濃度を低下させる。
- クレアチニンの上昇
- 腎機能に関係なく、クレアチニンの分泌を障害するため腎機能障害が発生したかのように見えることがある。
脚注
- ^ “Trimethoprim/Sulfamethoxazole”. 2013年6月21日閲覧。
- ^ メディカル朝日 2009年11月号,pp63-65
- ^ Trimethoprim-Sulfamethoxazole–Induced Hyperkalemia in Patients Receiving Inhibitors of the Renin-Angiotensin System, Tony Antoniou and others, Arch Intern Med. 2010;170(12):1045-1049.
- ^ Fralick M, et al. Co-trimoxazole and sudden death in patients receiving inhibitors of renin-angiotensin system: population based study. BMJ (Clinical research ed.). 2014;349;g6196. doi: 10.1136/bmj.g6196.
- ^ BMJ 2011; 343:d5228 doi: 10.1136/bmj.d5228 (Published 12 September 2011)
- ^ Antoniou T et al. Trimethoprim–sulfamethoxazole and risk of sudden death among patients taking spironolactone. CMAJ 2015: 187; E138. (http://dx.doi.org/10.1503/cmaj.140816)
参考文献
- 感染症レジデントマニュアル ISBN 4-260-10660-0
- 抗菌薬の考え方、使い方 中外医学社 ISBN 4-498-01758-7
- レジデントのための感染症診療マニュアル ISBN 4-260-10992-8
- Dos&Don'ts! Dr.青木の感染症大原則 ISBN 4-903331-27-X
- サンフォード感染症治療ガイド―日本語版 (2006) ISBN 4-89775-216-7
- Dr.岩田の感染症アップグレード(第1巻)ISBN 4-903331-41-5
- Dr.岩田の感染症アップグレード(第2巻) ISBN 4-903331-42-3
- Dr.岩田の感染症アップグレード(第3巻) ISBN 4-903331-43-1
- Dr.岩田の感染症アップグレード(第4巻) ISBN 4-903331-44-X
関連項目
- 呼吸器感染症/尿路感染症
- 感染症学
- 抗菌薬
- ジアフェニルスルホン -- 葉酸合成阻害を機序とした抗菌剤
|
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- MS12-5 膠原病におけるスルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST合剤)の薬剤障害(MS12 薬物アレルギー,ミニシンポジウム,第23回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- 浅島 弘充,猪熊 茂子,仲地 真一郎,松尾 佳美,六反田 諒,萩原 清文,小林 祥子
- アレルギー 60(3・4), 430, 2011-04-10
- NAID 110008594409
- 小児慢性呼吸器疾患 (特集 小児感染症2011 : 今どうなっているの?小児の感染症) -- (特殊な病態下における小児感染症の管理,最近の考え方は?)
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- 次の文を読み、50~52の問いに答えよ。
- 43歳の男性。発熱を主訴に来院した。
- 現病歴:半年前から全身倦怠感を自覚していた。1か月前から37℃前半の微熱と乾性咳嗽とが出現した。2週前に自宅近くの診療所を受診し総合感冒薬を処方されたが改善しなかった。そのころから体温は38℃を超えるようになり、1週前から階段昇降時に呼吸困難を自覚するようになった。精査のため診療所から紹介されて受診した。
- 既往歴:22歳時にB型急性肝炎。35歳時に帯状疱疹。
- 生活歴:会社員。独身。一人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴:父親がうつ病で通院治療中。
- 現症:意識は清明。身長173cm、体重58kg(半年前は68kg)。体温 38.6℃。脈拍 96/分、整。血圧 104/58mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 94%(room air)。前額と鼻唇溝とに黄白色の鱗屑を伴う紅斑を認める。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内に多発する白苔を認める。頸静脈の怒張を認めない。径1~2cmのリンパ節を右頸部に7個、左頸部に5個触知する。心音に異常を認めない。両側の胸部にfine cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腸雑音は正常である。下腿に浮腫を認めない。
- 検査所見:血液所見:赤血球 454万、Hb 15.1g/dL、Ht 42%、白血球 3,100、血小板 12万。血液生化学所見:総ビリルビン 0.9mg/dL、クレアチニン 1.0mg/dL。免疫血清学所見:CRP 0.6mg/dL、β-D-グルカン 486pg/mL(基準 10以下)。動脈血ガス分析(room air):pH 7.47、PaCO2 34Torr、PaO2 76Torr、HCO3- 24mEq/L。胸部エックス線写真(別冊No. 6A)と胸部CT(別冊No. 6B)とを別に示す。
- 口腔内の白苔に対する治療薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109B051]←[国試_109]→[109B053]
[★]
- 70歳の女性。呼吸困難を主訴に来院した。 3週前に感冒様症状が出現し、自宅近くの診療所で抗菌薬と漢方薬とを処方された。その後も症状は改善せず、乾性咳嗽と呼吸困難とが増悪したため、紹介されて受診した。紹介の時点で、診療所の医師から薬の内服を中止するよう指示されたという。意識は清明。体温36.9℃。脈拍88/分、整。血圧122/86mmHg。呼吸数22/分。 SpO2 92%(room air)。聴診で両側の胸部にfine cracklesを聴取する。喀痰検査: Gram染色で有意な菌を認めない。 Ziehl-Neelsen染色でGaffky0号。血液所見:赤血球456万、 Hb 12.5g/dl、Ht42%、白血球13,140(桿状核好中球10%、分葉核好中球50%、好酸球26%、単球4%、リンパ球10%)、血小板26万。血液生化学所見:総蛋白7.3g/dl、アルブミン3.5g/dl、総ビリルビン1.7mg/dl、 AST85IU/l、 ALT63IU/l、 LD619IU/l(基準176-353)、 ALP385IU/l(基準115-359)、 γ-GTP171 IU/l(基準8-50)。免疫学所見: CRP5.2mg/dl。 KL-6 733U/ml(基準500未満)。サイトメガロウイルス抗原血症(C7-HRP)(-)、 β-D-グルカン8pg/ml(基準10以下)、アスペルギルス抗原陰性。クラミジア・ニューモニエ抗体価とマイコプラズマ抗体価との有意な上昇を認めない。動脈血ガス分析(自発呼吸、 room air) : pH7.50、 PaO2 65Torr、PaCO2 28Torr、 HCO3- 21mEq/l。胸部エックス線写真で両肺野に浸潤影を認める。胸部単純CT(別冊No. 19)を別に示す。
- 治療薬として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106D047]←[国試_106]→[106D049]
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- 30歳の男性。乾性咳嗽と労作時呼吸困難とを主訴に来院した。 8か月前と 4か月前に発熱と咳嗽とを自覚し、自宅近くの診療所で急性気管支炎と診断されて抗菌薬を投与され、 5日ほどで軽快した。 2か月前から乾性咳嗽を自覚し同じ診療所で鎮咳薬を処方されたが改善しなかった。 2週前から労作時呼吸困難を自覚するようになり受診した。意識は清明。身長 170 cm、体重 69 kg。体温 36.3℃。脈拍 80/分、整。血圧 110/68 mmHg。呼吸数 22/分。 SpO2 98% ( room air)。舌に白苔を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球 480万、 Hb 15.2 g/dl、Ht43%、白血球 4,800(桿状核好中球 5%、分葉核好中球 74%、好酸球 3%、好塩基球 1%、単球 7%、リンパ球 10% )、 CD4陽性細胞数 60/mm3(基準 800~1,200)、血小板 19万。血液生化学所見:総ビリルビン 0.6 mg/dl、AST 36 IU/l、ALT 15 IU/l、LD 418 IU/l(基準 176~353)、尿素窒素 9 mg/dl、クレアチニン 0.8 mg/dl、KL-62,450 U/ml(基準 500未満 )。免疫血清学所見: CRP 0.4 mg/dl、β-D-グルカン 540pg/ml(基準 10以下 )。動脈血ガス分析 ( room air): pH 7.46、PaCO2 38 Torr、PaO2-93 Torr、HCO3 26 mEq/l。胸部エックス線写真で淡いすりガラス陰影を認める。肺野条件の胸部単純 CT(別冊 No.25A、B)を別に示す。
- 治療薬として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108A051]←[国試_108]→[108A053]
[★]
- 58歳の男性。発熱を主訴に来院した。3か月前から37℃台の微熱、全身倦怠感および食思不振を自覚し、体重が5kg減少した。1週前から乾性咳嗽と息切れとが出現し、増悪してきた。3日前から38℃を超す弛張性の発熱が連日続いている。
- 多数のパートナーとの性的接触があった。意識は清明。身長165cm、体重53kg。体温38.7℃。脈拍84/分、整。血圧130/80mmHg。心雑音は認めない。両側背部に吸気時の軽度のcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。皮膚所見も正常である。血液所見:赤血球331万、Hb9.9g/dl、Ht29%、白血球5,300(桿状核好中球5%、分葉核好中球40%、好酸球14%、好塩基球0%、単球13%、リンパ球28%)、血小板14万、CD4陽性細胞数213/μl(基準800~1,200)。LDH380IU/l(基準176~353)。CRP9.8mg/dl。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH7.50、PaO2 63Torr、PaCO2 32Torr。胸部エックス線写真で左肺に淡い浸潤影を認める。気管支鏡下肺胞洗浄液細胞診所見(Grocott染色標本)を以下に示す。
- 肺病変に対する治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A012]←[国試_101]→[101A014]
[★]
- 53歳の女性。 3日前からの発熱を主訴に来院した。 2週前から空咳と労作時の息切れとを自覚していた。 6か月前から関節リウマチの診断で抗リウマチ薬と副腎皮質ステロイドとを服用し、症状は安定している。胸部エックス線写真で異常を指摘されたことはない。意識は清明。体温38.4℃。呼吸数24/分。脈拍96/分、整。血圧122/78mmHg。両側肺野にfine cracklesを聴取する。白血球8,600(桿状核好中球2%、分葉核好中球74%、好酸球3%、単球5%、リンパ球16%)。LD 450IU/l(基準176-353)。免疫学所見:CRP 11.8mg/dl、β-D-グルカン 6pg/ml(基準10以下)。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.40、PaC02 35Torr、PaO2 76Torr、HCO3- 20.9mEq/l。受診時の胸部エックス線写真で両側肺野にびまん性すりガラス陰影を認める。胸部単純CT(別冊No.12)を別に示す。気管支肺胞洗浄液の細胞診にて核内封入体を認める。
- 治療方針として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D036]←[国試_105]→[105D038]
[★]
- 42歳の女性。 3日前から出現した呼吸困難を主訴に来院した。 5年前に全身性エリテマトーデスと診断され、副腎皮質ステロイドによる治療を受けている。身長154cm、体重45kg。体温38.8℃。脈拍104/分、整。血圧128/68mmHg。呼吸数25/分。胸部全体に軽度のfine cracklesを聴取する。赤沈68mm/1時間。血液所見:赤血球328万、 Hb9.8g/dl、 Ht27%、白血球11,800(桿状核好中球35%、分葉核好中球52%、好塩基球1%、単球7%、リンパ球5%)、血小板32万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dl、アルブミン3.2g/dl、尿素窒素28mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、 AST 43IU/l、 ALT59IU/l、 LD 423IU/l(基準176-353)、 IgG800mg/dl(基準960-1,960)。免疫学所見: CRP7.1 mg/dl。 β-D-グルカン585pg/ml(基準10以下)。抗核抗体40倍(基準20以下)。 CH50 39U/ml(基準30-40)。動脈血ガス分析(自発呼吸、 room air) : pH7.48、 PaCO2 29Torr、 PaO2 50Torr、HCO3-21mEq/l。胸部単純CT(別冊No. 10)を別に示す。
- 治療薬として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106D030]←[国試_106]→[106D032]
[★]
- 67歳の女性。発熱と咳とを主訴に来院した。1週前から発熱と咳が出現し、徐々に悪化してきたため受診した。末梢性T細胞性リンパ腫にて3回目の化学療法を3週前に終了している。リンパ腫による両側の頸部と鼠径部とに小指頭大のリンパ節を数個ずつ認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。SpO2 96%(room air)。血液所見:赤血球 401万、Hb 10.7g/dL、Ht 39%、網赤血球 1%、白血球 7,100(桿状核好中球 26%、分葉核好中球 56%、好酸球 1%、単球 2%、リンパ球 15%)、血小板 15万。血液生化学所見:AST 46IU/L、ALT 41IU/L、LD 498IU/L(基準 176~353)、KL-6 1,402U/mL(基準 500未満)。免疫血清学所見:CRP 2.7mg/dL、β-D-グルカン 340pg/mL(基準 10以下)、アスペルギルス抗原陰性、カンジダ抗原陰性。喀痰の細菌培養陰性、喀痰ニューモシスチス陽性。胸部エックス線写真(別冊No. 23A)と胸部単純CT(別冊No. 23B)とを別に示す。
- 治療薬として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110I065]←[国試_110]→[110I067]
[★]
- 65歳の女性。全身倦怠感と微熱とを主訴に来院した。1週前から全身倦怠感を自覚していた。3日前から37℃台の微熱が続いているという。5年前から関節リウマチで抗リウマチ薬と副腎皮質ステロイドとを服用中である。意識は清明。身長156cm、体重46kg。体温37.4℃。脈拍92/分、整。血圧120/70mmHg。呼吸数14/分。SpO2 97%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球446万、Hb 13.0g/dl、Ht 39%、白血球7,300(桿状核好中球20%、分葉核好中球46%、好酸球1%、好塩基球1%、単球10%、リンパ球22%)、血小板16万。CRP 2.6mg/dl。胸部エックス線写真で右側下肺野に多発結節影を認める。肺野条件の胸部単純CT(別冊No.7A)と気管支肺胞洗浄(BAL)液の墨汁染色標本(別冊No.7B)とを別に示す。
- この疾患について正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107A027]←[国試_107]→[107A029]
[★]
- 58歳の女性。咳と血痰とを主訴に来院した。2年前から咳と痕とが出るようになった。1か月前から咳が強くなり、3日前から血痰が出たため受診した。13歳時に副鼻腔炎で両側を手術した。体温37.2℃。両側の前胸下部に弱いfine cracklesを聴取する。血液所見:赤血球 420万、Hb 11.8g/dl、Ht 40 %、白血球 6,800、血小板 18万。血液生化学所見に異常を認めない。CRP O.8mg/dl。喀痰の抗酸菌塗抹検査が3回連続で陽性となったが、同時に行った結核菌PCR検査は陰性だった。胸部エックス線写真(別冊No.18A)と胸部単純CT(別冊No.18B)とを別に示す。止血剤の投与で血痰は消失したが、咳は増強し、1か月後の画像は増悪していた。抗菌薬を3剤用いて治療を開始することとした。
- リファンピシンとエタンブトールに加えて選択するのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104D049]←[国試_104]→[104D051]
[★]
- 30歳の男性。会社員。独身。高度の呼吸困難、発熱および乾性咳嗽を主訴に来院した。3か月前から全身倦怠感と乾性咳嗽、2か月前から体動時の息切れ、2週前から発熱がみられ呼吸困難は高度となった。22歳から2年間海外に留学した。意識は清明。身長178cm、体重56kg。体温 38.2℃。呼吸数 30/分。脈拍 112/分、整。血圧 114/60 mmHg。チアノーゼを認める。血液所見:赤血球 452万、Hb 12.8 g/dl、Ht 40%、白血球 8,200(桿状核好中球 16%、分葉核好中球 64%、単球 8%、リンパ球 4%)、血小板 17万。免疫学所見:CRP 18mg/dl、IgG 620 mg/dl (基準 960~1,960)、β-D-グルカン 280pg/ml(基準 20以下)。胸部エックス線写真で両側び慢性に浸潤影を認める。
- 治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [103D045]←[国試_103]→[103D047]
[★]
- 20歳の女性。咳を主訴に来院した。3日前から乾性咳蠍が出現し、2日前から発熱、頭痛および前胸部痛があった。抗菌薬の投与を受けたが改善しなかった。18歳からアレルギー性鼻炎を指摘されている。10日前から喫煙を始めた。ペットは飼育していない。意識は清明。身長154cm、体重48kg。体温36.9℃。脈拍104/分、整。血圧120/80mmHg。胸部両側下部にcoarse cracklesを聴取する。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球394万、Hb13.8g/dl、Ht42%、白血球12,200(桿状核好中球12%、分葉核好中球24%、好酸球56%、単球1%、リンパ球7%)、血小板37万。気管支肺胞洗浄液中の好酸球が80%を占めている。胸部エックス線写真と胸部単純CTとを以下に示す。
- 治療薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102A051]←[国試_102]→[102A053]
[★]
- 20歳の女性。咳を主訴に来院した。3日前から乾性咳嗽が出現し、2日前から発熱、頭痛および前胸部痛がある。抗菌薬の投与を受けたが改善しない。10日前から喫煙を始めた。ペットは飼育していない。アレルギー性鼻炎がある。意識は清明。身長154cm、体重48kg。体温36.9℃。脈拍104/分、整。血圧120/80mmHg。両側下肺野にcracklesを聴取する。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球394万、Hb13.8g/dl、Ht42%、白血球12,200(桿状核好中球12%、分様核好中球24%、好酸球56%、単球1%、リンパ球7%)、血小板37万、気管支肺胞洗浄液中の好酸球が80%を占めている。胸部エックス線写真と胸部単純CTとを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [100A014]←[国試_100]→[100A016]
[★]
- 80歳の女性。咳嗽を主訴に来院した。2か月前から咳嗽が出現し、増強してきたため受診した。10年前から糖尿病で経口血糖降下薬を服用中である。意識は清明。体温 36.8℃。脈拍 72/分、整。血圧 146/82mmHg。呼吸数 18/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。胸部エックス線写真で左中肺野に結節影を認める。胸部CT(別冊No. 25A)と経気管支肺生検組織のPAS染色標本(別冊No. 25B)とを別に示す。
- 治療薬として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109D051]←[国試_109]→[109D053]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [114D005]←[国試_114]→[114D007]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [111I017]←[国試_111]→[111I019]
[★]
- 末期腎不全患者に対し、常用量を投与可能なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106G009]←[国試_106]→[106G011]
[★]
- 英
- HMG-CoA reductase inhibitor
- 同
- ヒドロキシメチルグルタリルコエンザイムA還元酵素阻害薬 hydroxymethylglutaryl-CoA reductase inhibitor。スタチン statin
- 関
- 高脂血症治療薬、高脂血症、コレステロールの生合成。HMG-CoA還元酵素 HMG-CoA reductase
特徴
- アトルバスタチンの場合
- 血清TC低下率30%
- 血清LDL-C低下率41%
- 血清TG低下作用
- TG250-350mg/dl 380
- TG350-450mg/dl 470
- プラバスタチンは水溶性。(⇔脂溶性だとどこでも入っていく→全身性に作用する)
- プラバスタチンの輸送担体は肝臓にしかない→臓器選択性↑→安全性↑
- CYP3A4との相互作用がない
種類
CYP 代謝による 分類
|
薬物
|
商品名
|
性質1)
|
CYP代謝 2)
|
代謝物の活性 3)
|
排泄形態 3)
|
bioavailability (%) 3)
|
尿中排泄 (%) 2)
|
半減期 (hr) 2)
|
定性
|
定量(LogP)
|
非代謝型
|
プラバスタチン
|
メバロチン
|
水溶性
|
-0.47
|
ほとんどなし
|
ー
|
未変化体
|
18
|
20
|
1ー2
|
ロスバスタチン
|
クレストール
|
水溶性
|
|
ー 5)
|
未変化体 5)
|
29
|
10 5)
|
15~19 5)
|
ピタバスタチン
|
リバロ
|
脂溶性
|
1.49
|
ー
|
未変化体
|
60
|
<2
|
11
|
代謝型
|
フルバスタチン
|
ローコール
|
脂溶性
|
1.73
|
CYP2C9
|
なし
|
代謝物
|
10-35
|
<6
|
1.2
|
シンバスタチン
|
リポバス
|
脂溶性
|
4.4
|
CYP3A4
|
あり
|
代謝物
|
<5
|
13
|
1ー2
|
アトルバスタチン
|
リピトール
|
脂溶性
|
1.53
|
CYP3A4
|
あり
|
(データ無し)
|
12
|
2
|
14
|
1)Prog Med, 18:957-962,1998. 2)Heart, 85:259-264,2001. 3)PHarmacol Ther, 80:1-34 改変 4)興和(株)社内資料 5)添付文書
|
作用機序
- HMG-CoA reductaseはHMG-CoAからmevalonate産生を触媒
副作用
- 原因:メバロン酸合成↓→CoQ↓→ミトコンドリア機能異常。Cl-の細胞膜透過性の変化
- 薬物相互作用によりCYP3A4の働きが阻害されると、横紋筋融解症の引き金となりうる
- 脂溶性HMG-CoA還元酵素阻害薬は重篤な肝障害を起こす
- This was suggested by a study showing greater increases in post-marathon CK levels in individuals receiving statins; older runners receiving statins exhibited more susceptibility to CK elevations than younger runners. These elevations in CK were, however, mild and subclinical, which suggests that trained individuals need not discontinue statin therapy prior to a race.(uptodate)
- 軽度であれば(マラソンの)習熟者はレース前にスタチンを中止をする必要がないことを示唆する。
禁忌
[★]
- 英
- resistant bacterium
- 同
- 薬剤耐性菌 drug resistance bacterium drug resistant bacterium
- 関
- 菌交代症、R因子
医療系の雑誌より(日経カデット11月?)
表1抗菌薬投与後に出現する可能性か高い耐性菌
表2主な耐性菌と治療薬
[★]
- 英
- pneumocystis pneumonia, pneumocystis jirovecii pneumonia pneumocystis jirovecn pneumonia
- 同
- カリニ肺炎 carinii pneumonia、Pneumocystis肺炎
- ニューモシスチス・カリニ肺炎 pneumocystis carinii pneumonia PCP、ニューモシスチス・カリニ肺炎、ニューモシステイスカリニ肺炎
- 関
- ニューモシスチス症 pneumocystosis
病原体
病因
- IMD.1083
- 剖検例で悪性リンパ腫の1/4、成人T細胞白血病の1/10、全身性エリテマトーデスの1/20 に認められる。
- AIDSに高率に合併。
リスク因子
非HIV
- 別の易感染性の原因を有するグルココルチコイド投与患者
- 他の免疫抑制薬
- 細胞性免疫不全
- 悪性腫瘍(特に造血系悪性腫瘍)
- 造血幹細胞移植(HCT、特にallogeneic HCT)
- 固形臓器の臓器移植
- 拒絶反応に対する治療
- 炎症状態に対する治療(例えば、多発血管炎を伴う肉芽腫症など(ウェゲナー肉芽腫症)
- 重症の低栄養(特に低蛋白)
- 一次性免疫不全(特に重症複合免疫不全)
- 未熟児
症状
検査
- 末梢血液検査:リンパ球数減少。
- 胸部X線検査:肺門から両肺野にかけて微細な網状から索状影を認め、徐々にすりガラス様陰影となる。
- 呼吸機能検査:PaO2 が基準値の 1/2~1/3 に低下。PaCO2 は上昇することもある。
- (USMLE:first aid step1 2006 p.147)
- diagnosed by lung biopsy or lavage
- identified by methenamine silver stain of lung tissue
胸部X線写真
治療
予後
国試
[★]
- 英
- drug-induced hypoglycemia
- 同
- 薬剤性低血糖症
- 関
- 低血糖
低血糖を引きおこす薬剤
- DMR.295
[★]
- 英
- nocardiosis
- 関
first aid step1 2006 p.139
概念
- 日和見感染(白血病、リンパ腫、免疫不全患者)の原因菌(ノカルジア症の半数例)
病原体
感染経路
疫学
病型
- 肺ノカルジア症:肺原発。肺炎、肺膿瘍
- 全身ノカルジア症:肺から血行性に全身に広がり、脳膿瘍、腎膿瘍を呈する
- 皮膚ノカルジア症:菌腫の形成
症状
診断
検査
治療
予後
[★]
- 英
- trimethoprim/sulfamethoxazole-resistant Streptococcus pneumoniae
- 関
- 肺炎球菌、ST合剤
[★]
[★]
- 英
- drug、agent
- 関
- 薬、作用薬、ドラッグ、媒介物、病原体、麻薬、薬剤、薬物、代理人、薬品
[★]