- 英
- acute bronchitis
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気管支炎(きかんしえん、英: Bronchitis)は、呼吸器疾患の一つで気管支の炎症を指す。急性と慢性に区分される。また、別の区分では慢性気管支炎は閉塞性肺疾患にも分類される(気道の狭窄症状、肺の過膨張、喘鳴、呼気延長、1秒率の低下、残気量の増加等)。自身の喫煙や周りの人間による受動喫煙の健康被害により、症状が悪化したり慢性化したりする悪影響がある。
目次
- 1 急性気管支炎
- 1.1 原因
- 1.2 症状
- 1.3 検査
- 1.4 治療
- 2 慢性気管支炎
- 2.1 原因
- 2.2 症状
- 2.3 検査
- 2.4 治療
- 3 脚注
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急性気管支炎
気管支の急性の炎症全般を指す。
原因
- 感染性(ウイルス、細菌)…インフルエンザ、アデノウイルス、百日咳菌、肺炎球菌、A群溶連菌等
- その他…NO2、SO2、塩素ガス、その他気体刺激物等
症状
先駆症状として風邪症状があらわれ、次第に咳や痰等の急性上気道カタル症状を呈する。発熱(軽度)、全身倦怠感、頭が重い等の症状を併発することも多い。また、激しい咳が出る場合は腹部の筋肉痛を訴えることもある。
検査
ただし、胸部X線に異常所見は見られない。
治療
- 去痰剤による痰の除去
- 鎮咳剤による咳の沈静化
- 細菌感染の場合は抗生物質を使用
慢性気管支炎
痰・咳が2年以上連続し、毎年3ヶ月以上継続するものを指す。慢性閉塞性肺疾患(COPD)に含まれる。が肺結核、肺化膿症、気管支喘息、気管支拡張症等の肺・心疾患を伴うものは除外する。また男性に多く、冬期に増加する傾向がある。進行そのものは緩慢で適切な治療を行えば問題は無いが、放置すると肺性心へ進行する事も多いので注意が必要である。
原因
- 内的要因…性(男性)、加齢、外分泌機能の低下、アレルギー素因、呼吸器系素因等
- 外的要因…大気汚染、喫煙、有毒ガス、感染等
症状
- 慢性の痰(粘液性)
- 呼吸困難(呼気性)や運動時の息切れ
- チアノーゼ症状(口唇・爪等)
- ばち指
- 頚動脈怒張
検査
- 胸部X線検査…肺紋理の増強、軌道線状影の出現。
- 気管支造影…気管内腔不整(円柱・数珠状拡張)。
- 喀痰検査による原因菌の発見。
- 呼吸機能検査にて、閉塞性肺疾患所見を見る。
- 胸部聴診にてラ音確認。
- 心電図にて右脚ブロックが確認できる。
治療
- 原因の除去として、転地・転職(大気汚染、職場汚染)や禁煙(喫煙)を行う。
- ネブライザー吸入療法や体位ドレナージによる気道の浄化を行う。ネブライザーの吸入薬剤としては喀痰溶解剤、気管支拡張剤、抗生物質、副腎皮質ステロイド剤等を用いる。
- 起因菌に有効な薬剤(抗生物質等)の投与。
全般的な呼吸不全の対策として、酸素吸入やレスピレーター呼吸、強心利尿剤等の投与を必要とする。
脚注
呼吸器疾患 (ICD-10 J00〜99) |
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疾患 |
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閉塞性肺疾患
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慢性閉塞性肺疾患
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気管支喘息 | 慢性気管支炎 | 肺気腫 | びまん性汎細気管支炎
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拘束性肺疾患
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特発性
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IPF | NSIP | COP | AIP | DIP | RB-ILD | LIP
|
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続発性
|
塵肺 | 放射線肺炎 | 薬剤性肺炎
|
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無気肺 | 気胸 | 血胸
|
|
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形態異常
|
気管支拡張症 | 肺分画症 | 肺嚢胞症
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腫瘍
|
良性腫瘍
|
肺過誤腫 | 硬化性血管腫
|
|
悪性腫瘍
|
低悪性度肺腫瘍 | 原発性肺癌 | 転移性肺癌 | 中皮腫
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アレルギー
|
気管支喘息
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アスピリン喘息
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好酸球性肺炎
|
Löffler症候群 | 急性好酸球性肺炎 | 慢性酸球性肺炎 | 好酸球増加症候群
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|
過敏性肺臓炎 | サルコイドーシス | グッドパスチャー症候群
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肺循環障害
|
肺血栓塞栓症 | 肺性心 | 新生児呼吸窮迫症候群 | 急性呼吸窮迫症候群
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肺代謝異常
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肺胞蛋白症 | 肺胞微石症
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機能的障害
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過換気症候群 | 睡眠時無呼吸症候群
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感染性疾患
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気道感染 |
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上気道 |
風邪
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ライノウイルス - アデノウイルス - パラインフルエンザウイルス - RSウイルス - コロナウイルス - エコーウイルス - エンテロウイルス
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喉頭炎
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急性喉頭蓋炎 - クループ
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咽頭炎
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下気道 |
急性細気管支炎
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肺炎 |
原因
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定型肺炎
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グラム陽性
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肺炎球菌 - 黄色ブドウ球菌
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グラム陰性
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肺炎桿菌 - インフルエンザ菌 - モラクセラ - 大腸菌 - 緑膿菌
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非定型肺炎
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ウイルス性
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RSウイルス - インフルエンザ肺炎 - 重症急性呼吸器症候群
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肺真菌症
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ニューモシスチス肺炎 - クリプトコッカス症 - アスペルギルス症
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レジオネラ菌 - マイコプラズマ - クラミジア肺炎 - オウム病
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抗酸菌症
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結核 - 非結核性抗酸菌症
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機序
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市中肺炎 - 院内肺炎 - 誤嚥性肺炎
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病態
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肺胞性肺炎
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大葉性肺炎 - 気管支肺炎
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化膿性肺炎
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胸壁 |
膿胸
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症候・徴候 |
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異常呼吸
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過呼吸 | 頻呼吸 | 徐呼吸 | 低呼吸 | 多呼吸 | 少呼吸 | 起坐呼吸 | 奇異性呼吸 | クスマウル呼吸 | チェーンストークス呼吸 | ビオー呼吸
|
|
咳嗽 | 痰 | 呼吸困難 | 胸痛 | 胸水 | ばち指 | チアノーゼ
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所見・検査 |
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聴診 | 胸部X線写真 | 胸部X線CT | 気管支鏡 | 胸腔鏡
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呼吸器系の正常構造・生理 |
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気道系 |
解剖学的構造
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上気道
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鼻
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鼻孔 | 鼻腔 | 鼻甲介 | 副鼻腔
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口
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口腔前庭 | 口腔 | 口蓋
|
|
咽頭 - 喉頭
|
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下気道
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気管
|
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気管支
|
主気管支 - 葉気管支 - 区域気管支 - 亜区域気管支
|
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細気管支
|
小気管支 - 細気管支 - 終末細気管支
|
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呼吸細気管支
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ガス交換器
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肺 - 肺胞管 - 肺胞嚢 - 肺胞
|
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顕微解剖学
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I型肺胞上皮細胞 | II型肺胞上皮細胞 | 杯細胞 | クララ細胞 | 気管軟骨輪
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生理学・生化学
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生理学
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肺気量 | 肺活量 | %肺活量 | 残気量 | 死腔 | 1回換気量 | 1秒率 | 肺サーファクタント | SP-A
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生化学
|
PaCO2 | PaO2 | AaDO2 | FiO2 | SpO2 | 呼吸係数および酸素化係数
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血管系 |
肺循環系
|
(右心室 -) 肺動脈 - 毛細血管 - 肺静脈 (- 左心房)
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気管支循環系
|
(胸部大動脈 -) 気管支動脈 - 毛細血管 - 気管支静脈 (- 奇静脈/副反奇静脈)
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運動器系 |
骨格
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肋骨 | 胸骨
|
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呼吸筋
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横隔膜 | 内肋間筋 | 外肋間筋 | 胸鎖乳突筋 | 前斜角筋 | 中斜角筋 | 後斜角筋 | 腹直筋 | 内腹斜筋 | 外腹斜筋 | 腹横筋
|
|
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神経系 |
中枢神経系
|
呼吸中枢 | 呼吸調節中枢 | 前頭葉
|
|
末梢神経系
|
横隔神経 | 肋間神経
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★リンクテーブル★
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- 30歳の男性。乾性咳嗽と労作時呼吸困難とを主訴に来院した。 8か月前と 4か月前に発熱と咳嗽とを自覚し、自宅近くの診療所で急性気管支炎と診断されて抗菌薬を投与され、 5日ほどで軽快した。 2か月前から乾性咳嗽を自覚し同じ診療所で鎮咳薬を処方されたが改善しなかった。 2週前から労作時呼吸困難を自覚するようになり受診した。意識は清明。身長 170 cm、体重 69 kg。体温 36.3℃。脈拍 80/分、整。血圧 110/68 mmHg。呼吸数 22/分。 SpO2 98% ( room air)。舌に白苔を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球 480万、 Hb 15.2 g/dl、Ht43%、白血球 4,800(桿状核好中球 5%、分葉核好中球 74%、好酸球 3%、好塩基球 1%、単球 7%、リンパ球 10% )、 CD4陽性細胞数 60/mm3(基準 800~1,200)、血小板 19万。血液生化学所見:総ビリルビン 0.6 mg/dl、AST 36 IU/l、ALT 15 IU/l、LD 418 IU/l(基準 176~353)、尿素窒素 9 mg/dl、クレアチニン 0.8 mg/dl、KL-62,450 U/ml(基準 500未満 )。免疫血清学所見: CRP 0.4 mg/dl、β-D-グルカン 540pg/ml(基準 10以下 )。動脈血ガス分析 ( room air): pH 7.46、PaCO2 38 Torr、PaO2-93 Torr、HCO3 26 mEq/l。胸部エックス線写真で淡いすりガラス陰影を認める。肺野条件の胸部単純 CT(別冊 No.25A、B)を別に示す。
- 治療薬として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108A051]←[国試_108]→[108A053]
[★]
- 23歳の男性。のどの痛みを主訴に来院した。
- 現病歴:2日前からのどの痛みと発熱とを自覚していた。痛みが次第にひどくなったため23時に救急外来を受診した。痛みが強く唾液を飲み込むことができないため口から吐き出している。
- 既往歴: 15歳時に虫垂炎の手術を受けた。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現 症:意識は清明。体温38.2℃。脈拍92/分、整。血圧124/80mmHg。呼吸数20/分。眼瞼結膜に貧血を認めない。咽頭後壁粘膜はやや発赤しているが、口蓋扁桃の腫脹はみられない。頸部に圧痛を認め、軽度喘鳴を聴取する。心音に異常を認めない。
[正答]
※国試ナビ4※ [106E058]←[国試_106]→[106E060]
[★]
- 23歳の女性。喘鳴と息切れとを主訴に来院した。1年半前から風邪をひくと喘鳴と息切れとが出現し、風邪が治るといつも消失していた。1週前にも同じ症状が出現し、息切れがこれまでで最も強かったが、週末を挟んで症状が軽減してから受診した。身長154cm、体重46kg。体温36.5℃。呼吸数16/分。脈拍80/分、整。血圧112/64mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH7.41、PaO2 86Torr、PaCO2 39Torr。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102H026]←[国試_102]→[102H028]
[★]
- 27歳の男性。咳と痰が止まらず、息苦しくなったので来院した。前日は初秋のハイキングに出かけたが、夕方から風邪ぎみとなった。今朝から、寒気がして咳と痰が出始めた。呼吸が困難となり呼気とともにヒューという音がする。意識は清明。体温36.8℃。呼吸数22/分。脈拍96/分、整。血圧126/78mmHg。肺野全体に金属性の笛を吹くような音が聴取される。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097F007]←[国試_097]→[097F009]
[★]
- 2歳の男児。発熱、咳嗽および喘鳴を主訴に母親に連れられて来院した。今朝から38℃台の発熱と咳嗽が出現した。数時間後には咳嗽は犬吠様となり、吸気性喘鳴と嗄声も出現したため来院した。陥没呼吸を認め胸部にstridorを聴取する。
- 最も考えられる疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110F024]←[国試_110]→[110F026]
[★]
- 小児で吸気時・呼気時の両方の胸部エックス線撮影を行うことが診断に最も有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [095E031]←[国試_095]→[095E033]
[★]
- 英
- salbutamol
- ラ
- salbutamolum
- 化
- 硫酸サルブタモール salbutamol sulfate
- 商
- アイロミール、アスタージス、サルタノール、ベネトリン Ventolin、レナピリン
- 関
- アセチルコリン受容体
特徴
構造
作用機序
- 気管支平滑筋、肝臓のβ2受容体に結合
- (わずかではあるが)心臓のβ1受容体に結合
薬理作用
適応
副作用
- β1受容体も刺激するので心拍数↑
- 日本での報告例はない
- 強心配糖体や利尿薬を服用の患者で問題となる
- 肝臓に発現しているβ2受容体に作用→グリコーゲン分解→血糖値↑
[★]
- 英
- terbutaline
- 化
- 硫酸テルブタリン, terbutaline sulfate
- 商
- ブリカニール、コンボン、Brethine
- 関
- アドレナリン受容体、アセチルコリン受容体
適応
副作用
- β1受容体も刺激するので心拍数↑
- 日本での報告例はない
- 強心配糖体や利尿薬を服用の患者で問題となる
- 肝臓に発現しているβ2受容体に作用→グリコーゲン分解→血糖値↑
[★]
- 英
- trachea (Z), tracheal tube
- ラ
- trachea
- 関
- 気管支、気管支の分岐、肺
解剖
- 長さ12cm、直径2cm (HIS.298)。
- C6椎体-T5椎体 / C6椎体の下部より始まりT4-T5椎体で左右の気管支に分かれる。)
- 喉頭の輪状軟骨の直下から始まり主気管支が分岐するところに終わる。 (HIS.298)
粘膜
- a. 杯細胞 goblet cell 30% 粘液物質の分泌 ムチンmucin
- b. 線毛細胞 ciliated cell 30% 核は基底部に存在 線毛と微絨毛
- c. 基底細胞 basal cell 30% 丈の低い細胞、未分化細胞
- d. その他 刷子細胞、漿液細胞、DNES細胞 など
- 2. 粘膜固有層 疎性結合組織 膠原線維、弾性線維、気管腺(混合腺)
- 3. 粘膜下組織 密生結合組織
- 4. 外膜 気管軟骨 馬蹄形(C字軟骨)後方に開いている。10-12個
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
[★]
- 英
- bronchus / bronchi(pl.) (Z)
- ラ
- bronchus principalis
- 同
- 主気管支 main bronchus、一次気管支 primary bronchus
- 関
- 気管、気管支の分岐、肺区域、区域気管支
-
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
[★]
- 関
- 炎光、炎症
[★]
- 英
- acute
- 関
- 急性的、鋭い、鋭形、急性型