ハロペリドール
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ハロペリドール
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IUPAC命名法による物質名 |
4-[4-(4-chlorophenyl)-4-hydroxy-1-piperidyl]-
1-(4-fluorophenyl)-butan-1-one |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
C |
法的規制 |
℞ Prescription only |
投与方法 |
Oral, IM, IV, depot (as decanoate ester) |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
Approx. 60 to 70% (tablets and liquid) |
代謝 |
hepatic |
半減期 |
12 to 36 hours |
排泄 |
Biliary and renal |
識別 |
CAS登録番号 |
52-86-8 |
ATCコード |
N05AD01 |
PubChem |
CID 3559 |
DrugBank |
APRD00538 |
ChemSpider |
3438 |
KEGG |
D00136 |
化学的データ |
化学式 |
C21H23ClFNO2 |
分子量 |
375.9 g/mol (plain haloperidol) |
ハロペリドール(Haloperidol)は、1957年ベルギーのヤンセン社の薬理学者ポール・ヤンセン(Paul Janssen)がアンフェタミン(覚せい剤)による運動量昂進に対して拮抗する薬物として発見したブチロフェノン系の抗精神病薬である。抗妄想・幻覚作用などを有する。主に中枢神経のドパミンD2受容体を遮断することで作用する。統合失調症の治療薬として多く用いられているものの一つである。統合失調症以外に、躁うつ病、せん妄、ジスキネジア、ハンチントン病、トゥレット障害などにも使用される。
副作用として、パーキンソン症候群(振戦、固縮、小刻み歩行など)、急性および遅発性ジストニア、急性および遅発性ジスキネジア、悪性症候群、高プロラクチン血症、アカシジア(静座不能症)などがある。これらは、本来の標的である中脳辺縁系以外の神経伝達を遮断してしまうことによって生じる。たとえばパーキンソン症候群、高プロラクチン血症は、それぞれ黒質線状体系、下垂体漏斗系のドパミンD2受容体を遮断することで生じる。近年、これらの副作用が比較的少ない非定型抗精神病薬が使用されるようになっている。
日本国内では大日本住友製薬からセレネース®、田辺三菱製薬からリントン®そして後発医薬品(ジェネリック)として共和薬品工業からレモナミン®が発売されている。米国ではHalodol®など。
目次
- 1 用量・用法
- 2 剤形・種類
- 3 副作用
- 4 禁忌
- 5 参考文献
- 6 外部リンク
用量・用法
通常成人1日 0.75mg から 2.25mg から始め、徐々に増量し、維持量として1日3~6mgを経口投与する(経口剤)。 年齢、症状により適宜増減する。
剤形・種類
- 錠剤:0.75mg、1.5mg、1mg、3mg
- 細粒:1%
- 内服液:0.2%
- 注射剤:5mg
副作用
悪性症候群、心室頻拍、悪性イレウス、錐体外路症状、遅発性ジスキネジア、アカシジア、うつになる場合がある、体が重い、のどが異常に乾くなど
禁忌
- 昏睡状態の者
- パーキンソン病の者
- エピネフリンを投与中の者
- 妊娠または妊娠している可能性のある者
- 重症心不全患者
参考文献
- 大日本住友製薬株式会社『医薬品インタビューフォーム セレネース®』2008年4月(改訂第16版)
- 田辺三菱製薬株式会社『医薬品インタビューフォーム リントン®注』2008年3月改訂(第4版)
外部リンク
抗精神病薬 (N05A) |
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定型抗精神病薬 |
ブチロフェノン系: アザペロン Benperidol ブロムペリドール Droperidol Fluanisone ハロペリドール Lenperone Moperone ピパンペロン スピペロン Trifluperidol; Diphenylbutylpiperidines: Clopimozide Fluspirilene Penfluridol Pimozide; フェノチアジン系: アセプロマジン Acetophenazine Butaperazine Carphenazine Chlorproethazine クロルプロマジン Cyamemazine Dixyrazine フルフェナジン レボメプロマジン Mesoridazine Perazine プロペリシアジン ペルフェナジン Piperacetazine Pipotiazine Prochlorperazine プロマジン プロメタジン Propiomazine Sulforidazine Thiethylperazine Thiopropazate Thioproperazine Thioridazine Trifluoperazine Triflupromazine; Thioxanthenes: Chlorprothixene Clopenthixol Flupentixol Thiothixene Zuclopenthixol; Tricyclics: アモキサピン Butaclamol Carpipramine Loxapine Metitepine/Methiothepin Octoclothiepin; Others: Molindone Oxypertine Prothipendyl
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非定型抗精神病薬 |
Azapirones: ペロスピロン Tiospirone; ベンザミド系: Amisulpride Levosulpiride ネモナプリド Remoxipride スルピリド スルトプリド Tiapride Veralipride; ブチロフェノン系: Cinuperone Setoperone; Tricyclics: Asenapine Clotiapine クロザピン Fluperlapine Metitepine/Methiothepin モサプラミン オランザピン クエチアピン Tenilapine ゾテピン; Others: Amperozide アリピプラゾール Bifeprunox ブロナンセリン Cariprazine Iloperidone ルラシドン Ocaperidone パリペリドン Pardoprunox Pimavanserin リスペリドン Sertindole Ziprasidone
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Others |
Cannabidiol D-Cycloserine Mifepristone Reserpine Rimcazole Secretin Talnetant Tetrabenazine Vabicaserin
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
セレネース内服液0.2%
組成
成分・含量
添加物
- パラオキシ安息香酸メチル,パラオキシ安息香酸プロピル,乳酸
禁忌
- 昏睡状態の患者〔昏睡状態が悪化するおそれがある.〕
- バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者〔中枢神経抑制作用が増強される.〕
- 重症の心不全患者〔心筋に対する障害作用や血圧降下が報告されている.〕
- パーキンソン病の患者〔錐体外路症状が悪化するおそれがある.〕
- 本剤の成分またはブチロフェノン系化合物に対し過敏症の患者
- アドレナリンを投与中の患者〔「相互作用」の項参照〕
- 妊婦または妊娠している可能性のある婦人〔「妊婦・産婦・授乳婦等への投与」の項参照〕
効能または効果
- 統合失調症,躁病
- ハロペリドールとして,通常成人1日0.75〜2.25mg(0.375〜1.125mL)から始め,徐々に増量する.
維持量として1日3〜6mg(1.5〜3mL)を経口投与する.
なお,年齢,症状により適宜増減する.
- 本剤を増量する場合は慎重に行うこと.〔本剤の急激な増量により悪性症候群(Syndrome malin)が起こることがある.〕
慎重投与
- 肝障害のある患者〔血中濃度が上昇するおそれがある.〕
- 心・血管疾患,低血圧,またはこれらの疑いのある患者〔一過性の血圧降下があらわれることがある.〕
- QT延長を起こしやすい患者〔QT延長が発現するおそれがある.〕
- 1)QT延長を起こすことが知られている薬剤を投与中の患者
- 2)低カリウム血症のある患者 等
- てんかん等の痙れん性疾患,またはこれらの既往歴のある患者〔痙れん閾値を低下させることがある.〕
- 甲状腺機能亢進状態にある患者〔錐体外路症状が起こりやすい.〕
- 高齢者〔「高齢者への投与」の項参照〕
- 小児〔「小児等への投与」の項参照〕
- 薬物過敏症の患者
- 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者,脳に器質的障害のある患者〔悪性症候群(Syndrome malin)が起こりやすい.〕
- 高温環境下にある患者〔体温調節中枢を抑制するため,高熱反応が起こるおそれがある.〕
重大な副作用
悪性症候群(Syndrome malin)
- 無動緘黙,強度の筋強剛,嚥下困難,頻脈,血圧の変動,発汗等が発現し,それにひきつづき発熱がみられる場合は,投与を中止し,体冷却,水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと.本症発症時には,白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く,また,ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下や,筋強剛を伴う嚥下困難から嚥下性肺炎が発現することがある.
なお,高熱が持続し,意識障害,呼吸困難,循環虚脱,脱水症状,急性腎不全へと移行し,死亡した例が報告されている.〔「用法・用量に関連する使用上の注意」,「慎重投与」の項参照〕
心室細動,心室頻拍
- 心室細動,心室頻拍(Torsades de pointesを含む),QT延長があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,減量または投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
麻痺性イレウス
- 腸管麻痺(食欲不振,悪心・嘔吐,著しい便秘,腹部の膨満あるいは弛緩および腸内容物のうっ滞等の症状)をきたし,麻痺性イレウスに移行することがあるので,腸管麻痺があらわれた場合には,投与を中止すること.なお,この悪心・嘔吐は,本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること.
遅発性ジスキネジア
- 長期投与により,遅発性ジスキネジア(口周部の不随意運動.四肢の不随意運動等を伴うことがある.)があらわれ,投与中止後も持続することがある.抗パーキンソン剤を投与しても,症状が軽減しない場合があるので,このような症状があらわれた場合には,本剤の投与継続の必要性を,他の抗精神病薬への変更も考慮して慎重に判断すること.
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
- 低ナトリウム血症,低浸透圧血症,尿中ナトリウム排泄量の増加,高張尿,痙れん,意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがある1)ので,このような場合には投与を中止し,水分摂取の制限など適切な処置を行うこと.
無顆粒球症,白血球減少,血小板減少
- 無顆粒球症,白血球減少(初期症状として発熱,咽頭痛,全身倦怠等) ,血小板減少(初期症状として皮下・粘膜下出血等)があらわれることがあるので,異常があらわれた場合には,血液検査を行い,投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
横紋筋融解症
- 横紋筋融解症があらわれることがあるので,筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中および尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.また,横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること.
肺塞栓症,深部静脈血栓症
- 抗精神病薬において,肺塞栓症,静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので,観察を十分に行い,息切れ,胸痛,四肢の疼痛,浮腫等が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
肝機能障害,黄疸
- AST(GOT),ALT(GPT),γ-GTP,ALP,ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
薬効薬理
薬理作用
- ハロペリドールはブチロフェノン系の抗精神病剤であり,次のような行動薬理作用を示すことが動物実験で認められている.その作用はフェノチアジン系のクロルプロマジンよりも強く,特に抗アポモルヒネ作用,抗アンフェタミン作用はクロルプロマジンの約30〜40倍の強さである.
- 表4参照
作用機序11〜13)
- 中枢神経系におけるドパミン作動系,ノルアドレナリン作動系等に対する抑制作用が想定されている.
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- 4-[4-(4-Chlorophenyl)-4-hydroxypiperidin-1-yl]-1-(4-fluorophenyl)butan-1-one
分子式
分子量
融点
分配係数
性状
- 白色〜微黄色の結晶または粉末である.酢酸(100)に溶けやすく,メタノールにやや溶けにくく,2-プロパノールまたはエタノール(99.5)に溶けにくく,水にほとんど溶けない.
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- 抗精神病薬
商品
[★]
- 英
- drug-induced hypoglycemia
- 同
- 薬剤性低血糖症
- 関
- 低血糖
低血糖を引きおこす薬剤
- DMR.295
[★]
- 英
- haloperidol
- ラ
- haloperidolum
- 商
- ケセラン、ネオペリドール、ハロマンス、エセックチン、コスミナール、スイロリン、ハロジャスト、ハロステン、ハロミドール、ヨウペリドール、レモナミン、リントン、セレネース、Haldol
- 関
- 抗精神病薬
特徴
- 作用が強力なので統合失調症の急性期によい。
- 催眠作用、自律神経症状、血圧低下などの循環器での急性治療に用いられる。
構造
- C21H23ClFNO2。
作用機序
薬理作用
動態
適応
注意
禁忌
副作用
- フェノチアジン系のクロルプロマジンより抗ムスカリン作用が弱い
相互作用