- ラ
- pemphigus vulgaris, PV
- 関
- 天疱瘡
概念
- デスモグレイン3(Dsg-3)に対する自己抗体による自己免疫疾患
- 表皮内水疱
- 間擦部位に好発する弛緩性水疱と難治性のびらん
- 口腔内の水疱・びらん性病変はほぼ必発
病因
- デスモグレイン3に対する自己抗体。ときにデスモグレイン1に対する自己抗体も存在する → 皮膚粘膜型
病型
- 粘膜優位型 Dsg-3のみ の自己抗体:粘膜が冒される
- 粘膜皮膚型 Dsg-3に加えDsg-1の自己抗体:皮膚と粘膜の両方が冒される
疫学
病理
- 表皮基底細胞直上での棘融解水疱形成.
- 水疱内は少量の好酸球と棘融解細胞
症状
- 初発症状:口腔内水疱。ときに発熱、嘔吐、下痢、違和感、倦怠感など
- 水疱:表皮内水疱。弛緩性水疱。突然に健常皮面にエンドウマメ大ないし鶏卵大の水疱を生じ、数・発生部位は不定。
- 皮膚:Nikolsky現象陽性.
水疱病変
- 水疱は単房性で疱膜が薄く、緊満して内容は無菌・黄色透明であるが、のちに弛緩して混濁、ときに多少の紅暈がある。
- 容易に破れて湿潤性・赤色びらん面を露出し、しばしば血痂・痂皮でおおわれ、触れると疼痛がある。
- 一過性に色素沈着して瘢痕なく治癒するが、再発を反復して数ヵ月-数年にわたり寛解と増悪がある。
検査
- 病変皮膚に抗体の沈着 → Dsg1 and/or Dsg3と反応
- Tzanck検査:陽性
血液
- 赤沈亢進、貧血、白血球・好酸球増加、低タンパク血症、血清Na・Cl ・ Ca減少、K増加
蛍光抗体法直接法
蛍光抗体法間接法
診断
治療
- ステロイド、免疫抑制薬、血漿交換法、DDS、金製剤、
予後
尋常性天疱瘡と落葉状天疱瘡との比較
|
尋常性天疱瘡
|
落葉状天疱瘡
|
天疱瘡のうち占める割合
|
0.65
|
0.25
|
病理
|
基底層直上
|
角膜下
|
皮膚症状
|
弛緩性の大小の水疱と難治性のびらん
|
浅在性の多発する小水疱 容易に破れて鱗屑・痂皮を付着したびらん・紅斑
|
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/03/20 15:43:29」(JST)
[Wiki ja表示]
水疱症(すいほうしょう)とは、水疱(水ぶくれ)やびらんを生じる疾患をまとめて称する(ウイルス性・細菌性疾患や熱傷などの物理的刺激による水疱形成を除く)。遺伝子の異常による先天性のものと、自己免疫によるものに大別される。
目次
- 1 分類
- 1.1 天疱瘡
- 1.2 類天疱瘡
- 1.3 疱疹状皮膚炎
- 1.4 線状IgA水疱性皮膚症
- 1.5 その他の水疱症
- 2 引用文献
- 3 関連項目
- 4 外部リンク
分類
天疱瘡
(英:Pemphigus)
- 尋常性天疱瘡(じんじょうせいてんぽうそう)
- 表皮内基底層直上に水疱ができる疾患である。天疱瘡のうち65%を占め、中高年に多い。口腔内病変が非常に多いのが特徴である。口腔のほか、咽頭、外陰部がよく侵される。Nikolsky現象陽性、Tzanck試験陽性である。蛍光抗体直接法で、表皮細胞間にIgGやC3の沈着を見る。蛍光抗体間接法でも表皮細胞間に陽性となる。デスモグレイン1、デスモグレイン3に対する自己抗体(抗デスモゾーム抗体)によっておこる自己免疫疾患と考えられている。治療は副腎ステロイドの内服(40-60mg/日)となる。治療抵抗性のものでは、免疫抑制剤や血漿交換を行う。
- 落葉状天疱瘡(らくようじょうてんぽうそう)
- 角質層下に水疱ができる疾患であるが、すぐ破損して浅いびらんと紅斑のみとなっていることが多い。デスモグレイン1に対する自己抗体のみを血清中に有し、口腔粘膜病変はほとんどみられることはない。Nikolsky現象陽性、Tzanck試験陽性で蛍光抗体直接法では表皮細胞間にIgG/C3の沈着がある。治療は尋常性天疱瘡に準ずる。
- 増殖性天疱瘡(ぞうしょくせいてんぽうそう)
- 尋常性天疱瘡と同様の部位に同様の症状で始まるがびらん面が再上皮化することなく次第に隆起してくる。表面が乳頭状、しばしば小水疱や小膿疱を有する。治療は尋常性天疱瘡に準ずる。
- 紅斑性天疱瘡(こうはんせいてんぽうそう)
- 顔面正中部を中心とした紅斑を特徴とし体幹にも小水疱・紅斑を主体とする天疱瘡様の皮疹を生じる。デスモグレイン1に対する自己抗体を有し、落葉状天疱瘡に移行することがある(そもそも落葉状天疱瘡の亜型であるとも言われる)。
- 腫瘍随伴性天疱瘡(しゅようずいはんせいてんぽうそう)
- 悪性腫瘍や血液系腫瘍(とくにリンパ球系)に合併して生じる。口腔、眼粘膜が強く侵され(鼻腔、外陰部も)皮疹は多彩であるが比較的限局して生じる。肺疾患を合併することがあり、予後に大きく影響する。
- IgA天疱瘡
- 小水疱、小膿疱よりなる皮疹で、血中に表皮細胞間物質に対するIgA抗体を有する。蛍光抗体直接法で、表皮細胞間にIgAの沈着を認める。(間接法は抗体価によっては陽性とならないこともある)
類天疱瘡
(英:Pemphigoid)
- 水疱性類天疱瘡
- 70歳以上の高齢者に多い水疱症である。表皮真皮境界部のBP180抗原、BP230抗原に対する自己抗体(抗ヘミデスモゾーム抗体)による疾患である。表皮下に水疱ができるいわゆる緊満性水疱の形態をとる。粘膜病変は多くはないが時折見られる。デルマドロームである場合がある。Nikolsky現象陰性、Tzanck試験陰性。蛍光抗体直接法で基底膜部にIgGやC3の線状沈着を認める。1モル食塩水剥離皮膚を用いた蛍光抗体間接法で、基底膜部表皮側に陽性となる。治療はステロイド中等量内服が標準的であるが、軽症であればテトラサイクリン内服とニコチン酸アミドの併用が有効である。
- 粘膜類天疱瘡
- 結膜や口腔などの粘膜に水疱、びらんを繰り返し形成し、瘢痕性に治る。瘢痕性類天疱瘡とも言う。結膜や口腔の他、咽頭、喉頭、食道、尿道、膣、肛門などにも病変を生じる。水疱・びらんー瘢痕治癒を繰り返した部位は放置すると癒着・狭窄を来す。BP180か、ラミニン5に対する自己抗体による疾患である。
疱疹状皮膚炎
- 疱疹状皮膚炎
- 表皮下水疱を生じる水疱症であるが、血清中に基底膜部に対する抗体を持たず、病因ははっきりしない。浮腫性紅斑の周囲に小水疱が環状に配列するのが特徴的である。海外ではセリアック病の合併が多い。蛍光抗体直接法で,真皮乳頭部にIgAの顆粒状ないし細線維状沈着がある。ヨードカリ内服で増悪し、これによる貼布試験で陽性となる。ジアフェニルスルホン(DDS)内服が有効。
線状IgA水疱性皮膚症
- 線状IgA水疱性皮膚症
- 表皮下水疱を生じる水疱症。水疱性類天疱瘡や疱疹状皮膚炎に似た症状を呈する。蛍光抗体直接法で基底膜部にIgAの線状沈着を見る(間接法は抗体価によっては陽性にならないこともある)。DDSやステロイド内服をする。治療には概してよく反応する。
その他の水疱症
- 先天性表皮水疱症
- 遺伝性疾患であり、昭和62年1月1日に難病指定された特定疾患である[1]。遺伝形式と水疱を初発する部位によって、単純型・ヘミデスモソーム型・接合部型(致死型)・栄養障害型に分けられる。臨床症状および責任遺伝子について[2]下に記す。
- 単純型表皮水疱症 (ESB, epidermolysis bullosa simplex)
- 単純型はケラチンKRT5, KRT14やプレクチンの遺伝子変異により表皮内水疱を生じる。ケラチンの変異による同症は、KRT5/KRT14のヘテロ二量体 (KIF, keratin intermediate filament) の形成に重要なドメインに変異が入っており、ケラチン二量体が正常に形成できないことが原因であると考えられている[3]。優性遺伝の場合と劣性遺伝の場合がある。臨床像でさらに3型に分類される。
- ヘミデスモソーム型表皮水疱症 (hemidesmosomal variant of EB)
- ヘミデスモソーム型は主にα6/β4インテグリンの変異が原因となるが、~500kDaの大きな接着分子をコードしているプレクチン遺伝子PLEC1の変異によって発症するケースもある。ヘミデスモソーム型に属するGABEB(generalised atrophic benign EB)では、XVII型コラーゲン/180kDa Bullous pemphigoid抗体(BP180抗原に対する抗体)遺伝子COL17A1/BPAG2の変異により生じる。プレクチン遺伝子異常による同症の場合は筋ジストロフィーを、α6/β4インテグリン遺伝子異常による同症の場合は先天性幽門閉塞症を合併することが知られる。BP180遺伝子異常(ときにラミニン5遺伝子部分異常)による同症は「非致死型接合部型…」と言われる。これを接合部型に含めて称されることも多い。劣性遺伝により遺伝する。
- 接合部型表皮水疱症 (JEB
- junctional epidermolysis bullosa)
- 接合部型は、表皮真皮境界部を構成するラミニン5遺伝子LAMA2, LAMB3, およびLAMC2の変異・欠損により生じ、爪や粘膜も侵されるが、萎縮は残すものの比較的稗粒腫や瘢痕を残さない。Herlitz(致死性)接合部型では、N末端付近にストップコドンが生じており、同遺伝子産物は大きく欠損してしまっている。劣性遺伝によって遺伝する。
- 栄養障害型表皮水疱症 (the dystrophic form of EB)
- 栄養障害型は遺伝形式によりさらに優性栄養障害型、劣性栄養障害型に分かれる。稗粒腫や瘢痕が残る。優性栄養障害型は係留線維形成不全により基底板下に水疱を形成する。劣性栄養障害型は、VII型コラーゲンの欠損・減少により基底板下に水疱を形成する。粘膜侵襲が強い。劣性遺伝の場合と優性遺伝の場合がある。多くは新生児期から乳幼児期にかけて発症し、症状が持続する傾向がある。
- 後天性表皮水疱症
- 緊張性水疱を形成する。基底膜部(厳密には基底板より深部の係留線維)を構成する成分であるVII型コラーゲンに対する自己抗体による自己免疫疾患と考えられている。1モル食塩水剥離皮膚を用いた蛍光抗体間接法で、基底膜部真皮側に陽性となり、水疱性類天疱瘡との鑑別点となる。アミロイドーシス、糖尿病、悪性腫瘍を伴っている場合がある。
引用文献
- ^ 難病情報センター|対象疾患一覧表(公費対象45疾患)
- ^ R Varki, S Sadowski, E Pfendner, J Uitto. Epidermolysis bullosa. I. Molecular genetics of the junctional and hemidesmosomal variants. J Med Genet(2006); 43: 641–652
- ^ Felix B. Müller, Wolfgang Küster, Kerstin Wodecki, Hiram Almeida Jr., Leena Bruckner-Tuderman, Thomas Krieg, Bernhard P. Korge, and Meral J. Arin. Novel and Recurrent Mutations in Keratin KRT5 and KRT14 Genes in Epidermolysis Bullosa Simplex:: Implications for Disease Phenotype and Keratin Filament Assembly, HUMAN MUTATION(2006)
関連項目
- 皮膚科学:代表的疾患・検査が列記されている。
- デルマドローム
- 池田勇人:元日本国首相。若いころに天疱瘡をわずらっていた。
外部リンク
|
この項目は、医学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。 |
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 平井 悠,妹尾 一範,赤木 成子
- 口腔・咽頭科 = Stomato-pharyngology 24(2), 191-197, 2011-06-10
- NAID 10029059039
- Q27 口腔内びらん・潰瘍の鑑別法を教えてください。 (日常診療で盲点となる皮膚科疾患 : 毛,爪,粘膜を中心とするQ&A) -- (粘膜)
- 免疫グロブリン大量療法が有効であった尋常性天疱瘡の4歳例
- 症例報告 ステロイドパルス・大量免疫グロブリン療法が奏効した高齢者重症尋常性天疱瘡の1例
Related Links
- どんな障害か 天疱瘡は普通、前ぶれ(前駆症状)なく、健康な皮膚にいろいろな大きさの水ぶくれ(水疱)ができる病気です。大きなびらんをつくるタイプの尋常性天疱瘡と、小さな水疱ができて落ち葉のような落屑になる落葉状天 ...
- 尋常性天疱瘡の主な症状は、透明で軟らかく、痛みを伴う(ときに圧痛もみられる)、様々な大きさの水疱ができることです。さらに、皮膚を軽くつまんだりこすったりしただけで、皮膚の最も外側の層が下の層から剥がれ、大きく ...
- 尋常性天疱瘡は、デスモグレインという分子に対して免疫グロブリン (IgG) という自己抗体ができてしまうことにより引き起こされます。デスモグレインは上皮細胞(皮膚の表面の細胞)の接着に関与している分子です。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 60歳の女性。全身の皮疹を主訴に来院した。 3か月前から、特に誘因なく全身に痒みを伴う紅斑と水疱とが多発するようになったという。体幹と四肢とに紅斑と水疱とを認める。粘膜疹を認めない。皮膚生検の病理組織では表皮下水疱を認め、蛍光抗体直接法で表皮基底膜部にIgGとC3との線状沈着を認める。食塩水処理皮膚を用いた蛍光抗体間接法で表皮側にIgGの陽性反応を認める。両前腕屈側の写真(別冊No. 21)を別に示す。
- 診断として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106D050]←[国試_106]→[106D052]
[★]
- 55歳の女性。口腔粘膜疹と全身の皮疹とを主訴に来院した。2か月前から口腔粘膜にびらんが出現した。1か月前から全身に径3cmまでの水疱が多発してきた。皮疹の生検組織の蛍光抗体直接法で表皮細胞間にIgGとC3の沈着を認める。口腔内粘膜疹の写真(別冊No.7A)と皮疹の生検組織のH-E染色標本(別冊No.7B)とを別に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107G047]←[国試_107]→[107G049]
[★]
- 62歳の男性。脱毛を主訴に来院した。 6か月前から頭頂部に痒みを自覚するようになったため、市販の副腎皮質ステロイド外用薬を塗布していた。 2か月前から同部位に膿疱を生じ、脱毛も認めるようになったため受診した。膿疱の細菌培養は陰性である。頭部の写真(別冊No. 20)を別に示す。
- 診断として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106I072]←[国試_106]→[106I074]
[★]
- 70歳の女性。口腔内びらんと皮疹とを主訴に来院した。5日前に頭痛と咽頭痛とが生じたため、感冒薬を内服した。3日前から発熱、関節痛、結膜充血、口腔内びらんに加えて、顔面、体幹および四肢に紅色皮疹が出現した。背部の写真と顔面の写真とを以下に示す。考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102A032]←[国試_102]→[102A034]
[★]
- 55歳の女性。水疱とびらんとを主訴に来院した。1か月前から主に前胸部と背部とに水疱とびらんとが出現し徐々に増加している。皮膚病変から採取した組織のH-E染色標本を以下に示す。
- 考えられる疾患はどれか。
顆粒層の下、有棘層に空胞が形成されている。
[正答]
※国試ナビ4※ [098B026]←[国試_098]→[098B028]
[★]
- 55歳の男性。全身の皮疹を主訴に来院した。1か月前から頭部、顔面、頸部および体幹に皮疹が出現し、徐々に拡大してきた。胸部の写真(別冊No. 14A)と皮膚生検のH-E染色標本(別冊No. 14B)とを別に示す。
- 診断として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111A033]←[国試_111]→[111A035]
[★]
- 68歳の男性。口腔内病変と四肢の皮疹とを主訴に来院した。3年前から両側頻粘膜に粘膜疹がある。最近、四肢に皮疹が出現してきた。頬粘膜病変の写真(別冊No.9A)と皮膚病変の写真(別冊No.9B)とを別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105G050]←[国試_105]→[105G052]
[★]
- 6か月の女児。下肢の皮疹を主訴に来院した。在胎40週、2,800gで出生した。出生時には下肢に水疱を多数認めたが、水疱は次第に軽減した。母親は流産歴が2回ある。下肢の写真を以下に示す。考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102A035]←[国試_102]→[102A037]
[★]
- 78歳の男性。口腔内病変と四肢の皮疹とを主訴に来院した。3年前から両側頬粘膜に粘膜疹がある。最近、四肢に皮疹が出現してきた。頬粘膜病変の写真と皮膚病変の写真とを以下に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101H023]←[国試_101]→[101H025]
[★]
- 40歳の女性。2か月前から口腔内粘膜疹、1か月前から全身に径3cmまでの水疱が出現してきた。口腔内粘膜疹の写真と水疱の病理組織HE染色標本とを以下に示す。診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [095C030]←[国試_095]→[095C032]
[★]
- 検査器具の写真(別冊No.2)を別に示す。
- この検査器具が診断に有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104D002]←[国試_104]→[104D004]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [102A010]←[国試_102]→[102A012]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [108F006]←[国試_108]→[108F008]
[★]
[★]
- 英
- pemphigoid
- 関
- 水疱症
表皮下水疱症(類天疱瘡群) (NDE.218)
- 自己免疫性水疱症(後天性水疱症) autoimmuno blistering disease
-
代表的な天疱瘡と類天疱瘡の比較
[★]
- erratic adj. adj. 軌道の定まらない。一貫性のない、不安定な、不規則な
- bowel motion 腸運動、排便
- fit adj. adj. 体調がよい、健康で
- emaciated adj.
- glisten vi. ぴかぴか光る
- dislodge
- palliative
- erythema multiforme 多形紅斑
- dermatitis herpetiformis 疱疹状皮膚炎
- itch 痒み
- itching
- celiac disease セリアック病
- herpes gestationis 妊娠性疱疹
- 皮膚の水疱
- 83歳 男性
- 主訴:皮膚と口内における多数の水疱
- 現病歴:水疱は2日前より出現。水疱は破れやすく、赤色の有痛性病変が残る。3ヶ月前から5kg体重が減少しており、食欲が減退している。患者は体調の不調を自覚してた。排便習慣が不規則になり、排便にいくらか血液を認めた。
- 既往歴:生来、健康であり、既往なし。
- 生活歴:一人住まい
- 嗜好歴:喫煙・飲酒無し
- 服薬歴:処方薬なし。マルチビタミンタブレットは体調の不調を感じてから薬局で購入している。これ以外て薬を購入していない。
- 身体所見 examination
- 全身:emaciateで調子悪そうである
- 皮膚:全身の皮膚に水疱
- 口内:びらん(sore)あり sore→有痛性のびらん・潰瘍
- 脈拍:102/min、irregularly irregular → 不規則な不整脈 → ( )
- 血圧:160/78 mmHg
- 上記以外、心臓、呼吸器系に異常を認めない。
- 腹部触診:6cmの硬い結節を肝の辺縁に触知。可動性のある硬性の腫瘤を左腸骨窩に触知。
- 直腸診:鮮血色の血液と糞便の混合物が認められる
- 検査 examination
- 低値:Hb, MCV,Alb
- 高値:AlP
- Q1. まず皮膚病変の診断をつけろ。
- Q2. 次に皮膚病変と患者の病態を関連づけてみろ。
- A. 尋常性天疱瘡
- 特徴:表皮内水疱、弛緩性水疱、ニコルスキー現象、口内びらん、
- ・病因:癌腫、リンパ腫、胸腺腫、全身性エリテマトーデス、特定の薬物(ペニシラミン、カプトプリル)などによる
- 治療:ステロイド、免疫抑制薬
- 鑑別疾患
- ・水疱性類天疱瘡:緊満性水疱、水疱は尋常性天疱瘡に比べて破れにくく大型になりやすい。
- ・多形性紅斑:中心に水疱を伴った的形病変(target-shaped lesion with central blisters)。よく全身紅皮症と粘膜潰瘍と伴う(スティーブン・ジョンソン症候群)。病因は単純ヘルペスウイルス、薬剤(スルフォナミド)、悪性腫瘍。
- ・疱疹状皮膚炎:肘、膝、顔面に小水疱病変(vesicular lesion)が形成される。vesicleはblister(<0.5cm)より小さく、ひっかくことで破裂する。非常にかゆい。セリアック病に合併することがある
- ・その他の疾患
- ・糖尿病
- ・妊娠性疱疹
- ・家族性水疱疾患
- まとめ
- ・悪性腫瘍に合併しうる(→腫瘍の存在下で皮膚病変が出現したのであれば腫瘍随伴性天疱瘡と診断されるべき)、
- ・天疱瘡は気づかないうちに体液を喪失し、あるいは水疱からの感染の結果としての敗血症が生命を脅かす。
[★]
- 英
- human leucocyte antigen, HLA
- 同
- ヒト白血球型抗原、HLA抗原 HLA antigen、ヒト組織適合性白血球抗原 human histocompatibility leukocyteantigen
- 主要組織適合抗原 MHC ← 免疫との関連はこちらを参照
- 関
- 骨髄バンク、HLA抗原
疾患との関連
出典不明
強直性脊椎炎
|
B27
|
関節リウマチ
|
DR4
|
重症筋無力症
|
DR9,DQ3
|
尋常性天疱瘡
|
A26,DR4
|
バセドウ病
|
DR5
|
I型糖尿病(インスリン依存性糖尿病)
|
B54,DR4,DR9,DR53,DQ4
|
グレーブス病
|
DR5
|
ベーチェット病
|
B51
|
原田病
|
DR4,DR53
|
潰瘍性大腸炎
|
B52,DR2
|
クローン病
|
DR4,DQ3
|
高安病
|
B52,DR2,DQ1
|
バージャー病
|
B52,DR2,DQ1
|
ナルコレプシー
|
DR2
|
first aid step1 2006 p.191
まとめ
[★]
[★]
- 英
- bullous disease、vesiculobullous skin disease
- 関
- 水疱性皮膚症、角層下膿疱性皮膚症
-
-
-
- Dowling-Meara型(重症型)
- Kobner型(中等症型)
- Weber-Cockayne型(軽症型)
- 筋ジストロフィー合併型
- Herlitz型
- 非Herlitz型
- 幽門閉鎖症合併型
- Hallopeau-Siemens劣性型
- 非Hallopeau-Siemens劣性型
- 優性型
- 自己免疫性水疱症(後天性水疱症) autoimmuno blistering disease
-
[★]
- 英
- pemphigus
- 関
- 水疱症
概念
- 表皮細胞間物質に対する自己抗体によって棘融解が生じる自己免疫疾患(NDE.211)であり、皮膚・粘膜における著明な水疱形成を特徴とする。
病因
疫学
- 多くは中高年に好発するが、新生児に特異的、腫瘍に随伴、薬物に誘発、あるいは地域特性がある天疱瘡がある。
病理
代表的な天疱瘡と類天疱瘡の比較
|
尋常性天疱瘡
|
落葉性天疱瘡
|
水疱性類天疱瘡
|
年齢
|
中年~老年
|
中年
|
老年(若年もあり)
|
好発部位
|
口腔粘膜、全身
|
全身
|
全身
|
臨床像
|
皮膚所見
|
水疱、びらん
|
びらん、葉状落屑、
|
緊満性水疱、浮腫性紅斑、掻痒
|
粘膜浸潤
|
++
|
痂皮
|
+
|
Nikolsky 現象
|
+
|
-
|
|
病理組織像
|
所見
|
表皮内水疱 (棘融解)
|
表皮下水疱 好酸球の浸潤
|
Tzanck 試験
|
+
|
+
|
|
棘融解部位
|
表皮下層(基底細胞直上)
|
表皮上層(顆粒層)
|
|
抗原
|
Dsg3 のみ、 Dsg3 と1 の共存
|
Dsg1 のみ
|
BP180、BP230
|
ELISA
|
Dsg1(+または-)、Dsg3(+)
|
Dsg1(+)、Dsg3(-)
|
|
蛍光抗体法所見
|
直接法(病変部皮膚)
|
表皮細胞間に IgG、C3 陽性
|
病変部基底膜部に IgG とC3 の線状沈着
|
間接法(血清中)
|
抗表皮細胞間物質抗体(IgG)陽性
|
抗基底膜抗体の検出
|
治療
|
ステロイド、免疫抑制薬、血漿交換療法、γ グロブリン療法
|
ステロイド内服、免疫抑制薬、DDSなど
|
参考
- 1. [charged] Pemphigus - uptodate [1]
[★]
- 英
- smallpox
- 関
- 天然痘、痘瘡