- ☆case53 意識障害
- ■glossary
- unkempt
- adj.
- 1.not combed: unkempt hair. ← 櫛を入れていない、もじゃもじゃの、ぼさぼさの
- 2.uncared-for or neglected; disheveled; messy: unkempt clothes; an unkempt lawn. ← だらしのない、きちんとしていない(服装、外見、芝生)
- 3.unpolished; rough; crude. ← 粗野な、洗練されない
- ambulance
- n.
- 救急車、傷病者運搬車。病院船。傷病兵輸送機。(軍と共に移動する)野戦病院
- (formerly) a field hospital ← 救急部?
- pavement
- n.
- 舗道(opp. dirt road。(特に舗装した)人道、歩道(side walk)。車道 (roadway)。舗装、舗床(用材)。舗石状の構造物
- packet
- n.
- 小さな束、小包、ひと包み(pack)。ひとくくり、一軍
- 一回に配送される郵便物。(データ通信)パケット
- 郵便船、定期船
- ■症例
- History:
- The patient have been found unconscious.
- He have a used packet of paracetamol and higydrocodeine.
- Examination:
- Tendon reflexes: present, equal. (The ankle reflexes are absent.)
- Investigation:
- Temperature: 35.1℃, GCS 10/15
- ECG
- ■意識障害(昏睡から傾眠までの連続的な状態を包括的に表すものであろう)
- 意識障害を呈する患者に対してどのような疾患を鑑別に挙げるべきか?
- ・系統的に(IMD.237)
- 1. 脳原発の疾患(一次性)
- a. テント上病変(脳幹の圧迫性病変ないし脳ヘルニアをきたす疾患)
- 1) 脳血管障害:脳出血、脳梗塞
- 2) 硬膜下血腫
- 3) 脳腫瘍:原発性、転移性
- 4) 脳膿瘍
- b. テント下病変(脳幹網様体の障害)
- 1) 脳幹出血、脳幹梗塞、小脳出血、小脳梗塞、脳腫痛、多発性硬化症など
- c. びまん性病変
- 1) くも膜下出血、中枢神経感染症:髄膜炎、脳炎、 播種性血管内凝固症候群など
- 2. 全身疾患に伴う病態(二次性)
- a. 代謝性またはびまん性病変
- 1) ショック:心筋梗塞、大出血など
- 2) 薬物、毒物
- 3) 無酸素ないし低酸素血症
- 4) DIC、全身性感染症:敗血症など
- 5) 肝不全、腎不全、糖尿病性高血糖、重症肝炎、内分泌疾患など
- 6) 低血糖、ビタミンB1欠乏: Wernicke脳症
- 7) 脳振盪、てんかん大発作後
- 8) 酸塩基平衡および電解質異常
- 9) 栄養障害
- 10) 低体温症
- b. 心因性無反応
- 1) ヒステリー、統合失調症
- ■WHO3段階除痛ラダー
- 世界中の癌患者を疼痛から解放する目的でWHOが作成した鎮痛薬治療法。
- (http://medical.radionikkei.jp/suzuken/final/030918html/index.htmlより引用)
- 本症例では、この患者は何らかの慢性的な疼痛に悩まされていたと考えられる。
- ■アセトアミノフェン中毒(PPC.896f)
- ・メカニズム
- アセトアミノフェンの多くは、肝細胞で起こる薬物代謝のII相(抱合、加水分解)でグルクロン酸アセトアミノフェンや硫酸アセトアミノフェンになって排泄される。残りの少量のアセトアミノフェンはP450やプロスタグランジンH合成酵素により酸化されてN-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(N-acetyl-p-benzoquinoneimine, NAPQI)ができる。これは肝臓毒性を有する。NAPQIはグルタチオンと結合して毒性のないグルタチオン抱合物質になる。グルタチオンが枯渇するとNAPQIの肝毒性が現れてくる。アセトアミノフェン中毒の解毒薬としてN-アセチルシステインが用いられる。これはグルタチオンの前駆物質であり、肝細胞でのグルタチオン濃度を高める。
- ・増悪させる要素(GOO.694)
- CYPの発現が誘導された状態(ex. 多量のアルコール飲用)、グルタチオン濃度が不足した状態(絶食、栄養不良)
- ・病態(GOO.694)
- 急性中毒症状は服用後2日で出現する;胃部不快感 gastric distress(悪心、腹痛、食欲不振)。血中トランスアミナーゼは服用後12-36時間に上昇し始める。中毒量のアセトアミノフェンを服用後2-4日のうちに肝障害の臨床的な徴候?(clinical indications)が出現する。右季肋部痛、圧痛を伴う肝腫大、黄疸、凝血異常。腎機能低下や軽度の腎不全も出現することがある。肝臓逸脱酵素(liver enzyme)の異常は3-4日の間でピークとなる。肝性脳症や凝血異常の悪化は予後不良を示す。致命的ではない症例では肝臓の障害は可逆的で、週~月の単位で回復する。
- ・病理
- 肝生検を行うと、中心帯壊死 centrilobular necrosisが認められる。門脈域は正常に保たれている。
- そういえば、090716 III 消化器系 で薬物性肝障害のことをやりました。
- ■ジヒドロコデインの中毒症状
- ・ジヒドロコデインとは
- 麻薬性中枢性鎮咳薬。鎮痛薬(弱オピオイドに分類される)
- リン酸コデインより強い鎮咳・鎮痛作用を有し、特に鎮咳作用はリン酸コデインの2倍、呼吸抑制作用はモルヒネに比べて弱い。 鎮咳作用:コデインの約2倍。 鎮痛作用:コデインより強。
- ・急性オピオイド中毒(GOO.574)
- 三徴:昏睡 coma, 針先瞳孔 pinpoint pupils, 呼吸抑制 depressed respiration
- pinpoint pupil
- ・瞳孔の最大径が1mmないしそれ以下であるが、対光反射その他の瞳孔の反射は保たれている強度の縮瞳状態。
- ・瞳孔への交感神経支配の完全な喪失時、またはエディンガー-ウェストファルの副交感神経性瞳孔収縮中枢の刺激時に認められ、橋出血、脳幹部梗塞(脳底動脈閉塞症など)、モルヒネ・アヘン・バルビタール中毒などにおいてみられる。
- 意識:軽度の意識障害~深昏睡
- 呼吸:呼吸数減少~無呼吸。チアノーゼを呈していることもある。呼吸数が減少すると血圧は最初はほぼ正常だが次第に低下。
- 血圧:次第に低下
- 瞳孔:対称性に縮瞳。重度の低酸素症が持続すると散瞳するかもしれない。
- 尿量:減少
- 体温:低下
- 皮膚:冷や汗。ひんやりとして湿った(cold and clammy)
- 骨格筋:弛緩(顎、舌(舌が気道をふさぐことがある))。乳児・小児の場合、痙攣がありうる。
- ・急性オピオイド中毒による死亡の原因
- ほとんどが呼吸不全。呼吸が拝復しても昏睡中の合併症により死亡することがある;肺炎、ショック。合併症として、非心原性の肺浮腫が一般的に見られる。
- ・診断
- 急性オピオイド中毒の三徴。注射痕の存在。尿、胃内容物の検査(これら検査は治療方法の決定に反映させるまでに時間がかかりすぎるけど・・・)。
- ■体温
- 口腔温:36.8±0.4 ℃
- 部位:直腸(口腔温度より0.4℃高い) > 口腔 > 腋窩
- ■低体温 hypothermia
- 偶発的な低体温は中核体温(core body temperature)の35℃以下への意図しない低下によって起こる。この温度では、体温を保とうとする多くの生理学的な補償機構が破綻し始める温度である。(HIM.135)
- ・分類(HIM.135)
- 1) primary accidental hypothermia: 健常人が寒冷にさらされた事による
- 2) secondary hypothermia: 重篤な全身性疾患の合併症として起こってくる。死亡率が高い。
- ・リスクファクター(HIM.135)
- 年齢:高齢、新生児
- 環境:職業、スポーツ、服装、immersion
- 中毒、薬剤:エタノール、フェノチアジン、バルビツール酸、麻酔薬、筋弛緩薬、抗うつ薬、癌腫症
- エネルギー枯渇:栄養失調症、マラスムス、クワシオルコル
- 内分泌:糖尿病、低血糖、甲状腺機能低下症、副腎機能低下症、下垂体機能低下症
- 神経関連:脳血管疾患、下垂体障害、パーキンソン病、脊椎損傷
- 多臓器:外傷、敗血症、ショック、肝不全、腎不全
- やけど、剥脱性皮膚疾患
- 不動、衰弱
- ・検査 ICU.615改
- ・動脈血ガス、血清電解質(特にカリウム)、凝固能、腎機能が重要
- ・凝固能:低体温の患者では臨床所見で凝固能の異常が見られるにもかかわらず、臨床検査(PT, APTTの延長)が正常
- ・電解質:ふるえや横紋筋融解による骨格筋からカリウムが遊離したため。血清クレアニチンは上昇することがある(寒冷利尿(ADHに対する尿細管の反応性低下?)、横紋筋融解、急性腎不全などによる)
-
- ・心電図
- ・あらゆる調律障害を呈する;房室ブロック(I度, II度, 完全)、洞性徐脈・接合部徐脈(PQ時間の延長、QT時間の延長)、心室固有調律、心房性期外収縮、心室性期外収縮、心房細動、心室細動、陰性T波
- ・低体温患者の約80%は、心電図上QRS-ST移行部に顕著なJ波を示す → オズボーン波 Osborn wave (ICU.615)。
- ・全身の著しい低体温時には心室内伝導遅延が発生し、QRS終末部に著明な結節とJ部分の上昇J波にST上昇を伴ったOsborn波が見られる。J波はQRSとST部分の接合部で上に凸の波形を示し、低体温では特にV3, V4に顕著に認められる。J波の高さは低体温の程度と挿管すると言われている(心電図の読み方パーフェクトマニュアルp.187)。
- ・オズボーン波は低体温に特異的なものではなく、高カルシウム血症、くも膜下出血、脳の損傷、心筋虚血でも生じうる(ICU.615)。J波は低体温に特徴的(CASES)。J波は早期再分極症候群でも起こる(心電図の読み方パーフェクトマニュアルp.43,44,188)。J波は低体温に特徴的だけど特異的ではないってことかー。
- ・オズボーン波の診断的価値はない(ICU.615) → だって他の所見(体温の測定)で診断つくでしょ。
- ・治療
- ・加温した膠質液を補液しつつ、緩徐かつ受動的な復温(0.5-1.0/℃)(CASES)
- ・ブランケットをかけるなどする。もしこれできなければ吸入酸素を加温、加温した輸液を投与(warm intravenous sluids)、膀胱洗浄、腹膜洗浄(CASES)
- ・drug and physical disturbance should be limited, 心筋が被刺激性が高まっており、不整脈となりやすいためである。(CASES)
- ■答え
- (第一パラグラフ)意識障害の鑑別診断
- (第二パラグラフ)薬物中毒の可能性
- ・ジヒドロコデイン?瞳孔は?呼吸は?
- ・パラセタモール?
- ・アルコール?
- ・検査:薬物の血中濃度測定
- (第三パラグラフ)脳血管障害の可能性は?
- ・否定的
- (第四パラグラフ)代謝性の疾患による可能性
- ・高浸透圧高血糖症候群?尿糖との整合性は?
- ・検査:血液生化学(BUN、電解質、腎機能)
- (第五パラグラフ)ECGの解釈。低体温。
- ・低呼吸数 + 低血圧 + ECG → 低体温?
- ・ECG → wide complex → QRS複合の後ろにJ点が存在 → J波 = 低体温症に特徴的で、体温が正常になると消失
- ・呼吸数は低下するし、震えにがECGに反映されることがある。
- (第六パラグラフ)低体温の管理
- ■KEY POINTS
- ・低体温をきたしうる一因として甲状腺機能低下症が考慮されるべき
- ・アルコールが意識消失の原因であるときでも、他の原因を除外しろ
- ・低体温の診断には低温まで読むことができる温度計が必要(水銀体温計は低温は× → 電子式プローブ)
- ・ECG上のJ波は低体温の特異的な徴候
- ・老人の低体温はゆっくりとした受動的復温(?)(gradual passive rewarming)である。
- ■参考文献
- HIM = Harrison's Principles of Internal Medicine 17th Edition
- CASES = 100 Cases in Clinical Medicine Second edition
- IMD = 内科診断学第2版
- DIF = Differential Diagnosis in Primary Care Fourth Edition
- PPC = Principles of Pharmacology: The Pathophysiologic Basis of Drug Therapy
- GOO = Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics
WordNet
- not properly maintained or cared for; "an unkempt garden"; "native vistas and unkempt rambling paths"; "an ukempt appearance"
- not neatly combed; "wild unkempt hair"
- an alphabetical list of technical terms in some specialized field of knowledge; usually published as an appendix to a text on that field (同)gloss
PrepTutorEJDIC
- (髪が)くしを入れてない,もどゃもどゃの / (服装・外見などが)だらしがない
- (ある特殊な主題・分野の)用語辞典 / (巻末などに付けた)語い集,用語集
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- Trichophyton tonsurans 感染症100例の臨床的検討
- 篠田 英和,関山 華子,西本 勝太郎
- 西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology 71(1), 53
- NAID 10025619416
- 武田 浩志
- 肩関節 31(2), 385-387, 2007
- … 180 cases of ARCR(mean age 59 years old, range 21 to 79 years old, 127 males, 53 females) were performed between March 2003 and February 2006 by a single surgeon. … The operative time decreased rapidly during the first 100 cases. … The operative time rapidly decreased during the first 100 cases. …
- NAID 130000104238
- p53 Protein Expression in Grade II Astrocytomas : Immunohistochemical Study of 100 Cases with Long-Term Follow-Up
- VITAL Anne,LOISEAU Hugues,KANTOR Guy,DAUCOURT Valentin,CHENE Genevieve,COHADON Francois,ROUGIER Alain,RIVEL Janine,VITAL Claude
- Pathology, research and practice 194(12), 831-836, 1998-12-01
- NAID 10020451774
- 乳頭状腎癌の研究 : 臨床病理学的・免疫組織学的特徴とタイプ分け
- 大野 芳正,伊藤 貴章,辻野 進,藍沢 茂雄,鈴木 正章
- 日本泌尿器科學會雜誌 88(6), 587-595, 1997-06-20
- (背景と目的)乳頭状腎癌は,分子生物学的に非乳頭状腎癌とは異なるとされている。今回われわれはその臨床病理学的特徴,免疫組織学的態度について検討することを目的とした。(対象と方法)34例の乳頭状腎癌と7例の乳頭状腺腫に対してレクチン類とサイトケラチン・上皮性抗原・Tamm-Horsfall蛋白に対する抗体を用いて染色を行った。(結果)病理組織学的に腫瘍細胞と血管軸の特徴から2つのタイプに分けられた。 …
- NAID 110003088968
Related Links
- ... 53. by TheKoba49 762 views 8:53 Giraud/Fluxeon Annealer - Duration: 0:17. by Giraud Tool Company 11,006 views 0:17 Ballistic Edge 360 Case Annealer - Duration: 3:12 ...
- Objective: To describe the causes and characteristics of hypoglossal nerve palsy. Design: A review of 26 years of personal experience in a large public hospital. Results: Twelfth-nerve palsies usually appear as signs rather ...
- ... 53% showed degenerative spine or disc disease, 14% space occupying lesions, 13%, congenital lesions, 7% infection, and 7% other conditions. The MR myelogram contributed additional information in 50-74% cases. The ...
★リンクテーブル★
[★]