- ラ
- lichen planus
- 同
- 扁平紅色苔癬 lichen ruber planus、紅色苔癬 lichen ruber
- 関
- 角化症
概念
- 頂上に白色の角質(鱗屑)をつけた多角形の、境界明瞭な灰青色から紫紅色調の扁平隆起性紅斑または丘疹を特徴とする、角化異常を示す皮膚疾患
- 四肢屈側や口腔に扁平で隆起した灰青色~紫紅色の局面を形成
病因
- 潜在性に進行する(insidiously)。体部のどこ病変がでもみられる。口腔粘膜の病変は30-70%の症例でみられる。粘膜病変は有痛性であり、潰瘍化する。ベーターブロッカー、メチルドパ、ペニシラミン、キニジン、NSAID、ACE阻害薬、SU薬、カルバマゼピン、金製剤、リチウム、キニンが本疾患と関連している。(参考1)
- 薬剤、化学物質、金属アレルギーでも起こりうる(NDE.251)。
- 慢性GVHD:ドナーのT細胞による宿主表皮基底層に対する障害による。
病理
症状
- 皮膚、爪、粘膜(口腔粘膜)、外陰、陰茎に皮疹が出現する。皮膚には扁平で隆起した灰青色~紫色の局面を形成 (NDE.250)
- 時に掻痒感 (NDE.251)
- びらん、潰瘍を形成すれば疼痛 (参考1)
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身体所見
治療
- 薬剤性の場合は原因薬剤の中止。
- ステロイド軟膏、タクロリムス軟膏
参考
- 1. [charged] Lichen planus - uptodate [1]
- 2. Lichen Planus | Health | Patient UK
- http://www.patient.co.uk/health/Lichen-Planus.htm
国試
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/01/29 08:58:56」(JST)
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扁平苔癬(へんぺいたいせん、lichen planus)とは、皮膚や口腔粘膜に生じる疾患の一つ。角化亢進(錯角化、正角化)が見られ、棘細胞層の肥厚を伴う炎症性の角化病変である。苔癬とは一定範囲内での丘疹の集簇を意味する。湿疹に苔癬化という言葉があるが苔癬となるという意味ではなく、慢性炎症の結果、表皮が肥厚することであり、苔癬化は苔癬とは全く関係がない。
目次
- 1 皮疹
- 2 原因
- 3 検査
- 4 病理組織
- 5 治療
- 6 出典
- 7 脚注
- 8 関連項目
- 9 外部リンク
皮疹
皮膚では栗粒大の扁平なスミレ色の丘疹が多発する。口腔粘膜ではレース状や網目状の白斑として現れ,定型的なものは両側頬粘膜にみられる。慢性に経過し、症状の軽快と増悪を繰り返す。口腔粘膜に出来るものは希に癌化することがあり[1]、白板症との鑑別が必要である。一方、皮膚病変は癌化しない。
原因
明らかな原因は判明していない。しかし、遺伝的素因のある人では表皮基底細胞に対するT細胞性の自己免疫反応や、薬剤が原因となるとされている。
細菌やウイルスによる感染、薬物、歯科用金属アレルギー[2]、ストレスなどが考えられている。口腔内の病変に関しては、C型肝炎ウイルス(HCV)感染による肝臓外病変の一形態であるとする報告がある[3]一方、C型肝炎治療に使用されるインターフェロンの投与との関連性を指摘する報告もある[4]。
原因となる事がある薬剤は、β-ブロッカー、NSAID、ACE阻害薬、スルホニルウレア、金製剤、抗マラリア薬、ペニシラミン、チアジド。
検査
診断には専門医による病理組織学検査が必要である。口腔内の病変には金属アレルギーのパッチテストが行われる。
病理組織
病変は上皮下結合組織には帯状にリンパ球(killer T cell)が浸潤し,基底細胞は、融解から消失まで種々の程度に障害され、上皮と結合組織の境界が不明瞭となる。上皮突起は不規則な鋸歯状となり,上皮表層は角化が亢進する。また、上皮細胞には、好酸性球状であるシバッテ小体(コロイド小体)などを認める。これらの組織像は遅延型過敏症や移植片対宿主病と類似している。
治療
- ビタミンA投与、ステロイド剤[5]、光線療法。しかし、個々の薬剤がいつも決まった効果を示すわけではないとする見解がある。
出典
脚注
- ^ 癌化した舌扁平苔癬の1例 日本口腔外科学会雑誌 Vol.38 (1992) No.12 P1867-1868
- ^ 歯科金属 (水銀) 除去により治癒した爪変形を伴った口腔内と下肢の扁平苔癬の1例 皮膚 Vol.37 (1995) No.2 P252-256
- ^ 口腔癌患者における肝炎ウイルスの持続感染とその臨床的意義 日本口腔科学会雑誌 Vol.49 (2000) No.2 P112-121
- ^ C型慢性肝炎における口腔扁平苔癬とインターフェロン治療との関連に関する臨床的検討 日本消化器病学会雑誌 Vol.97 (2000) No.5 P568-574
- ^ 西山茂夫:口腔粘膜疾患 扁平苔癬 耳鼻咽喉科展望 Vol.40 (1997) No.5 P508-509
関連項目
- 腫瘍/膿瘍/嚢胞
- 皮膚/口腔
- 口腔病理学/病理学
- 口腔外科学/外科学
- 歯科医師/医師
- 皮膚科学
外部リンク
- 口腔扁平苔癬の臨床病態の検討 日本口腔外科学会雑誌 Vol.39 (1993) No.4 P462-468
- 口腔粘膜扁平苔癬における免疫組織学的検討 耳鼻と臨床 Vol.37 (1991) No.3 p.566-570
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- MS2-6 当院における扁平苔癬患者115例の検討(MS2 アトピー性皮膚炎,皮膚アレルギー,ミニシンポジウム,第23回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- 抗BP180抗体陽性Lichen Planus Pemphigoides の1例 (特集 水疱症)
- 口内炎 (日常診療でよくみる症状・病態--診断の指針・治療の指針) -- (口内・歯の異常)
Related Links
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★リンクテーブル★
[★]
- 57歳の女性。口腔内の白色病変を主訴に来院した。約2週間前から、のどの違和感を自覚していたがそのままにしていた。昨日、鏡で見ると口蓋垂の周辺が点状に白くなっていることに気付いた。ざらざらとする違和感はあるが咽頭痛や発熱はない。約2年前から気管支喘息のため気管支拡張薬と副腎皮質ステロイド吸入薬を使用している。身長 157cm、体重 63kg。尿所見と血液所見とに異常を認めない。白色病変を綿棒でこすると剥離可能である。口腔、咽頭の写真(別冊No. 23)を別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111I071]←[国試_111]→[111I073]
[★]
- 68歳の女性。粘膜部のびらんと全身の発疹とを主訴に来院した。 5日前、風邪症状に対して市販の総合感冒薬を内服した。 2日間内服を続けたところ、 3日前から結膜充血と口腔内びらんとに加えて、顔面、体幹および四肢に紅斑とびらんとが出現した。初診時、全身の80%に紅斑が見られ、こすると容易にびらんを形成した。顔面の写真(別冊No. 6A)と、背部の紅斑をこすって生じたびらんの写真(別冊No. 6B)とを別に示す。
- 診断として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106I039]←[国試_106]→[106I041]
[★]
- 23歳の女性。発熱と発疹とを主訴に来院した。10日前から微熱と咽頭痛とがあり、イブプロフェンを含有する市販感冒薬を内服していた。3日前から顔面と体幹とに紅斑を認め、眼球結膜の充血と口腔粘膜のびらんとが出現した。体温38.2℃。体幹の一部の紅斑は標的様で、中央に水疱を形成している。
- 考えられる疾患はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D049]←[国試_105]→[105D051]
[★]
- 68歳の女性。20年前から躯幹と四肢とに大小の皮疹が散在性に多発し、次第に硬く触れるようになり、最近一部が隆起してきたため来院した。時々掻痒がある以外には自覚症状はない。背部の写真と生検組織H-E染色標本とを以下に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [095D033]←[国試_095]→[095D035]
[★]
- 68歳の男性。口腔内病変と四肢の皮疹とを主訴に来院した。3年前から両側頻粘膜に粘膜疹がある。最近、四肢に皮疹が出現してきた。頬粘膜病変の写真(別冊No.9A)と皮膚病変の写真(別冊No.9B)とを別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105G050]←[国試_105]→[105G052]
[★]
- 42歳の女性。両手掌と足底の皮疹の悪化を主訴に来院した。1年前から両手掌と足底とに皮疹が繰り返し出現している。半年前から両側胸鎖関節部に痛みがある。手足の写真(別冊No. 6A、B)を別に示す。
- 最も考えられる疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109A024]←[国試_109]→[109A026]
[★]
- 78歳の男性。口腔内病変と四肢の皮疹とを主訴に来院した。3年前から両側頬粘膜に粘膜疹がある。最近、四肢に皮疹が出現してきた。頬粘膜病変の写真と皮膚病変の写真とを以下に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101H023]←[国試_101]→[101H025]
[★]
- 検査器具の写真(別冊No.2)を別に示す。
- この検査器具が診断に有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104D002]←[国試_104]→[104D004]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [099E009]←[国試_099]→[099E011]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [110I034]←[国試_110]→[110I036]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105B007]←[国試_105]→[105B009]
[★]
- (1) 成年に始まった魚鱗癬では悪性腫瘍の合併を疑う
- (2) 局面性類乾癬では菌状息肉症への移行に注意する
- (3) 粘膜の扁平苔癬は白板症に移行する
- (4) 尋常性乾癬では表皮のturnover timeが延長する
- (5) 毛孔性苔癬は下腿伸側に好発する。
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [100B011]←[国試_100]→[100B013]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103D010]←[国試_103]→[103D012]
[★]
[★]
- a. 皮疹は紫紅色である
- b. 扁平な丘疹である
- c. 痒みがある
- d. 口腔粘膜にも生じる
- e. 2-3週間で自然消退する
[★]
- 英
- keratosis
- 同
- 角化異常症 keratotic disorder、角皮症 keratodermia
- 関
- 遺伝性掌蹠角化症
-
-
-
-
-
- 局面状類乾癬parapsoriasis en plaque
- 苔癬状粃糠疹
[★]
- 英
- paraneoplastic pemphigus
- 関
- 天疱瘡
概念
病因
症状
- 重度の皮膚粘膜病変:眼病変(偽膜性角結膜炎)や口腔内水疱を伴う。
- 皮膚病変は多型性紅斑、水疱性類天疱瘡、扁平苔癬に似ている
診断
- (腫瘍が見つかっていない場合)重症の口腔内水疱病変と非典型的な皮膚所見から疑い、腫瘍の検索を行う。
治療
予後
- 進行性であり、悪性腫瘍合併しているときは二年間以内に致命的な結末をもたらす。悪性新生物に合併しているときは原疾患の治療を改善しないが、良性新生物の場合は原疾患の治療により皮膚病変が治癒する。
参考
- Beth G Goldstein MD et al.; Pemphigus; UpToDate; review version 18.2
[★]
- 英
- syringoma
- 同
- 発疹性汗腺腫 eruptive hidradenoma、発疹性汗管腫 eruptive syringoma
- 関
- 汗腺系腫瘍
臨床写真
- 参考1より引用
概念
- 主として表皮内エクリン汗管への分化を示す良性腫瘍。
- エクリン汗腺の真皮内汗管が限局性に増殖した結果、皮膚色~褐色の1-3mm大の小丘疹を生じる。
- 下眼瞼部に好発するが、それ以外にも体幹前面、腋窩、外陰部にも生じうる。対称性に生じる。
- 体幹前面に播種状に多発した場合は発疹性汗腺腫とよばれる。
疫学
- 女性に多い
- 汗の分泌が増加する思春期以降に顕著となる。
症状
鑑別診断
- 参考1.
診断
治療
- 無治療でも問題ないが、美容上問題となる場合には自由診療で治療対象となりうる。
- CO2レーザー療法での焼灼が有用であると報告されている。
- 凍結療法も有用とされる
予後
- 無治療で問題なく、悪性化しないが、自然消退しない。
参考
- 1. Cutaneous Syringoma: A Clinicopathologic Study of 34 New Cases and Review of the Literature
- https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3726900/
[★]
- 英
- chronic graft-versus-host disease、chronic GVHD
- 同
- (国試)慢性GVHD
- 関
- 移植片対宿主病 GVHD、扁平苔癬
- PED.172 NDE.133 uptodate.1
- 移植後100日以降に出現。
- 全身の臓器が標的となる。
- 口腔(口内炎、異味感、無味感、異常刺激、乾燥性口内炎、舌の扁平苔癬様変化・びらん・潰瘍)、眼(痒み、充血、涙分泌低下)、皮膚(乾燥、硬化、びらん、潰瘍、扁平苔癬、白斑など)、肝臓(肝臓胆道系酵素上昇)、気道(閉塞性細気管支炎(BO)、器質化肺炎をともなう閉塞性細気管支炎(BOOP)、間質性肺炎)などに症状が出現する
参考
uptodate
- 1. [charged] 慢性移植片対宿主病の臨床症状および診断 - uptodate [2]
- 2. [charged] 慢性移植片対宿主病の治療 - uptodate [3]
国試
[★]
- 関
- 皮膚疾患、皮膚
疾患の概念とか忘れやすいのでメモ
- 魚鱗癬:角質層の形成と剥脱機構に異常が生じ、結果として角質層の異常堆積が起こり、皮膚表面が魚のウロコ状を呈する疾患群
- 乾癬:慢性再発性難治性の炎症性角化症。青年から中年に好発。厚い銀白色の麟屑を伴った紅斑・丘疹が出没、表皮の炎症と表皮細胞のターンオーバーの亢進を認める。