- 英
- Campylobacter
- 関
- 細菌
- らせん状グラム陰性菌
- 人畜共通感染症
- コルク栓抜き様運動
- 微好気性細菌:酸素濃度3-5%下で良好な増殖
- 診断:分離培養 Skirrow培地(ポリミキシンB,トリメトプリム,バンコマイシンなど)
カンピロバクター属
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/02/07 09:23:21」(JST)
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カンピロバクター |
C. フェタスの電子顕微鏡写真
|
分類 |
ドメ
イン |
: |
真正細菌 |
門 |
: |
プロテオバクテリア門
Proteobacteria |
綱 |
: |
εプロテオバクテリア綱
Epsilonproteobacteria |
目 |
: |
カンピロバクター目
Campylobacterales |
科 |
: |
カンピロバクター科
Campylobacteraceae |
属 |
: |
カンピロバクター属
Campylobacter |
|
学名 |
Campylobacter
Sebald and Véron 1963 |
種 |
|
カンピロバクター(Campylobacter)は、グラム陰性でらせん状に湾曲した形態を示す真正細菌の一属の総称である。一般的には1982年に食中毒菌として指定された Campylobacter jejuni と Campylobacter coli を指すなどカンピロバクター症の原因菌として呼ばれることが多い。
学名はギリシア語で「曲がった」を意味する形容詞καμπύλοςと、ラテン語で「細菌」を意味するbacterを合成したもので、「曲がった細菌」という意味を持つ。ラテン語の発音を転写すると、カンピュロバクテール(カンピロバクテル)である。
菌体は、長さ0.5 - 5µm、幅0.2 - 0.8µm程度の桿状であるが、全体がらせん状に1 - 2回ねじれたらせん菌であり、顕微鏡下ではS字状、またはカモメ状(seagull)に観察される。芽胞を形成せず、菌体の一端または両端に一本の極鞭毛を持ち、運動性がある。微好気性または嫌気性で、酸素濃度 3 - 15% 及び 30 - 37℃の条件で増殖する。菌種によっては二酸化炭素や水素ガスを発育に必要とするものがあるが、至適条件は菌株により異なる。乾燥には弱い。
目次
- 1 生態
- 2 カンピロバクター属菌
- 3 関連項目
- 4 脚注・参考文献
- 5 外部リンク
|
生態
カンピロバクター属菌は一般に動物の腸管、生殖器、口腔などに常在する、獣医師の間では家畜類の流産菌として約100年前から知られていた[1]。2007年現在、カンピロバクター属は17菌種 6亜種 3生物型を確認している[2]。一部 C. jejuni , C. coliはヒトの食中毒の原因となる。増殖に際し、炭素源としてアミノ酸や有機酸を利用し炭水化物は利用しない。また、硝酸塩を還元する[1]。
近年、世界的にキノロン系およびテトラサイクリン系薬剤に対する耐性獲得が報告されている。1993年 - 1994年の調査によれば耐性頻度は15% [3][4]。特に、薬剤投与歴のないヒトの下痢患者から耐性菌が分離されており、家畜由来の耐性菌で有ると考えられている[1]。
カンピロバクター属菌
- C. coli、C. concisus、C. curvus、C. fetus(タイプ種)、C. gracilis、C. helveticus、C. hominis、C. hyointestinalis、C. insulaenigrae、C. jejuni、C. lanienae、C. lari、C. mucosalis、C. rectus、C. showae、C. sputorum、C. upsaliensis
代表的菌種
- カンピロバクター・ジェジュニ (Campylobacter jejuni)
- 長さ0.5 - 5µm、幅0.2 - 0.4µm
- カンピロバクター・コリと共に、ヒトに胃腸炎症状を主とするカンピロバクター症を引き起こす。ヒトに感染するカンピロバクターの大半がこれである。続発的にギラン・バレー症候群を起こすことがある。
- 家畜、野鳥、野生動物、ヒトを宿主とする。
- カンピロバクター・コリ (Campylobacter coli)
- カンピロバクター・ジェジュニと同様の症状を引き起こす。ジェジュニと同じく、ヒトに感染して症状を引き起こすが、患者の糞便から検出されるのはまれである。
- 家畜、野鳥、サル、ヒトを宿主とする。
- カンピロバクター・フェタス (Campylobacter fetus)
- ヒトに感染すると、敗血症や心内膜炎、関節炎や髄膜炎を引き起こす。
- ウシ、ヒツジ、カメ、ヒトを宿主とする。
- Campylobacter sputrum
- ウシ、ヒトを宿主とする。
関連項目
脚注・参考文献
- ^ a b c カンピロバクター感染症 モダンメディア 51巻3号 2005
- ^ Campylobacter 属の分類 国立感染症研究所 感染症情報センター
- ^ カンピロバクター腸炎 The Topic of This Month Vol.20 No.5(No.231) 国立感染症研究所 感染症情報センター
- ^ キロノン剤に対する耐性株 1997年カンピロバクター血清型別レファレンスグループ
- 吉田眞一、柳雄介、吉開泰信編『戸田新細菌学』改訂33版(南山堂、2007年)ISBN 9784525160135
外部リンク
- カンピロバクターの分類と現状 (IASR Vol.27 p 170-171:2006年7月号) 国立感染症研究所 感染症情報センター
- 牛レバーはどの程度カンピロバクターに汚染されているのですか? 厚生労働省
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 食中毒検査から分離されたカンピロバクター菌株の解析結果
- 下痢症患者由来カンピロバクター属菌の発生状況と遺伝子学的解析(口述発表,制度改革をめぐって-保健・医療・福祉の場合-,2006年度青森県保健医療福祉研究発表会抄録)
- 桜庭 恵,和栗 敦,澤田 譲,三上 稔之,阿部 幸一,畑山 一郎,工藤 幸生,月足 正辰,齋藤 雅明,竹内 敏博
- 青森県立保健大学雑誌 8(1), 164-165, 2007-06
- 国立情報学研究所の「学術雑誌公開支援事業」により電子化されました。
- NAID 110006978262
- 小児下痢症患者と動物からのカンピロバクター属菌の分離状況とその疫学的解析
Related Links
- カンピロバクター属の菌は、1913年に流産をした牛から初めて分離され、ビブリオ様の菌であったため、当初は、ビブリオ・フィタス(Vibrio fetus)と命名されました。しかしその後、ビブリオ属菌との化学的性状や遺伝学的性状の ...
- ドイツ語のウィキペディアja.wikipedia.orgで、カンピロバクター属に関する記事が直近の30日間に閲覧された回数は17回でした。 (更新日: 2014年1月13日)
- 生態 カンピロバクター属菌は一般に動物の腸管、生殖器、口腔などに常在する、獣医師の間では家畜類の流産菌として約100年前から知られていた [1]。2007年現在、カンピロバクター属は17菌種 6亜種 3生物型を確認している [2]。
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- bacterium,(pl.) bacteria
- 同
- バクテリア
- 関
- 特殊な細菌 、細菌の鑑別、細菌の同定?、細菌の分類?
細菌の命名
- ラテン語であり、イタリックで表す。
- 「属名 + 種名」で表現される。
グラム染色性と形状による分類と疾患
[★]
- 関
- 食中毒
細菌性食中毒
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科
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属
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種
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法律
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特徴
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季節性
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感染
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毒素
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症状
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原因食品
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潜伏期間
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経過
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治療
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予防
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感染型
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グラム陰性桿菌
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腸内細菌科
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サルモネラ属
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再興感染症
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新生児・乳児での接触感染
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菌体内毒素
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下痢(粘液、水様で緑色)、嘔吐、腹痛、急激な発熱(38-40℃)
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レバー刺身、生肉、焼き鳥、生卵、ハム、ソーセージ、魚肉練り製品、乳製品、あん
|
6-48時間(平均12時間)
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1-3日
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対症療法
|
加熱、二次感染の予防(ネズミ、ゴキブリの駆除)
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グラム陰性らせん菌
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カンピロバクター属
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Campylobacter jejuni
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|
初夏(5-6月)
|
まな板、包丁などによる2次感染
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菌体内毒素
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下痢(水樣、腐敗臭)、腹痛、嘔吐、発熱、まれに敗血症
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肉類、生乳、水(家畜の屎尿による汚染)
|
2-5日(まれに10日)
|
1-2週間
|
対症療法、エリスロマイシン
|
加熱、ペットからの感染予防
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|
Campylobacter coli
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グラム陰性桿菌
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腸内細菌科
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サルモネラ属
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チフス菌
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グラム陰性桿菌
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腸内細菌科
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サルモネラ属
|
パラチフス菌
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グラム陰性桿菌
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腸内細菌科
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シゲラ属
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赤痢菌
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生体内毒素型
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グラム陰性桿菌
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ビブリオ科
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ビブリオ属
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コレラ菌
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グラム陰性桿菌
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腸内細菌科
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エシェリキア属
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腸管出血性大腸菌
|
3種感染症
|
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経口感染
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ベロ毒素
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激しい腹痛を伴う頻回の水樣便、溶血性尿毒症候群や脳症の合併により重症化
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加熱不足の牛肉の摂食(牛乳、フルーツ、汚染野菜)
|
3-4日
|
|
|
75℃1分の加熱で菌は死滅する
|
グラム陰性桿菌
|
ビブリオ科
|
ビブリオ属
|
腸炎ビブリオ
|
|
耐熱性毒素、好塩菌、真水、酸に弱い
|
夏季
|
生板・包丁などによる二次感染。成年男子に多い
|
|
激しい下痢(水様、粘血便)、上腹部激痛、発熱(-38℃)
|
刺身、漬け物
|
10-20時間(平均13時間)
|
2-3日
|
対症療法
|
加熱(60℃, 10分)、冷蔵(10℃以下)、水洗い。まな板、包丁の洗浄
|
グラム陽性桿菌
|
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クロストリジウム属
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ウェルシュ菌
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土壌、水、ヒトおよび動物の腸管に常在、嫌気性菌、芽胞形成
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エンテロトキシン
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下痢、腹痛、吐き気
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畜肉および魚肉とその加工品、動物性蛋白質を用いて調理後、長期保存されていた食品(カレー、シチューなど)
|
8-22時間
|
|
|
肉類、魚介類の脹内容物からの汚染防止。長時間保存する場合、加熱調理後冷蔵庫内にて保存。再加熱を十分に行う。
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毒素型
|
グラム陽性桿菌
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バシラス属
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セレウス菌
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芽胞形成、芽胞形態で自然に広く存在。食品腐敗変敗細菌
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|
エンテロトキシン
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嘔吐型: 吐き気、嘔吐
|
米飯、チャーハン、スパゲティ
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1-5時間
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低温保存、長期保存を避ける
|
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下痢型: 下痢
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食肉製品、スープ、プリン、野菜
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8-12時間
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グラム陽性桿菌
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クロストリジウム属
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ボツリヌス菌
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|
嫌気性細菌、致命率が高い。芽胞形成。
|
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|
ボツリヌス毒素(80℃, 数分で無毒化)
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悪心、吐き気、めまい、頭痛、腹痛、下痢。眼症状(眼瞼下垂、複視、視力低下、瞳孔散大)、神経・筋症状(言語障害、嚥下障害、呼吸困難)
|
缶詰、瓶詰(魚、獣肉、野菜、果実)、いずし、ハム、ソーセージ、からしレンコン)
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12-36時間
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抗毒素血清治療
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野菜などの水洗い、魚の内臓による汚染を防ぐ
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グラム陽性球菌
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スタフィロコッカス属
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黄色ブドウ球菌
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ヒト常在菌(皮膚、口腔、粘膜、鼻咽頭粘膜)。化膿傷、咽頭炎、ニキビ、風邪の症状時には病巣となる
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耐熱性エンテロトキシン
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激しい吐き気、嘔吐、腹痛、下痢
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おにぎり、柏餅、シュークリーム、生クリーム
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0.5-6時間
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1-3日
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化膿巣のある人を調理に従事させない。低温保持(5℃以下)
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食中毒菌
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起炎菌
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潜伏期間
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原因食
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発熱
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腹痛
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嘔気・嘔吐
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下痢
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その他
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感染性食中毒
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腸炎ビブリオ
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5-24hr 平均10hr
|
魚介類(加工品) 6-9月に多い
|
++
|
+++
|
++
|
+++
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ショック 心筋障害
|
サルモネラ
|
7-72hr 平均12-24hr
|
肉、卵、サラダ
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+++
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++
|
+
|
++
|
ショック 敗血症
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カンピロバクター
|
2-5日
|
鶏肉、牛肉、牛乳 5-7月に多い
|
++
|
+
|
++
|
++
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|
病原性大腸菌
|
1-3日 平均24hr
|
牛肉が多い
|
++
|
+
|
++
|
+
|
|
毒素性食中毒
|
ブドウ球菌
|
0.5-6hr 平均3hr
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乳製品、かまぼこ、氷小豆、 夏季に多い
|
±
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+
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+++
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+
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エンテロトキシンによるショック
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ボツリヌス菌
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2hr-8日
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いずし、キャビア
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-
|
+
|
+
|
±
|
神経症状 眼症状
|
[★]
- 英
- Guillain-Barré syndrome Guillain-Barre syndrome GBS
- 同
- (国試)Guillain-Barre症候群
- 急性炎症性脱髄性多発神経根ニューロパチー acute inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy AIDP
- 感染性多発神経炎 infective polyneuritis infectious polyneuritis、急性炎症性多発ニューロパシー acute inflammatory polyneuropathy
- 関
- 免疫介在性ニューロパチー
病型
- SPE.645
- ギラン・バレー症候群:経過中に蛋白細胞解離が見られたもの
症状
- 知覚異常:(初発)腰痛、手足のしびれ感。感覚障害は軽度にとどまる
- 運動神経:下肢末梢から左右対称性、上行性の弛緩麻痺。腱反射消失
- 自律神経:自律神経の障害による症状(不整脈、洞性頻脈、血圧の変動、発汗異常)が見られることがある。
検査
-
- 抗原:GM1、GQ1b(→Fisher症候群と関連)、GD1a、GalNAc-GD1a、ガラクトセレブロシド
- 蛋白細胞解離。発症から1週間後の患者の80-90%の患者で見られる。近位神経根のレベルで血液神経関門の透過性が亢進したことによるのかもしれない(increased permeability of the blood-nerve-barrier at the level of the proximal nerve roots)。(参考1)
治療
- 免疫吸着療法(プラスマフェレーシス):侵襲の大きさから大量ガンマグロブリン静注療法が行われることが多いらしい。
- 大量ガンマグロブリン静注療法(高ガンマグロブリン大量静注法)
予後
- 予後良好:2週間程度で極期に達し徐々に回復する。しかしながら約5%の例で死亡、約10%の例では重篤な機能障害を残す。(IMD)
関連疾患
参考
- 1. [charged] Clinical features and diagnosis of Guillain-Barré syndrome in adults - uptodate [1]
- 2. [charged] Treatment and prognosis of Guillain-Barré syndrome in adults - uptodate [2]
国試
[★]
- 英
- Campylobacter enteritis
- 関
- カンピロバクター属、食中毒菌
病原体
疫学
症状
- 腹痛、下痢(水様便、時に血便)、嘔吐などの胃腸炎を呈する。
参考
- 1. [charged] カンピロバクター感染の微生物学、病因、および疫学 - uptodate [3]
- 2. [charged] カンピロバクター感染の臨床症状、診断、治療 - uptodate [4]
[★]
- 日
- カンピロバクター・ジェジュニ
- ラ
- Campylobacter jejuni, C. jejuni
- 関
- カンピロバクター属、細菌
細菌学的特徴
感染症
後遺症
[★]
- 関
- ST合剤
スルファメトキサゾールとトリメトプリムの合剤
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6290100D1088_1_01/6290100D1088_1_01?view=body
- ニューモシスチス肺炎予防のためのスルファメトキサゾール・トリメトプリム投与量の検討
- http://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/ajrs/006020053j.pdf
[★]
- 英
- donkey
- 関
- ウマ、シマウマ、ウマ科、ラバ
[★]
カンピロバクター属