- 英
- gonorrhea (US)(oは発音しない), gonorrhoea (UK?)
- ラ
- gonorrhoea
- 同
- 淋疾 (淋病の方がよく使われるらしい)、gonococcal infection、gonococcal infections
- 関
- 淋菌、細菌、性感染症
- 淋菌 Neisseria gonorrhoeaeによって起こる性病、性感染症
特徴
病原体
疫学
潜伏期間
感染経路
症状(SMB.215)
- 著明な排尿痛を伴った尿道炎(急性前部尿道炎)に始まり膿性分泌物(外尿道口からの乳白色から黄色の排膿)を排出。潜伏期は2-5日。発熱は大抵ない。 →淋菌性尿道炎
- 進展すると後部尿道炎、精巣炎、前立腺炎、精巣上体炎を合併。発熱を来す。
- 菌血漿を来たし、関節炎などを併発することもある
- 子宮頚管炎/頚管炎。尿道炎、バルトリン腺炎、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤腹膜炎等の骨盤内炎症性疾患(pelvic inflammatory diseases, PID)に進展 →不妊、子宮外妊娠などの原因。
- 婦人科的炎症症状(膿性帯下、不正性器出血、性交痛、下腹部痛など)を呈する
- 半数近くが不顕性。
合併症
経過
検査
培養
治療(SMB.215)
- 第一選択:ペニシリン系抗菌薬。
- ペニシリナーゼ産生淋菌 penicillinase-producing N. gonorrhoeae PPNG:βラクタマーゼ阻害薬を合剤した合剤ペニシリン
- スペクチノマイシン、セフトリアキソンも評価されている
- ニューロキノロン耐性淋菌20-60%
予防
WordNet
- a common venereal disease caused by the bacterium Neisseria gonorrhoeae; symptoms are painful urination and pain around the urethra (同)gonorrhoea, clap
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/04 17:45:49」(JST)
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淋病(りんびょう)は、淋菌 (Neisseria gonorrhoeae) の感染により起こる感染症である。STD、性病に認定されている。感染率は約30%である。1984年をピークに減少したが、1990年代半ばから増加しつつある。性器クラミジア感染症と同時感染(淋病患者中20 - 30%)している場合も多い。
淋は「淋しい」という意味ではなく、雨の林の中で木々の葉からポタポタと雨がしたたり落ちるイメージを表現したものである。淋菌性尿道炎は尿道の強い炎症のために、尿道内腔が狭くなり痛みと同時に尿の勢いが低下する。その時の排尿がポタポタとしか出ないので、この表現が病名として使用されたものと思われる。
古代の人は淋菌性尿道炎の尿道から流れ出る膿を見て、陰茎の勃起なくして精液が漏れ出す病気(精液漏)として淋病をとらえ、gono=「精液」 、rhei=「流れる 」の意味の合成語gonorrhoeaeと命名した。
- 感染症法における取り扱い(2003年10月の感染症法改正に伴い更新)
淋菌感染症は5類感染症定点把握疾患に定められており、全国約900カ所の性感染症定点より毎月報告がなされている。[1]
目次
- 1 感染経路
- 2 臨床所見
- 2.1 症状
- 2.2 診断
- 2.3 治療
- 2.4 予防
- 3 患者数
- 4 参考文献
- 5 脚注
- 6 外部リンク
感染経路
性行為・オーラルセックスにより感染する。出産時に母子感染を起こす。性交や性交類似行為で感染する。[1]タオルからの感染も報告されている。淋菌は弱い菌で、患者の粘膜から離れると数時間で感染性を失う。[1]
臨床所見
症状
感染後数時間から数日で発症する。[2] 咽頭の場合は咽頭炎、性器の場合は、淋菌性尿道炎(男性のみ)、子宮頚管炎(女性のみ)を起こす。感染部位は、咽頭・性器などの粘膜のほか、尿道、子宮頸部、直腸などの内膜や、眼の結膜を侵す。[3] 咽頭の感染では、あまり症状は見られない。
- 男性の場合は多くは排尿時や勃起時などに激しい痛みを伴う。しかし、場合によっては無症状に経過することも報告されている。[1]
- 女性の場合は数週間から数カ月も自覚症状がないことが多い。症状があっても特徴的な症状ではなく、単なる膀胱炎や膣炎と診断されることがある。[2] 放置すると菌が骨盤内の膜、卵巣、卵管に進み、内臓の炎症、不妊症、子宮外妊娠に発展する場合もある。[3] 咽頭や直腸の感染では症状が自覚されないことが多く、これらの部位も感染源となる。[1]
- 新生児は出産時に母体から感染する。両眼が侵されることが多く、早く治療しないと失明するおそれがある。病原体は血流に乗って身体の各所に広がることもあり、関節、肝臓を覆う膜、心臓の内部が感染する(心内膜炎)場合も有る。[3]
- 淋菌感染症は何度も再感染することがある。[1]
診断
- 感染している女性のうち淋菌を確認できるのは60%程度。男性の感染者の場合は、陰茎からの分泌物サンプルを調べれば90%以上で診断がつく。[3] のどや直腸の感染症が疑われる場合も、これらの部位のサンプルを採取し、培養検査を行う。
- 淋菌は死滅し易いことなどから検体の取り扱いに注意が必要である。採取と培養に於いては、乾燥や温度変化を避けて保存や輸送を行う。検体採取後直ちに培養ができない場合には、必須である。尿はそのまま室温にて迅速に検査室へ輸送する。淋菌検体は採取した日に分離培養することが原則で、長時間放置してはならない。生殖器以外からの分離菌に対しては、菌種の同定を行うことが必要である。[1]
- 淋菌感染症では血清診断法は有用でない。[1]
治療
- 男性の場合は泌尿器科・性病科、女性の場合は産婦人科・性病科を受診。咽頭感染の場合は耳鼻咽喉科。
- スペクチノマイシン、セフォジジム等の抗生物質の投与で治癒する。治癒に要する期間は3日~数週間。抗生物質は医師に処方された分をきちんと服用しきることが大切。途中で服薬を中止すると、再び淋菌が勢いを盛り返し、完治しないだけでなく耐性菌の出現を誘発してしまう場合も有る。ただし近年は抗生物質の乱用から高い耐性を持つ耐性菌が蔓延しつつある。耐性菌に感染した場合は、長期にわたる可能性がある。国や地域により、治療で多く使用される抗菌薬やその使用方法が異なるため、耐性菌の検出率も異なってくる。[1]
予防
- VD(性行為感染症)である本病は禁欲が最大の予防策である。次善の策としては、不特定多数(確率的にその中に感染者が含まれているため)との性行為の自粛である。
- コンドームの着用である程度予防することができるが100%ではなく、また、口から口へという経路などは防ぐことができない。
患者数
「横浜市感染症発生動向調査における淋菌感染症の男性患者の年齢分布(2000年)」によれば、28%が25 - 29歳と多く、次いで、23%が30 - 34歳、21%が20 - 24歳の順。[2] 女性の数が男性より極端に少数であることについては、女性は自覚症状に乏しく受診の機会が少ないことも要因の一つと考えられる。[1]
参考文献
性感染症 STD 南山堂
脚注
- ^ a b c d e f g h i j 2002年第22週号 感染症の話-淋菌感染症 国立感染症研究所 感染症情報センター
- ^ a b c 淋菌感染症(淋病)について 横浜市衛生研究所感染症・疫学情報課
- ^ a b c d 淋菌感染症 メルクマニュアル家庭版
外部リンク
- 淋病感染症届け出基準-広島市
- ForSex - 淋病の症例写真
日本の感染症法における感染症 |
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一類感染症 |
エボラ出血熱 - クリミア・コンゴ出血熱 - 痘そう - 南米出血熱 - ペスト - マールブルグ病 - ラッサ熱
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二類感染症 |
急性灰白髄炎 - 結核 - ジフテリア - 重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る) - 中東呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る) - 鳥インフルエンザ (H5N1) - 鳥インフルエンザ (H7N9)
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三類感染症 |
コレラ - 細菌性赤痢 - 腸管出血性大腸菌感染症 - 腸チフス - パラチフス
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四類感染症 |
E型肝炎 - ウエストナイル熱 - A型肝炎 - エキノコックス症 - 黄熱 - オウム病 - オムスク出血熱 - 回帰熱 - キャサヌル森林病 - Q熱 - 狂犬病 - コクシジオイデス症 - サル痘 - 腎症候性出血熱 - 西部ウマ脳炎 - ダニ媒介脳炎 - 炭疽 - チクングニア熱 - つつが虫病 - デング熱 - 東部ウマ脳炎 - 鳥インフルエンザ(鳥インフルエンザ(H5N1及びH7N9)を除く) - ニパウイルス感染症 - 日本紅斑熱 - 日本脳炎 - ハンタウイルス - Bウイルス病 - 鼻疽 - ブルセラ症 - ベネズエラウマ脳炎 - ヘンドラウイルス感染症 - 発しんチフス - ボツリヌス症 - マラリア - 野兎病 - ライム病 - リッサウイルス感染症 - リフトバレー熱 - 類鼻疽 - レジオネラ症 - レプトスピラ症 - ロッキー山紅斑熱 - 重症熱性血小板減少症候群(病原体がフレボウイルス属SFTSウイルスであるものに限る)
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五類感染症 |
アメーバ赤痢 - ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く) - 急性脳炎(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く) - クリプトスポリジウム症 - クロイツフェルト・ヤコブ病 - 劇症型溶血性レンサ球菌感染症 - 後天性免疫不全症候群 - ジアルジア症 - 先天性風しん症候群 - 梅毒 - 破傷風 - バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症 - バンコマイシン耐性腸球菌感染症 - 風しん - 麻しん - 侵襲性インフルエンザ菌感染症 - 侵襲性髄膜炎菌感染症 - 侵襲性肺炎球菌感染症 - RSウイルス感染症 - 咽頭結膜熱 - A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 - 感染性胃腸炎 - 水痘 - 手足口病 - 伝染性紅斑 - 突発性発しん - 百日咳 - ヘルパンギーナ - 流行性耳下腺炎 - インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く) - 急性出血性結膜炎 - 流行性角結膜炎 - 性器クラミジア感染症 - 性器ヘルペスウイルス感染症 - 尖圭コンジローマ - 淋菌感染症 - クラミジア肺炎(オウム病を除く) - 細菌性髄膜炎 - マイコプラズマ肺炎 - 無菌性髄膜炎 - ペニシリン耐性肺炎球菌感染症 - メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症 - 薬剤耐性アシネトバクター感染症 - 薬剤耐性緑膿菌感染症
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UpToDate Contents
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- 1. 合併症のない淋菌感染の治療 treatment of uncomplicated gonococcal infections
- 2. 成人および思春期における淋菌感染症の臨床症状および診断 clinical manifestations and diagnosis of neisseria gonorrhoeae infection in adults and adolescents
- 3. 播種性淋菌感染 disseminated gonococcal infection
- 4. 淋菌感染の疫学および病因 epidemiology and pathogenesis of neisseria gonorrhoeae infection
- 5. 新生児における淋菌感染症 gonococcal infection in the newborn
Japanese Journal
- 高齢者も要注意! 薬が効かない!一生治らない!? 日本発「スーパー淋病」の恐怖
- 梅毒・淋病(淋菌感染症)と妊娠 (特集 産婦人科性感染症とその対策) -- (性感染症と妊娠)
- 種本 香,原田 小夜,大籠 広恵 [他],安孫子 尚子,永井 ひろ子
- 聖泉看護学研究 2, 89-96, 2013-04
- … 率67.5%)であった.対象者の96.2%が性感染症の学習経験があった.疾患の症状に関する知識は,HIV/AIDSは91.3%,クラミジア,ヘルペス,淋病は半数以上が知っていたが,コンジローマは38.4%と半数以下であり,疾患により知識レベルに差があった.また,学習回数との関連では,クラミジア,淋病,コンジローマは学習回数の多い対象者に知っている割合が有意に高かった.感染や予防などに関する知識は9項目中6項目にお …
- NAID 110009585900
- 特別講演 淋病・クラミジア感染症のトピックス (集会報告 第46回 福岡感染症懇話会)
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- みなさんは淋病というSTDをご存知でしょうか。淋病に感染したと思われる症状があっ たり、心当たりがあったら迷わずに検査キットなどを使って検査するとよいでしょう。早期 発見が大事です。淋病とクラミジアは症状が似ています。検査で淋病に感染していること ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- bacterium,(pl.) bacteria
- 同
- バクテリア
- 関
- 特殊な細菌 、細菌の鑑別、細菌の同定?、細菌の分類?
細菌の命名
- ラテン語であり、イタリックで表す。
- 「属名 + 種名」で表現される。
グラム染色性と形状による分類と疾患
[★]
- 英
- sexually transmitted disease, STD, STI
- 同
- 性行為感染症
- 関
- 性病
定義
- 性行為を介して、ヒトからヒトへ病原微生物が直接伝播する感染症の総称
- 性行為は性交のみに限らず、また異性間の場合も同性間の場合も含まれ,性器以外の性交に類似した行為も該当する。
疫学
♂:淋菌性尿道炎 > クラミジア性尿道炎 > 性器ヘルペス > 尖圭コンジローマ
♀:クラミジア性尿道炎 > 性器ヘルペス > 尖圭コンジローマ > 淋菌性尿道炎
性感染症
治療薬
- QB.Q-265
URL
- http://sks.oriaca.net/
- http://www.jsog.or.jp/PDF/51/5109-203.pdf
[★]
- ラ
- Neisseria gonorrhoeae, N. gonorrhoeae
- 英
- gonococcus、gonococci
- 同
- 淋菌
- 関
- 淋疾 gonorrhea、ナイセリア属、細菌
- first aid step1 2006 p.133(IgA protease),135(分類),162(骨髄炎),163(性感染症,PID),188
特徴
- 泌尿器・生殖器の化膿性感染症の起因菌。菌血症を来たし、感染性心内膜炎や関節炎も起こしうる。産道感染による新生児膿漏眼も起こしうる
細菌学
- 尿道・性器分泌液のグラム染色で白血球に貪食されて増殖している像が観察される
検査
- 分離培養する場合には、直ちに培養を行い(死滅しやすいため)、また48時間以上培養しない(自己融解して死滅)
- カタラーゼ試験、オキシダーゼ試験:陽性
診断
- 尿道・性器分泌液のグラム染色で白血球に貪食されて増殖している像
感染症
一般的な治療
- ペニシリン(QB.Q-265)
- セフトリアキソン (KAP_US2CK internal_2_A_07; injection of ceftriaxone, 125 mg, is the treatment of choice and guarantees compliance。せふれきん)
[★]
淋病、淋疾
- 関
- gonorrhea、gonorrheal
[★]
- 英
- disease、sickness
- 関
- 疾病、不調、病害、病気、疾患