- nosocomial
- 英
- hospital infection, hospital-acquired infection, nosocomial infection
- 同
- 病院感染
- 関
- 院内感染対策、院内感染症、院内感染サーベイランス。catheter-related infections
院内感染による感染症
- 尿路感染(最多、40%を占める)、術創部感染症、肺炎、血管内カテーテル感染症、敗血症、腸炎
眼科領域における院内感染
WordNet
- taking place or originating in a hospital; "nosocomial infection"
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/12/10 16:56:37」(JST)
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院内感染(いんないかんせん、Hospital-acquired infection, Nosocomial infection)とは、病院や医療機関内で、新たに細菌やウイルスなどの病原体に感染すること。病院外での感染を表す「市中感染」と、対を成す用語である。特に薬剤耐性の病原体や日和見感染 (Opportunisitc infection) によるものを指す場合が多い。
目次
- 1 概要
- 2 状況・原因
- 3 主な院内経路と病原体
- 4 院内感染対策の実態
- 5 関連項目
- 6 外部リンク
概要
病気の治療の場である病院は、その一方では、多様な病原体(に感染した患者)が集まり、また薬剤耐性菌が多く生息しているという点で、感染症が発生しやすい危険な場所であるとも言える。また他の疾患や免疫抑制剤投与などにより、感染への抵抗力(免疫)が低下した人も多く存在し、なおかつ注射や手術などの医療行為には、体内に病原体が侵入するリスクが伴う。これらのことから、一般的な市中環境に比べて、病院内は感染症や伝染病の集団発生のリスクが高い。院内における感染は、病院外でおこる感染症とは、病原体も対策も異なる点が多いため、病院内で発生するこれらの感染を、とくに院内感染と呼び、医学分野でも市中感染と区別して扱うことが多い。
院内感染は、易感染宿主が発病した場合や高度薬剤耐性菌による場合などには、治療が難しく患者の生命健康に重大な被害を与えることも少なくない。このため、発生を未然に防ぐ(予防する)ことが重要である。医療機関において環境衛生を徹底し、手洗いや消毒等の基本的な感染予防対策を徹底することが発生の予防に効果的である。医療機関の多くは専門の部門や医療チーム(感染制御チームなど)を設けて院内感染の発生防止に努めているが、院内感染が発生したとき、これらの対策に不備が認められた場合などには、医療訴訟が起こって社会問題となるケースもある。
状況・原因
病院や医療機関は病気を治療する場であるが、その反面、さまざまな病原体に感染した患者が集まってくる場所であり、また抗生物質や消毒薬の多用から、薬剤耐性病原体が多い環境である。
院内には、重症の消耗性疾患の患者や外科手術等で感染の危険性が高い処置を受けた患者、あるいは臓器移植手術後の拒絶反応を弱めるために免疫抑制剤投与を受けて人為的に感染防御能(いわゆる免疫力)を低下させられている患者、抗がん剤投与により骨髄機能や免疫能が低下している患者など、微生物の感染に対する抵抗力が著しく低い、易感染宿主(健康な人には害を及ぼさない弱毒菌によっても感染症をおこす、compromised host)が多い。そのため、平素無害菌による感染の危険性が高いことになる。
感染源である患者と免疫力・抵抗力・体力の衰えた患者が、同一施設内にいるため、感染しやすい状況である。また患者から患者へと感染する以外にも、医師や看護師、あるいは調理員などの医療従事者が病原体の運び役になっている場合や、院外から免疫力の高い保菌者の来院によって感染が引き起こされる場合がある。
主な院内経路と病原体
- 接触感染:保菌者の皮膚や粘膜などに触れたり、食器や衣類などに間接的に触れることで感染する
- 多剤耐性菌(MRSA、VRE、VRSA、多剤耐性緑膿菌 (MDRP)など)
- 疥癬
- セレウス菌
- 経口感染:病原体が手や食器などを介して口から侵入して感染する。特に糞口感染(感染に要する病原体数が極めて少なく、伝染性が高い)の場合が多い。
- 腸管出血性大腸菌 (O157など)
- 赤痢菌
- ノロウイルス
- 飛沫感染:病原体が保菌者のクシャミ・咳などで飛ばされ感染する
- インフルエンザウイルス
- 風疹ウイルス
- マイコプラズマ
- 髄膜炎菌
- 空気感染:空気中に浮遊した病原体を吸い込むことで感染する
- 血液感染:針刺し事故や輸血、血液製剤から感染する
- ヒト免疫不全ウイルス
- B型肝炎ウイルス
- C型肝炎ウイルス
- 手術や処置による感染:カテーテルやプラスチック製の人工弁など、体内に留置する医療器具からの感染や、生体製剤からの感染
- 緑膿菌(静脈内、尿路内の留置カテーテルから)
- 表皮ブドウ球菌(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)の一種。留置医療器具から)
- プリオン(硬膜製剤による薬害CJD)
院内感染対策の実態
日本環境感染学会が実態把握に乗り出したのは1999年からである。アメリカ合衆国や欧米では、約20年前から院内感染対策の研究機関を組織して、調査・研究が進んでいる。
例えばStudy for the Efficacy of Nasocomial Infection Control (SENIC、院内感染対策に関する研究) という機関があり、調査は毎年継続され、予防対策についても常に最新の方法・技術が導入され、研究・改良されている。日本では、急速に研究は進んでいるが、対策についてはまだ十分であるとは言えない。
2006年6月に公表された埼玉医科大学病院における多剤耐性緑膿菌 (MDRP) による院内感染事例では、
- 初めにICUで感染が広がり、その患者がICUから一般病棟にMDRPを持ち帰った結果、感染が拡大したこと
- 感染経路については、他の耐性菌と異なり、固形石鹸や手洗い場・シャワー等湿度の高い場所や尿を介しての繁殖・伝染であること
- 抗生物質(カルバペネム等)の使い過ぎにより緑膿菌が薬物に対して耐性を獲得したこと
などが明らかにされている。
病院の建築設計では、院内感染の防止のため、動線の交差を避ける配慮が推奨されている。感染や事故につながる廃棄物等の運搬経路は、患者動線と完全分離することが望ましいとされる。すなわち、患者の行動領域がバックヤードと切り離されるように設計される。
関連項目
- 感染症
- 日和見感染
- 感染制御チーム
- 微生物
- 性行為感染症
- 人獣共通感染症
- 感染症専門医 / インフェクションコントロールドクター(ICD) / 感染管理看護師(感染症対策看護師)(ICN) / 感染制御専門薬剤師(ICPM) / 感染制御認定臨床微生物検査技師(ICMT) / 感染管理歯科衛生士(感染制御歯科衛生士)(ICDH) / 感染管理介護福祉士(感染制御介護福祉士)(ICCW) / 滅菌技士(第一種・第二種) / 医療環境管理士/医療福祉環境アドバイザー
- 易感染宿主(コンプロマイズドホスト)
外部リンク
- 国立感染症研究所感染症情報センター
- 日本感染症学会
- 日本環境感染学会
- 日本口腔感染症学会
- 日本細菌学会
- 日本医真菌学会
- 日本ウイルス学会
- 日本臨床微生物学会
- 日本性感染症学会
- 日本エイズ学会
- 日本寄生虫学会
- 臨床微生物迅速診断研究会
- ICD制度協議会
- アメリカ疾病管理予防センター(CDC)
- 東京都院内感染対策強化事業
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- 救急領域における危険な感染症 (特集 知っておきたい,見落としやすい,危険な感染症)
- 臨床研究・症例報告小児外科病棟における入院時緑膿菌保菌率の検討
- インフルエンザ院内感染対策 (第1土曜特集 インフルエンザUpdate : 課題と問題点) -- (インフルエンザの臨床)
Related Links
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- 厚生労働省院感染対策サーベイランスJANISは、参加医療機関の院内感染対策における薬剤耐性菌の感染発生動向調査、対策支援・助成、細菌検出状況や薬剤感受性パターンの動向把握、新規耐性菌早期発見などを目的としています。
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★リンクテーブル★
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[正答]
※国試ナビ4※ [095B015]←[国試_095]→[095B017]
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[正答]
※国試ナビ4※ [106C012]←[国試_106]→[106C014]
[★]
- 英
- healthcare-associated infection, healthcare-associated infections, health care-associated infections
- 関
- 院内感染 nosocomial infections
- 定義:入院後48時間以降に発症した感染症。
- 原因:医原性(カテーテル、人工呼吸器、手術部位、薬剤性)
- 主要な原因菌
[★]
- 英
- [[]]
- 同
- 院内感染防止対策
- 関
- 院内感染
- 全職員を対象とした手洗いの励行
- 疫学調査に基づく感染対策
- 院内感染対策チーム(ICT)、院内感染サーベイランス、抗菌薬の適正使用
- 院内感染対策チーム(ICT):
- 抗菌薬の適正使用:日本感染症学会・日本化学療法学会による「抗菌薬適正使用ガイドライン」
[★]
- 英
- cross infection
- 関
- 院内感染、交差感染
[★]
- 関
- 院内感染対策、院内感染、医療法施行規則
参考
- http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/01/s0113-6c.html
[★]
- 同
- ICC
- 関
- 医療法施行規則、院内感染対策チーム ICT
- 医療法施行規則に基づいて設置される院内感染対策のための委員会。
- 院内感染に関わる最終的な意志決定機関
- 業務としては、院内感染対策マニュアルの作成・更新、感染症サーベイランス、院内感染が発生した場合の「危機」に対応できる体制作り、衛生管理と職員教育
[★]
参考
- http://www.nih-janis.jp/material/material/Ver_5.0%E6%9C%AC%E6%96%87070904.pdf
[★]
- 英
- infection
- 関
- 定着、感染症、不顕性感染、顕性感染。サブクリニカル感染
- 細菌が宿主の体表面、体内や組織内に付着して増殖し、定着している状態。
- 感染の成立には微生物(定着能、増殖能、細胞内進入能、毒素産生能などを総合した病原性)と宿主(排除能、殺菌能などの生体防御機構)の力関係が崩れたときに生じる
[★]
- 英
- nosocomial、in-hospital、in-house
- 関
- 社内、室内