出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/01/24 08:32:07」(JST)
ジフテリア (diphtheria) は、ジフテリア菌 ( Corynebacterium diphtheriae ) を病原体とするジフテリア毒素によって起こる上気道の粘膜感染症。
感染部位によって咽頭・扁桃ジフテリア、喉頭ジフテリア、鼻ジフテリア、 皮膚ジフテリア、 眼結膜ジフテリア、生殖器ジフテリアなどに分類できる。腎臓、脳、眼の結膜・中耳などがおかされることもあり、保菌者の咳などによって飛沫感染する。発症するのは10%程度で、他の90%には症状の出ない不顕性感染であるが、ワクチンにより予防可能で予防接種を受けていれば不顕性感染を起こさない。すべてのジフテリア菌が毒素を産生するわけではなく、ジフテリア毒素遺伝子を保有するバクテリオファージが感染した菌のみが、ジフテリア毒素を産生する。
予防法は、ジフテリア毒素をホルマリン処理して無毒化したトキソイド(ワクチン)の接種。日本では三種混合ワクチン(DPTワクチン)、二種混合ワクチン(DTワクチン)に含まれている。定期接種の普及している国では症例は稀だがそうでない国では流行がある。また近年症例の報告されていない日本においても不顕性感染の経歴を示唆する血清検査結果もある。 日本では承認されていないが、5歳以上(成人用)の破傷風・ジフテリア混合 Tdワクチン(ジフテリアの抗原量が5歳以上用に調整されており、破傷風は一人前含有されている。国産DTを1/5量で摂取する際は、別途、破傷風トキソイドを受けることが推奨される)、11歳〜55歳まで適応の、破傷風・ジフテリア・百日咳混合Tdapワクチンが、先進国を中心にほとんどの国で接種可能である。
1948年、京都・島根でのジフテリア予防接種の時に無毒化が不十分であったワクチンの接種によるジフテリア毒素により大規模な医療事故が起き、横隔膜麻痺、咽頭麻痺、心不全等の中毒症状が現れ、死亡者85名という結果になった。これは、世界史上最大の予防接種事故である。[3] [4]。 (→ 医原病も参照可 )
近縁菌のコリネバクテリウム・ウルセランス (Corynebacterium ulcerans ) がジフテリア類似の症状を引き起こすことが、日本でも2001年から2009年までに6例報告されている。[5] C. ulcerans は、ウシ、ウマなどの動物の常在菌で、イヌ、ネコからも検出される。[6]時にウシの乳房炎の原因となる。通常、 C. ulcerans は毒素を産生しないが、C. diphtheriae と同様に、バクテリオファージからもたらされる毒素遺伝子により、毒素生産性を持つと考えられる。[7]英国などの国では、C. diphtheriae によるジフテリアと同等の扱いがされている。
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の二類感染症に指定されており、感染が確認されたら医師は速やかに保健所に届出する義務があり、拡散を防止するため状況に応じて隔離入院させる必要がある。無症状者の場合は入院の対象とならない。
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沈降ジフテリア破傷風混合トキソイド「タケダ」
/V %以下(ホルムアルデヒド換算)
。
本剤を2回接種後4週間すると、一時的にジフテリア、破傷風、いずれも前述の防御レベル以上の抗体価が得られるが、含まれる抗原成分が不活化されたトキソイドであるため、漸次各々の抗体価は低下する。したがって、それ以後少なくとも数年にわたり、感染防御効果を持続(抗体価レベルの維持)するためには、追加免疫が必要である。
国試過去問 | 「098G010」「107B004」「097H015」「081A069」 |
リンク元 | 「細菌」「学校保健安全法施行規則」「予防接種法」「ワクチン」「予防接種法施行令」 |
拡張検索 | 「喉頭ジフテリア」「ジフテリア・破傷風・百日咳ワクチン」「ジフテリア破傷風百日咳混合ワクチン」「ジフテリア・破傷風ワクチン」 |
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C
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第一章 環境衛生検査等
(環境衛生検査)
第二章 健康診断
第一節 就学時の健康診断
(方法及び技術的基準)
第二節 児童生徒等の健康診断
(時期)
(検査の項目)
(感染症の種類)
(出席停止の期間の基準)
第四章 学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の職務執行の準則
(学校医の職務執行の準則)
(学校歯科医の職務執行の準則)
(学校薬剤師の職務執行の準則)
第一章 総則
第二章 予防接種基本計画等
(予防接種基本計画)
(予防接種を行ってはならない者)
病原体 | 感染症 | ワクチン | 学校伝染病 | ワクチンの形状 | 潜伏期間 | 季節性 | 年齢 | 出席停止解除条件 | |
ジフテリア菌 | Corynebacterium diphtheriae | ジフテリア | ジフテリア,破傷風,百目咳混合ワクチン | トキソイド | |||||
百日咳菌 | Bordetella pertussis | 百日咳 | ○ | 不活化 | 6~14 | 咳の消失 | |||
結核菌 | Mycobacterium tuberculosis | 結核 | BCG | ○ | 不活化 | 伝染のおそれが無くなるまで | |||
ポリオウイルス | poliovirus | ポリオ | ポリオワクチン(経口) | 生 | |||||
麻疹ウイルス | measles virus | 麻疹 | 麻疹・風疹混合ワクチン | ○ | 生 | 10~12 | 0~2 | 解熱後3日 | |
風疹ウイルス | rubella virus | 風疹 | ○ | 生 | 18 | 春~初夏 | 4~9 | 発疹消失 | |
日本脳炎ウイルス | Japanese encephalitis virus | 日本脳炎 | 日本脳炎ワクチン | 不活化 | |||||
インフルエンザウイルス | influenza virus | インフルエンザ | インフルエンザワクチン | ○ | 不活化 | 1~5 | 冬期 | 解熱後2日 | |
インフルエンザ菌 | Haemophilus influenzae | 化膿性髄膜炎など | Hibワクチン | ||||||
肺炎球菌 | Streptococcus pneumoniae | ||||||||
水痘・帯状疱疹ウイルス | varicella zoster virus | 水痘 | ○ | 生 | 11~21 | 冬(12, 1) | 5~9 | 発疹の痂皮化 | |
ムンプスウイルス | mumps virus | 流行性耳下腺炎 | ○ | 生 | 18~21 | 耳下腺腫脹消失 | |||
B型肝炎ウイルス | hepatitis B virus | B型肝炎 | 成分 | 60~160 | |||||
A型肝炎ウイルス | hepatitis A virus | A型肝炎 | 不活化 | 15~40 | |||||
狂犬病ウイルス | rabies virus | 狂犬病 | 不活化 | ||||||
アデノウイルス | adenovirus | 咽頭結膜熱 | ○ | ||||||
黄熱病ウイルス | yellow fever virus | 黄熱病 | 生 |
(定期の予防接種を行う疾病及びその対象者)
疾病 | 定期の予防接種の対象者 |
ジフテリア | 一 生後三月から生後九十月に至るまでの間にある者 |
二 十一歳以上十三歳未満の者 | |
百日咳 | 生後三月から生後九十月に至るまでの間にある者 |
急性灰白髄炎 | 生後三月から生後九十月に至るまでの間にある者 |
麻疹 | 一 生後十二月から生後二十四月に至るまでの間にある者 |
二 五歳以上七歳未満の者であつて、小学校就学の始期に達する日の一年前の日から当該始期に達する日の前日までの間にあるもの | |
風疹 | 一 生後十二月から生後二十四月に至るまでの間にある者 |
二 五歳以上七歳未満の者であつて、小学校就学の始期に達する日の一年前の日から当該始期に達する日の前日までの間にあるもの | |
日本脳炎 | 一 生後六月から生後九十月に至るまでの間にある者 |
二 九歳以上十三歳未満の者 | |
破傷風 | 一 生後三月から生後九十月に至るまでの間にある者 |
二 十一歳以上十三歳未満の者 | |
結核 | 生後六月に至るまでの間にある者 |
インフルエンザ | 一 六十五歳以上の者 |
二 六十歳以上六十五歳未満の者であつて、心臓、じん臓若しくは呼吸器の機能又はヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害を有するものとして厚生労働省令で定めるもの |
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