- 英
- dysentery, shigellosis
- 関
- 赤痢アメーバ、シゲラ属
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赤痢 |
分類および外部参照情報 |
診療科・
学術分野 |
感染症内科学[*] |
ICD-10 |
A03.9, A06.0, A07.9 |
ICD-9-CM |
004, 007.9, 009.0 |
MeSH |
D004403 |
赤痢(せきり)は、下痢・発熱・血便・腹痛などをともなう大腸感染症である。 俳句では夏の季語として扱われる。古称は血屎(ちくそ)。従来、赤痢と呼ばれていたものは、現代では細菌性赤痢とアメーバ性赤痢に分けられ、一般的に赤痢と呼ばれているものは赤痢菌による細菌性赤痢のことを指す。
目次
- 1 細菌性赤痢
- 2 アメーバ赤痢
- 3 バイオ犯罪
- 4 参考文献・脚注
- 5 関連項目
- 6 外部リンク
細菌性赤痢
細菌性赤痢(Shigellosis)は、赤痢菌によってもたらされる感染症のことを示す。糞尿などから食物や水などを経由し、経口感染するケースが大半である。また、サルは赤痢菌に対してヒトと同様の感受性を持ち、サルからの感染もまれではあるがみられる。 最初の赤痢菌は、1897年に日本で赤痢が大流行したときに医学者志賀潔により発見された。そのため、学名Shigellaと呼ばれている。
赤痢を起こす赤痢菌は大きくAからDの4種類に分けられる。近年は、D群赤痢菌による感染例が多い。志賀潔が発見したA群赤痢菌はかつて広域に渡って感染していたが、現在、感染例は激減している。一般的には衛生が行き届いて居ない途上国での発生が多いが、B・D群に関しては先進国でも感染の報告がある。
- 赤痢菌(Shigella)
- Shigella dysenteriae(A群赤痢菌・志賀赤痢菌)
- Shigella flexneri(B群赤痢菌・フレクスナー赤痢菌)
- Shigella boydii(C群赤痢菌・ボイド赤痢菌)
- Shigella sonnei(D群赤痢菌・ソンネ赤痢菌)
症状
- 潜伏期間は、1-5日程度である。
- 症状は発熱ではじまり、腹痛、下痢が続く。
- 一般的にA群赤痢菌・志賀赤痢菌によるものは症状が重く、40℃近い高熱、激しい腹痛、膿粘血便(下痢便に膿・粘液・血液が混じる)がみられることが多い。赤痢という名称は、この出血性の激しい下痢に由来する。下痢の典型例では「便成分はほとんどなく、膿・粘液・血液がそのまま出ているような状態」となる。一部の患者では溶血性尿毒症症候群(HUS)、敗血症、中毒性巨大結腸症などの重篤な合併症を併発し死亡することがある。一般的に成人よりも乳幼児・小児・高齢者で重症化しやすい。
- A群以外(B・C・D群)によるものは重症例が少なく、軽い下痢・軟便や微熱のみで経過することが多い。血便や合併症をみることはほとんどなく、1週間程度で回復する。
- 疫痢(えきり)は細菌性赤痢の重症型である[1]。高熱・激しい下痢などの典型症状に加え、けいれん・血圧低下・顔面蒼白・意識障害を起こし、短時間で死亡することが多い。発症のメカニズムはよくわかっていない。かつては乳幼児に多くみられたが、現在の日本ではほとんどみられなくなっている。
治療法
- 対症療法による全身状態の改善、抗菌薬による除菌など、内科的治療が中心。血便や脱水症状、重篤な合併症がみられる場合は入院治療となる。
- 日本において、細菌性赤痢は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の三類感染症に指定されており、感染が確認されたら医師は速やかに保健所に報告する義務がある。かつては二類感染症に指定されており、拡散を防止するために状況に応じて隔離入院させる必要があったが、2006年(平成18年)12月8日の法改正と同時に三類感染症に変更され、強制隔離措置は廃止された。
ワクチン
- 現在、赤痢に有効なワクチンは世界各地で開発中である[2]。
- ワクチン開発が行われているが、そのワクチンが赤痢が流行しているインドなどの途上国において、その地域の「一般市民が使用できる価格」という点が大きなポイントとなる。よいワクチンが開発されたとしても一般市民が手を出せない価格のワクチンでは意味がないためである。そのため、安価なワクチンが望まれるが、製薬ビジネスとして製薬企業がその手のワクチンに手を出すのかは不透明な点がある。
- 岡山大学では、岡山大学インド感染症共同研究センター(インド・コルカタ市)において、廉価な経口赤痢ワクチンの開発研究を進めており、汎用性の高い(一般市民が使用できる)赤痢ワクチンの臨床研究の計画を進めている[3]。これが実現すれば日本の研究の国際貢献・イニシアチブとなるだけではなく、赤痢予防の大きな足掛かりになるかもしれないと期待される。
アメーバ赤痢
アメーバ赤痢(Amoebiasis)は、赤痢菌では無くアメーバによって引き起こされるため、細菌感染症ではなく寄生虫症に分類される。
大腸に寄生した赤痢アメーバによって引き起こされる病気。まれに肝膿症や脳・肺・皮膚などへの合併症が報告されている。感染経路は性感染によるものもあるため、性感染症に分類される場合もある。日本では男性同性愛者、海外旅行者や集団施設生活者などでの感染報告例などが多い。
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」においては五類感染症に分類される。
「アメーバ赤痢 」を参照
バイオ犯罪
1996年10月29日、アメリカのテキサス州ダラスの聖パウロ医療センターで、ナースステーションに赤痢菌に汚染された菓子が置かれ、食べた12人の職員が感染。2年後、同病院内の検査室の元職員が犯人であることが判明。
参考文献・脚注
- ^ 東京都健康安全研究センター (2013年1月4日). “細菌性赤痢”. 2013年2月2日閲覧。 「3 症状は:(前略)疫痢は2〜6歳までの小児にみられる細菌性赤痢の重症型ですが、1964年以降ほとんどみられなくなりました。」
- ^ 赤痢(赤痢菌)予防ワクチン:有望な臨床実験 Institut Pasteur
- ^ 主要赤痢菌6種混合標品が経口赤痢ワクチンの候補に有力 廉価なワクチン開発にむけ、インド国での臨床研究を計画 岡山大学プレスリリース(平成28年2月19日)
関連項目
外部リンク
- 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
日本の感染症法における感染症 |
一類感染症 |
エボラ出血熱 - クリミア・コンゴ出血熱 - 痘そう - 南米出血熱 - ペスト - マールブルグ病 - ラッサ熱
|
二類感染症 |
急性灰白髄炎 - 結核 - ジフテリア - 重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る) - 中東呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る) - 鳥インフルエンザ (H5N1) - 鳥インフルエンザ (H7N9)
|
三類感染症 |
コレラ - 細菌性赤痢 - 腸管出血性大腸菌感染症 - 腸チフス - パラチフス
|
四類感染症 |
E型肝炎 - ウエストナイル熱 - A型肝炎 - エキノコックス症 - 黄熱 - オウム病 - オムスク出血熱 - 回帰熱 - キャサヌル森林病 - Q熱 - 狂犬病 - コクシジオイデス症 - サル痘 - ジカウイルス感染症 - 重症熱性血小板減少症候群(病原体がフレボウイルス属SFTSウイルスであるものに限る) - 腎症候性出血熱 - 西部ウマ脳炎 - ダニ媒介脳炎 - 炭疽 - チクングニア熱 - つつが虫病 - デング熱 - 東部ウマ脳炎 - 鳥インフルエンザ(鳥インフルエンザ(H5N1及びH7N9)を除く) - ニパウイルス感染症 - 日本紅斑熱 - 日本脳炎 - ハンタウイルス - Bウイルス病 - 鼻疽 - ブルセラ症 - ベネズエラウマ脳炎 - ヘンドラウイルス感染症 - 発しんチフス - ボツリヌス症 - マラリア - 野兎病 - ライム病 - リッサウイルス感染症 - リフトバレー熱 - 類鼻疽 - レジオネラ症 - レプトスピラ症 - ロッキー山紅斑熱
|
五類感染症 |
アメーバ赤痢 - ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く) - 急性脳炎(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く) - クリプトスポリジウム症 - クロイツフェルト・ヤコブ病 - 劇症型溶血性レンサ球菌感染症 - 後天性免疫不全症候群 - ジアルジア症 - 先天性風しん症候群 - 梅毒 - 破傷風 - バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症 - バンコマイシン耐性腸球菌感染症 - 風しん - 麻しん - 侵襲性インフルエンザ菌感染症 - 侵襲性髄膜炎菌感染症 - 侵襲性肺炎球菌感染症 - RSウイルス感染症 - 咽頭結膜熱 - A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 - 感染性胃腸炎 - 水痘 - 手足口病 - 伝染性紅斑 - 突発性発しん - 百日咳 - ヘルパンギーナ - 流行性耳下腺炎 - インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く) - 急性出血性結膜炎 - 流行性角結膜炎 - 性器クラミジア感染症 - 性器ヘルペスウイルス感染症 - 尖圭コンジローマ - 淋菌感染症 - クラミジア肺炎(オウム病を除く) - 細菌性髄膜炎 - マイコプラズマ肺炎 - 無菌性髄膜炎 - ペニシリン耐性肺炎球菌感染症 - メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症 - 薬剤耐性アシネトバクター感染症 - 薬剤耐性緑膿菌感染症
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Japanese Journal
- 症例報告 遺伝子解析が有用であったHIV関連赤痢アメーバ性脳膿瘍の救命例
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[正答]
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[正答]
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[★]
- 英
- bacterium,(pl.) bacteria
- 同
- バクテリア
- 関
- 特殊な細菌 、細菌の鑑別、細菌の同定?、細菌の分類?
細菌の命名
- ラテン語であり、イタリックで表す。
- 「属名 + 種名」で表現される。
グラム染色性と形状による分類と疾患
[★]
- 英
- sexually transmitted disease, STD, STI
- 同
- 性行為感染症
- 関
- 性病
定義
- 性行為を介して、ヒトからヒトへ病原微生物が直接伝播する感染症の総称
- 性行為は性交のみに限らず、また異性間の場合も同性間の場合も含まれ,性器以外の性交に類似した行為も該当する。
疫学
♂:淋菌性尿道炎 > クラミジア性尿道炎 > 性器ヘルペス > 尖圭コンジローマ
♀:クラミジア性尿道炎 > 性器ヘルペス > 尖圭コンジローマ > 淋菌性尿道炎
性感染症
治療薬
- QB.Q-265
URL
- http://sks.oriaca.net/
- http://www.jsog.or.jp/PDF/51/5109-203.pdf
[★]
- 英
- Enterobacteriaceae
- 関
- 細菌
エンテロバクター属 Enterobacter
エシェリキア属 Escherichia
クレブシエラ属 Klebsiella
プロテウス属 Proteus
サルモネラ属 Salmonella
セラチア属 Serratia
シゲラ属 Shigella
エルシニア属 Yersinia
腸内細菌科 (SMB.163)
[★]
- 英
- quinolone antibacterial agent, quinolone
- 同
- ピリドンカルボン酸系抗菌薬 pyridone carboxylic acid anti-microbials pyridone carboxylic acid antibacterial agent
- 関
- 抗菌薬、ニューキノロン
キノロン系抗菌薬
概念
- クロロキンを改良してつくられた抗菌薬をキノロン系抗菌薬と呼ぶ。
- 超らせん構造の維持に関わる酵素とDNAの複合体を安定化し、DNA鎖を切断したままにしておくことにより、生存・細胞分裂を障害する。
- キノロン系抗菌薬にフッ素を導入して改良した抗菌薬がニューキノロン系抗菌薬である。
- ニューキノロン系抗菌薬はグラム陰性菌とグラム陽性菌に対して強い抗菌力を有する。
作用機序
副作用
- 消化器症状:(5-10%)
- 発疹:(1-2%)
- 中枢神経症状:(5%)頭痛・浮動性眩暈
- 軟骨毒性:幼弱な動物で軟骨に異常をきたす → 18歳未満は注意。妊婦には使用しない。 (ABM.106)
- 日光過敏症
- 低血糖
適応
第一選択となる適応(IRE.158)
[★]
- dysentery
- 英
- bacillary dysentery, shigellosis
- 関
- 赤痢、アメーバ赤痢、感染症法
概念
- 汚染された飲食もつなどを介して感染し(糞口感染)、志賀毒素により消化管を障害する。
特徴
病原体
潜伏期間
感染経路
病態
- 菌体数10個程度で感染が成立。
- 赤痢菌は腸管上皮細胞に進入して炎症を惹起し、表層粘膜の破壊と粘膜潰瘍を起こさせる → 細胞質内に進入してアクチンの重合を利用して動き回る →腸管上皮の潰瘍を伴った急性炎症症状(粘膜下層よりも深く拡散することはごくまれ → 敗血症とならない(⇔サルモネラ属) ))
- 大腸(特にS状結腸)(ときに、回盲部末端):粘膜の出血性化膿炎、次いで潰瘍、壊死を来す
症状
- 腹痛を伴うテネスムス、膿・粘血便の排泄
- 悪寒・発熱、腹痛、テネスムス、粘血・脳性下痢便。
身体所見
治療
- 1. ニューロキノロン系抗菌薬(1st choice)
- 2. 小児や1.禁忌例にはホスホマイシン
[★]
- 英
- amebic dysentery, amebiasis
- 同
- アメーバ性赤痢、アメーバ性大腸炎 amebic colitis
- 関
- 赤痢アメーバ、腸アメーバ症
[★]
- 英
- shigellosis、shigella infection
- 関
- 細菌性赤痢、赤痢菌感染
[★]
- 英
- shigella infection
- 関
- 赤痢菌感染症
[★]
- 英
- Entamoeba histolytica antibody