- 英
- hyperemesis, emesis gravidarum
- 関
- 妊娠悪阻、つわり
WordNet
- severe and excessive vomiting
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/23 19:46:22」(JST)
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つわり、または、おそ(どちらも漢字表記は「悪阻」)とは、「妊婦特有の症状」であり妊娠初期に起こる吐き気と嘔吐のこと。
つわりは母体に対し、筋肉・神経系統を挙上させる(体内に胎児のための領域・スペースを作る)働きがあるため、むやみに嘔吐感を我慢する必要はない。
目次
- 1 概要
- 2 原因
- 3 症状
- 4 対策
- 5 医学的介入
- 6 関連項目
- 7 脚注
概要
通常は胎盤が完成する妊娠3、4カ月ほどで自然に治ることが多い。以前は妊娠高血圧症候群に分類されていたが、現在では生死にかかわる症状とは考えられていない。重症の場合は脱水症状が進み尿からケトン体が検出されるほど体力を消耗し、ウェルニッケ脳症の発症を予防するために、輸液やビタミン剤補給などによる入院治療が必要となる。治療が必要になった場合は妊娠悪阻といわれる。
原因
ホルモンの一種であるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が関係しているとの説[1]、妊娠で体質がアルカリ性から酸性に変わるため、など諸説あるが、医学的には立証にいたっていない。また、症状は心理的な要因にも大きく左右されるとの説もある。
症状
つわりの症状は多彩で個人差が大きいため、一般的なつわりの症状を記す。
- 吐き気、嘔吐、唾液の増加、全身倦怠感、頭痛、眠気など。
- 匂いに敏感になる(米飯やたばこの残り香など)。
- 食べ物の好き嫌いが変化し、食欲が減退、または増進する。
- ※早朝空腹時に強く出る傾向があると考えられている。このことから英語ではMorning sicknessと言う。
対策
- 枕もとにクッキーなどをおいて低血糖を防ぐ。
- 好物だけでもよいので水分と食事の摂取を心がける。
- 身の回りから自分の嫌いなものを遠ざけたり、ストレスのたまらない生活を送ること。
- 生姜が嘔気症状の改善に効果があるとの報告がある。[2][3][4][5]
医学的介入
つわりは妊娠5週頃から出現し、16週頃には軽快するのが通常である。この期間は胎児の器官形成期であるため、安易な薬物投与は胎児奇形を招く(催奇性)リスクがある(代表例として、サリドマイド)。特に吐き気止めとしてよく用いられる消化管機能改善薬のメトクロプラミド(プリンペラン®)ですら、この時期の催奇形性は確認されていないが安全性は確立していない。少量、短期間投与にとどめるべきと考えられている。漢方薬が比較的安全に投与可能といわれており、よく利用されている。点滴治療では維持液にビタメジン、タチオンなどを加えることが多い。
関連項目
サリドマイド
脚注
- ^ hCG自体がどのような作用をしてつわりを起こすかは未だ解明されていない。
- ^ Obstetrics & Gynecology, 97(4), April 2001, 577-582,
- ^ Obstetrics & Gynecology, 103(4), April 2004, 639-645,
- ^ Obstetrics & Gynecology, 105(4), April 2005, 849-856,
- ^ Midwifery, 25(6), December 2009, 649-653
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Japanese Journal
- 症例報告 妊娠悪阻治療中に意識障害から判明した脳膿瘍の1例
- 妊娠悪阻 (特集 産婦人科の薬剤使用プラクティス : 病態別処方(産科編)) -- (異常妊娠)
Related Links
- 妊娠初期には、個人差はありますが、悪阻(つわり)があります。胎盤ができる12~16週になると落ち着きます。食事をこまめにとることと水分補給に気をつければ、母体や赤ちゃんの体調に影響はないとされています。アロマ ...
- デジタル大辞泉 悪阻の用語解説 - 《動詞「つわる」の連用形から》1 (「悪阻」とも書く)妊娠初期にみられる消化器系を中心とした症状。吐き気・嘔吐(おうと)・食欲不振・飲食物に対する嗜好(しこう)の変化など。おそ。2 ...
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- 次の文を読み、61~63の問いに答えよ。
- 28歳の1回経産婦。妊娠35週時に胎児発育異常を指摘され紹介状を持って来院した。
- 現病歴:分娩予定日は最終月経から算出された。定期的に妊婦健康診査を受けており、これまで血圧や尿検査の異常を指摘されたことはない。4週前から胎児の発育異常が疑われていた。
- 既往歴:特記すべきことはない。
- 妊娠・分娩歴:25歳時に妊娠38週で3,200gの男児を正常経腺分娩。
- 生活歴:喫煙は20本/日を8年間。
- 現症:身長155cm、体重50kg(非妊時45kg)、腹囲78cm、子宮底長28cm。体温36.6℃。脈拍80/分、整。血圧120/60mmHg。意識は清明。腹部は軟で、時折不規則な子宮収縮を触知する。児先進部は頭部で未固定、子宮口1cm開大、展退度30%、破水はない。超音波検査で胎児奇形は認めない。前医での胎児推定体重の推移と入院後の胎児心拍数陣痛図とを以下に示す。
- a. 子宮底長
- b. 胎動初覚時期
- c. 悪阻の出現時期
- d. 児心音の聴取時期
- e. 妊娠初期の胎児超音波検査
[正答]
※国試ナビ4※ [102G060]←[国試_102]→[102G062]
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- hydatid mole
- 英
- hydatidiform mole, hydatid mole
- ラ
- mola hydatidosa
- 関
概念
- 妊娠時に、妊卵由来の絨毛が水腫様変化を起こしたもの。
- 肉眼的に絨毛の嚢胞化がみられる。嚢胞化とは腫大した絨毛の短径が2mmを超えるもの(参考1)。 ⇔ 2mm未満で絨毛間質の水腫化が認められるものは顕微鏡的奇胎とし、胞状奇胎とはしないとする(参考1)。
疫学
- 日本を含む東南アジア、メキシコに多い。
- 頻度は350分娩に1胞状奇胎である。
- 発生数は生殖年齢(20-30歳代)に多い。(G9M.182)
- 発生年齢は40歳以上の高年妊娠に多く発生し(10-30倍)、妊娠可能年齢の終わりに近づくほど高くなる。
分類
発生機序による分類
進展性による分類
病因
- 雄性接合子:胎盤の形成に関与 → 倍加して二倍体の精子が染色体を欠いた卵子と受精した場合に胎盤のみが増殖 → 全胞状奇胎(complete hydatidiform mole)
- 雌性接合子:胎芽の形成に関与 → 高齢になるに従い、卵の加齢による染色体を欠いた異常な卵の出現頻度が高まり全胞状奇胎の原因となってくる。
症候
- HBEsT (NGY.243)
- 1. history(病歴): 妊娠の成立を示す所見(無月経、つわりなど)
- 2. bleeding(子宮出血):切迫流産様の異常出血
- 3. enlargement and softness(子宮の増大と軟化):妊娠週数に比して過度に腫大して軟化
- 4. toxemia(妊娠高血圧症候群):浮腫、高血圧、タンパク尿
- 不正性器出血(90%)、悪阻(30-40%) (G9M.182)
- 部分胞状奇胎の場合には典型的な症状を示さないことが多い。
- 黄体嚢胞による卵巣腫大が認められる(NGY.243)
検査
- 経腟超音波検査:子宮腔内の大小の低輝度・高輝度混在
[show details]
治療
- 子宮内容除去術を施行し、1週間後に再施行する。hCGを5週(103mIU/ml)、8週(102mIU/ml)、20週(cut off値以下)となれば、経過順調型(I型)とされる。以降、4年以上はhCG測定、基礎体温測定、胸部X撮影を行い、フォローする。(NGY.243)
- hCG値の低下が悪い場合、子宮内胞状奇胎遺残、進入胞状奇胎、転移性胞状奇胎が考えられ、それぞれ子宮内容除去術、化学療法もしくは子宮摘出術、化学療法を行う。
- 40歳以上では絨毛癌の頻度が高くなるため、40歳以上で挙児希望の場合は子宮全摘術を考慮。(G9M.182)
続発症
参考
- 1. D.産科疾患の診断・治療・管理 6.異常妊娠 - 日産婦誌59巻11号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/59/5911-682.pdf
国試
Table 19-3. Features of Complete and Partial Hydatidiform Mole
|
Feature
|
complete mole
|
partial mole
|
Karyotype
|
46,XX (46,XY)
|
Triploid (69,XXY)
|
Villous edema
|
All villi
|
Some villi
|
Trophoblast proliferation
|
Diffuse; circumferential
|
Focal; slight
|
Atypia
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Often present
|
Absent
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Serum hCG
|
Elevated
|
Less elevated
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hCG in tissue
|
++++
|
+
|
Behavior
|
2% choriocarcinoma
|
Rare choriocarcinoma
|
AFP
|
-
|
+
|
fatus
|
-
|
+
|
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- 英
- morning sickness
- 関
- (脱水とケトン尿を生ずれば→)妊娠悪阻 hyperemesis gravidarum、悪阻
妊娠5-6週 ~ 妊娠12週 (第2月初~第4月初)
定義
- 参考1
- 妊娠5-6週より一過性に悪心・嘔吐、食欲不振、食嗜変化などの消化器症状が出現し、妊娠12~16週頃にはほとんど消失するもの ⇔ 重症化したものが妊娠悪阻
疫学
- めざせ外来診療の達人 第3版 p.25
臨床像
- めざせ外来診療の達人 第3版 p.2
- 悪心:早朝空腹時に増悪。食事により軽快し、空腹時に増悪。食欲は落ちない。
治療
参考
- 1. 〔産科合併症とその対策〕妊娠悪阻にまつわる諸問題 - 日産婦誌50巻6号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/50/5006-143.pdf
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悪阻
- 関
- emesis gravidarum
[★]
- 英
- morning sickness
- 関
- 悪阻
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- 英
- hyperemesis gravidarum, hyperemesis
- 関
- つわり
[★]
- 英
- hyperemesis gravidarum symptoms