メトトレキサート
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メトトレキサート
|
IUPAC命名法による物質名 |
(S)-2-(4-(((2,4-diaminopteridin-6-yl)
methyl)methylamino)benzamido)
pentanedioic acid |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
D(豪州)、X(米国) |
法的規制 |
劇薬
指定医薬品
処方せん医薬品 |
投与方法 |
点滴静注、経口 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
17~90% |
血漿タンパク結合 |
50% |
代謝 |
肝臓 |
半減期 |
3~15時間(用量依存) |
排泄 |
尿中:48(1時間)~100%(24時間) |
識別 |
CAS登録番号 |
59-05-2 |
ATCコード |
L01BA01 L04AX03 |
PubChem |
CID 126941 |
DrugBank |
APRD00353 |
KEGG |
D00142 |
化学的データ |
化学式 |
C20H22N8O5 |
分子量 |
454.44 |
メトトレキサート(Methotrexate : MTX)とは、葉酸代謝拮抗剤に分類される抗悪性腫瘍薬(抗がん剤)、抗リウマチ薬である。 商品名は、抗がん剤としては、メソトレキセート (販売 : ファイザー)、抗リウマチ薬としては、リウマトレックス(同左)、メトトレキサート(沢井ほか)など。
本薬には、本薬の注射後に解毒剤のロイコボリンを投与する特殊な用法があり、これをメトトレキサート・ロイコボリン救援療法という。
目次
- 1 効能・効果
- 1.1 注射剤
- 1.2 2.5mg錠剤
- 1.3 2mg錠剤、カプセル
- 2 作用機序
- 3 副作用
- 4 関連項目
- 5 外部リンク
効能・効果
注射剤
- メトトレキサート・ロイコボリン救援療法
- 肉腫(骨肉腫、軟部肉腫等)
- 急性白血病の中枢神経系及び睾丸への浸潤に対する寛解
- 悪性リンパ腫の中枢神経系への浸潤に対する寛解
その他、適用外ではあるが、胃癌、乳癌、尿路上皮癌などにも使用される。
2.5mg錠剤
- 下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解
- 急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、絨毛性疾患(絨毛癌、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)
2mg錠剤、カプセル
作用機序
- 葉酸を活性型葉酸にする酵素の働きを阻止することにより、核酸合成を阻止し、細胞増殖を抑制する。
- 免疫グロブリン産出、抗体産出、リンパ球増殖等の抑制により、免疫を抑制すると考えられている。また、滑膜組織や軟骨組織の破壊に関係するコラゲナーゼの産出を抑制する。
副作用
- 免疫応答として間質性肺炎を来たすことがある。頻度は1~2%といわれる。用量依存性はなく、葉酸で予防はできない。関節リウマチ治療においては、発症者のうち6ヶ月以内に80%が、1年以内に90%が発症するといわれており[要出典]、投与開始初期には十分注意を要する。
- 胸部レントゲン写真、胸部単純CT、KL-6やSP-Dを用いて肺傷害を評価することが多い。
- 骨髄で産生される、血液の細胞成分である赤血球・白血球・血小板は新陳代謝による回転(ターンオーバー)の速い細胞の代表的なものである。これらはDNAの代謝阻害を受けると、その影響が著名に現れ、減少する。骨髄抑制により貧血や日和見感染、出血傾向がみられることがある。
- 骨髄抑制(myelosuppression)がより重症な状態では、骨髄幹細胞が破壊され、血液細胞が再生不能となる。これを骨髄破壊(myeloablation)と呼ぶ。75歳以上で起こりやすいので、高齢者の関節リウマチにはメトトレキサートは推奨しがたい。(ステロイドやプログラフ®、分子標的治療薬を検討する。)
- 口腔・消化管の粘膜も、新陳代謝の早い組織のひとつで、メソトレキセートにより粘膜修復が遅れるため、口内炎や潰瘍を引き起こすこともある。
上記の一連の副作用を軽減するため、メソトレキセートを最後に服用してから48時間後にフォリアミンを服用する処方もしばしば行われる。
関連項目
外部リンク
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- メソトレキセート大量療法における排泄遅延による有害事象の後方視的調査
- 症例報告 子宮頸管妊娠に対しメソトレキセート局注し,妊孕能を温存できた1例
- 2.メソトレキセート(MTX)関連リンパ増殖性疾患の1例(第140回 日本呼吸器内視鏡学会関東支部会)
- 玉腰 淳子,高森 幹雄,三倉 真一郎,鈴木 敏夫,佐々木 茜,阪下 健太郎,山本 佑樹,村田 研吾,和田 曉彦,藤田 明
- 気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 34(3), 290, 2012-05-25
- NAID 110009457641
Related Links
- メトトレキサート(Methotrexate : MTX)とは、葉酸代謝拮抗剤に分類される抗悪性腫瘍 薬(抗がん剤)、抗リウマチ薬である。 商品名は、抗がん剤としては、メソトレキセート ( 販売 : ワイス/武田)、抗リウマチ薬としては、リウマトレックス(同左)、メトトレキサート( ...
- メソトレキセートが白血病の治療薬として開発されたのは、1940年代。抗がん剤開発の 創成期とも言える時期に登場した、非常に古い歴史を持つ抗がん剤です。日本では、 1963年に経口薬、68年に注射薬が承認され、その後、白血病以外のがんにも使われる ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
注射用メソトレキセート50mg
組成
成分・含量(1バイアル中)
添加物・含量(1バイアル中)
禁忌
- 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
- 肝障害のある患者
[肝障害を増悪させるおそれがある。]
- 腎障害のある患者
[本剤の排泄遅延により副作用が強くあらわれるおそれがある。]
- 胸水、腹水等のある患者
[胸水、腹水等に長時間貯留して毒性が増強されることがある。]
効能または効果
効能又は効果/用法及び用量
◇メトトレキサート通常療法
- 下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解
- 急性白血病
慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病
絨毛性疾患(絨毛癌、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)
- 本剤は静脈内、髄腔内又は筋肉内に注射する。
また、必要に応じて動脈内又は腫瘍内に注射する。
・急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病
- メトトレキサートとして、通常、次の量を1日量として、1週間に3〜6回注射する。
- 幼児 1.25〜2.5mg
小児 2.5〜5mg
成人 5〜10mg
- 白血病の髄膜浸潤による髄膜症状(髄膜白血病)には、1回の注射量を体重1kg当たり0.2〜0.4mgとして、髄腔内に2〜7日ごとに1回注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
・絨毛性疾患
- 1クールを5日間とし、メトトレキサートとして、通常、成人1日10〜30mgを注射する。休薬期間は通常、7〜12日間であるが、前回の投与によって副作用があらわれた場合は、副作用が消失するまで休薬する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
(注射液の調製法)
- 通常、本剤に生理食塩液20mLを加えて溶解し、1mL中メトトレキサートとして2.5mgになるように調製する。高濃度溶液が必要な場合には、注射用蒸留水2mLを加えて溶解し、1mL中メトトレキサートとして25mgになるように調製する。
本剤は防腐剤を含有しないので、調製にあたっては細菌汚染に注意すること。
なお、調製後は速やかに使用すること。
効能又は効果/用法及び用量
◇CMF療法
・乳癌
- シクロホスファミド及びフルオロウラシルとの併用において、メトトレキサートとして、通常、成人1回40mg/m2を静脈内注射する。前回の投与によって副作用があらわれた場合は、減量するか又は副作用が消失するまで休薬する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
標準的な投与量及び投与方法は、シクロホスファミドを1日量として65mg/m2を14日間連日経口投与、メトトレキサートを1日量として40mg/m2を第1日目と第8日目に静脈内投与、及びフルオロウラシルを1日量として500mg/m2を第1日目と第8日目に静脈内投与する。これを1クールとして4週ごとに繰り返す。
(注射液の調製法)
- 通常、メトトレキサートを生理食塩液又は5%ブドウ糖液20mLに溶解して用いる。
本剤は防腐剤を含有しないので、調製にあたっては細菌汚染に注意すること。
なお、調製後は速やかに使用すること。
効能又は効果/用法及び用量
◇メトトレキサート・ロイコボリン救援療法
- 肉腫(骨肉腫、軟部肉腫等)
急性白血病の中枢神経系及び睾丸への浸潤に対する寛解
悪性リンパ腫の中枢神経系への浸潤に対する寛解
・肉腫
- メトトレキサートとして、通常、1週間に1回100〜300mg/kgを約6時間で点滴静脈内注射する。その後、ロイコボリンの投与を行う注2)。メトトレキサートの投与間隔は、1〜4週間とする。なお、年齢、症状により適宜増減する。
・急性白血病、悪性リンパ腫
- メトトレキサートとして、通常、1週間に1回30〜100mg/kg(有効なメトトレキサート脳脊髄液濃度を得るには、1回メトトレキサートとして30mg/kg以上の静脈内注射が必要)を約6時間で点滴静脈内注射する。
その後ロイコボリンの投与を行う注2)。メトトレキサートの投与間隔は、1〜4週間とする。なお、年齢、症状により適宜増減する。
- 注2)ロイコボリンの投与は、通常、メトトレキサート投与終了3時間目よりロイコボリンとして1回15mgを3時間間隔で9回静脈内注射、以後6時間間隔で8回静脈内又は筋肉内注射する。
メトトレキサートによると思われる重篤な副作用があらわれた場合には、用量を増加し、投与期間を延長する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
(注射液の調製法)
- 通常、メトトレキサートを生理食塩液又は5%ブドウ糖液250〜500mLに溶解して用いる。
本剤は防腐剤を含有しないので、調製にあたっては細菌汚染に注意すること。
なお、調製後は速やかに使用すること。
効能又は効果/用法及び用量
◇メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法
- 通常、成人にはメトトレキサートとして1回100mg/m2(3mg/kg)を静脈内注射した後、1〜3時間後にフルオロウラシルとして1回600mg/m2(18mg/kg)を静脈内注射又は点滴静脈内注射する。その後、ロイコボリンの投与を行う注3)。本療法の間隔は、1週間とする。なお、年齢、症状により適宜増減する。
- 注3)ロイコボリンの投与は、通常、メトトレキサート投与後24時間目よりロイコボリンとして1回15mgを6時間間隔で2〜6回(メトトレキサート投与後24、30、36、42、48、54時間目)静脈内又は筋肉内注射あるいは経口投与する。
メトトレキサートによると思われる重篤な副作用があらわれた場合には、用量を増加し、投与期間を延長する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
(注射液の調製法)
- 通常、メトトレキサートを生理食塩液又は5%ブドウ糖液20mLに溶解して用いる。
本剤は防腐剤を含有しないので、調製にあたっては細菌汚染に注意すること。
なお、調製後は速やかに使用すること。
効能又は効果/用法及び用量
◇M-VAC療法
- ビンブラスチン硫酸塩、ドキソルビシン塩酸塩及びシスプラチンとの併用において、メトトレキサートとして、通常、成人1回30mg/m2を静脈内注射する。前回の投与によって副作用があらわれた場合は、減量するか又は副作用が消失するまで休薬する。
なお、年齢、症状により適宜減量する。
標準的な投与量及び投与方法は、治療1、15及び22日目にメトトレキサート30mg/m2、治療2、15及び22日目にビンブラスチン硫酸塩3mg/m2、治療2日目にドキソルビシン塩酸塩30mg(力価)/m2及びシスプラチン70mg/m2を静脈内投与する。これを1クールとして4週ごとに繰り返す。
(注射液の調製法)
- 通常、メトトレキサートを生理食塩液又は5%ブドウ糖液20mLに溶解して用いる。
本剤は防腐剤を含有しないので、調製にあたっては細菌汚染に注意すること。
なお、調製後は速やかに使用すること。
慎重投与
- 骨髄機能抑制のある患者
[骨髄機能抑制を増悪させるおそれがある。]
- 感染症を合併している患者
[骨髄機能抑制により感染を増悪させるおそれがある。]
- 水痘患者
[致命的全身障害があらわれることがある。]
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー様症状(いずれの療法においても頻度不明)
- ショック、アナフィラキシー様症状(冷感、呼吸困難、血圧低下等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
骨髄抑制(メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法で0.1〜5%未満、その他の療法では頻度不明)
- 汎血球減少、無顆粒球症(前駆症状として発熱、咽頭痛、インフルエンザ様症状等があらわれる場合がある)、白血球減少、血小板減少、貧血等の骨髄抑制、再生不良性貧血があらわれることがあるので、頻回に血液検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
感染症(いずれの療法においても頻度不明)
- 呼吸不全にいたるような肺炎(ニューモシスティス肺炎等を含む)、敗血症、サイトメガロウイルス感染症、帯状庖疹等の重篤な感染症(日和見感染症を含む)があらわれることがあるので、患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、抗生剤、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと。
劇症肝炎、肝不全(いずれの療法においても頻度不明)
- 劇症肝炎、肝不全、肝組織の壊死・線維化、肝硬変等の重篤な肝障害(B型又はC型肝炎ウイルスによるものを含む)があらわれることがあるので、頻回に肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
急性腎不全(メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法で0.1%未満、その他の療法では頻度不明)、尿細管壊死、重症ネフロパチー(いずれの療法においても頻度不明)
- 急性腎不全、尿細管壊死、重症ネフロパチー等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、頻回に腎機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法で0.1%未満、その他の療法では頻度不明)、肺線維症、胸水(いずれの療法においても頻度不明)
- 間質性肺炎、肺線維症、胸水等があらわれ、呼吸不全にいたることがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状があらわれた場合には、速やかに胸部X線等の検査を行い、本剤の投与を中止するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれの療法においても頻度不明)
- 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群等の重篤な皮膚障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、紅斑、そう痒感、眼充血、口内炎等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
出血性腸炎(メトトレキサート・ロイコボリン救援療法で5%未満、その他の療法では頻度不明)、壊死性腸炎(いずれの療法においても頻度不明)
- 出血性腸炎、壊死性腸炎等の重篤な腸炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、激しい腹痛、下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
膵炎(いずれの療法においても頻度不明)
- 膵炎があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
骨粗鬆症(いずれの療法においても頻度不明)
- 骨粗鬆症があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、骨塩量減少等の異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
脳症(白質脳症を含む)、その他の中枢神経障害、ギランバレー症候群(いずれの療法においても頻度不明)
- 脳症(白質脳症を含む)、その他の中枢神経障害(痙攣、麻痺、失語、認知症、昏睡)、ギランバレー症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- メトトレキサートは、葉酸を核酸合成に必要な活性型葉酸に還元させる酵素dihydrofolate reductase(DHFR)の働きを阻止し、チミジル酸合成及びプリン合成系を阻害して、細胞増殖を抑制する。18〜20)
◇メトトレキサート通常療法
- 正常細胞や感受性の高い癌細胞には、能動的に取り込まれ、殺細胞作用を示す。18)
◇CMF療法
- 各種抗癌剤の抗腫瘍効果をSRC法(Subrenal capsule assay)で検討した結果、シクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシルの3剤併用の腫瘍増殖抑制率は、各単剤の腫瘍増殖抑制率を上回り68%まで上昇すると予測される。21)
◇メトトレキサート・ロイコボリン救援療法
- ある種の癌細胞(骨肉腫細胞等)では能動的に取り込む機構が欠落しているため、大量のメトトレキサート投与により受動的に取り込ませ、一定時間後にメトトレキサートの解毒剤であるロイコボリンを投与し、能動的にロイコボリンを取り込むことのできる正常細胞を救援する。19,20)
◇メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法
- フルオロウラシルは、生体内で活性代謝物となり、DNAの合成阻害又はRNAの機能障害を起こし、抗腫瘍活性を発揮する。メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法においては、前投与されたメトトレキサートのプリン合成阻害作用により増加した細胞内のPRPP(phosphoribosyl pyrophosphate)がフルオロウラシルの代謝を促進し、抗腫瘍効果を増強させると考えられている。22)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- メトトレキサート(Methotrexate)〔JAN〕
化学名
- N-{4-[(2,4-Diaminopteridin-6-ylmethyl)(methyl)amino]benzoyl}-L-glutamic acid
分子式
分子量
性状
- 本品は黄褐色の結晶性の粉末である。本品はピリジンに溶けにくく、水、アセトニトリル、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。本品は希水酸化ナトリウム試液又は希炭酸ナトリウム試液に溶ける。
本品は光によって徐々に変化する。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- pregnancy, gravidity, gestation
- 関
- 妊娠週数、妊娠期間、(妊娠週数・妊娠月数の推定)子宮#子宮の大きさ、trimester。妊婦
- 妊娠x週
- x weeks of gestation
妊娠期間 (L.107)
- 最終月経の開始から280日(40週)
- 受精後266日(38週)
妊娠に伴う自覚、検査所見
- QB必修
- 尿検査による妊娠反応陽性:4週
- つわり症状 :6週
- 胎動の自覚 :18-20週
検査
超音波検査
- QB必修
- 妊娠4週:胎囊
- 妊娠5週:胎児
- 妊娠6週:胎児心拍
- 妊娠10-12週:ドップラーによる胎児心拍
尿妊娠反応
妊娠による変化
- G10M.38 NGY.293-303
- 循環血液量増加 → 血漿量の増加が血球成分の増加より著しい → 血液希釈(赤血球数↓、Hb↓、Ht↓)
- 白血球増加(5000~12000 /ul)。多核白血球優位に増加。
- 凝固能:凝固系亢進、線溶系抑制
- 血液凝固因子:第XI因子、第XIII因子を除き、血液凝固因子の濃度が上昇
- 胃:緊張度と運動性低下。食道括約筋圧低下、妊娠子宮による胃の変異により胃食道逆流が生じやすい(→麻酔管理では妊婦はfull stomach扱い)。
- 胸郭弛緩、横隔膜挙上、気道拡張(プロゲステロンによる気管平滑筋弛緩)
- →[一回換気量]増加、[予備呼気量]減少、[残気量]減少 → 残気量が減少し、一回換気量が増加 → 分時換気量増加
-
- 食後血糖は上昇。空腹時血糖は低下する。また、食後に高インスリン血症が持続する。 (NGY.293)
- FSH, LH:非妊娠時の基礎値
- hCG:10週前後にピークとなり以降、減少。
- PRL:妊娠末期に向かって増加
妊娠によるエネルギー付加量
- NGY.324
- 日本人成人女子の生活活動強度別の栄養所要量(kcal/day)
- 妊婦 +350
- G10M.72
- 妊娠初期:50kcal
- 妊娠中期:250kcal
- 妊娠末期:500kcal
- 授乳中:450kcal
妊娠と服用薬
- 妊娠と薬情報センター - 独立行政法人 国立成育医療研究センター
- http://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html
服用薬の影響
- 4週から7週末までは器官形成期であり、催奇形性が確認されているものはワルファリン(鼻奇形、骨形成不全)、メトトレキセート(種々の奇形)、抗てんかん薬(種々の奇形)がある。(参考1)
臨床関連
届出
参考
- http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/FUJ-FULL.pdf
[★]
- 英
- methotrexate, MTX
- ラ
- methotrexatum
- 同
- メソトレキサート、メトトレキセート
- 商
- トレキサメット、メソトレキセート、メトトレキサート、メトレート、リウマトレックス
- 関
- 他に分類されない代謝性医薬品
[show details]
- 免疫抑制薬
- 葉酸の4-amino-N10-methyl誘導体
作用機序
- 特にthymidine monophosphateの合成が阻害される (SPC.416)
- RNA、タンパク質合成を阻害するので、S期に移行しにくくなり薬効は低下
薬理作用
適用
副作用
- 胃炎、下痢。消化管穿孔
- 骨髄抑制、肝線維症、腎尿細管壊死、脱毛
- メトトレキサート腎症
関節リウマチの治療薬として用いられる場合の副作用
- 参考1
- 胃腸障害、口内炎、脱毛、肝機能障害
- (重篤な副作用)間質性肺炎(MTX肺炎)(0.5-5%)、骨髄障害(1-2%)、リンパ腫の発生
葉酸欠乏に伴う副作用
- https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/MTX/05_ch4_MTX.pdf
- 症状:消化器症状(口内炎、下痢、食思不振)、肝酵素上昇、血球減少、脱毛など。用量依存性に出現する
- 治療の推奨:葉酸製剤の併用投与は、用量依存性副作用の予防や治療に有効であり、必要に応じて考慮する。MTX 8mg/週以上使用する場合や副作用リスクが高い症例(腎機能低下例、高齢者、複数のNSAIDs使用例)では葉酸併用投与が強く勧められる。葉酸製剤は5mg/週以内を、MTX最終投与後24-48時間以内に投与する。
注意
- 妊婦→妊娠初期三ヶ月における流産・奇形誘発
禁忌
添付文書
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/4222400D2020_2_01/4222400D2020_2_01?view=body
参考
- 1. 関節リウマチの診療マニュアル(改訂版) 診断のマニュアルとEBMに基づく治療ガイドライン
- http://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rm400/library/guideline.html
- 2. 関節リウマチ治療におけるメトトレキサート(MTX)診療ガイドライン
- http://www.ryumachi-jp.com/info/guideline_mtx.html
[★]
- 英
- antimetabolite
- 関
- 代謝拮抗物質、代謝拮抗薬、抗代謝剤
商品