出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/06/09 20:37:45」(JST)
IUPAC命名法による物質名 | |
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IUPAC名
[(1R)-3-methyl-1-({(2S)-3-phenyl-2-[(pyrazin-2-ylcarbonyl)amino]propanoyl}amino)butyl]boronic acid
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臨床データ | |
販売名 | Velcade |
Drugs.com | monograph |
MedlinePlus | a607007 |
ライセンス | EMA:リンク、US FDA:リンク |
胎児危険度分類 |
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法的規制 |
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投与方法 | 静脈注射 |
薬物動態データ | |
生物学的利用能 | n/a |
血漿タンパク結合 | 83% |
代謝 | 肝臓, CYP extensively involved |
半減期 | 9 to 15 hours |
排泄 | ? |
識別 | |
CAS番号 (MeSH) |
179324-69-7 |
ATCコード | L01XX32 |
PubChem | CID: 387447 |
DrugBank | DB00188 |
ChemSpider | 343402 |
UNII | 69G8BD63PP |
ChEMBL | CHEMBL325041 |
化学的データ | |
化学式 | C19H25BN4O4 |
分子量 | 384.237 g/mol |
SMILES
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InChI
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ボルテゾミブ (Bortezomib、治験コード:PS-341)は、分子標的治療薬の一つ。商品名は「ベルケイド®(Velcade®)」で、武田薬品工業の子会社である米国の「ミレニアム製薬社」が開発した。
プロテアソーム阻害薬で、多発性骨髄腫及びマントル細胞リンパ腫に対して用いられる。
ボルテゾミブは1995年に初めて合成された。多発性骨髄腫に対して小規模な第I相臨床試験が実施された後、1999年10月に次の段階の治験が開始された。
2003年、SUMMIT第II相臨床試験[1]の結果に基づき、米国で多発性骨髄腫の承認を取得した。
日本では上記の結果を受けて第I/II相臨床試験が実施され[2]、2006年10月に「再発又は難治性の多発性骨髄腫」について承認[3]された後、「未治療の多発性骨髄腫」に対して適応拡大[4]され、更に静脈注射に加えて皮下注射での承認を取得[5]した。
マントル細胞リンパ腫については国際共同第III相試験の結果に基づき2014年10月に承認申請され[6]、2015年6月に承認された[7]。
N-末端を保護されたジペプチドであり、ピラジン酸―フェニルアラニン―“カルボン酸をホウ酸に置換したロイシン”の順で結合している。
ボルテゾミブのホウ素原子が26Sプロテアソームに高親和性かつ特異的に結合する。通常、この酵素はユビキチン化された蛋白質を分解することで各種蛋白質の機能発現を制御し、同時に異常な配列な蛋白質や立体構造が変則な蛋白質を排除している。
前臨床並びに臨床試験の結果、プロテアソームは骨髄腫細胞の不死化に関与しており、固形癌の培養細胞及び異種移植片での実験結果も同様であった。様々な要素が関与していると思われるが、プロテアソームを阻害することでアポトーシス促進性因子の分解を阻止し、腫瘍性細胞のプログラム死を誘導していると思われる。
近年、ボルテゾミブはプロテアソームにより産生される細胞内ペプチドの量を急速かつ劇的に変化させる事が明らかとなった[8]。細胞内ペプチドの一部は生物学的活性を持つ為、ボルテゾミブに因るペプチド量の変化が主作用及び/又は副作用に関わっている可能性が有る。
ボルテゾミブは静注後速やかに血中から消失する[9]。1時間後には血中から検出されない。PD実験によって、骨髄腫細胞系とマントル細胞系に於いて末梢血中の単核細胞と比較してプロテアソーム阻害活性が著しく亢進している事が明らかとなった。他の癌腫での感受性は明らかとなっていない。
前治療の有る再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に対して非盲検の2つの第II相臨床試験(SUMMIT及びCREST)(21日周期のday 1,4,8,11でボルテゾミブ1.3mg/m2静注(デキサメタゾン有/無)を最大8コース投与)が実施された[10]。また更に、高用量デキサメタゾンへの優位性を示す為、第III相臨床試験(APEX)が実施された。APEX試験の結果、無増悪生存期間は6.2ヶ月(ボ群)対3.5ヶ月(デ群)、1年生存率は80%(ボ群)対66%(デ群)であった[10]。
日本における第I/II相臨床試験の結果は、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」については奏効率30.3%(10/33)、「未治療の多発性骨髄腫」については奏効率72.4%(71/98)であった[2]。
マントル細胞リンパ腫に対する第III相臨床試験の結果は、標準療法であるR-CHOP療法(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン)とVcR-CAP療法(ボルテゾミブ、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン)の無増悪生存期間中央値は其々14.4ヶ月 vs. 24.7ヶ月で有意差が付いた[11]。この試験の全生存期間中央値は56.3ヶ月 vs. 推定不能(最終観察時点で半数以上が生存)であった。
副作用は多発性骨髄腫の治験で100%、マントル細胞リンパ腫の治験で94.6%とほぼ必発である[11]。
重大な副作用として添付文書に記載されているものは、
である[11](頻度の記載の無いものは頻度不明)。
この内、肺障害(間質性肺炎を含む)については、適正使用ガイド[2]でも繰り返し注意喚起されている。
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ベルケイド注射用3mg
3.2%
5.4%
頻度不明
29.5%
0.1%
頻度不明
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β2ミクログロブリン (mg/L) |
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Stage II | ||||
3.5 | Stage I | |||
0 | ||||
0 | 3.5 | |||
アルブミン(g/dL) |
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