- 英
- vegetative state
- 関
- 脳死 脳死では大脳半球・脳幹を含む前脳機能の不可逆的停止
- 関
- 遷延性植物状態、永久的植物状態
概念
- 呼吸、循環、その他の自律神経機能は保たれているが、運動・知覚機能および知能活動がほとんど欠如した状態。
- 脳幹機能は残存、あるいは一部残存
定義 (日本脳神経外科学会)
- 1. 自力で移動できない
- 2. 自力で食物摂取不可
- 3. 糞尿失禁
- 4. 物を追視するが認識不可
- 5. 簡単な命令に応ずることもあるが、それ以上の意思疎通不可 →例えば「手を握れ」「目を開け」
- 6. 声は出すが、意味のある発語不可
- 7. 以上の6項目を満たし、かつ3か月以上継続・固定している
国試
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/05/26 19:12:22」(JST)
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遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)とは、重度の昏睡状態を指す病状。俗にいう植物状態(しょくぶつじょうたい、Persistent vegetative state)についても記述する。
目次
- 1 定義
- 2 回復の見込み
- 3 脳死との比較
- 4 治療などの支援
- 5 意識とコミュニケーション
- 6 出典
- 7 関連項目
- 8 外部リンク
定義
日本脳神経外科学会による定義(1976年)。
- 自力移動が不可能である。
- 自力摂食が不可能である。
- 糞・尿失禁がある。
- 声を出しても意味のある発語が全く不可能である。
- 簡単な命令には辛うじて応じることも出来るが、ほとんど意思疎通は不可能である。
- 眼球は動いていても認識することは出来ない。
以上6項目が、治療にもかかわらず3ヶ月以上続いた場合を「植物状態」とみなす。
回復の見込み
1994年の米国の遅延性植物状態に関する多学会特別委員会では、「脳外傷後1年又は酸素欠乏後3ヶ月(のちに6ヶ月に修正)を経過しても意識の兆候がまったく見られない患者は回復の見込みがゼロに近い。」とした。こういった患者を「永続的植物状態」と呼んだ。
[1]
脳死との比較
「植物状態」は、一般的には脳の広範囲が活動出来ない状態にあるが、辛うじて生命維持に必要な脳幹部分は生きている状態を指す。一方脳死は生命維持に必要な脳幹機能が不可逆的に停止している状態を指す。植物状態では自発呼吸があり、脳波も見られる。植物状態の場合はまれに回復することがあるが、脳死の場合は回復しない。
[1]
治療などの支援
交通事故の場合には被害者が脳に激しい衝撃を受けて遷延性意識障害になる例が多いことから、事故被害者の支援業務を行う独立行政法人自動車事故対策機構 (NASVA)では、交通事故による遷延性意識障害者専門の療護センター(病院)を設置・運営し、植物状態からの脱却を目指した治療・看護を行っている。また、NASVAでは、遷延性意識障害者を始めとして、重度後遺障害となった事故被害者のために介護料を支給している。
また、睡眠導入薬として処方されることの多いゾルピデムにより昏睡状態から回復する報告[2]があったことから現在臨床試験が行われている[3]。
意識とコミュニケーション
英ケンブリッジ大のエードリアン・オーウェン博士によると、正常な意識があり、脳スキャナーによって思考の伝達が可能な植物状態の患者もいる[4][5]。ただし、この場合でも今の所、こちらが出す質問に「はい/いいえ」と回答してもらうのが限界であり、複雑な会話はできない。
出典
- ^ a b S. ローリーズ(Steven Laureys)著 古川奈々子訳 『植物状態の意識を探る』 日経サイエンス別冊「脳から見た心の世界」 p.94-p.100 2007年12月10日発行 1版1刷 ISBN 978-4-532-51159-3
- ^ http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/1567880/Sleeping-pill-Zolpidem-awakens-girl-from-coma.html
- ^ http://sites.google.com/site/zolpidemtherapy/brain-damage-trial
- ^ 植物状態でも思考しコミュニケーションすることができる
- ^ 植物状態でも科学者に話すことができる
関連項目
- 神経学
- 脳神経外科学
- 意識障害
- 尊厳死
- 安楽死
- 脳死
外部リンク
- 全国遷延性意識障害者・家族の会
- 独立行政法人自動車事故対策機構 (NASVA)
- (百科事典)「Vegetative state」 - スカラーペディアにある「植物状態」についての項目。(英語)
- 植物状態でも思考しコミュニケーションすることができる 2010年2月3日(英語)
- 植物状態でも科学者に話すことができる 2010年2月4日(英語)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- CYRANOSKI DAVID
- Natureダイジェスト : 日本語で読む世界の最新科学ニュース 9(9), 14-17, 2012-09
- NAID 40019432117
- 生命観形成のために科学教育が果たす役割について -カリキュラム構想のための予備的調査(その1)-
- 牧野 治敏,マキノ ハルトシ,Makino Harutoshi
- 研究論文集-教育系・文系の九州地区国立大学間連携論文 4(2), 2011-03
- … このような状況に対応するための教育のあり方について検討するとともに、有効なカリキュラムを構築するための準備として、現代の医療の特徴である臓器移植の際に必要な脳死の概念や、その類似の概念としての植物状態について、大学生を対象として現状を調査した。 … その結果、脳死、植物状態ともに、必ずしも十分な理解をしているとは言えない現状が示された。 …
- NAID 120002925821
- 生命観形成のために科学教育が果たす役割について--カリキュラム構想のための予備的調査(その1)
- 牧野 治敏
- 大分大学教育福祉科学部研究紀要 32(2), 249-260, 2010-10
- … このような状況に対応するための教育のあり方について検討するとともに、有効なカリキュラムを構築するための準備として、現代の医療の特徴である臓器移植の際に必要な脳死の概念や、その類似の概念としての植物状態について、大学生を対象として現状を調査した。 … その結果、脳死、植物状態ともに、必ずしも十分な理解をしているとは言えない現状が示された。 …
- NAID 120002488843
Related Links
- 脳幹の機能は残存(あるいは一部残存している) まれに回復する可能性がある 多くは自力で呼吸している 日本における一般的な死の概念である 心臓停止の三兆候は以下の状態を言います。
- 知恵蔵2014 植物状態の用語解説 - 思考や運動を司る大脳皮質の働きは失われるが、呼吸、循環など生命維持に必要な脳幹部が機能している状態。正しくは遷延性意識障害。脳外傷、脳卒中などで、年間7000人も発生。日本脳神経外科学会 ...
- 2点在庫あり。ご注文はお早めに。 通常配送無料 こちらからもご購入いただけます - 大型本 ¥ 1,500 中古品 (1 出品) (1) 抜粋 47ページ: ... 地面の高さまでハサミでひと つひとつ切り戻す。切り戻しの作業は、今年 の植物の生育状態を ...
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- 死に係わる事柄の説明で正しいのはどれか。 2つ選べ。
[正答]
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- 発語は不能であるが、眼球運動で意思を伝えることができるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098G078]←[国試_098]→[098G080]
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[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105B012]←[国試_105]→[105B014]
[★]
- 英
- consciousness disturbance, disturbance of consciousness
- 関
- 意識
分類
時間による分類
- 急性/慢性, 持続性/一過性
PSY.38
- 明識困難状態 < 昏蒙 < 傾眠 < 昏眠 < 昏睡
-
-
意識レベルの分類 覚醒度
- Mayo Clinicの分類
救急 意識障害をみたら
- AIUEOTIPS (also see DIF.96)
|
症候学プリント
|
DIF.95
|
A
|
alcohol
|
アルコール関連
|
accidents, arterial occlusions, arteriosclerosis, aneurysms, autoimmune disorders
|
I
|
insulin
|
インスリン関連(低血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン性高浸透圧性昏睡)
|
inflammatory, intoxication (encephalitis, cerebral abcess, meningitis, alcoholism, opiates, barbiturates)
|
U
|
uremia
|
尿毒症、電解質異常、内分泌異常、肝性脳症
|
undefined disorders (narcolepsy, conversion hysteria)
|
E
|
encephalopathy, endocrinopathy, electrolyte
|
脳症(脳炎、脳血管障害)、てんかん後
|
endocrine disorders(myxedema coma, hyperparathyroidism, diabetic coma, insulin shock), epileptic coma
|
O
|
opiate, other overdose of O2 & CO2
|
薬物中毒
|
organ failure(hepatic coma, respiratory failure, uremia)
|
T
|
trauma, tumor, temparature
|
頭部外傷、脳挫傷、硬膜外血腫、硬膜下血腫
|
|
I
|
infection
|
感染症、髄膜炎
|
P
|
psychogenic
|
精神疾患
|
S
|
syncope, seizure, stroke, shock, senile
|
失神、クモ膜下出血
|
意識障害を来した患者が来た場合:どのような疾患を鑑別に挙げるべきか(IMD.237)
- a. テント上病変(脳幹の圧迫性病変ないし脳ヘルニアをきたす疾患)
- 1) 脳血管障害:脳出血、脳梗塞
- 2) 硬膜下血腫
- 3) 脳腫瘍:原発性、転移性
- 4) 脳膿瘍
- 1) 脳幹出血、脳幹梗塞、小脳出血、小脳梗塞、脳腫痛、多発性硬化症など
- 1) くも膜下出血、中枢神経感染症:髄膜炎、脳炎、 播種性血管内凝固症候群など
-
- 1) ショック:心筋梗塞、大出血など
- 2) 薬物、毒物
- 3) 無酸素ないし低酸素血症
- 4) DIC、全身性感染症:敗血症など
- 5) 肝不全、腎不全、糖尿病性高血糖、重症肝炎、内分泌疾患など
- 6) 低血糖、ビタミンB1欠乏: Wernicke脳症
- 7) 脳振盪、てんかん大発作後
- 8) 酸塩基平衡および電解質異常
- 9) 栄養障害
意識障害をきたす電解質異常
- QB.D-345
- カリウムは静止膜電位にかかわるが、ニューロンの活動にはそれほど関わらないから、意識障害はきたしにくいのかもしれない。
- pHの異常も局所的に干渉されるため意識障害をきたしにくいのかもしれない。
意識障害の評価法
- 英
- evaluation of consciousness disturbance
[★]
- 英
- persistent vegetative state、permanent vegetative state
- 関
- 植物状態、持続的植物状態、永久的植物状態
[★]
- 英
- permanent vegetative state
- 関
- 植物状態、遷延性植物状態
[★]
- 英
- persistent vegetative state
- 関
- 遷延性植物状態
[★]
- 英
- state、condition、status、position、situation
- 関
- 言う、位置、局面、状況、条件、立場、述べる、州、体位、ポジション、地位、様子
[★]
- 英
- plant
- 関
- プラント、phyto