- 32歳の男性。頸部と鼠径部との腫瘤を主訴に来院した。1か月前に歩行中、右鼠径部の違和感を覚え腫瘤に気付いたが痛みはなかった。その後、髭を剃っている時に偶然右頸部の腫れに気付いた。喫煙30本/日を12年間。体温37.6℃。脈拍76/分、整。血圧122/76mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。体表リンパ節は表面平滑、弾性硬で、右頸部に径2cmを3個、右鎖骨上窩に径3cmを1個、左頸部に径1.5cmを2個、右腋窩に径1.5cmを2個、右鼠径部に径2.5cmを1個触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。左肋骨弓下に脾を3cm触知し、臍下正中部に径5cmの腫瘤を触知する。血液所見:赤血球460万、Hb14.2g/dl、Ht42%、白血球6,700、血小板18万。血清生化学所見:総蛋白6.3g/dl。アルブミン4.2g/dl、尿素窒素20mg/dl、クレアチニン1.3mg/dl。総コレステロール156mg/dl、総ビリルビン1.0mg/dl、AST42IU/l、ALT30IU/l、LDH875IU/l(基準176~353)。免疫学所見:CRP4.2mg/dl、可溶性IL-2受容体2,300U/ml(基準550以下)。右頸部リンパ節生検H-E染色標本を以下に示す。
- 治療開始後に注意すべきことはどれか。2つ選べ。
[正答]
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★リンクテーブル★
[★]
- 42歳の女性。赤ら顔と頭重感とを主訴に来院した。3か月前から家族に顔面と手掌とが赤いと言われていた。2週前から頭重感が出現し、時々ふらつき感も感じていた。既往歴・家族歴に特記すべきことはない。意識は清明。体温36.4℃。脈拍84/分、整。血圧158/92mmHg。顔面は紅潮。眼瞼結膜と口腔粘膜とは充血している。心音と呼吸音とに異常を認めない。左肋骨弓下に脾を1cm触知する。血液所見:赤血球720万、Hb19.1g/dl、Ht60%、白血球12,600(桿状核好中球5%、分葉核好中球62%、好酸球3%、好塩基球2%、単球5%、リンパ球23%)、血小板126万。血清生化学所見:尿素窒素16mg/dl、尿酸8.6mg/dl、総ビリルビン0.8mg/dl、AST40IU/l、ALT32IU/l、LDH380IU/l(基準176~353)、Na138mEq/l、K5.2mEq/l。骨髄生検H-E染色標本を以下に示す。
- 治療として適切なのはどれか。2つ選べ。
- a. 脾摘術
- b. 瀉血療法
- c. 放射線治療
- d. 抗癌化学療法
- e. 抗血小板薬投与
[正答]
※国試ナビ4※ [101A032]←[国試_101]→[101A034]
[★]
- 9歳の男児。今朝からの眼瞼浮腫と血尿とを主訴に来院した。2週前に扁桃炎で治療を受けた。体温36.5℃。脈拍96/分、整。血圧180/102mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。脛骨前面を指で圧迫すると圧痕が残る。尿所見:蛋白2+、糖(-)、沈渣に赤血球多数/1視野、白血球4~6/1視野、赤血球円柱3~5/1視野を認める。血清生化学所見:総蛋白6.4g/dl。アルブミン3.8g/dl、尿素窒素44mg/dl、クレアチニン2.3mg/dl、総コレステロール160mg/dl。免疫学所見:ASO128単位(基準250以下)、CH50 12U/ml(基準25~35)。
- 治療薬として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A034]←[国試_101]→[101A036]
[★]
- 英
- tumor lysis syndrome, TLS
- 同
- 腫瘍融解症候群、腫瘍溶解症候群
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概念
- 高乳酸血症をきたすのは腫瘍細胞もっぱら解糖系でエネルギーを産生するためか?(NADHの再生とピルビン酸の処理のために乳酸が産生される?)
- 白血病や悪性リンパ腫の治療の過程で起こりうる。すなわち、化学療法や放射線療法により腫瘍細胞が壊死に至った際、腫瘍細胞から核酸、尿酸、カリウム、リンが血液中に放出される。糸球体を通過した尿酸が尿細管内で結晶化し尿路を閉塞し急性腎障害を来すといわれている。
- 急性腎不全を来しやすいために尿量を保ち尿のアルカリ化を計るなどする。
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