H2受容体拮抗薬
WordNet
- the 8th letter of the Roman alphabet (同)h
PrepTutorEJDIC
- hydrogenの化学記号
- 鉛筆の硬度 / 《俗》heroin
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/05/13 18:56:38」(JST)
[Wiki ja表示]
|  | 本来の表記は「ヒスタミンH2受容体拮抗薬」です。この記事に付けられた題名は記事名の制約から不正確なものとなっています。 | 
原型的なH
2受容体拮抗薬、シメチジンの球棒モデル。
 
 
 
ヒスタミンH2受容体拮抗薬(ヒスタミンエイチツーじゅようたいきっこうやく、Histamine H2-receptor antagonist)とはH2ブロッカーとも呼ばれ、胃潰瘍・十二指腸潰瘍といった消化性潰瘍の治療に用いられる薬品である。その作用機序は胃の壁細胞に存在し胃酸分泌を促進するヒスタミンH2受容体を競合的に拮抗することである。
目次
- 1 開発の経緯
- 2 薬理作用
- 3 臨床応用
- 4 ヒスタミンH2受容体拮抗薬の例
- 5 副作用
- 6 参考文献
- 7 関連項目
 
開発の経緯
ヒスタミンH2受容体拮抗薬の原型となっているシメチジンはアメリカのスミスクライン&フレンチ・ラボラトリーズ(SK&F、現在のグラクソ・スミスクライン)でジェームス・ブラックらの研究によって合成された。1964年当時、ヒスタミンが胃酸分泌を促進することは知られていたが旧来のヒスタミンの拮抗薬では胃酸分泌を抑制することはできなかった。この研究過程で彼らはヒスタミン受容体にH1とH2の2つのタイプがあることを明らかにした。彼らはH2受容体について何も判っていなかったので、まずヒスタミンの構造を少し変えた薬品を合成し作用を確かめてみた。
最初の進歩はNα-グアニルヒスタミンだった。この薬品はH2受容体を部分的に拮抗した。この延長線でH2受容体の詳しい構造が判り、最初のH2受容体拮抗薬であるブリマミドの合成に至った。ブリマミドはH2受容体に特異的な競合拮抗薬で作用はNαグアニルヒスタミンの100倍であった。ここにH2受容体の存在は確立した。ブリマミドは経口投与した場合の作用が弱かったのでこれを改良したメチアミド(Metiamide)が開発された。ところがメチアミドには腎毒性と顆粒球の抑制作用が明らかになったのでさらに改良し、ついにシメチジンの開発に至った。
薬理作用
ヒスタミンH2受容体拮抗薬は胃の壁細胞にあるヒスタミンH2受容体を競合的に拮抗する。これにより平時の胃酸の分泌および食物による胃酸の分泌の双方を抑制する。これには2通りのしくみがあると考えられている。ヒスタミンがH2受容体に結合するのを妨げるのと、ガストリンやアセチルコリンの持つ胃酸分泌刺激作用が弱まるということである。
臨床応用
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 逆流性食道炎(胃食道逆流症)
- ゾリンジャー・エリスン(Zollinger-Ellison)症候群
- 胸焼け(英: heartburn & acid indigestion)
ヒスタミンH2受容体拮抗薬の例
- シメチジン(商品名:タガメット、アルサメック錠など)
- 塩酸ラニチジン(商品名:ザンタック、アバロンZ、三共Z胃腸薬など)
- ファモチジン(商品名:ガスター、ガスター10など)
- ニザチジン(商品名:アシノン、アシノンZなど)
- 塩酸ロキサチジンアセタート(商品名:アルタット、アルタットA・イノセアワンブロックなど)
- ラフチジン(商品名:プロテカジン、ストガー)
上記はいずれも日本国内での販売名
副作用
ヒスタミンH2受容体は人間の場合、胃壁の他、心筋等にも存在する。ヒスタミンH2受容体拮抗薬は心筋の受容体にも影響を与えるため、不整脈等の心臓の異常を起こすことがある。特に心臓病の患者が摂取することは禁忌とされる。ファモチジンを含む市販薬では死亡例も確認されている。
その他、低血圧、下痢、めまい、頭痛、発赤がみられることがある。シメチジンは抗アンドロゲン作用(性欲の低下、インポテンツ)がみられることがあるが中止すると回復する。
参考文献
- ISBN 4524209182 南江堂 NEW薬理学 改訂第3版(1996年)
関連項目
| 
| 薬理学:医薬品の分類 |  
|  |  
| 消化器/代謝(A) | 
胃酸中和剤
制吐薬瀉下薬止瀉薬/止痢薬抗肥満薬血糖降下薬ビタミンミネラル |  
|  |  
| 血液、血液生成器官(B) |  |  
|  |  
| 循環器系(C) | 
心臓療法/狭心症治療薬
高血圧治療薬利尿薬血管拡張薬交感神経β受容体遮断薬カルシウム拮抗剤レニン-アンジオテンシン系
ACE阻害薬アンジオテンシンII受容体拮抗薬レニン阻害薬脂質降下薬
 |  
|  |  
| 皮膚(D) | 
皮膚軟化剤瘢痕形成剤鎮痒薬乾癬治療薬他の皮膚薬 |  
|  |  
| 泌尿生殖器系(G) | 
ホルモン避妊薬排卵誘発治療SERM性ホルモン |  
|  |  
| 内分泌器(H) | 
視床下部脳下垂体ホルモン副腎皮質ホルモン
性ホルモン甲状腺ホルモン/抗甲状腺薬 |  
|  |  
| 感染(J、P、QI) | 
抗菌薬
抗真菌薬抗ウイルス薬抗寄生虫薬
外部寄生虫駆除剤静注用免疫グロブリンワクチン |  
|  |  
| 悪性腫瘍(L01-L02) | 
抗がん剤
代謝拮抗薬抗腫瘍性アルキル化薬紡錘体毒抗悪性腫瘍薬トポイソメラーゼ阻害薬 |  
|  |  
| 免疫系(L03-L04) |  |  
|  |  
| 筋肉、骨、関節(M) | 
アナボリックステロイド抗炎症薬
抗リウマチ副腎皮質ホルモン筋弛緩剤ビスホスホネート |  
|  |  
| 脳、神経(N) | 
鎮痛剤麻酔剤
食欲低下薬ADHD治療中毒医学抗てんかん薬アルツハイマー治療抗うつ薬片頭痛治療抗パーキンソン病薬抗精神病薬抗不安薬抑制剤エンタクトゲンエンセオジェン陶酔薬幻覚剤
催眠薬/鎮静薬気分安定薬神経保護スマートドラッグ神経毒食欲促進セレニック精神刺激薬覚醒促進物質 |  
|  |  
| 呼吸器(R) | 
鬱血除去薬気管支拡張薬鎮咳去痰薬抗ヒスタミン薬 |  
|  |  
| 感覚器(S) |  |  
|  |  
| その他ATC(V) |  |  | 
 
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
 
- H2ブロッカーlafutidineによる薬剤誘発性せん妄--癌術後の3症例 (特集 症状性を含む器質性精神障害の症例)
 
Related Links
- ヒスタミン受容体拮抗剤の効果と副作用 ヒスタミン受容体拮抗剤は、別名H2ブロッカーとも呼ばれています。 逆流性食道炎の治療に使われる薬です。 また、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の治療にも使われております。 胃壁には、H2受容体 ...
- 当サイトの掲載情報の正確性については万全を期しておりますが、本会は利用者 が当サイトの情報を用いて行う一切の行為について何ら責任を負うものではありません。 ヒスタミンH2受容体拮抗薬
- 基礎知識7.薬はどのように働くか ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)(ファモチジン、シメチジン、ラニチジン、ロキサチジン、ニザチジン、ラフチジン) 胃の分泌腺にある壁細胞には、ヒスタミンという物質が結合すると ...
Related Pictures




 
★リンクテーブル★
  [★]
- 60歳の男性。気が遠くなるようなめまいが出現したことを主訴に来院した。この症状は1週前から1日に1、2回自覚している。めまいの発作の出現は立位動作とは関係がなく、歩行中や座位でも生じるという。失神はない。高血圧症、左室肥大、胃潰瘍および脂質異常症で内服治療中である。意識は清明。身長 169cm、体重 65kg。体温 36.2℃。脈拍 60/分、整。血圧 148/82mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。神経学的所見に異常を認めない。血液生化学所見に異常を認めない。心電図は洞調律、心拍数 60/分でPQ時間が0.24秒(基準 0.12~0.20)である。その他に異常を認めない。胸部エックス線写真で異常を認めない。心エコーで異常を認めない。Holter心電図におけるめまい自覚時の記録(別冊No. 25)を別に示す。
- 内服を中止する必要があるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110D053]←[国試_110]→[110D055]
  [★]
- 72歳の男性。頻尿と尿勢低下とを主訴に来院した。1年前から頻尿を自覚していたが、2か月前からは排尿に時間がかかるようになっている。直腸指診で前立腺は小鶏卵大、表面平滑、弾性硬で硬結を認めない。尿所見に異常を認めない。PSA 1.8ng/mL(基準 4.0以下)。排尿日誌で1回排尿量 180~250mL、昼間排尿回数 10回、夜間排尿回数2回。国際前立腺症状スコア18点(軽症 0~7、中等症 8~19、重症 20~35)。QOLスコア5点(軽症 0~1、中等症 2~4、重症 5~6)。尿流測定の結果(別冊No. 24A)を別に示す。腹部超音波検査で残尿量は120mLである。経直腸超音波像(別冊No. 24B)を別に示す。推定前立腺体積は35mLである。
- 治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [111D052]←[国試_111]→[111D054]
  [★]
- 43歳の男性。乾性咳嗽と喘鳴とを主訴に来院した。 6週前に感冒に罹患し、発熱、鼻汁および咽頭痛は改善したが、 4週前から夜間と早朝とに悪化する乾性咳嗽が出現し、喘鳴も伴うため心配になり受診した。労作時呼吸困難はない。半年前から胃潰瘍と高血圧とを指摘され、ヒスタミンH2受容体拮抗薬とカルシウム拮抗薬とを内服している。心音に異常を認めないが、両側の胸部に wheezesを聴取する。
- 対応として適切なのはどれか。
- a 利尿薬内服
- b 降圧薬中止
- c 抗菌薬内服
- d 副腎皮質ステロイド吸入
- e プロトンポンプ阻害薬内服
 
[正答]
※国試ナビ4※ [108C022]←[国試_108]→[108C024]
  [★]
- 62歳の男性。夕食後、突然吐血し搬入された。35歳時の交通外傷時に輸血を受けた。5年前に健康診断で肝障害を指摘された。意識は清明。顔面蒼白。脈拍100/分、整。血圧90/60mmHg。眼瞼結膜に貧血を認める。静脈路確保後に行った緊急上部消化管内視鏡検査の食道写真を以下に示す。
- 処置として最も適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101H045]←[国試_101]→[101H047]
  [★]
- Helicobacter pylori陽性の非出血性胃潰瘍の治療について正しいのはどれか。
- a 入院での加療が必要である。
- b ヒスタミンH2受容体拮抗薬が第一選択である。
- c 除菌治療成功後も粘膜保護薬の投与が必要である。
- d プロトンポンプ阻害薬と抗菌薬の静脈内投与で除菌を行う。
- e 除菌治療成功後も定期的な上部消化管内視鏡検査が必要である。
 
[正答]
※国試ナビ4※ [111I021]←[国試_111]→[111I023]
  [★]
- 英
- antihistamine antihistamines, histamine antagonist
- 同
- ヒスタミン拮抗薬 histamine antagonists、ヒスタミン遮断薬 histamine blocking agents
- 関
- ヒスタミン受容体。薬理学
- ヒスタミンH1受容体拮抗薬 histamine H1 receptor antagonist、H1拮抗薬 H1 blocker、H2遮断薬
- ヒスタミンH2受容体拮抗薬 histamine H2 receptor antagonist、H2拮抗薬 H2 blocker、H2遮断薬
- 
 
 
 
 
 
- 中枢作用↓、鎮静作用↓、抗コリン作用↓
 
 
- 
 
 
- ケミカルメディエーター放出を抑制
- 中枢作用:有。鎮静作用:有
 
鎮静性からの分類
構造からの分類
薬理学的作用の比較
- https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0024/G0000065/0023 をより改変して引用
抗ヒスタミン薬の抗ヒスタミン受容体占拠率
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/112/3/112_3_99/_pdf
  [★]
- 英
- receptor
- 同
- レセプター、リセプター
- 関
種類
First Aid FOR THE USMLE STEP 1 2006 p.199
| 一般的作動薬 | 受容体 | G protein subunit | 作用 | 
| アドレナリン ノルアドレナリン
 | α1 | Gq | 血管平滑筋収縮 | 
| α2 | Gi | 中枢交感神経抑制、インスリン放出抑制 | 
| β1 | Gs | 心拍数増加、収縮力増加、レニン放出、脂肪分解 | 
| β2 | 骨格筋筋弛緩、内臓平滑筋弛緩、気道平滑筋弛緩、グリコーゲン放出 | 
| β3 | 肥満細胞脂質分解亢進 | 
| アセチルコリン | M1 | Gq | 中枢神経 | 
| M2 | Gi | 心拍数低下 | 
| M3 | Gq | 外分泌腺分泌亢進 | 
| ドーパミン | D1 | Gs | 腎臓平滑筋弛緩 | 
| D2 | Gi | 神経伝達物質放出を調節 | 
| ヒスタミン | H1 | Gq | 鼻、器官粘膜分泌、細気管支収縮、かゆみ、痛み | 
| H2 | Gs | 胃酸分泌 | 
| バソプレシン | V1 | Gq | 血管平滑筋収縮 | 
| V2 | Gs | 腎集合管で水の透過性亢進 | 
チャネルの型による分類(SP. 154改変)
イオンチャネル連結型受容体
Gタンパク質共役型受容体
受容体とシグナル伝達系
リガンド、受容体、細胞内情報伝達系
PKA,PKC
癌細胞における
  [★]
- 英
- H2 blocker H2-blockers
- 同
- H2受容体ブロッカー H2 receptor blocker、H2受容体拮抗薬 H2 receptor antagonist H2RA、ヒスタミンH2受容体遮断薬 ヒスタミンH2受容体拮抗薬 histamine H2-receptor antagonists histamine H2 receptor antagonist histamine H2 antagonist、H2拮抗薬 H2 antagonist H2-antagonist、H2遮断薬、H2ブロッカー
- 関
- 抗ヒスタミン薬
[show details]
GOO.chapter36 p.971
- 十二指腸潰瘍の治癒率を向上する (⇔プロトンポンプ阻害薬)
H2受容体拮抗薬
構造
作用機序
- H1受容体にはほとんど作用しない
- H2受容体に可逆的、競合的に結合してヒスタミンを阻害する。
- 胃粘膜の局所の肥満細胞、ECL細胞
- histamine→H2R→Csα→AC→cAMP↑→PKA→H+,K+-ATPase
- histamine→H2R→[Ca2+]i↑→H+,K+-ATPase   ←補助的pathway
 
- H2RとMRとGRは相互作用しており、胃酸を分泌する。
注意
- 中止すると再発率が高い。そのため半年かけて漸減させゆっくり離脱
 
- 胃粘膜が減弱している
副作用
- 副作用5%↓
- 汎血球減少症、無顆粒球症
- 肝障害、抗アンドロゲン作用(女性化乳房、乳汁分泌)
- 中止すると再発率が高い。そのため半年かけて漸減させゆっくり離脱
- 胃粘膜が減弱しているから
相互作用
- シメチジン:CYP2D6, CYP3A4阻害作用。 CYPs(CYP1A2,CYP2C9,CYP2D6)の阻害 (GOO.972)
- ラニチジン:CYPs。しかし、シメチジンの10%程度
- ファモチジン、ニザチジン:なし
  [★]
- 英
- histamine
- 関
- 抗ヒスタミン薬、H2受容体拮抗薬
概念
- ヒスチジンから生合成される。
- ヒスチジンを脱炭酸する酵素は、ヒスチジンデカルボキシラーゼ(補酵素はピリドキサル5'-リン酸(PLP))
- この反応は肥満細胞で起こる。
| 一般的作動薬 | 受容体 | G protein subunit | 作用 | 
| ヒスタミン | H1 | Gq | 鼻、器官粘膜分泌、細気管支収縮、かゆみ、痛み | 
| H2 | Gs | 胃酸分泌 | 
ヒスタミンの主要な生理的効果
- PPC.770
| 組織 | 効果 | 臨床効果 | サブタイプ | 
| 肺 | 気管支収縮 | 喘息様症状 | H1 | 
| 血管平滑筋 | 後毛細血管細静脈の拡張 | 紅斑 | H1 | 
| 終末細動脈の拡張 | 
| 静脈収縮 | 
| 血管内皮 | 内皮細胞の収縮と分離 | 浮腫、蕁麻疹反応 | H1 | 
| 末梢神経 | 求心性神経終末の感作 | 掻痒、疼痛 | H1 | 
| 心臓 | 心拍数と心収縮力のわずかな増加 | 小さい | H2 | 
| 胃 | 胃酸分泌増加 | 消化性潰瘍、胸焼け | H2 | 
| 中枢神経 | 神経伝達 | 概日時計、覚醒 | H3 | 
構造式
  N-C                            N-C
 ||  \                            ||  \
 ||      C-CH2-CH(NH3+)-COO- → ||      C-CH2-CH-NH3+
 ||    /                           ||    /
   C-N                             C-N
     H                              H
  [★]
- 英
- receptor antagonist
- 関
- 受容体アンタゴニスト、レセプター拮抗薬、レセプターアンタゴニスト、レセプター拮抗剤、受容体遮断薬、受容体拮抗剤、レセプター遮断薬
  [★]
- 英
- drug, agent
- 同
- 薬物
- 関
- 作用薬、剤、ドラッグ、媒介物、病原体、麻薬、薬剤、薬物、代理人、薬品