- 英
- antithyroid drug
- 同
- 甲状腺阻害薬
- 関
- 甲状腺中毒症、薬理学、甲状腺、甲状腺ホルモン
種類
- チアミド系の化合物が用いられる(SPC.323)
作用機序
- 甲状濾胞内に能動的に取り込まれ、濾胞内でヨードの有機化と縮合を抑制
- 甲状腺濾胞内に浸潤しているリンパ球の自己抗体産生を抑制
副作用
- チアミド系化合物の副作用
副作用に対する対処
-
- 抗甲状腺薬の中止。副腎皮質ホルモン、抗菌薬、輸血、G-CSF (医学辞書改変)
- 無顆粒球症(好中球<500/ul)と判断されたらすぐに抗甲状腺薬の中止。
薬物動態の比較
|
チアマゾール
|
プロピルチオウラシル
|
血漿タンパクとの結合
|
結合しない
|
0.75
|
血漿半減期
|
4?6時間
|
75分
|
分布容積
|
40 liters
|
20 liters
|
甲状腺での濃縮
|
濃縮
|
濃縮
|
重症な肝臓病患者での代謝
|
減少
|
普通
|
重症な腎臓病患者での代謝
|
普通
|
普通
|
投与頻度
|
1-2回/日
|
1-4回/日
|
胎盤の通過
|
低
|
低
|
母乳への移行
|
低
|
低
|
参考
uptodate
- 1. [charged] チオナミドによるバセドウ病(グレーブス病)の治療 - uptodate [1]
- 2. [charged] チオナミドの薬理学および毒性 - uptodate [2]
- 3. [charged] 患者情報:抗甲状腺剤 - uptodate [3]
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/07/11 11:17:02」(JST)
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抗甲状腺薬(こうこうじょうせんやく、英: antithyroid agent)とは甲状腺ホルモンに対するホルモン拮抗薬。
例として以下の物質が該当する。
- プロピルチオウラシル (en)
- チアマゾール
- カルビマゾール (en)
- 過塩素酸カリウム
関連項目
- en:ATC_code_H03#H03B_Antithyroid_preparations
外部リンク
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薬理学:医薬品の分類 |
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Japanese Journal
- 舟木 智佳/神前 あい/井上 立州/井上 吐州/吉村 弘/堀 貞夫
- 東京女子医科大学雑誌 82(E1), E131-E133, 2012-01-31
- … 抗甲状腺薬投与開始1年後のTBIIと1年後の眼球突出度とは相関があった。 … 抗甲状腺薬投与開始後も、TBIIを含めた自己抗体高値が続くほど眼球突出が悪化することが示唆された。 …
- NAID 110008767964
- P-1013 抗甲状腺薬によるバセドウ病合併妊婦における胎児への影響(一般演題 ポスター発表,妊婦・授乳婦,Enjoy Pharmacists' Lifestyles)
- 庵森 靖弘,永井 絵里子,前田 葉子,室井 政子,白石 淳,中西 功
- 日本医療薬学会年会講演要旨集 21, 350, 2011-09-09
- NAID 110008910478
- 臨床講座(30)甲状腺機能異常(バセドウ病,橋本病)
- 治療 抗甲状腺薬で治療するには (特集 バセドウ病の診療に必要な知識)
Related Links
- 抗甲状腺剤の副作用について お薬の副作用は、内服し始めて最初の数か月に多く出ますが、まれに長期経過の後に出現することもあります。 1.かゆみ・じんま疹(薬疹) これは最も多い副作用で、飲みだして2〜5週の間に起こります。
- 甲状腺疾患専門病院「伊藤病院」のサイト。甲状腺に関する情報を詳しくご紹介しています。 ... 抗甲状腺薬 現在、抗甲状腺薬には、チアマゾール(MMI:メルカゾール)とプロピルチオウラシル(PTU:チウラジ-ル/プロパジール)の2 ...
- バセドウ病の治療は薬物治療が主です。ですが、抗甲状腺薬の副作用って気になりますよね。どんな副作用が現れるかは個人差があるかも知れません。
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★リンクテーブル★
[★]
- 32歳の女性。甲状腺の検査を希望して来院した。5か月前に第2子を出産した。妊娠前に受けた検査で抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗TPO抗体)強陽性であったため、妊娠期間中にも定期的に甲状腺ホルモン検査を受けていたが、これまでに異常を指摘されたことはなく自覚症状もない。体温 36.7℃。脈拍 84/分、整。血圧 126/86mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。びまん性のやや硬い甲状腺腫を触れるが圧痛はない。胸腹部に異常を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(±)、ケトン体(-)。血液所見:赤血球 420万、Hb 12.3g/dL、Ht 40%、白血球 6,700、血小板 21万。血液生化学所見:アルブミン 4.0g/dL、AST 13IU/L、ALT 15IU/L、クレアチニン 0.4mg/dL、血糖 146mg/dL、HbA1c 5.4%(基準 4.6~6.2)、総コレステロール 170mg/dL、トリグリセリド 90mg/dL、Na 137mEq/L、K 4.3mEq/L、Cl 102mEq/L、TSH 0.02μU/mL未満(基準 0.4~4.0)、FT4 2.0ng/dL(基準 0.8~1.8)。CRP 0.3mg/dL未満。
- この時点での方針として正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109D044]←[国試_109]→[109D046]
[★]
- 次の文を読み、45、46の問いに答えよ。
- 24歳の女性。動悸と易疲労感とを主訴に来院した。
- 現病歴 : 半年前から動悸と易疲労感とが出現した。不安もみられるため抗不安薬を投与されていたが、症状は改善せず、1か月前から悪化した。この間に体重は10kg減少した。
- 既往歴・家族歴 : 特記すべきことはない。
- 現症 : 身長158cm、体重41kg。体温37.2℃。脈拍92/分、整。血圧136/60mmHg。眼球突出を認める。甲状腺は軟らかく、びまん性に腫大しているが、自発痛と圧痛とはない。心音に異常なく、呼吸音は清。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
- 検査所見 : 血液所見:赤沈11mm/1時間、白血球4,100。血清生化学所見:総蛋白6.9g/dl、アルブミン4.6g/dl、総コレステロール10.0mg/dl、Na142mEq/l、K3.4mEq/l。TSH0.01μU/dl未満(基準0.2~4.0)、free T4 7.3ng/dl(基準0.8~2.2)。
[正答]
※国試ナビ4※ [096F045]←[国試_096]→[096F047]
[★]
- 13歳の女子。疲れやすさを主訴に来院した。陸上部に所属している。1年前から疲れやすさを自覚し、短距離走の成績が落ちてきたことに気づいていた。最近、より疲れやすくなったため受診した。食欲は旺盛である。病院の階段を上る際に動悸と胸の苦しさを感じたという。脈拍 120/分、整。血圧 136/72mmHg。頸部触診で甲状腺の腫大を認める。心音では胸骨左縁第2肋間にⅢ/Ⅵの収縮期雑音を聴取するが、呼吸音には異常を認めない。手指に振戦を認める。血液所見:赤血球452万、Hb 12.3g/dL、Ht 36%、白血球 8,900、血小板 23万。血液生化学所見:総蛋白 6.1g/dL、アルブミン 3.6g/dL、AST 33U/L、ALT 31U/L、尿素窒素 13mg/dL、クレアチニン 0.6mg/dL、TSH 0.1μU/dL未満(基準 0.5~5.0)、FT3 30pg/mL以上(基準 2.2~4.3)、FT4 10ng/dL以上(基準 0.9~1.7)、抗TSH受容体抗体 陽性。
- 現時点の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [113A069]←[国試_113]→[113A071]
[★]
- 42歳の女性。「風邪がいつまでも治らない」と訴えて来院した。 2週前から微熱が出始め、その後 38℃程度まで上昇、同じころから「のど」も痛くなり、寝るのもつらいほどだという。以前、風邪で処方された鎮痛薬を飲んでみたが改善しなかった。既往歴と生活歴とに特記すべきことはない。体温 38.5℃。脈拍 84/分、整。血圧 122/80 mmHg。前頸部で気管の左外側に圧痛を認める。咽頭に発赤と腫脹とを認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球 420万、 Hb 13.5g/dl、Ht 39%、白血球 8,000、血小板 19万。血液生化学所見: TSH 0.02 μU/ml(基準 0.2.4.0)、 FT4 3.3 ng/dl(基準 0.8.1.7)。免疫血清学所見: CRP 5.5 mg/dl、抗TSH受容体抗体陰性。頸部超音波検査で疼痛部に一致した低エコー域を認める。
- 治療薬として最も適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108I069]←[国試_108]→[108I071]
[★]
- 28歳の女性。月経異常と不妊とを主訴に来院した。初経は12歳で、月経周期は45~60日と不順であった。身長158cm、体重68kg。両側下肢に多毛を認める。内診で子宮は正常大。経腹超音波検査で両側の卵巣に直径10mm前後の小卵胞を多数認める。基礎体温は低温一相性。クロミフェンで排卵が認められない。血液生化学所見:LH15.8mIU/ml(基準1.8~7.6)、FSH6.8mIU/ml(基準5.2~14.4)、プロラクチン12.2ng/ml(基準15以下)、FT32.8pg/ml(基準2.5~4.5)、FT4 1.3ng/dl(基準0.8~2.2)、エストラジオール70pg/ml(基準25~75)、テストステロン52ng/dl(基準10~60)。子宮卵管造影と夫の精液検査とに異常を認めない。
- 治療薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102I041]←[国試_102]→[102I043]
[★]
- 26歳の女性。2週前から動悸が続くことを主訴に来院した。階段昇降時に息切れが出現する。喘息の既往はない。体温37.3 ℃。脈拍 120/分、整。血圧 158/60mmHg。頸部に弾性硬のびまん性の甲状腺腫を認める。甲状腺に圧痛はない。心音に異常を認めない。赤沈 15mm/1時間。血液所見:赤血球 420万、Hb 13.0g/dL、Ht 42%、白血球 6,000。血液生化学所見:TSH 0.1μU/mL(基準 0.2~4.0)、FT4 4.6ng/dL(基準 0.8~2.2)、TRAb 1.0IU/L(基準 1.0以下)。CRP 0.2mg/dL。心電図は洞頻脈。胸部エックス線写真で心胸郭比は42%、肺野に異常を認めない。99mTcO4-甲状腺シンチグラム(別冊No. 10)を別に示す。
- 治療薬として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110D031]←[国試_110]→[110D033]
[★]
- 24歳の女性。下痢と体重減少とを主訴に来院した。半年前から1日2,3回の下痢が始まり、体重が減少してきた。階段を昇るときに動悸を感じるようになった。身長162cm、体重48kg。体温37.2℃。脈拍112/分、整。血圧128/58mmHg。皮膚は湿潤。血液所見:赤血球 410万、白血球 3,500。血液生化学所見:空腹時血糖 98mg/dl、総コレステロール 128 mg/dl、ALP 410IU/dl(基準115-359)。内服治療開始後の臨床指標で重要なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104D041]←[国試_104]→[104D043]
[★]
- 28歳の女性。2週前からの動悸を主訴に来院した。階段昇降時に息切れがする。体温37.3℃。脈拍120/分、整。血圧158/60mmHg。頸部に弾性硬のぴまん性甲状腺腫を認める。甲状腺に圧痛はない。心雑音はない。血液所見:赤沈15mm/1時間、赤血球420万、Hb13.0g/dl、Ht42%、白血球6,000。血清生化学所見:TSH0.1μU/ml未満(基準0.2~4.0)、T3 320ng/dl(基準80~220)、FT4 4.6ng/dl(基準0.8~2.2)。99mTCO4- 甲状腺シンチグラムを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [100F051]←[国試_100]→[100F053]
[★]
- 10歳の男児。けいれんを主訴に来院した。乳幼児期に発熱時けいれんが10回以上あった。最近しばしば上下肢の攣縮がみられる。朝方、数分間に及ぶ全身けいれんをきたした。う歯が多数みられる。血清生化学所見:Na146mEq/l、K3.6mEq/l、Cl102mEq/l、Ca6.0mg/dl、P8.1mg/dl、TSH0.3μU/ml(基準0.2~4.0)、FT42.0ng/dl(基準0.8~2.2)、PTH6.0pg/ml(基準10~60)。頭部単純CTを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [100A049]←[国試_100]→[100A051]
[★]
- 45歳の女性。汗をかきやすいことと体重減少とを主訴に来院した。甲状腺機能亢進症の診断で 1年前から抗甲状腺薬を内服していたが、症状の改善がみられず、本人の希望もあり甲状腺摘出術が施行された。摘出組織の H-E染色標本 (別冊 No. 5A、B)を別に示す。
- この病変の診断として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108G045]←[国試_108]→[108G047]
[★]
- a. 抗甲状腺薬は数ヶ月で中止できる
- b. アイソトープ治療の効果は2週間後に出現する
- c. 眼球突出は甲状腺亜全摘術後1ヶ月で改善する
- d. 甲状腺機能亢進症状は甲状腺亜全摘術後、数週間以内に改善される。
- e. 抗甲状腺薬の投与は症状を見ながら次第に減らしていく。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [114D057]←[国試_114]→[114D059]
[★]
- 甲状腺全摘術後に発症したテタニーに対し、直ちに投与すべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114A005]←[国試_114]→[114A007]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107D007]←[国試_107]→[107D009]
[★]
- 英
- Graves' disease, Graves disease
- 同
- バセドー病 バセドウ病 (国試)Basedow病 Basedow disease Basedow's disease、グレーヴス病 Graves病、exophthalmic goitre、中毒性びまん性甲状腺腫 toxic diffuse goiter、パリー病 Parry disease
- ラ
- morbus Basedowii
- 関
- 甲状腺中毒症
概念
病因
- 甲状腺刺激免疫グロブリン thyroid stimulating immunoglobulin
- 甲状腺増殖刺激免疫グロブリン thyroid re-growth-stimulating immunoglobulin (TGI)
- TSH結合阻害免疫グロブリン TSH-binding inhibitor immunoglobulin (TBIIs)
- 自己抗体であるTSH受容体抗体の産生 → 甲状腺濾胞上皮細胞のTSH受容体に結合して活性化 → 甲状腺ホルモン分泌↑
- 抗TSH受容体抗体は95-98%の症例で出現する。
疫学
頻度
- 住民検診などで見つかる Basedow病は、1,000人に対し 1-6人と報告されている。
- 男女比は1:4で女性に多い。特に、20-50歳の女性に多い。
- 家族内集積が高い。
病変形成&病理
- 自己抗体により、濾胞のホルモン産生が刺激され、甲状腺は瀰漫性に腫大(正常の数倍から200gまで)。
症状
- 頻脈、体重減少、手指振戦、発汗増加等
- 心臓肥大、リンパ組織過形成、真皮の肥厚
- 2. びまん性甲状腺腫大(表面は平滑で柔らかい、血管雑音)
- 3. 眼球突出または特有の眼症状
- 未治療or適切な治療が行なわれていなかった状態、感染、外傷などの誘因が加わった時に機能亢進症が急速に増悪する状態。頻脈、ショック。
合併症
検査
- 1. FT4、FT3のいずれか一方または両方高値
- 2. TSH低値
- 3. TSH受容体抗体陽性、または甲状腺刺激抗体陽性
- 4. 放射線ヨード甲状腺摂取率高値 ← 甲状腺ホルモンの生合成が亢進
エコー
診断
(Basedow病の診断ガイドライン(日本甲状腺学会 第7次案))
- 所見
- 1. 頻脈、体重減少、手指振戦、発汗増加等の甲状腺中毒症所見
- 2. びまん性甲状腺腫大
- 3. 眼球突出または特有の眼症状
- 1. 遊離T4、遊離T3のいずれか一方または両方高値
- 2. TSH低値(0.1μU/ml以下)
- 3. 抗TSH受容体抗体(TRAb,TBII) 陽性、または刺激抗体(TSAb) 陽性
- 4. 放射線ヨード(またはテクネシウム) 甲状腺摂取率高値、シンチグラフィでびまん性
- 診断
- a) の1つ以上に加えて、b) の4つを有するもの
- a) の1つ以上に加えて、b) の1、2、3を有するもの
3) Basedow病の疑い
- a) の1つ以上に加えて、b) の1と2を有し、遊離T4、遊離T3高値が3カ月以上続くもの
- 付記
- 1. コレステロール低値、アルカリフォスターゼ高値を示すことが多い.
- 2. 遊離T4正常で遊離T3のみが高値の場合が稀にある.
- 3. 眼症状がありTRAbまたはTSAb陽性であるが、遊離T4およびTSHが正常の例はeuthyroid
Graves’diseaseまたはeuthyroidophthalmopathyといわれる.
- 4. 高齢者の場合、臨床症状が乏しく、甲状腺腫が明らかでないことが多いので注意をする.
- 5. 小児では学力低下、身長促進、落ち着きの無さ等を認める.
- 6. 遊離T3(pg/ml) /遊離T4(ng/dl) 比は無痛性甲状腺炎の除外に参考となる
治療
の二種類である。薬効の高さや作用持続時間の長さの利点からMMIを第一選択とするが、胎盤移行や乳汁移行、副作用の出現頻度を考慮しPTUを用いることもある。治療中止の時期は甲状腺機能の正常化はもちろんのこと、抗TSH受容体抗体が陰性であることも必要である。
- 治療期間:長い。1-2年維持量でコントロールし、TSH受容体抗体が陰性化したら減量し、さらに6ヶ月したら休薬(YN.D-31)
治療の中止
- 4点がそろえば中止。中止後、10-25%が再発する。
- 1. メルカゾール1錠/日-1錠/隔日で甲状腺機能が正常 (TSH, FT4の両方が正常)
- 2. 投薬継続期間が2年以上
- 3. 甲状腺腫が小さくなった
- 4. TSH受容体抗体が陰性
βブロッカー
- 脈拍、動悸、振戦を軽減 ← 甲状腺ホルモンの「心筋細胞のカテコールアミン受容体を増加させる作用」に対して
放射性ヨード療法
- 131Iのβ線により甲状腺組織を破壊
- 効果は2-3週後に出現し、最大効果は6-12週後。
外科的治療法
比較
|
放射性ヨード療法 131療法
|
外科的治療法
|
抗甲状腺薬
|
長所
|
治療法が簡単
|
|
どの年代の患者でも可能(妊娠・妊娠中も可能)
|
成人合併例でも治療可能
|
|
通院での治療可能
|
比較的短期間で寛解
|
短期間に治癒
|
|
永続寛解率が高い
|
高い寛解率
|
|
侵襲が少ない
|
|
不可逆的な甲状腺機能低下は稀
|
短所
|
特別な施設が必要
|
手術侵襲
|
副作用(無顆粒球症・肝障害)
|
永続的甲状腺機能低下症が年ごとに増加
|
永続的甲状腺機能低下症
|
|
妊娠、授乳期では禁忌
|
瘢痕
|
治療期間が長い
|
|
術後合併症(反回神経麻痺、テタニー)
|
永続寛解率が低い
|
|
術後再発
|
|
回避・禁忌
|
30歳以下は避ける
|
|
|
妊娠予定、妊娠中、授乳中は禁忌
|
|
|
適応
|
欧米の第一選択
|
|
日本の第一選択
|
老人で早期治療を望む場合
|
早期治癒を望む場合(社会的・妊娠希望)
|
小児、妊婦
|
抗甲状腺薬で副作用の例
|
抗甲状腺薬で副作用の例
|
外科的療法、放射性ヨード療法の明らかな適応外
|
抗甲状腺薬で永続治癒の可能性低
|
抗甲状腺薬で永続治癒の可能性低
|
FT4軽度上昇例
|
服薬・治療コンプライアンス低
|
服薬・治療コンプライアンス低
|
|
手術適応だが合併症、患者の意志により回避される場合
|
通院が困難
|
|
手術後再発例
|
甲状腺腫が大
|
甲状腺腫が小
|
病理
- 濾胞上皮の著明な過形成、上皮細胞の丈が増して円柱上となる、濾胞上皮が乳頭状に濾胞腔に突出する、間質の軽度の線維化、リンパ球集簇、リンパ濾胞、腫大した上皮細胞は濾胞中央部のコロイドを活発に吸収するため、コロイドの辺縁部に空泡が見える。
グレーブス病、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎の比較
- YN.D-40改変
参考
- 1. D.産科疾患の診断・治療・管理 8.合併症妊娠の管理と治療 - 日産婦誌60巻3 号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/60/6003-041.pdf
[★]
- 英
- pharmacology
- 関
- drug entries
定義
- 生物系と化学物質の選択的な相互作用を研究する学問 (SPC.2)
生物系と薬の相互作用
- 薬の生物系に対する相互作用:薬理作用 <-化学の視点
- 生物系の薬に対する相互作用:薬物動態 <-生物の視点
関連分野
- 薬物学 materia medica
- 生薬学
- 実験薬理学
- 臨床薬理学
- 動物薬理学
- 人体薬理学
- 比較薬理学
- 薬理作用学(薬力学)
- 薬物動態学
- 中毒学、毒科学
- 薬物治療学
- 処方学
薬品の命名
薬一覧
薬理動態
神経伝達物質
神経筋接合部遮断薬(筋弛緩薬)
交感神経作動薬
- →アドレナリン受容体
交感神経遮断薬
- →アドレナリン受容体
副交感神経作動薬
- →アセチルコリン受容体
副交感神経遮断薬
- →アセチルコリン受容体
甲状腺関連物質
[★]
- 英
- propylthiouracil, PTU
- ラ
- propylthiouracilum
- 商
- チウラジール、プロパジール
- 関
- 薬理学、甲状腺、抗甲状腺薬
分類
薬理作用
- ペルオキシダーゼは濾胞内でO2からH2O2を生成し、H2O2によりI-がI・となりサイログロブリン上のチロシンに付加反応を起こす
- この阻害作用はチアマゾールも示し、チアマゾールの方が薬効が高い(より少量で作用する)
- 2. 末梢(肝、腎)でT4からT3へ変換を抑制する
- 肝、腎、甲状腺にはtype I iodothyronine 5'-deiodinaseが存在し、T4からT3へ変換している。
副作用
GOO.1529
- 肝機能の異常は高投与量でみられるかもしれない
- 稀:発熱、肝炎、腎炎、血管炎(ANCAと関連か?)
- antineutrophilic cytoplasmic antibody(ANCA)はプロピルチオウラシル投与患者の50%に見られる
- (別の資料では、20%の患者がANCA陽性)
- ANCA陽性腎炎と関連?
[★]
- 英
- thiamazole
- ラ
- thiamazolum
- 同
- メチマゾール methimazole、メルカプトメチルイミダゾール mercaptomethylimidazole MMI
- 商
- メルカゾール、Tapazole
- 関
- 薬理学、甲状腺機能亢進症。プロピルチオウラシル propylthiouracil PTU
作用機序
薬理作用
- ペルオキシダーゼは濾胞内でO2からH2O2を生成し、H2O2によりI-がI・となりサイログロブリン上のチロシンの3位or5位につく
動態
- 胎盤を通過
- 乳汁中に分泌 → 妊婦には投与しない方がよい
適応
注意
禁忌
副作用
[★]
- 関
- antithyroid drug
[★]
- 英
- thyroid gland
- ラ
- glandula thyroidea
- 関
- 甲状腺ホルモン、副甲状腺(上皮小体)
- 喉頭
- 図:N.24(全面の筋),25(全面の筋),70(血管),71(血管)
解剖学
部位
性状
- 成人の正常重量15-25g、女性の方が少し重い。妊娠中や性周期で重量が変化する。分泌期初期(early secretary phase排卵後2-5日目)には50%も重量が増加する。
大きさ
- よくわかる甲状腺疾患のすべて 永井書店 (2004/01) ISBN 481591673X
- 単位はmm?
|
n
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峡部
|
横断厚
|
横径
|
縦経(右)
|
縦経(左)
|
男性
|
34
|
1.8±0.6
|
18±3.0
|
48±4.8
|
49±3.7
|
49±3.8
|
女性
|
16
|
1.3±0.8
|
16±2.2
|
46±3.6
|
45±6.0
|
46±3.0
|
血管
動脈
静脈
神経
- 声帯を支配する神経が甲状腺の裏側を通過 N.71
画像
- (高エコー)筋肉>甲状腺>気道(低エコー) ← 要確認
組織学
- 成人甲状腺全体の0.1%を占める
- カルシトニン産生細胞、HEでは判別困難。
- 銀染色(Glimerius)、免疫組織化学(chromogranin A、synaprophysin, carcitoninなど)により明らかとなる。
- 電顕では、electron dense な顆粒を有する(神経内分泌顆粒)。
機能
発生
神経支配
- 上頚部交感神経節、中頚部交感神経節。交感神経神経線維は濾胞近傍に終末し、分泌に影響を及ぼす。
臨床関連
診察所見と疾患
非腫瘍性疾患
- a) 無形成 Agenesis
- b) 低形成 Hypoplasia
- c) 異所性甲状腺:異残物
- mynocyclineによるblack thyroid:消耗性色素リポフスチンと他の物質(lipid-drug complexによりlysosomeに色素が沈着する)。
- a) 濾胞腺腫 follicular adenoma
- a) 乳頭癌 papillary carcinoma 88%
- b) 濾胞癌 follicular carcinoma 4.2% 甲状腺濾胞癌 thyroid follicular carcinoma
- c) 低分化癌 poorly differentiated carcinoma
- d) 未分化癌 undifferentiated carcinoma 1.5%
- e) 髄様癌(C細胞癌) medullary carcinoma, C-cell carcinoma 1.4%
- f) 悪性リンパ腫 malignant lymphoma 3.5%
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
分類
[★]
- 英
- drug, agent
- 同
- 薬物
- 関
- 作用薬、剤、ドラッグ、媒介物、病原体、麻薬、薬剤、薬物、代理人、薬品