- 英
- subacute thyroiditis
- 同
- ドゥ・ケルヴァン甲状腺炎
- 関
- 甲状腺
概念
- 有痛性の甲状腺腫脹がみられ、ときに発熱が認められる甲状腺炎である。病気によって甲状腺中毒症や甲状腺機能低下症を呈する。全身倦怠感や感染による上気道炎が、数週間くらい甲状腺にまつわる特徴(thyroid-related features)に先行する。(HIM.2238)
- 全身性ウイルス性感染(mumps、coxsackie, adenoviruses, measles, Influenza, echoviruses)に伴うが、患者からウイルスを同定する試みはしばしば不成功に終わり、病原体同定することは本疾患の管理に影響を及ぼさない。(HIM.2238)
- 症状は咽頭炎に似ており、しばしば見落とされる。(HIM.2238)
疫学
- 30-50歳 (HIM.2238)
- 男女=1:3 (HIM.2238)
病期~
- 1) destructive phase:濾胞破壊によるhyperthyroid。甲状腺中毒症(T3,T4高値。TSH低値)。123I uptakeは低値か検出下限以下。
- 2) phase of hypothyroidism:数週間の経過で甲状腺機能低下症となる。unbound T4低値、軽度TSH高値。123I uptakeは正常化やや高値
- 3) recovery phase:正常化
病理
- 斑状に炎症細胞の浸潤が認められ、甲状腺濾胞のdisruptionを伴う。甲状腺濾胞には多核巨細胞が認められるものがある。濾胞の変化は線維化を伴う肉芽腫に進展する。発症から数ヶ月で甲状腺は通常正常に回復する。
- マクロ:非対称性腫大。
- 組織像:多核巨細胞、リンパ球、形質細胞、組織球、急性炎症を示す箇所、線維化巣、肉芽腫形成。
症状
- 局所の圧痛と自然痛、発熱、全身倦怠感、数カ月で回復。
身体所見
検査
- 甲状腺機能:病期による。
- 超音波検査:炎症部位・腫瘤部に一致して低エコーとなる。
グレーブス病、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎の比較
- YN.D-40改変
参考
- 1. [charged] 亜急性甲状腺炎 - uptodate [1]
国試
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/12/10 03:44:40」(JST)
[Wiki ja表示]
亜急性甲状腺炎 |
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
E06.1 |
ICD-9 |
245.1 |
eMedicine |
article/125648 |
MeSH |
D013968 |
亜急性甲状腺炎(あきゅうせいこうじょうせんえん)とは、甲状腺腫大[1]・甲状腺中毒症状を主体とする一過性の炎症性疾患[2]。
目次
- 1 疫学・病態
- 2 症状・所見
- 2.1 臨床症状
- 2.2 検査所見
- 2.3 鑑別疾患
- 3 治療
- 4 出典・脚注
- 5 関連項目
疫学・病態
スイスの外科医フリッツ・ド・ケルバン(Fritz de Quervain)によって報告されたことから、ド・ケルバン甲状腺炎とも呼ばれる。好発年齢は30~50歳代、男女比は1:3~6と女性に多い[3]。
本疾患の本態は、甲状腺での炎症により甲状腺腫大と組織破壊を生じ、甲状腺ホルモンが血中に漏出することにある。しばしば上気道感染に続発して発症しており、季節性が見られることと、無治療でも自然に治癒することからもウイルス感染が原因と考えられているが、未だに起因ウイルスの同定には至っていない[1]。病理的には濾胞構造の破壊や間質への単核球浸潤が認められ、多核巨細胞の出現と肉芽腫様変化が特徴である。また、HLA-Bw35との高い関連が知られている[3]。
症状・所見
臨床症状
本症の症状は、炎症によるものと甲状腺中毒症によるものに大別できる[1]。
- 炎症
-
- 全身症状
- 発熱や倦怠感、筋肉痛などの全身症状を呈することがある[3]。発熱は通常は38度程度であるが、時に40度に達することもあり、弛張熱型を呈することが多い[1]。
- 局所症状
- 甲状腺腫に伴う前頚部痛および腫瘤を認める(のど仏の下2cmの両脇2cm付近)。痛みは下顎から耳介に放散することもあり、またしばしば経過途中で対側に移動する[1]。また前述の通り、しばしば上気道感染症状が先行して認められる[2]。
- 甲状腺中毒症
-
詳細は「甲状腺機能亢進症」を参照
- 破壊性甲状腺炎に伴い、甲状腺ホルモンが血液内に漏出することで、動悸、息切れ、多汗、体重減少、手指のふるえなどの甲状腺中毒症状が認められる[2]。このような機序であるため、甲状腺中毒症状は一過性であり、3~6週間で消失するほか、20~30%の症例で、甲状腺中毒症から回復した直後に、今度は一過性に甲状腺機能低下症が見られる[3]。
検査所見
- 血清生化学検査・末梢血塗沫標本検査
- 炎症性疾患であることから、赤血球沈降速度(ESR)の著明な亢進(ときに100mm/時以上)とC反応性蛋白(CRP)の高値が認められる。白血球数は正常ないし軽度高値にとどまる[3]。
- 血清免疫学検査・甲状腺機能検査
- 破壊性甲状腺炎に伴い、病初期にはトリヨードサイロニン(T3)が高値となるが、バセドウ病に比べると軽度である。T3/T4比は20以下と低いことが多く、バセドウ病との鑑別点の一つである[3]。これらの甲状腺ホルモン高値に伴い、下垂体では反応性に甲状腺刺激ホルモン(TSH)の産生が抑制されている。また、甲状腺組織破壊により、甲状腺放射性ヨード摂取率は著しく低下する[1]。
- 超音波検査
- 頸部超音波断層検査(エコー)では、圧痛のある場所に一致して低エコーとなる[4]。
鑑別疾患
鑑別すべき疾患としては、バセドウ病、橋本病急性増悪、無痛性甲状腺炎、急性化膿性甲状腺炎、甲状腺未分化癌がある[1]。
治療
通常は、疼痛、発熱などに対する対症療法が主体となり、消炎鎮痛剤などが処方される。重症例には副腎皮質ステロイドが使用されることもある[1]。
一般に抗甲状腺薬は使用されない。甲状腺中毒症状が高度である場合には交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)が使用されうる[5]。
出典・脚注
- ^ a b c d e f g h 飯高 誠 「亜急性甲状腺炎」『内科診断学 第2版』 医学書院、2008年。ISBN 978-4260002875。
- ^ a b c 村上 正巳 「亜急性甲状腺炎」『今日の診断指針 第6版』 医学書院、2010年。ISBN 978-4-260-00795-5。
- ^ a b c d e f 中村浩淑 「5.亜急性甲状腺炎」『新臨床内科学 第9版』 医学書院、2009年。ISBN 978-4-260-00305-6。
- ^ 『甲状腺疾患診療実践マニュアル(第3版)』文光堂 2007
- ^ 笠井 貴久男 「急性・亜急性甲状腺炎」『今日の治療指針 2010年版』 医学書院、2010年。ISBN 978-4-260-00900-3。
関連項目
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Japanese Journal
- 甲状腺腫瘍の検査・診断 甲状腺腫瘍と鑑別を要するびまん性疾患--破壊性甲状腺炎 (内分泌腺腫瘍--基礎・臨床研究のアップデート) -- (甲状腺腫瘍)
- 臨床経験 全身浮腫・胸水貯留・労作時呼吸困難などの心不全症状を合併するも,ステロイド薬投与にて著明な改善を認めた亜急性甲状腺炎の1例
- 自然治癒する亜急性甲状腺炎(SAT)と無痛性甲状腺炎(PT) (特集 潜在性内分泌疾患の治療は必要か?)
Related Links
- “亜急性甲状腺炎”は甲状腺の炎症で、痛みがあるのが特徴で、時に発熱や寒気、甲状腺 機能亢進症と機能低下症の両方の症状が出ることがあります。経過は普通何ヶ月かに および、大体決まった経過を取る傾向があります【表1】。 ...
- 甲状腺の病気は、甲状腺がはれても痛みはない場合が多いのですが、亜急性甲状腺炎は 痛みがあります。 「亜急性」というのは、急性よりは長く続くという意味です。と はいっても、慢性化することはありません。 甲状腺がはれて痛みがあるため驚く人も 多いで ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 72歳の女性。前頸部腫瘤を主訴に来院した。40歳代から甲状腺腫を指摘されていたが特に治療は受けていなかった。2週前から前頚部腫瘤が急に増大してきた。身長158cm、体温36.2℃。脈拍80/分、整。血圧138/64mmHg。前頸部に横径約9cmのびまん性の甲状腺腫を触れる。甲状腺腫は硬く、表面に凹凸がある。甲状腺に圧痛は認めない。頚部皮膚に発赤を認めない。右側頚部に径1cmのリンパ節を2つ触知する。血液所見:赤血球380万、Hb11.8g/dl、Ht38%、白血球5,600、血小板18万。血液生化学所見:TSH18.5μU/ml(基準0.2~4.0)、FT3 2.5pg/ml(基準2.5~4.5)、FT4 0.7ng/dl(基準0.8~2.2)。免疫学所見:抗サイログロブリン(TG)抗体18.8U/ml(基準0.3以下)、抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体45U/ml(基準0.3以下)。甲状腺超音波検査で右葉下部に著明な低エコー域を認める。
- 考えられるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [102I056]←[国試_102]→[102I058]
[★]
- 42歳の女性。発熱を主訴に来院した。1週前から発熱を認め自宅近くの診療所で感冒薬と解熱薬とを処方されたが、改善しないため受診した。身長162cm、体重48kg。体温38.6℃。脈拍96/分、整。血圧98/42mmHg。呼吸数15/分。聴診で拡張期灌水様雑音(拡張早期性雑音)を認める。血液所見:赤血球468万、Hb 13.9g/dl、Ht 42%、白血球17,300(桿状核好中球12%、分葉核好中球70%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球10%)、血小板12万、PT 84%(基準80~120)。血液生化学所見:総ビリルビン0.9mg/dl、尿素窒素12mg/dl、クレアチニン0.6mg/dl、AST 28IU/l、ALT 16IU/l、LD 377IU/l。CRP 3.6mg/dl。心エコー図(別冊No.11)を別に示す。
- この患者の合併症として最も留意すべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107A031]←[国試_107]→[107A033]
[★]
- 23歳の男性。のどの痛みを主訴に来院した。
- 現病歴:2日前からのどの痛みと発熱とを自覚していた。痛みが次第にひどくなったため23時に救急外来を受診した。痛みが強く唾液を飲み込むことができないため口から吐き出している。
- 既往歴: 15歳時に虫垂炎の手術を受けた。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現 症:意識は清明。体温38.2℃。脈拍92/分、整。血圧124/80mmHg。呼吸数20/分。眼瞼結膜に貧血を認めない。咽頭後壁粘膜はやや発赤しているが、口蓋扁桃の腫脹はみられない。頸部に圧痛を認め、軽度喘鳴を聴取する。心音に異常を認めない。
[正答]
※国試ナビ4※ [106E058]←[国試_106]→[106E060]
[★]
- 48歳の女性。前頭部の疼痛を主訴に来院した。2週前に咽頭痛と38℃台の発熱とがあり解熱薬を服用した。3日前から前頭部に疼痛を伴う腫脹が生じた。腫脹は増悪し、疼痛が激しくなったため受診した。身長159cm、体重60kg。体温38.4℃。呼吸数24/分。脈拍92/分、整。血圧132/78mmHg。甲状腺右葉下極が腫大し、同部に自発痛と圧痛とを認める。血液所見:赤血球 420万、Hb 12.6g/dl、Ht 39%、白血球 9,000、血小板 22万。血液生化学所見: LD 234IU/l(基準176-353)、ALP3941U/l(基準115-359)、TSH O.06μU/ml(基準0.2-4.0)、T3 240ng/dl(基準80-220) 、T4 15.8μg/dl(基準5 -12)。
- この患者で上昇していると考えられるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I069]←[国試_105]→[105I071]
[★]
- 24歳の女性。動悸、発汗過多および体重減少のため来院した。脈拍124/分、整。血圧120/70mmHg。発熱はなく、自発痛や圧痛を伴わないびまん性甲状腺腫と手指振戦とを認める。赤沈10mm/1時間。血清生化学所見:TSH0.01μU/l未満(基準0.2~4.0)、freeT4 2.6ng/dl(基準0.8~2.2)。免疫学所見:CRP陰性、抗サイログロブリン抗体陽性、抗ミクロゾーム抗体陽性、TSH受容体抗体陰性。超音波検査所見で甲状腺のぴまん性腫大を認める。甲状腺123I摂取率(24時間値)は4.2%(基準10~40)である。診断はどれか。]]
[正答]
※国試ナビ4※ [097D049]←[国試_097]→[097D051]
[★]
- 38歳の女性。易疲労感、便秘および月経不順を主訴に来院した。体温35.5℃。脈拍56/分、整。血圧126/86mmHg。顔面は浮腫状で、皮膚は乾燥している。びまん性の硬い甲状腺腫を触れるが、圧痛はない。血清TSH80μU/ml(基準0.2~4.0)、freeT4 0.3ng/dl(基準0.8~2.2)、血清ブロラクチン28ng/ml(基準15以下)。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096A048]←[国試_096]→[096A050]
[★]
- 48歳の女性。首のしこりを主訴に来院した。 3か月前、頚部に腫瘤があることに気付いた。痛みがなかったのでそのままにしていたが、次第に大きくなってきたため受診した。既往歴に特記すべきことはない。
- 現時点で考えられるのはどれか。 2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [106E056]←[国試_106]→[106E058]
[★]
[★]
- 英
- Graves' disease, Graves disease
- 同
- バセドー病 バセドウ病 (国試)Basedow病 Basedow disease Basedow's disease、グレーヴス病 Graves病、exophthalmic goitre、中毒性びまん性甲状腺腫 toxic diffuse goiter、パリー病 Parry disease
- ラ
- morbus Basedowii
- 関
- 甲状腺中毒症
概念
病因
- 甲状腺刺激免疫グロブリン thyroid stimulating immunoglobulin
- 甲状腺増殖刺激免疫グロブリン thyroid re-growth-stimulating immunoglobulin (TGI)
- TSH結合阻害免疫グロブリン TSH-binding inhibitor immunoglobulin (TBIIs)
- 自己抗体であるTSH受容体抗体の産生 → 甲状腺濾胞上皮細胞のTSH受容体に結合して活性化 → 甲状腺ホルモン分泌↑
- 抗TSH受容体抗体は95-98%の症例で出現する。
疫学
頻度
- 住民検診などで見つかる Basedow病は、1,000人に対し 1-6人と報告されている。
- 男女比は1:4で女性に多い。特に、20-50歳の女性に多い。
- 家族内集積が高い。
病変形成&病理
- 自己抗体により、濾胞のホルモン産生が刺激され、甲状腺は瀰漫性に腫大(正常の数倍から200gまで)。
症状
- 頻脈、体重減少、手指振戦、発汗増加等
- 心臓肥大、リンパ組織過形成、真皮の肥厚
- 2. びまん性甲状腺腫大(表面は平滑で柔らかい、血管雑音)
- 3. 眼球突出または特有の眼症状
- 未治療or適切な治療が行なわれていなかった状態、感染、外傷などの誘因が加わった時に機能亢進症が急速に増悪する状態。頻脈、ショック。
合併症
検査
- 1. FT4、FT3のいずれか一方または両方高値
- 2. TSH低値
- 3. TSH受容体抗体陽性、または甲状腺刺激抗体陽性
- 4. 放射線ヨード甲状腺摂取率高値 ← 甲状腺ホルモンの生合成が亢進
エコー
診断
(Basedow病の診断ガイドライン(日本甲状腺学会 第7次案))
- 所見
- 1. 頻脈、体重減少、手指振戦、発汗増加等の甲状腺中毒症所見
- 2. びまん性甲状腺腫大
- 3. 眼球突出または特有の眼症状
- 1. 遊離T4、遊離T3のいずれか一方または両方高値
- 2. TSH低値(0.1μU/ml以下)
- 3. 抗TSH受容体抗体(TRAb,TBII) 陽性、または刺激抗体(TSAb) 陽性
- 4. 放射線ヨード(またはテクネシウム) 甲状腺摂取率高値、シンチグラフィでびまん性
- 診断
- a) の1つ以上に加えて、b) の4つを有するもの
- a) の1つ以上に加えて、b) の1、2、3を有するもの
3) Basedow病の疑い
- a) の1つ以上に加えて、b) の1と2を有し、遊離T4、遊離T3高値が3カ月以上続くもの
- 付記
- 1. コレステロール低値、アルカリフォスターゼ高値を示すことが多い.
- 2. 遊離T4正常で遊離T3のみが高値の場合が稀にある.
- 3. 眼症状がありTRAbまたはTSAb陽性であるが、遊離T4およびTSHが正常の例はeuthyroid
Graves’diseaseまたはeuthyroidophthalmopathyといわれる.
- 4. 高齢者の場合、臨床症状が乏しく、甲状腺腫が明らかでないことが多いので注意をする.
- 5. 小児では学力低下、身長促進、落ち着きの無さ等を認める.
- 6. 遊離T3(pg/ml) /遊離T4(ng/dl) 比は無痛性甲状腺炎の除外に参考となる
治療
の二種類である。薬効の高さや作用持続時間の長さの利点からMMIを第一選択とするが、胎盤移行や乳汁移行、副作用の出現頻度を考慮しPTUを用いることもある。治療中止の時期は甲状腺機能の正常化はもちろんのこと、抗TSH受容体抗体が陰性であることも必要である。
- 治療期間:長い。1-2年維持量でコントロールし、TSH受容体抗体が陰性化したら減量し、さらに6ヶ月したら休薬(YN.D-31)
治療の中止
- 4点がそろえば中止。中止後、10-25%が再発する。
- 1. メルカゾール1錠/日-1錠/隔日で甲状腺機能が正常 (TSH, FT4の両方が正常)
- 2. 投薬継続期間が2年以上
- 3. 甲状腺腫が小さくなった
- 4. TSH受容体抗体が陰性
βブロッカー
- 脈拍、動悸、振戦を軽減 ← 甲状腺ホルモンの「心筋細胞のカテコールアミン受容体を増加させる作用」に対して
放射性ヨード療法
- 131Iのβ線により甲状腺組織を破壊
- 効果は2-3週後に出現し、最大効果は6-12週後。
外科的治療法
比較
|
放射性ヨード療法 131療法
|
外科的治療法
|
抗甲状腺薬
|
長所
|
治療法が簡単
|
|
どの年代の患者でも可能(妊娠・妊娠中も可能)
|
成人合併例でも治療可能
|
|
通院での治療可能
|
比較的短期間で寛解
|
短期間に治癒
|
|
永続寛解率が高い
|
高い寛解率
|
|
侵襲が少ない
|
|
不可逆的な甲状腺機能低下は稀
|
短所
|
特別な施設が必要
|
手術侵襲
|
副作用(無顆粒球症・肝障害)
|
永続的甲状腺機能低下症が年ごとに増加
|
永続的甲状腺機能低下症
|
|
妊娠、授乳期では禁忌
|
瘢痕
|
治療期間が長い
|
|
術後合併症(反回神経麻痺、テタニー)
|
永続寛解率が低い
|
|
術後再発
|
|
回避・禁忌
|
30歳以下は避ける
|
|
|
妊娠予定、妊娠中、授乳中は禁忌
|
|
|
適応
|
欧米の第一選択
|
|
日本の第一選択
|
老人で早期治療を望む場合
|
早期治癒を望む場合(社会的・妊娠希望)
|
小児、妊婦
|
抗甲状腺薬で副作用の例
|
抗甲状腺薬で副作用の例
|
外科的療法、放射性ヨード療法の明らかな適応外
|
抗甲状腺薬で永続治癒の可能性低
|
抗甲状腺薬で永続治癒の可能性低
|
FT4軽度上昇例
|
服薬・治療コンプライアンス低
|
服薬・治療コンプライアンス低
|
|
手術適応だが合併症、患者の意志により回避される場合
|
通院が困難
|
|
手術後再発例
|
甲状腺腫が大
|
甲状腺腫が小
|
病理
- 濾胞上皮の著明な過形成、上皮細胞の丈が増して円柱上となる、濾胞上皮が乳頭状に濾胞腔に突出する、間質の軽度の線維化、リンパ球集簇、リンパ濾胞、腫大した上皮細胞は濾胞中央部のコロイドを活発に吸収するため、コロイドの辺縁部に空泡が見える。
グレーブス病、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎の比較
- YN.D-40改変
参考
- 1. D.産科疾患の診断・治療・管理 8.合併症妊娠の管理と治療 - 日産婦誌60巻3 号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/60/6003-041.pdf
[★]
- 英
- fever of unknown origin FUO
- 同
- 原因不明熱
- 関
- 発熱、体温
- ジェネラリスト診療が上手になる本 p.9
定義
- 3週間以上の発熱。38.3℃以上、1週間の入院精査でも原因不明
鑑別疾患
3大疾患
- 1. 感染症(深部腫瘍、心内膜炎、結核、寄生虫、腸チフスなど)
- 2. 悪性疾患(悪性リンパ腫、白血病など)
- 3. 膠原病(血管炎、側頭動脈炎、成人still病など)
- 4. その他:薬剤性など
- ジェネラリスト診療が上手になる本 p.9
- (各種病原体)感染性心内膜炎、骨髄炎、伝染性単核球症、副鼻腔炎、齲歯
- (細菌)結核、腸チフス、リケッチア感染症
- (ウイルス)HIV感染症、サイトメガロウイルス感染症
- (真菌)ニューモシスチス肺炎、クリプトコッカス症
- (寄生虫)マラリア
- UCSF.44
- 感染症26%, 腫瘍13%, 非感染性炎症疾患24%
- 感染症:背臥位結核、心内膜炎、膿瘍(肝臓、脾臓、腎臓、後腹膜、骨、脳、耳、脊椎)、HIV感染症、サイトメガロウイルス感染症、カンジダ感染症、その他(尿路感染症、副鼻腔、骨髄炎)、入院患者(尿路感染、カテーテル感染症、偽膜性腸炎、褥瘡、蜂窩織炎)
- 腫瘍:悪性リンパ腫、白血病、腎細胞癌、肝癌、心房粘液腫、VAHS(ウイルス関連性血球貪食症候群)、LAHS(リンパ腫関連性血球貪食症候群)
- 非感染性炎症疾患:成人スティル病、SLE(全身性エリテマトーデス)、顕微鏡的多発血管炎(MPA)/多発性結節性動脈周囲炎(PN)/高安病、側頭動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、サルコイドーシス、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)
- その他:薬剤熱、詐熱、肺塞栓症/深部静脈血栓症、脊椎損傷/頭蓋内疾患、副腎機能不全/甲状腺機能亢進症、家族性地中海熱、組織球性壊死性リンパ節炎(菊地病)
- 感染症専門医テキスト 第1部 解説編 p.53
- 不明熱の最終診断
診断
|
診断診断例 n=192
|
早期診断例 n=67
|
中期診断例 n=38
|
後期診断例 n=87
|
感染症
|
|
57(29.7)
|
25(37.3)
|
12(31.6)
|
20(23.0)
|
細菌性
|
|
43
|
1.8
|
8
|
17
|
心内膜炎
|
11
|
9
|
1
|
1
|
結核
|
8
|
0
|
0
|
8
|
尿跨感染症(1)
|
6
|
3
|
1
|
2
|
腹腔内膿瘍
|
5
|
2
|
2
|
1
|
骨・関節感染
|
4
|
2
|
1
|
1
|
その他の細菌感染
|
9
|
2
|
3
|
4
|
ウイルス性
|
|
10
|
5
|
3
|
2
|
CMV
|
6
|
2
|
3
|
1
|
EpsteinーBarrウイルス
|
3
|
3
|
0
|
0
|
HIV
|
1
|
0
|
0
|
1
|
寄生虫性(2)
|
|
4
|
2
|
1
|
1
|
悪性新生物
|
|
29(15.1)
|
5(7.5)
|
6(15.8)
|
18(20.7)
|
血液疾患
|
|
22
|
2
|
6
|
14
|
非Hodgkinリンパ腫
|
9
|
0
|
2
|
7
|
Hodgkin病
|
5
|
1
|
1
|
3
|
白血病
|
6
|
0
|
3
|
3
|
血管免疫芽球性リンパ酔症
|
2
|
1
|
0
|
1
|
固形癌
|
|
7
|
3
|
0
|
4
|
腺癌
|
5
|
2
|
0
|
3
|
その他(3)
|
2
|
1
|
0
|
1
|
非感染性炎症性疾患
|
|
68(35.4)
|
22(32.8)
|
.6)
|
34(39.1)
|
結合織疾患
|
|
35
|
15
|
6
|
14
|
成人Still病
|
18
|
5
|
4
|
9
|
SLE
|
8
|
5
|
1
|
2
|
リウマチ性多発性筋痛症
|
3
|
3
|
0
|
0
|
関節リウマチ
|
2
|
0
|
0
|
2
|
Sjogren症候群
|
2
|
1
|
0
|
1
|
その他(4)
|
2
|
1
|
1
|
0
|
血管炎症候群
|
|
19
|
5
|
3
|
11
|
巨細胞性動脈炎
|
11
|
4
|
3
|
4
|
Wegener肉芽腫症
|
2
|
1
|
0
|
1
|
結節性多発性動脈炎
|
2
|
0
|
0
|
2
|
その他(5)
|
4
|
0
|
0
|
4
|
肉芽腫性疾患
|
|
14
|
2
|
3
|
9
|
サルコイドーシス
|
10
|
0
|
2
|
8
|
Crohn病
|
4
|
2
|
1
|
1
|
その他
|
|
39(18.1)
|
15(22.4)
|
8(21.1)
|
15(17.2)
|
亜急性甲状腺炎
|
6
|
3
|
1
|
2
|
Addison病
|
2
|
0
|
1
|
1
|
心筋梗塞後症候群
|
2
|
1
|
0
|
1
|
肺動脈塞栓症
|
2
|
1
|
0
|
1
|
習慣性高体温症
|
11
|
6
|
3
|
2
|
薬剤熱
|
4
|
3
|
0
|
1
|
詐熱
|
1
|
1
|
0
|
0
|
その他(6)
|
10
|
0
|
3
|
7
|
- 数値は症例数で( )内は比率. %表示
- 1) 膿瘍を除く実質感染
- 2) マラリア(2例)、ジアルジア症、トリパノソーマ症を含む
- 3) germinoma, hypernephromaを含む
- 4) Reiter症候群, 多発性筋炎を含む
- 5) Behcet病, Schönlein-Henoch紫斑病, Schnitzler症候群, 分類不能型血管炎を含む
- 6) Sweet症候群, 原発性硬化性胆管炎, アルコール性肝炎, 出血を伴う巨大肝血管腫, 間質性肺炎, 特発性胸膜心膜炎, 特発性好酸球増多症候群, リンパ節の炎症性偽腫瘍, 後腹膜線維症, 線状IgA水疱症
- (Vanderschueren S. Knockaert D. et al. : From prolonged febrile illness to fever of unknown origin: the challenge continues. Arch Intern Med. 2003 : 163 : 1033-1041)
診断
問診
- 既往歴、家族歴、職業歴、旅行歴、薬剤歴、sick contact、動物との接触、同性とのまたはハイリスクな性的接触の有無、現病歴と発熱パターン、輸血歴
診察
- リンパ節腫脹、肝脾腫、心雑音、圧痛
- 培養
- 胸部XP
- 抗核抗体,C3,C4,RF,赤沈
- 抗HIVコウタイ
- 皮膚生検
- ツベルクリン反応/クオンティフェロン
- 腹部エコー
- 造影CT
- 心エコー:心内膜炎を最も疑えば経食道心エコーを。
- ガリウムシンチ
- 骨髄生検
- 腰椎穿刺
- 頭部CT
- 大腸ファイバー
- 肝生検
[★]
- 英
- hyperthyroidism
- 同?
- 甲状腺中毒症 thyrotoxicosis
- 関
- 甲状腺、甲状腺ホルモン、甲状腺腫。甲状腺機能低下症
定義
- 甲状腺においてホルモンの合成と分泌が増加し、そのために甲状腺ホルモン過剰の症状が出現している病態
分類
-
- グレーブス病 :びまん性 :fT3↑、fT4↑、TSH↓
- 甲状腺機能性結節 toxic multinodular goitar
- TSH産生下垂体腫瘍 :fT3↑、fT4↑、TSH↑
- 下垂体型甲状腺ホルモン不応症 :fT3↑、fT4↑、TSH↑
- 胞状奇胎、絨毛腫瘍
- ヒト絨毛性ゴナドトロピンhCGがTSH様甲状腺刺激物質として作用するため、甲状腺でのホルモン分泌、合成が亢進する。血中甲状腺ホルモンは高値となるが、TSHは低値を示す。hCGは妊娠初期にも分泌され、一過性の甲状腺機能亢進状態になることもある。
- 卵巣の奇形腫(teratoma)で、腫瘍内に過機能性甲状腺腫が存在し、甲状腺中毒症状を呈す。
- 甲状腺ホルモンの過剰投与、痩せ薬としての服用などにより、甲状腺中毒症状が出現する。血中TSH値は抑制され、サイログロブリンは低値を示すことが特徴的。
-
疫学
- 参考1
症状
YN.D-30
- 全身症状:全身倦怠感、易疲労感、体重減少、体重増加もあり、微熱
- 消化器症状:食欲亢進、排便回数の増加、軟便、下痢
- 循環器症状:動悸、息切れ、頻脈、心房細動、高血圧(収縮期血圧上昇、拡張期血圧低下、脈圧増大)
- 神経筋症状:手指振戦、下肢近位筋の筋力低下、筋萎縮
- 皮膚症状:発汗過多、皮膚湿潤、色素沈着、脱毛、皮膚掻痒感、手掌紅斑、爪甲剥離(Plummer爪)
- 精神症状:神経過敏、易刺激性、不眠、多動
- 性腺症状:月経異常(月経過少、無月経)
甲状腺機能亢進症と褐色細胞腫
- 血圧:収縮期血圧↑/収縮期血圧↓ ⇔ 収縮期血圧↑/収縮期血圧↑
- 消化器症状:下痢 ⇔ 便秘
眼症状
- 甲状腺眼症においては、球後軟部組織の炎症性病変すなわち眼窩症が眼症発症の背景にある。
- したがって、球後脂肪織炎による眼球突出と、外眼筋炎を伴う眼球突出がある。
- Basedow病発症のピークを示す20歳前後の世代では脂肪織炎のみによる眼球突出のみによる眼球突出が高頻度に見られるのに対して、もう一つの山である40歳代の中高年層では外眼筋肥大を伴う例が多い。
- 薬物治療:副腎皮質ステロイドホルモンのパルス療法あるいは漸減法を行う。
- 特徴的所見:眼瞼後退、Graefe徴候(下方視の際に上眼瞼の下方への動きが遅れる)、Kocher徴候(目が凝視または驚いたように見える状態)
合併症
検査
など
- Ca:高値 → 甲状腺ホルモンによる骨吸収・骨形成亢進のため? 骨粗鬆症が出現する症例はない、あるいは少ないのか?
- P: 高値
- 食後:高血糖
- AST:上昇
- ALT:上昇
治療
- ICU.762
- β遮断薬
- 抗甲状腺薬:メチマゾール(MMI)(PTUより早く血漿fT4濃度を低減させるし、顆粒球減少の頻度がより低い)、プロピルチオウラシル(PTU)
- ヨウ素剤:重症の場合は抗甲状腺薬に加えて使用する。ヨウ素は甲状腺からのT4放出を抑制する。
参考
- http://www.thyroid.jp/pdf/dr_TRAb.pdf
uptodate
- 1. [charged] 成人における甲状腺機能亢進症の臨床症状の概要 - uptodate [2]
- 2. [charged] 潜在性甲状腺機能亢進症 - uptodate [3]
- 3. [charged] 甲状腺機能亢進症の原因となる疾患 - uptodate [4]
- 4. [charged] 小児期および思春期における甲状腺機能亢進症の臨床症状および診断 - uptodate [5]
- 5. [charged] 甲状腺機能亢進症およびバセドウ病の神経学的症状 - uptodate [6]
- 6. [charged] 甲状腺機能亢進症の心血管系への影響 - uptodate [7]
- 7. [charged] 甲状腺機能亢進症の診断 - uptodate [8]
- 8. [charged] バセドウ病(グレーブス甲状腺機能亢進症)の治療 - uptodate [9]
[★]
- 英
- thyrotoxicosis
- 関
- 甲状腺機能亢進症、甲状腺、甲状腺ホルモン
定義
- 血中に甲状腺ホルモンが増加し、それに臨床症状が伴っている状態
- 過剰の甲状腺ホルモンが存在するという生理的な症状を指す。この病態を表すにはhyperthyroidismよりthyrotoxicosisが用いられるべき。thyrotoxicosisは甲状腺の機能亢進とは関連しない。hyperthyroidismは甲状腺機能の亢進による障害のためにとっておく。(WIL.333)
- でも、以下の分類だと、ごちゃまぜに使っています・・・要するに文献によって用語の使い方が統一されていない。
分類
-
- グレーブス病 :びまん性 :fT3↑、fT4↑、TSH↓
- 甲状腺機能性結節 toxic multinodular goitar
- TSH産生下垂体腫瘍 :fT3↑、fT4↑、TSH↑
- 下垂体型甲状腺ホルモン不応症 :fT3↑、fT4↑、TSH↑
- 胞状奇胎、絨毛腫瘍
- ヒト絨毛性ゴナドトロピンhCGがTSH様甲状腺刺激物質として作用するため、甲状腺でのホルモン分泌、合成が亢進する。血中甲状腺ホルモンは高値となるが、TSHは低値を示す。hCGは妊娠初期にも分泌され、一過性の甲状腺機能亢進状態になることもある。
- 卵巣の奇形腫(teratoma)で、腫瘍内に過機能性甲状腺腫が存在し、甲状腺中毒症状を呈す。
- 甲状腺ホルモンの過剰投与、痩せ薬としての服用などにより、甲状腺中毒症状が出現する。血中TSH値は抑制され、サイログロブリンは低値を示すことが特徴的。
-
合併症
[★]
glossary
- peak age group for sarcoidosis is 20-40
- more common in blacks
- African Americanがヒント
病態
- lungs, heart, kidneys, skin, liver, or other organ
- uveitisも来す?
- 冒されやすい部位は皮膚、眼、肺
- Many patients also have other autoimmune diseases.
- ホルモンの変化:hypothyroidism are also present in longer-standing cases. Early in the disease, as in this case, T4 and TSH levels may be normal.
- MPO抗体は橋本病に特異的ではない;Graves disease and silent lymphocytic thyroiditisでも上がる
- 円形脱毛症と他の疾患の関連:autoimmune disorders, such as Hashimoto thyroiditis, pernicious anemia, and Addison disease
- 皮膚科的特徴:exclamation hair
- http://www.aafp.org/afp/2003/0701/p93.html
- フィナステリドは、5α-還元酵素II型を選択的に抑制することによりテストステロンからジヒドロテストステロンへの変換を阻害し、発毛作用を示すものと考えられる。
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/249900XF1021_2_01/249900XF1021_2_01?view=body
- bilateral temporal hemianopia and is due to chiasmatic lesions that compromise the crossing fibers originating from the temporal retina
単純ヘルペスウイルスの初感染患者について
- Gingivostomatitis and pharyngitis are the most frequent clinical manifestations of primary herpes simplex virus 1 infection, and are most commonly seen in children and young adults. Clinical signs and symptoms include fever, malaise, myalgias, and cervical adenopathy. Common lesions may involve the hard and soft palate, gingiva, tongue, lips, and facial area.
- Actinomyces israelii causes an indolent suppurative infection.
[★]
- 英
- thyroid gland
- ラ
- glandula thyroidea
- 関
- 甲状腺ホルモン、副甲状腺(上皮小体)
- 喉頭
- 図:N.24(全面の筋),25(全面の筋),70(血管),71(血管)
解剖学
部位
性状
- 成人の正常重量15-25g、女性の方が少し重い。妊娠中や性周期で重量が変化する。分泌期初期(early secretary phase排卵後2-5日目)には50%も重量が増加する。
大きさ
- よくわかる甲状腺疾患のすべて 永井書店 (2004/01) ISBN 481591673X
- 単位はmm?
|
n
|
峡部
|
横断厚
|
横径
|
縦経(右)
|
縦経(左)
|
男性
|
34
|
1.8±0.6
|
18±3.0
|
48±4.8
|
49±3.7
|
49±3.8
|
女性
|
16
|
1.3±0.8
|
16±2.2
|
46±3.6
|
45±6.0
|
46±3.0
|
血管
動脈
静脈
神経
- 声帯を支配する神経が甲状腺の裏側を通過 N.71
画像
- (高エコー)筋肉>甲状腺>気道(低エコー) ← 要確認
組織学
- 成人甲状腺全体の0.1%を占める
- カルシトニン産生細胞、HEでは判別困難。
- 銀染色(Glimerius)、免疫組織化学(chromogranin A、synaprophysin, carcitoninなど)により明らかとなる。
- 電顕では、electron dense な顆粒を有する(神経内分泌顆粒)。
機能
発生
神経支配
- 上頚部交感神経節、中頚部交感神経節。交感神経神経線維は濾胞近傍に終末し、分泌に影響を及ぼす。
臨床関連
診察所見と疾患
非腫瘍性疾患
- a) 無形成 Agenesis
- b) 低形成 Hypoplasia
- c) 異所性甲状腺:異残物
- mynocyclineによるblack thyroid:消耗性色素リポフスチンと他の物質(lipid-drug complexによりlysosomeに色素が沈着する)。
- a) 濾胞腺腫 follicular adenoma
- a) 乳頭癌 papillary carcinoma 88%
- b) 濾胞癌 follicular carcinoma 4.2% 甲状腺濾胞癌 thyroid follicular carcinoma
- c) 低分化癌 poorly differentiated carcinoma
- d) 未分化癌 undifferentiated carcinoma 1.5%
- e) 髄様癌(C細胞癌) medullary carcinoma, C-cell carcinoma 1.4%
- f) 悪性リンパ腫 malignant lymphoma 3.5%
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
分類
[★]
- 関
- 炎光、炎症
[★]
- 英
- acute
- 関
- 急性的、鋭い、鋭形、急性型
[★]
- 英
- thyroiditis
- 関
- 亜急性甲状腺炎
[★]
- 英
- adenitis
- 関
- リンパ節炎