- 以下の文を読み、62~64の問いに答えよ。
- 56歳の男性。心窩部痛を主訴に妻に伴われて来院した。
- 現病歴:昨晩、夕食後に心窩部痛と悪心とを自覚した。心窩部痛は次第に増強し、背部痛も伴うようになった。
- 既往歴:30歳代から肝機能障害を指摘されている。
- 生活歴:飲酒は日本酒3合/日を30年間。喫煙は20本/日を36年間。
- 家族歴:父親が胃癌、母親が高血圧。
- 現症:意識はやや混濁。身長168cm、体重58kg。体温37.8℃。呼吸数40/分、脈拍120/分、整。血圧100/56mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部はやや膨隆して、上腹部に圧痛と抵抗とを認める。肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認めない。
- 検査所見: 尿所見:蛋白(-)、糖1+。血液所見:赤血球450万、Hb12.6g/dl、Ht39%、白血球18,800(杆状核好中球61%、分葉核好中球10%、好酸球2%、好塩基球2%、単球5%、リンパ球20%)、血小板6.9万。血液生化学所見:HbA1c7.6%、総蛋白6.0g/dl、アルブミン3.2g/dl、クレアチニン2.8mg/dl、尿酸7.8mg/dl、総コレステロール180mg/dl、トリグリセリド140mg/dl、総ビリルビン1.2mg/dl、直接ビリルビン0.3mg/dl、AST130IU/l、ALT150IU/l、ALP380IU/l(基準115~359)、γ-GTP130IU/l(基準8~50)、アミラーゼ2,400IU/l(基準37~160)、Na142mEq/l、K4.0mEq/l、Cl 112mEq/l、P3.0mg/dl。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH7.41、HCO3- 26mEq/l。免疫学所見:CRP3.2mg/dl、CEA2.5ng//ml(基準5以下)、CA19-918U/ml(基準37以下)、CA125 120U/ml(基準35以下)。
[正答]
B
- a. 胃酸分泌の抑制により膵外分泌液の分泌を抑制する。
※国試ナビ4※ [103G063]←[国試_103]→[103G065]
★リンクテーブル★
[★]
- 以下の文を読み、62~64の問いに答えよ。
- 56歳の男性。心窩部痛を主訴に妻に伴われて来院した。
- 現病歴:昨晩、夕食後に心窩部痛と悪心とを自覚した。心窩部痛は次第に増強し、背部痛も伴うようになった。
- 既往歴:30歳代から肝機能障害を指摘されている。
- 生活歴:飲酒は日本酒3合/日を30年間。喫煙は20本/日を36年間。
- 家族歴:父親が胃癌、母親が高血圧。
- 現症:意識はやや混濁。身長168cm、体重58kg。体温37.8℃。呼吸数40/分、脈拍120/分、整。血圧100/56mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部はやや膨隆して、上腹部に圧痛と抵抗とを認める。肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認めない。
- 検査所見: 尿所見:蛋白(-)、糖1+。血液所見:赤血球450万、Hb12.6g/dl、Ht39%、白血球18,800(杆状核好中球61%、分葉核好中球10%、好酸球2%、好塩基球2%、単球5%、リンパ球20%)、血小板6.9万。血液生化学所見:HbA1c7.6%、総蛋白6.0g/dl、アルブミン3.2g/dl、クレアチニン2.8mg/dl、尿酸7.8mg/dl、総コレステロール180mg/dl、トリグリセリド140mg/dl、総ビリルビン1.2mg/dl、直接ビリルビン0.3mg/dl、AST130IU/l、ALT150IU/l、ALP380IU/l(基準115~359)、γ-GTP130IU/l(基準8~50)、アミラーゼ2,400IU/l(基準37~160)、Na142mEq/l、K4.0mEq/l、Cl 112mEq/l、P3.0mg/dl。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH7.41、HCO3- 26mEq/l。免疫学所見:CRP3.2mg/dl、CEA2.5ng//ml(基準5以下)、CA19-918U/ml(基準37以下)、CA125 120U/ml(基準35以下)。
[正答]
※国試ナビ4※ [103G062]←[国試_103]→[103G064]
[★]
- 次の文を読み、65~67の問いに答えよ。
- 33歳の女性。何もする気になれないことを主訴に夫に伴われて来院した。
- 現病歴:31歳時、運転中に突然、息苦しさ、動悸、冷汗およびめまいが出現し、気が遠のき、死ぬのではと恐怖に駆られて近医を受診した。処置を受けて発作は落ち着いたが、その後同様の発作がしばしば起こるようになり、内科、脳外科、婦人科および耳鼻科の受診を繰り返した。「また発作が起きるのでは」という心配も強くなった。次第に銀行やデパートやスーパーへも出かけられなくなった。ここ1年間は外出を極力控え家に閉じこもるようになった。徐々に気分が落ち込み、将来に悲観的となり、物事に興味を失い、家事もやりたくない。熟睡できず、食欲が落ち、体重が1年で8kg減少した。現在も発作は時々起こっている。
- 既往歴:月経前に体調不良となる傾向があった。
- 生活歴:生来明るい性格で、友人も多かった。高校卒業後、事務職として働いていた。22歳時に結婚し、2児を育て専業主婦として過ごしていた。
- 現症:意見は清明。身長162cm、体重45kg。体温36.5℃。脈拍72/分、整。血圧120/76mmHg。
[正答]
※国試ナビ4※ [103G064]←[国試_103]→[103G066]
[★]
[★]
- 英
- acute pancreatitis
- 関
- 膵炎、慢性膵炎
概念
- 種々の原因で膵酵素が膵内で活性化され、組織を自己消化して起こる急性炎症。
- 原因としてはアルコールと胆石が一般的と思われる。
- 突然上腹部痛を呈し、 種々の腹部所見(軽度の圧痛から反跳痛まで)が見られる。
- 症候、身体所見、および検査値異常として、嘔吐、発熱、頻脈、白血球増加、血中・尿中の膵酵素の上昇を見る。
- 重症急性膵炎は特定疾患治療研究事業の対象疾患である(公費対象)
病因
- アルコール
- 胆石症
- 特発性
- 医原性
- 外傷
- 慢性膵炎急性増悪
- 膵・胆道奇形
- 代謝・栄養障害
- SSUR.626
- アルコール、胆石症、ERCP、手術、薬剤、脂質異常症、副甲状腺亢進症
小児の急性膵炎
- YN.B-82
発症機序
- SSUR.626
- 共通管説:胆石性膵炎
- 膵外分泌亢進-膵管閉塞説:アルコール性膵炎:アルコール化量摂取が膵外分泌を亢進させ、乳頭部の浮腫や痙攣を惹起して膵液の相対的流出障害を起こす。
- Oddi括約筋の痙攣、不溶性蛋白栓の沈殿による膵導管の閉塞、および 膵プロテアーゼの活性化が考えられている(ガイドイラン1)。
- 十二指腸液逆流説:小腸閉塞、Billroth II法再建胃切除術後の輸入脚症候群における急性膵炎
分類
障害組織による分類
- 浮腫性膵炎:炎症に伴いびまん性または限局性に膵臓は腫大し、壊死を伴わないもの。造影CTで不染領域をみとめないもの
- 壊死性膵炎:びまん性または限局性に膵実質が壊死に陥ったもの。壊死組織は造影CTで造影不良をみる。膵壊死組織への細菌感染の有無が予後を規定する。
疫学
- 発生頻度は27.7/10 万人/年
- 男女比=2:1
- アルコール性膵炎は男性に多く、胆石性膵炎は女性に多い。
病態
- SSUR.626
- 膵酵素の膵実質障害 → 炎症反応惹起 → (炎症が高度の場合)高サイトカイン血症 → 活性化された顆粒球による多臓器障害
- 膵酵素、エンドトキシン、顆粒球やマクロファージから産生されたホスホリパーゼA2により肺胞が障害される。
- 膵臓からの滲出液の後腹膜腔への貯留 + サイトカイン血症による血管透過性の亢進 → 血液量減少
症状
- 上腹部腹痛から背部痛、悪心嘔吐、腹部膨満感、発熱。
合併症
- 早期合併症:(重症化例で)DIC、ショック、呼吸不全、腎不全、MODS
- 後期合併症:膵仮性嚢胞(2-3%の症例にみられる)、膵膿瘍、腹腔内膿瘍、出血、重症感染症
検査
CT
- (浮腫性膵炎)単純CTで膵臓の浮腫による腫大、炎症の波及による膵周囲脂肪織の濃度上昇。
- (壊死性膵炎)浮腫性膵炎の所見に加え、造影CTで造影不良領域が認められる。
血液一般検査・生化学
- 白血球:増加
- Plt:低下 (なぜ? DICが存在するのであれば、想像できるが)
- Ht:増加(浸出液増加による血液濃縮)
- Ca:↓(重症のサイン。鹸化壊死で消費) ← また、血中グルカゴン上昇により、カルシトニンが甲状腺より遊離されるため(QB.B-349) おかしくない???
- 血糖:上昇(ランゲルハンス島の破壊)
- BUN:上昇(腎機能障害)
- LDH:上昇(重症例で。組織破壊)
- TG?:血中リパーゼ濃度が上昇し、脂肪が分解されるため、らしい。
逸脱酵素
- 血清アミラーゼ:高値。発症数時間で上昇。3日程度で正常化。尿中アミラーゼは持続日数が長い。鑑別:高アミラーゼ血症
- 血清トリプシン:高値。特異性高い。
- 血清リパーゼ:高値。特異性高い。
- 血清エラスターゼ-I:高値。特異性高い。高値が持続する。膵臓に特異的らしい。アミラーゼ、リパーゼに比べ正常化が遅れるため、経過を見るのに適す(YN.B-80)。
肝機能・胆道系酵素
画像検査
診断
重症度
- 重症度は血清カルシウム、血糖値、BUNで判定できる。血清アミラーゼは参考にならない。
ガイドライン1
- 予後因子3点と造影CT Grade 2以上の場合に重症と判定される。
予後因子(各1点)
- 1. Base Excess≦-3 mEq/L, またはショック(収縮期血圧≦80 mmHg) 代謝性アシドーシス
- 2. PaO2≦60 mmHg (roomair), または呼吸不全(人工呼吸管理が必要) 換気機能低下
- 3. BUN≧40 mg/dL (or Cr≧2 mg/dL), または乏尿(輸液後も1 日尿量が400 mL 以下) 腎機能低下
- 4. LDH≧基準値上限の2 倍 組織障害
- 5. 血小数≦10 万/mm3 血小板の消費
- 6. 総Ca≦7.5 mg/dL 脂肪壊死
- 7. CRP≧15 mg/dL 炎症
- 8. SIRS 診断基準における陽性項目数≧3 全身性の炎症
- 9. 年齢≧70 歳 ストレスに対する適応能力低下
- SIRS診断基準項目:(1)体温>38℃または<36℃,(2)脈拍>90 回/分,(3)呼吸数>20 回/分またはPaCO2<32 torr,(4)白血球数>12,000/mm3か<4,000 mm3または10%幼若球出現
造影CT Grade
- 前腎傍腔 0点
- 結腸間膜根部 1点
- 腎下極以遠 2点
- 膵を便宜的に3 つの区域(膵頭部, 膵体部, 膵尾部) に分け判定する。
- 各区域に限局している場合,または膵の周辺のみの場合 0点
- 2つの区域にかかる場合 1点
- 2つの区域全体を占める,またはそれ以上の場合 2点
- 1点以下 Grade 1
- 2点 Grade 2
- 3点以上 Grade 3
治療
- SSUR.627
- 血液量減少:急速輸液
- 膵臓を休ませる?:高カロリー輸液
- 感染防止:抗菌薬
- 組織障害抑制:膵酵素阻害薬
- 多臓器不全:人工呼吸、血漿交換、腹膜透析、血液透析
- (胆石性膵炎では)膵炎の治療の前に内視鏡的乳頭切開術による胆石除去を行う
- 手術療法:壊死膵組織が感染して膵膿瘍、敗血症となった場合に限り適応。膵壊死部摘除術、膵切除術、open drainageを行い、壊死巣を除去する。
手術適応
- B.352
- 緊急手術を要する疾患と鑑別が困難な場合(穿孔性腹膜炎など)
- 保存治療が奏功しない場合
- 胆道疾患が合併するとき
- 合併症が存在するとき(膿瘍、血腫、仮性嚢胞、慢性膵炎)
ガイドライン
- 1. 日本膵臓学会 - 急性膵炎診療ガイドライン2010
- http://www.suizou.org/APCGL2010/APCGL2010.pdf
- 2. 急性膵炎GL2010改訂出版委員会編/医療・GL(10年)/ガイドライン
- http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0011/1/0011_G0000243_GL.html
参考
- 1. 急性膵炎の重症度判定基準 - 日本メディカルセンター
- http://www.nmckk.jp/pdf.php?mode=puball&category=CLGA&vol=23&no=10&d1=2&d2=0&d3=0
- http://www.jslm.org/books/guideline/19.pdf
- 3. 難病情報センター | 重症急性膵炎(公費対象)
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/271
国試
- 英
- acute pancreatitis
- 同
- acute pancreatitis