喉頭ポリープ
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/11/07 15:17:54」(JST)
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声帯ポリープ(せいたいポリープ)はのど仏の裏側、喉頭にある声帯と呼ばれる器官の粘膜が一部腫脹または突出したもので、40~50歳代、やや女性に多いとされている。
概要[編集]
人間は声帯という器官を振動させて声を出している。だが、声帯に与える激しい刺激や炎症によって粘膜上皮下に出血が起きてしまう。このとき粘膜上皮下の血管が破れてしまうことで、血腫が作られてしまう。これが声帯ポリープと呼ばれるものである。発声を禁じれば自然に治癒する場合もあるが、手術によって切除しなければ治らないという例も多い。
他に声枯れをきたすものには、声帯結節、声帯溝症、喉頭の神経麻痺その他の疾患があるが、特に注意を要するのは喉頭癌などの悪性腫瘍である。声枯れが続くようであれば、早めに専門医を受診すべきである。
声帯ポリープや声帯結節を発症した場合、声枯れや音域の変化が発生するため、歌手・声優・タレント・ラジオパーソナリティの様に、場合によってはその職業生命をも左右されかねない者も存在する。特に歌手では手術をして切除しても歌声が完全には元に戻らない事も多く、声帯ポリープをきっかけに歌唱法や楽曲の方向性の変化を余儀なくされる者、場合によっては事実上の引退状態に追い込まれる者も見られる。
原因[編集]
声帯ポリープの主たる原因は無理な発声であり、歌手などの声の専門的な職業の他、教師のように声をよく使う職業の人が多く罹患する[1]。喫煙、局所の急性炎症(例えば風邪によるのどの炎症)などは無理な発声に伴い疾患を誘発する[1]。
脚注[編集]
- ^ a b 耳鼻咽喉科学 (2011年12月28日 最終更新). “声帯の病気”. 病気を知る. 慶應義塾大学病院. 2012年5月21日閲覧。
関連事項[編集]
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Japanese Journal
- 第111回日本耳鼻咽喉科学会総会臨床セミナー : 音声障害の治療に関する最近の知見
- 渡嘉敷 亮二,平松 宏之,本橋 玲,品田 恵梨子,井上 瞬
- 日本耳鼻咽喉科學會會報 114(5), 491-497, 2011-05-20
- 音声障害の診断と治療は特に見た目の異常がない場合, 耳鼻咽喉科医にまだ広く知られているとはいえない. 本稿では診断と治療に関して一般耳鼻咽喉科医にはなじみが薄いもの, と同時に新しい知見について紹介する. 声帯に異常が見られない音声障害には, 機能性発声障害や痙攣性発声障害がある. 前者の治療には積極的に耳鼻咽喉科医がかかわるべきもので, 見た目の異常がないことで治療不要との判断をしてはならない. …
- NAID 10029089883
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- 声帯ポリープ. 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』. 移動: 案内、 検索. 声帯ポリープ(せいたいポリープ)はのど仏の裏側、喉頭にある声帯と呼ばれる器官の 粘膜が一部腫脹または突出したもので、40~50歳代、やや女性に多いとされている。
- 声帯ポリープとはどんな病気か. 声帯に生じる炎症性の腫瘤(しゅりゅう)(こぶ)で、通常 片側に発生します。ポリープの大きさはさまざまで、まれに両側の声帯にできることも あります(図17)。 原因は何か. 一過性の声の乱用が原因といわれています。カラオケ、 ...
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- 58歳の男性。嗄声と慢性的な咳とを主訴に来院した。6か月前から誘因なく、のどの異物感を自覚している。呼吸困難と嚥下障害とはない。喫煙は40本/日を38年間。飲酒は機会飲酒。喉頭内視鏡の写真(別冊No、23 (①~⑤)を別に示す。
- この患者の喉頭内視鏡写真として考えられるのはどれか。 2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [104A054]←[国試_104]→[104A056]
[★]
- 53歳の女性。2日前に発症した嗄声を主訴に来院した。喫煙歴はなく、飲酒は機会飲酒。50歳ごろから高血圧症で内服治療中。身長 156cm、体重 57kg。体温 36.4℃。脈拍 84/分、整。血圧 148/86mmHg。尿検査と血液検査とに異常を認めない。喉頭内視鏡像(別冊No. 21)を別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111A048]←[国試_111]→[111A050]
[★]
- 45歳の男性。1年前に嗄声が出現し、徐々に増悪したため来院した。痛みはなく、頚部リンパ節の腫脹もない。喫煙歴はない。喉頭直達鏡写真を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [095D014]←[国試_095]→[095D016]
[★]
- 嗄声を訴える 60歳女性の安静呼吸時と発声時の喉頭内視鏡像 (別冊 No.2A、B)を別に示す。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108I004]←[国試_108]→[108I006]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [114B001]←[国試_114]→[114B003]
[★]
- 英
- larynx (KL,K)
- 関
- 咽頭
解剖
- 第4~6頚椎の高さにある。約5cm (KL.612) <→ C3-C6椎体の高さにある(M.571)
組織
- 呼吸器の上皮の移行
- 呼吸上皮
- 重層扁平上皮:喉頭蓋、声帯遊離縁
- 声帯以外の粘膜下組織中には喉頭腺が存在。喉頭室部に多い。
リンパ
- 上喉頭動静脈に沿って舌骨甲状膜を貫通 → 上内頚静脈リンパ節、中内頚静脈リンパ節
- 喉頭粘膜のリンパ網は、仮声帯、喉頭入口部でよく発達。喉頭蓋基部の小孔を通じて喉頭蓋前間隙のリンパ組織に連絡し、さらに内深頚リンパ節につらなっている。このため声帯上部癌のリンパ節転移率は喉頭癌のうち最も高率(SOTO. 560)
- 下喉頭動静脈に沿って喉頭前リンパ節・気管リンパ節 → 下内頚静脈リンパ節
- 喉頭前リンパ節、気管周囲リンパ節につながっている(SOTO. 560)
機能
喉頭の固有筋→喉頭筋
臨床関連
- 喉頭先天性疾患
- 喉頭外傷
- 喉頭異物
- 喉頭炎症
- 喉頭非腫瘍性病変
- 喉頭ポリープ(声帯ポリープ):声帯縁にに好発する広基性、有茎性の浮腫性腫瘤。声帯前1/3に好発。一側性が多い。表面平滑、色調は声帯と異なる。種々の嗄声を示す。保存療法(沈黙療法)で軽快しなければ手術的に切除。
- 声帯結節:声帯の前1/3に好発。両側性が多い。女性に多く、声を酷使する職業に多い。幼児・学童では男性に多い。表面の色調は声帯と変わらない。嗄声をしめし、気息性嗄声が主。保存療法(沈黙療法)で軽快しなければ手術的に切除。
- ポリープ様声帯
- 喉頭肉芽腫
- 喉頭嚢胞
- 喉頭角化症/喉頭白色病変/喉頭白色病変/喉頭白板症
- 喉頭癌
[★]
- 英
- laryngeal polyp
- 同
- 声帯ポリープ vocal cord polyp ← 国試ではこちらが使われるが、耳鼻喉頭科学では喉頭ポリープが使われている。意味は同じ、らしい。
- 関
- 喉頭
概念
- 声帯縁に好発する広基性/有茎性の浮腫性腫瘤。(SOTO.538)
- 表面平滑で、周囲の粘膜と比して色調差が認められる。(SOTO.538)
- 声帯の前方1/3に好発。一側性が多いが、両側性もありうる。
病因
- 声の乱用(声を使う職業など)、喫煙、局所の急性炎症
病態生理
鑑別疾患
症状
治療
- 保存的治療:(軽度病変)発声指導(沈黙療法)
- 手術療法 :(高度病変、明らかな腫瘤形成)顕微鏡下手術
再発予防
[★]
- 英
- polyp
- 同
- 茸腫、隆起性病変 protruded lesion
- 関
- ポリポーシス、消化管ポリポーシス
- 平坦な表皮や粘膜表面より突出する形で局所的に増殖する病変
[★]
- 英
- band、zone、
- ラ
- cingulum、zona、zonae
- 関
- ゾーン、帯域、帯状疱疹、バンド、バンド形成、地帯
[★]
- 英
- vocal cord
- ラ
- plica vocalis
- 関
- 声帯ヒダ、喉頭