- 英
- chronic sinusitis
- 関
- 副鼻腔炎、アスピリン喘息
概念
- 副鼻腔(上顎洞、篩骨洞、蝶形骨洞、前頭洞)の慢性炎症。
疫学
リスクファクター
成因
- ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリス、緑膿菌、そのたグラム陰性菌、嫌気性菌
病態
- 上顎洞と篩骨洞を良く冒す。両側性が多い。
- 遷延性の炎症により鼻茸を生じる。
- 鼻腔の閉塞により嗅覚障害をきたしうる。
合併症
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/05/06 18:10:37」(JST)
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副鼻腔炎のデータ |
ICD-10 |
J01(急性)
J32(慢性) |
統計 |
|
世界の有病者数 |
|
日本の患者数 |
|
学会 |
日本 |
日本耳鼻咽喉科学会 |
世界 |
|
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副鼻腔炎(ふくびくうえん)は、副鼻腔に炎症がおきる病気。慢性の副鼻腔炎の俗称は蓄膿症(ちくのうしょう)。
左側副鼻腔(上顎洞)炎のレントゲン像。左(画像では向かって右)の透過性が低い(白く見える)ことから、液体(ここでは膿)が存在していると解釈できる。
目次
- 1 定義(概念)
- 2 分類
- 2.1 急性副鼻腔炎
- 2.2 慢性副鼻腔炎
- 2.3 好酸球性副鼻腔炎
- 2.4 副鼻腔真菌症
- 3 原因
- 4 症状
- 5 合併症
- 6 検査
- 7 診断
- 8 治療
- 9 診療科
- 10 脚注
- 11 参考文献
- 12 関連項目
定義(概念)
鼻腔の周囲には、副鼻腔という粘膜に覆われた空洞が存在する。鼻腔の炎症は副鼻腔に波及することがあり、それを副鼻腔炎と呼ぶ。近年、副鼻腔炎診療の手引き(2007)[1]、急性鼻副鼻腔炎ガイドライン(2010)が発刊され、治療の効率化、診断精度の向上がなされている。
分類
急性副鼻腔炎
急性の風邪などによる鼻炎から発症するもの。
慢性副鼻腔炎
上記、急性、アレルギー性の副鼻腔炎が長引き、膿汁の副鼻腔内の貯留、炎症性の粘膜肥厚、骨格などにより副鼻腔に膿が溜まりやすいなどが原因で慢性的に炎症がおきているもの。
好酸球性副鼻腔炎
喘息に合併する副鼻腔炎のうち、多発する鼻茸(鼻ポリープ)を特徴とする物。 難治性であり、喘息を悪化させるとも言われている。
副鼻腔真菌症
副鼻腔(主に上顎洞)に真菌塊があり、炎症を起こす。効果的な薬物治療は確立されていない[要出典]。
原因
風邪などにより副鼻腔に炎症がおこる。また、炎症により発生した膿が自然孔より排泄されず溜まることにより慢性化する。さらに、溜まった膿により粘膜肥厚がおこり、膿の排泄がさらに困難となり悪循環となる。
症状
頭重感、頭痛、鼻汁、鼻づまり、副鼻腔付近の鈍痛 咳、喘息、咳喘息。
合併症
- 鼻茸
- (鼻性)頭蓋内合併症:脳膿瘍、髄膜炎、海綿静脈洞血栓症などが副鼻腔炎の増悪により引き起こされることがある
- 眼合併症:眼窩内膿瘍、視神経炎などによる視力障害が副鼻腔の炎症が眼の周囲に波及することにより引き起こされる
- 副鼻腔気管支症候群:副鼻腔炎に様々な気管支病変が合併することがある
- びまん性汎細気管支炎 : 本症がびまん性汎細気管支炎に先行することがある。
- カルタゲナー症候群 : 本症がカルタゲナー症候群の部分症であることがある。
検査
- ファイバースコープで鼻汁の状態や粘膜の腫れがないか鼻の中を見る。
- X線検査、コンピュータ断層撮影で副鼻腔中に膿が溜まっているかを確認する。
- 自然孔に消息子を挿入し、膿が存在することを確認する。
診断
- 症状と鼻内所見より副鼻腔炎と診断され、必要とされる際には下記の画像診断を追加する。
- 視診又はファイバースコープで副鼻腔からの膿を確認する。
治療
保存療法
- 抗生物質による、細菌除去。(クラリスロマイシンの少量長期服用)
- 蛋白分解酵素で、膿を排泄しやすくする。
- 消炎鎮痛剤で、炎症、痛みを抑える。
- ネブライザー治療
手術
- 鼻内内視鏡手術;現在では、内視鏡による手術がほとんどである。
- 前頭洞手術;前頭洞の病変に対しては現在でも外切開による治療が行われることがある。
- 上顎洞根本術;過去には行われていたが、現在は副鼻腔炎に対して行われる事はない。
東洋療法
- 鍼灸;顔の正面中央の髪の生え際から少し上にある上星穴(鬼堂穴、明堂穴、神堂穴)というツボは、副鼻腔炎に効くとされている[2]。また、眉と眉の間にある印堂穴というツボは頭痛、不眠、高血圧、鼻づまり、鼻水、鼻炎、めまいなどに効くとされている[3]。
診療科
脚注
- ^ 副鼻腔炎診療の手引き, 日本鼻科学会, 金原出版, 2007/09, ISBN 978-4307370875
- ^ 上星穴-颈部 面部穴位图
- ^ 印堂穴-人体穴道图谱
参考文献
- 鼻副鼻腔炎の病態と臨床―分子医学から内視鏡・レーザー治療まで(金原出版、ISBN 4307370430)
- 切開しないで治す蓄膿症―慢性副鼻腔炎の内視鏡手術(春名真一著、保健同人社、ISBN 4832704168)
関連項目
|
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[★]
- 45歳の男性。息切れを主訴に来院した。30歳ころから咳嗽、粘膿性痰および喘鳴を自覚していた。1年前から坂道と階段とでの息切れを自覚するようになった。小学生時から慢性副鼻腔炎があり、2回の手術歴がある。喫煙歴はない。
- 身長171cm、体重56kg。体温37.1℃。脈拍76/分、整。血圧112/74mmHg。手指に軽度のバチ指を認める。両側胸部に吸気時のcoarse cracklesと呼気時のwheezesとを聴取する。血液所見:赤沈37mm/1時間、白血球9,600。血清生化学所見:IgG1,850mg/dl(基準960~1,960)、IgA620mg/dl(基準110~410)、IgM280mg/dl(基準65~350)。免疫学所見:CRP8.3mg/dl、寒冷凝集反応512倍(基準128以下)。喀痰からムコイド型の緑膿菌が検出された。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH7.42、PaO2 64Torr、PaCO2 42Torr。胸部エックス線写真と胸部単純CTとを以下に示す。
- 治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A013]←[国試_101]→[101A015]
[★]
- 40歳の男性。3週前からの右側の鼻閉と頬部違和感とを主訴に来院した。副鼻腔エックス線写真と副鼻腔単純CTとで右上顎洞に異常陰影を認めたため、内視鏡下に中鼻道から上顎洞組織の生検を行った。副鼻腔単純CT冠状断像と横断像(別冊No.4A、B)、生検組織のGrocott染色標本(別冊No.4C)を別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107A021]←[国試_107]→[107A023]
[★]
- 56歳男性。多量の膿性喀痰と労作時呼吸困難とが出現したので来院した。10歳代から咳と喀痰とを自覚していた。20歳時に慢性副鼻腔炎を指摘され、30歳代から咳と喀痰とが増悪したが放置していた。喫煙歴はない。胸部エックス線写真、胸部CTおよび肺生検H-E染色標本を以下に示す。この患者でみられないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [095G012]←[国試_095]→[095G014]
[★]
- 66歳の女性。 1か月前からの頬部腫脹を主訴に来院した。 28年前に慢性副鼻腔炎に対する手術の既往がある。歯肉部からの穿刺で粘稠な液体が吸引される。頭部単純CT冠状断像(別冊No. 22A)と頭部MRIのT1強調冠状断像(別冊No. 22B)とを別に示す。
- 診断として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106A047]←[国試_106]→[106A049]
[★]
- 49歳の男性。右頬部の腫脹と疼痛とを主訴に来院した。4か月前から右の頬部痛と歯痛とが出現し、徐々に増悪してきた。2か月前から右頬部の腫脹を伴うようになった。血の混じった悪臭の鼻漏を認める。副鼻腔手術の既往はない。副鼻腔単純CTを以下に示す。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [095C020]←[国試_095]→[095C022]
[★]
- 66歳の女性。1か月前からの右頬部腫脹を主訴に来院した。28年前に両側慢性副鼻腔炎に対する手術の既往がある。腫脹した右上顎の歯肉部を穿刺すると粘稠な液体が吸引された。頭部CT(別冊No.16A)及び頭部MRIT1強調像(別冊No. 16B)を別に示す。
- 診断として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114D037]←[国試_114]→[114D039]
[★]
- 67歳の男性。悪臭鼻漏と複視とを主訴に来院した。4か月前から悪臭鼻漏と鼻出血とを繰り返すようになり、歯痛も自覚していた。徐々に右側の眼球突出と複視とが出現し、顔貌も変形してきた。鼻腔冠状断単純CTを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [096I020]←[国試_096]→[096I022]
[★]
- 42歳の女性。最近、匂いが分からないことに気付いて受診した。10年前から粘膿性鼻漏、後鼻漏および鼻閉塞を自覚している。嗅覚障害の原因として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099F026]←[国試_099]→[099F028]
[★]
- 67歳の男性。悪臭鼻漏と複視とを主訴に来院した。4か月前から悪臭鼻漏と鼻出血とを繰り返すようになり、歯痛もある。右側の眼球突出と複視とが徐々に出現し、顔貌も変形してきた。副鼻腔単純CT冠状断面を以下に示す。 考えられるのはどれか。
※国試ナビ4※ [100H008]←[国試_100]→[100H010]
[★]
- 副鼻腔エックス線単純写真で両側の副鼻腔に充満する陰影を認めた。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101F015]←[国試_101]→[101F017]
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[正答]
※国試ナビ4※ [095A071]←[国試_095]→[095A073]
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※国試ナビ4※ [100B018]←[国試_100]→[100B020]
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※国試ナビ4※ [100E015]←[国試_100]→[100E017]
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[正答]
※国試ナビ4※ [099B012]←[国試_099]→[099B014]
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[正答]
※国試ナビ4※ [102A017]←[国試_102]→[102A019]
[★]
[★]
- 英
- aspirin-induced asthma, AIA
- 関
- アスピリン過敏症、アスピリン
概念
疫学
- やや女性に多い(男女比=2:3ないし1:2) 30代
- 気管支喘息患者の10%に存在
病因
- アスピリン、酸性非ステロイド性抗炎症薬。
- タートラジン、パラベンなどの食品添加物、医薬品添加物、香水中の化学物質、自然界のサリチル酸化合物、コハク酸エステル型副腎皮質ステロイド薬も原因となりうる。(SPU.236)
病態生理
- アスピリンや酸性非ステロイド性抗炎症薬によりシクロオキシゲナーゼが阻害されると、アラキドン酸代謝はリポキシゲナーゼによるロイコトリエン合成がもっぱら行われることになる。気管支拡張作用のあるプロスタグランジンの産生が低下し、気管支収縮作用のあるロイコトリエンが増加することが本疾患の本態であると考えられている。
病理
臨床像
- 1. 皮膚アトピー
- 2. 発作は通年性で重症。⇔喘息は季節性であり、春と秋である。
- 3. 鼻茸(鼻ポリープ)を高率に合併
- 4. 重症、難治性のためステロイド依存性
症状
- 薬物を摂取してまもなくより呼吸困難が出現。時に急激に悪化し、突然死のおそれがある。
3主徴
合併症
治療
- 対症療法:酸素投与(呼吸困難により動脈血酸素分圧の低下が見られた場合)
- 薬物療法:気管支喘息の薬物治療に準じる
- β刺激薬
- ロイコトリエン受容体拮抗薬:軽症から重症まで好んで用いられ、著効
- 副腎皮質ステロイド:リン酸エステル型を使用する コハク酸エステル型は禁忌
- デカドロンないしリンデロンを8mg IVないしPO
副腎ステロイド製剤
参考
- 1. [charged] アスピリンによる呼吸器疾患の増悪 - uptodate [1]
- 2. [charged] 非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)(アスピリンを含む):アレルギー反応および偽アレルギー反応 - uptodate [2]
- 3. [charged] アスピリン悪化呼吸器疾患(AERD;アスピリン喘息):非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)負荷および脱感作 - uptodate [3]
国試
[★]
- 英
- diffuse panbronchiolitis, DPB
- 同
- びまん性呼吸細気管支炎 diffuse respiratory bronchiolitis
- 関
- 細気管支炎
概念
- 呼吸細気管支領域の慢性炎症性病変が肺内にびまん性に分布し、炎症反応が細気管支壁の全層に及ぶ原因不明の疾患。慢性の咳嗽・喀痰が認められ、慢性気道感染と拘束性の肺機能障害が認められる。副鼻腔炎の合併が認められることがあり、副鼻腔気管支症候群としてまとめられることがある。
- 胸部単純X線写真上、下肺野優位に両肺野びまん性小葉中心性粒状陰影が認められる(小葉中心性病変)。
- これまでは予後不良であったが、エリスロマイシン少量投与で著明な治療効果が認められる。
疫学
病態
病変の首座は終末細気管支及び終末細気管支周囲炎(出典不明)
- 呼吸細気管支を中心とした細気管支およびその周囲炎 (YN.I-76)
- 泡沫細胞の集簇を伴ったリンパ球、形質細胞など円形細胞浸潤
症状
身体所見
検査
- 胸部単純X線写真:気管支拡張がみられる
- 胸部単純CT:下肺野優位に両肺野びまん性小葉中心性粒状陰影 ← 小葉中心性病変 (cf.小葉)
- 肺機能検査:一秒率低下、残気量増加、肺拡散能不変。
合併症
治療
- 予後は不良であったが、エリスロマイシンの少量長期投与により予後が改善 30年生存率38-63%
参考
- 1. [charged] Diffuse panbronchiolitis - uptodate [4]
国試
[★]
- 英
- long-term low-dose macrolide administration
- 関
- マクロライド、慢性副鼻腔炎、びまん性汎細気管支炎
[★]
- 英
- paranasal sinus
- ラ
- sinus paranasalis, sinus paranasales
- 関
- [[]]
副鼻腔
- 090108II
臨床関連
[★]
- 英
- sinusitis ← 静脈洞炎の意味もある
- 関
- 副鼻腔
分類
副鼻腔炎を合併しやすい慢性気道感染症 YN.I-74
[★]
- 関
- 炎光、炎症
[★]
- 英
- chronicity
- 関
- 慢性的、慢性型
[★]
- 英
- nasal cavity (Z)
- ラ
- cavum nasi