- 英
- hypertrophic obstructive cardiomyopathy, HOCM
- 同
- 特発性肥厚性大動脈弁下狭窄症 idiopathic hypertrophic subaortic stenosis IHSS
- 関
- 肥大型心筋症
- 非対称性心室中隔肥大、肥大型閉塞性心筋症、肥大性閉塞性心筋症、特発性肥大性大動脈弁下狭窄症
病態
- 心筋の肥大に伴い左室流出路狭窄を来しており、心拍出量が低下する。
- 心房細動などにより心房からの駆出量が減少すれば、心拍出量低下に繋がる。
類似疾患との鑑別
- QB.C-495改変
病理
病態
左室流出路狭窄の増悪・寛解因子
症状
合併症
検査
心エコー
[show details]
僧帽弁
- 僧帽弁前尖の収縮期前方運動(SAM):循環血液量の減少と左室の過収縮による(YN.C-135)
- 僧帽弁後退速度 DDRの低下:左心室のコンプライアンスが低下することにより、左室への血液流入速度が低下するため(YN.C-135)
大動脈弁
- 大動脈弁の収縮中期半閉鎖:HOCMでは収縮中期に駆出される血液量低下のために大動脈弁が閉鎖しそうになる(参考2)
心臓カテーテル検査
- 左室~大動脈圧:左室流入路圧 > 左室流出路圧
- ブロッケンブロウ現象:期外収縮が起きた場合、心室性期外収縮の休止期後の期外収縮後増強により収縮力が増強し、左室流出路閉塞が増強するためにかえって大動脈圧が低下する
- 造影:左室流出路狭窄
治療
- 治療目標:自覚症状の軽減、突然死、不正脈の予防
- βブロッカー、カルシウム拮抗薬 → 左室流出路狭窄の軽減 ⇔ ×硝酸薬、ジギタリス:左室流出路狭窄を増強
- Ia群抗不整脈薬
予後
国試
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/12/19 04:13:04」(JST)
[Wiki ja表示]
|
ウィキペディアは医学的助言を提供しません。免責事項もお読みください。 |
肥大型心筋症 |
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
I42.1-I42.2 |
ICD-9 |
425.4 |
OMIM |
192600 |
DiseasesDB |
6373 |
MedlinePlus |
000192 |
eMedicine |
med/290 ped/1102 radio/129 |
MeSH |
D002312 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
肥大型心筋症(HCM: Hypertrophic cardiomyopathy)は、明らかな原因がないにもかかわらず、局在性の心筋肥大を起こす病態である。
目次
- 1 概念
- 2 分類
- 3 症状と所見
- 4 遺伝との関連
- 5 治療
|
概念
本症は心筋肥大による左心室の拡張障害が主体である。拡張期が短縮することにより、心室に血液が充分に流れ込まなくなる。その結果、全身に流れる血液量が不足したり、心室→心房への逆流が起こることによりひいては肺水腫に至って呼吸困難を呈したりする。
心房細動の合併が多い。
分類
大動脈弁付近の壁肥厚による閉塞性肥大型心筋症 (HOCM) と、心尖部の壁肥厚による非閉塞性肥大型心筋症 (HNCM) に分類される。HOCMの基本病態は、心流出路狭窄による心拍出量低下であり、一方、HNCMの基本病態は、心室筋肥大による左室拡張能の低下および不整脈である。欧米では前者が多いが、日本では後者が比較的多い。また、肥大が心尖部に限局したapical HCMと呼ばれる病態も報告されている。初報告は日本でなされており、また日本人に多いとされている。
これらの研究の結果、現在では、心筋の異常な肥大こそがHCMの本質であり、各分類は、その肥大する部位の差によって、左室流出路狭窄が起きるか否かに過ぎないと認識されるようになっている。
症状と所見
臨床症状
- 左心不全症状
- 動悸
- 胸痛(狭心痛)
- 失神
- 二峰性脈
各種検査所見
閉塞性肥大型心筋症においては、下記のような所見が見られる。
- 聴診
- 胸骨左縁 第3、4肋間から心尖部を中心として、収縮期 駆出性雑音、IV音を聴取する。
- 心電図
- 左室肥大、異常Q波、ST-T変化、巨大陰性T波(apical HCMの特徴)が見られる。ただし、HCMに特有の所見はなく、むしろ、自覚症状に乏しい割に、心電図上の変化が派手であることが、HCMの特徴と言える。
- 頚動脈波
- 二峰性脈(pulsus bisferiens:spike and dome型)が認められる。大動脈弁閉鎖不全症の二峰性脈とは異なる。急激な立ち上がりのあと、収縮中期から後期にゆるやかな2つ目の峰を形成する。
- 心エコー
- 非対称性心室中隔肥厚(ASH)
- 僧帽弁前尖の収縮期前方運動(SAM)
- 大動脈弁の収縮中期 半閉鎖
- などが見られる。
- 心臓カテーテル検査
- 左室拡張末期圧(LVEDP)の上昇が特徴的である。
- 左室流入路と流出路の収縮期圧較差(20mmHg以上)が認められる。
- 病理学検査
- 肥大した心筋細胞が見られる。これらの配列においては、樹枝状分枝や渦巻き状などの錯綜配列が特徴的である。錯綜配列は、肥大した心室中隔を中心に分布する。
遺伝との関連
本症のおよそ半数は常染色体優性遺伝であり、トロポニンTなどのサルコメア遺伝子異常が報告されている。
治療
最大の問題である、突然死の予防が最重点となる。
過激な運動を避け、また、心筋の拡張能を改善するためと、心筋の負荷を軽減するために、β遮断薬が使われる。しかし、喘息を合併している場合のようにβ遮断薬が禁忌の症例にはカルシウム拮抗剤などが用いられる。大動脈弁狭窄や僧帽弁逆流が高度な場合には、心室中隔切除術などの外科的手術を行う。場合によっては突然死予防のため植え込み型除細動器が必要になる。
心血管疾患 |
|
疾患 |
|
心疾患
|
不整脈
|
徐脈性
|
洞不全症候群 | 房室ブロック | 脚ブロック(右脚ブロック · 完全右脚ブロック · 左脚ブロック)
|
|
頻脈性
|
上室性
|
洞性頻脈 | 心房細動 | 心房粗動 | ブルガダ症候群 | QT延長症候群 | WPW症候群
|
|
心室性
|
心室細動 | 心室頻拍
|
|
|
|
虚血性心疾患
|
狭心症 | 急性冠症候群 | 心筋梗塞 | 冠動脈血栓症
|
|
弁膜性心疾患
|
僧帽弁狭窄症 | 僧帽弁閉鎖不全症 | 三尖弁狭窄症 | 三尖弁閉鎖不全症 | 大動脈弁狭窄症 | 大動脈弁閉鎖不全症
|
|
先天性心疾患
|
心房中隔欠損 | 心室中隔欠損 | 心内膜床欠損症 | 動脈管開存症 | ファロー四徴症(極型ファロー四徴症) | 大血管転位(左旋性 · 右旋性) | 総肺静脈還流異常症 | 大動脈縮窄 | 左心低形成症候群 | 両大血管右室起始症 | 三尖弁閉鎖
|
|
心内膜・心筋
・心膜疾患
|
心内膜疾患
|
感染性心内膜炎
|
|
心膜疾患
|
心膜炎(急性心膜炎 · 慢性収縮性心膜炎) | 心タンポナーデ
|
|
心筋疾患
|
心筋症(特発性拡張型心筋症 · 肥大型心筋症 · 拘束型心筋症 · 特発性心筋症) | 心筋炎
|
|
|
心臓腫瘍 | 心臓神経症 | 心臓性喘息 | 肺性心
|
|
|
血管疾患
|
動脈
|
動脈硬化 | 大動脈瘤 | 大動脈解離 | 大動脈炎症候群 | 動静脈瘻 | 閉塞性動脈硬化症 | 閉塞性血栓性血管炎 | レイノー病
|
|
静脈
|
静脈瘤 | 血栓性静脈炎 | 静脈血栓塞栓症 | 脂肪塞栓症
|
|
|
|
|
病態・症候 |
|
心不全
|
左心不全 | 右心不全
|
|
血圧異常
|
高血圧
|
本態性高血圧症 | 二次性高血圧 | 悪性高血圧症
|
|
低血圧
|
|
|
心臓発作 | 心臓肥大 | 心停止 | 心肺停止
|
|
|
|
所見・検査 |
|
血圧計 | 聴診 | 心雑音 | 心電図 | 心電図モニタ | 心臓超音波検査 | 胸部X線写真 | 胸部X線CT | 心臓カテーテル検査(肺動脈カテーテル) | 心臓核医学検査
|
|
|
治療 |
|
外科的治療
|
冠動脈大動脈バイパス移植術 | 経皮的冠動脈形成術 | 植え込み型除細動器 | バチスタ手術 | 人工心臓 | 心臓ペースメーカー
|
|
内科的治療
|
心臓作動薬
|
抗不整脈薬
|
Ia群: プロカインアミド, キニジン
Ib群: リドカイン, フェニトイン
Ic群: フレカイニド, プロパフェノン
II群: 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)
III群: アミオダロン, ソタロール
IV群: カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
|
|
心不全治療薬
|
利尿薬 | 血管拡張薬 | 強心配糖体 | 強心剤
|
|
狭心症治療薬
|
交感神経β受容体遮断薬 | 硝酸薬
|
|
|
血管作動薬
|
高血圧治療薬
|
利尿薬 | 交感神経β受容体遮断薬 | レニン-アンジオテンシン系 (ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬) | カルシウム拮抗剤 | アドレナリン作動薬 | 脂質降下薬
|
|
|
|
|
|
循環器系の正常構造・生理 |
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 症例報告 経皮的中隔心筋焼灼術が奏功した閉塞性肥大型心筋症による血液透析困難症例
- Respiration & Circulation 閉塞性肥大型心筋症に対する経皮的経中隔心筋焼却術(percutaneous trans-septal myocardial ablation;PTSMA)治療
- P2-509 閉塞性肥大型心筋症に対するシベンゾリン投与の有効性の検討(一般演題 ポスター発表,薬物療法(その他),臨床から学び臨床へと還元する医療薬学)
- 坪田 吉宏,大野 哲郎,大野 恵子,岸野 吏志,高山 守正,梅村 純
- 日本医療薬学会年会講演要旨集 20, 474, 2010-10-25
- NAID 110008109507
Related Links
- ... 期に左室から血液が出ていく部位(流出路)が狭くなる場合があり、そのような場合は閉塞性肥大型心筋症と呼ばれます。これに対する非閉塞性肥大型心筋症の他、心尖部肥大型心筋症、心室中部閉塞型心筋症、拡張相肥大型心筋 ...
- 肥大型心筋症とは、原因不明の心筋疾患(特発性心筋症のひとつ)で、高血圧や心臓弁膜症などの原因疾患がないのに、心臓の壁が厚くなる(肥大)病気です。 心臓のポンプ機能(収縮性)は一般に良好ですが、左心室(時には右心室 ...
- 閉塞性肥大型心筋症の場合、流出路に近く、また心筋が厚くなるほど重症になります。非閉塞性心筋症のなかに、とくに心臓の底の部分(心尖部(しんせんぶ))の心筋が厚くなる心尖部肥大型心筋症(しんせんぶ ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 31歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。3か月前から全身倦怠感があったが、最近1か月で症状が増悪し、昨日から呼吸困難が出現するようになったため受診した。意識は清明。身長 175cm、体重 62kg。体温 36.5℃。脈拍 84/分、整。血圧 124/74mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 96%(room air)。胸部の聴診でⅢ音とⅣ音とを聴取する。両側の胸部でwheezesを聴取する。両側の脛骨前面に圧痕を残す浮腫を認める。血液所見と血液生化学所見とに異常を認めない。心電図は心拍数 82/分の洞調律で、その他に異常所見を認めない。胸部エックス線写真では心胸郭比 60%で肺うっ血を認める。心エコー図(別冊No. 14A、B)を別に示す。
- 最も考えられる疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110I049]←[国試_110]→[110I051]
[★]
- 64歳の男性。労作時の息切れと胸部圧迫感とを主訴に来院した。以前から心電図異常を指摘されていたが精査は受けていなかった。呼吸数18/分。脈拍72/分、整。血圧130/80mmHg。頸静脈の怒張はない。収縮期雑音とIV音とを聴取する。呼吸音に異常を認めない。下肢に浮腫を認めない。心エコー図の左室長軸断層像と僧帽弁のMモード像とを以下に示す。
- 治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [102D025]←[国試_102]→[102D027]
[★]
- 62歳の女性。一過性意識消失のため来院した。5年前から労作時に胸部圧迫感を感じていた。心尖部にIII音とIV音とを聴取し、胸骨左縁第4肋間に3/6度の駆出性収縮期雑音を聴取する。心電図と心エコーの左室Mモード像とを以下に示す。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [097D019]←[国試_097]→[097D021]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [098G074]←[国試_098]→[098G076]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103C013]←[国試_103]→[103C015]
[★]
- 英
- hypertrophic cardiomyopathy HCM, HCMJ
- 関
- 心筋症
定義
- 肥大型心筋症とは以下2つを特徴とする疾患群である(2005年の特発性心筋症調査研究班の手引き)。
- 1. 左室ないしは右室心筋の肥大
- 2. 心肥大に基づく左室拡張能低下
- ただし、基礎疾患ないし全身性の異常に続発し類似した病態を示す二次性心筋症(特定心筋症)は除外すること。
臨床検査による定義
- 心エコー検査もしくは心臓MRIで、15mm以上の最大左室壁厚(肥大型心筋症の家族歴がある場合は13mm以上)があること。
ESCのガイドライン 2014年による診断基準
- 1. 1つ以上のsegmentにおいて、15mm以上の左室壁肥厚が認められる。これは心エコー検査、CMRなどの画像診断を用い、安静時での評価による。
- 2. 13~14mmの壁肥厚の場合、肥大型心筋症の診断は家族歴、心臓以外の症状や兆候、心電図所見、遺伝子検査、各種画像検査での評価を含めた総合的な判断となる。
- 3. 左室壁肥厚が15mm以上の肥大型心筋症患者の第1度近親者以内の親族については、心エコー検査、CMR、心臓 CTなどの画像診断で 1 つ以上の segmentにおいて13mm以上の左室壁肥厚を認めた場合、肥大型心筋症の可能性を考慮する。
病因
- 半数が常染色体優性遺伝による。sarcomere complexを構成する蛋白をコードする遺伝子の異常による。この遺伝子にはβミオシン重鎖、トロポニンT、ミオシン結合蛋白Cをコードするものがある。(PHD.259) → 蛋白の構造異常によるからAD
病型
- 心筋症診療ガイドライン(2018年改訂版) - 日本循環器学会
- HOCM(basal obstruction):安静時に30mmHg以上の左室流出路圧較差を認める
- HOCM(labile/provocable obstruction):安静時に圧較差は30mmHg未満であるが、運動などの生理的な誘発で30mmHg以上の圧較差を認める
病理
- pattern of extensive disarray. Short, wide, hypertrophied fibers are oriented in chaotic directions and surrounded by numerous cardiac fibroblasts and extracellular matrix.(PHD.259) → これが拡張障害や不整脈の原因となる
症状
胸部症状
- 左室拡張障害に伴う左室拡張末期圧の上昇による肺毛細管圧の上昇、また左室内腔の狭小化による低心拍出量などが関連
- 相対的心筋虚血が原因となりうる
- 動悸(不整脈(PAC,VPC,af)、頻脈、収縮力の増大に伴う過収縮)
脳症状
- 不整脈(心室頻拍、心室細動)ないし流出路狭窄による動作時・起立時の血圧低下が原因となる。血管拡張薬などの禁忌薬の使用時、起立動作時、飲酒時などに好発する。
症候
- dyspnea, palpirations, bifid apical impulse, coarse systolic murmur at the left sternal border, and ventricular hypertrophy with asymmertric septal thickening on echo cardiogram.(Q book p.304)
- bifid apical impulse: the forceful atrial contraction may also result in a palpable presystolic impulse over the cardiac apex (=double apical impulse)
- coarse systolic murmur: LA contraction into the stiffened LV
身体所見
- PHD.262
心音
- S4:肥大した左心室壁に対して左心房が無理に血液を送り込むため
- double apical impulse:心尖部で触れる。左心房の懸命な収縮+左心室の収縮
- (左室流出路が狭窄している場合)systolic murmur at the left lower sternal border → AS like でダイアモンド型の駆出期雑音を生じる
- (左室流出路が狭窄している場合)holosystolic blowing murmur at apex by MR → 僧帽弁前尖を左室流出路に引き寄せるからMRが生じる。汎収縮期雑音を生じる。(also see PHD.44)
- 各種手技による雑音の変化。ASと反対の挙動を示す
-
- elevating one's leg
- increasing sympathetic tone
- squatting → HOCMにおいて、姿勢性めまいは一般的。The LV thus decreases in size and outflow tract obstruction intensifies.(PHD.262)
検査
頚動脈圧
- 左室流出路が狭窄している場合は、頚動脈圧波の収縮期早期における急峻な立ち上がりと急激な低下がみられる(PHD.262)。HOCMでは収縮中期に駆出される血液量が低下し収縮期の脈波が二つの峰を形成する(参考2)。
- その他、二峰性の頚動脈が認められる病態:大動脈閉鎖不全症、閉塞性肥大型心筋症、開存の大きい動脈管開存症、Valsalva洞破裂
心エコー
- Mモードで観察
- 左心室壁の肥厚
- 非対称性中隔肥大(ASH)
- 僧帽弁前尖の収縮期前方運動(SAM):循環血液量の減少と左室の過収縮による(YN.C-135)
- 大動脈弁の収縮中期半閉鎖:HOCMでは収縮中期に駆出される血液量低下のために大動脈弁が閉鎖しそうになる(参考2)
- 僧帽弁後退速度 DDRの低下:左心室のコンプライアンスが低下することにより、左室への血液流入速度が低下するため(YN.C-135)
心電図
- ST下降、T波の陰転化、左室高電位、QRS時間の院長、Q波異常 (ECGP.118)
- V3-V5における巨大陰性T波 → 心尖部肥大型心筋症
[show details]
- V3-V6のST低下と陰性T波
治療
- PHD.264
- 生活療法:激しい運動や競争をするような運動は避ける → 突然死のリスクが高まる。
- 薬物療法:
- βブロッカー:(1)心筋酸素需要減少→狭心痛・呼吸困難↓、(2)左室流出路の圧勾配減少←心収縮力の低下により左室流出路の狭窄が解除される、(3)心室充満量増加←HR低下による、(4)心室期外収縮抑制。ただし、βブロッカーは不整脈による死亡は抑制できないらしい。
- カルシウムチャネル拮抗薬:(1)心室のコンプライアンス上昇(reduce ventricular stiffness)、(2)βブロッカーが不応の患者での運動耐性を上げる。
- 抗不整脈薬:心室細動や心室性頻拍から死に至ることがあるため。
- 抗菌薬:閉塞性肥大型心筋症では感染性心内膜炎が起こりやすいため。
- 埋め込み型除細動器 ICD:高リスクの患者に適応
- カテーテルインターベンション:percutaneous septal albation
- 手術療法:myomectomy
注意
禁忌
- 硝酸薬 (禁忌と言い切って良いのか知らないが、お手軽教科書には大抵禁忌と書いてある)
参考
- http://www.nurs.or.jp/~academy/igaku/s1/s14222.htm
- http://kokushinado.ame-zaiku.com/circu/4_hm.html
- 2007年改訂版
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2007_doi_h.pdf
- 2012年改訂版
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2012_doi_h.pdf
国試
[★]
- 英
- artificial cardiac pacemaker
- 同
- ペースメーカー
- 関
- 心臓、ペーシングモード
適応
YN2010
- 1. 完全房室ブロック
- 2. Mobitz II型の2度房室ブロック
- 3. 洞不全症候群
- 4. 一般的には脈拍40回/分以下の徐脈で、3秒以上の心停止、めまい、失神、心不全などの症状を呈する場合
不整脈の非薬物療法ガイドライン
|
ClassⅠ
|
ClassⅡa
|
ClassⅡb
|
ClassⅢ
|
|
有益であるという根拠があり,適応であることが一般に同意されている
|
有益であるという意見が多いもの
|
有益であるという意見が少ないもの
|
有益でないまたは有害であり,適応でないことで意見が一致している
|
房室ブロック
|
1 徐脈による明らかな臨床症状を有する第2度、高度または第3度房室ブロック 2 高度または第3度房室ブロックで以下のいずれかを伴う場合 (1)投与不可欠な薬剤によるもの (2)改善の予測が不可能な術後房室ブロック (3)房室接合部のカテーテルアブレーション後 (4)進行性の神経筋疾患に伴う房室ブロック (5)覚醒時に著明な徐脈や長時間の心室停止を示すもの
|
1 症状のない持続性の第3度房室ブロック 2 症状のない第2度または高度房室ブロックで、以下のいずれかを伴う場合 (1)ブロック部位がHis束内またはHis束下のもの (2)徐脈による進行性の心拡大を伴うもの (3)運動または硫酸アトロピン負荷で伝導が不変もしくは悪化するもの 3。徐脈によると思われる症状があり、他に原因のない第1度房室ブロックで、ブロック部位がHis束内またはHis束下のもの
|
1 至適房室間隔設定により血行動態の改善が期待できる心不全を伴う第1度房室ブロック
|
|
2枝ブロック 3枝ブロック
|
1 慢性の2枝または3枝ブロックがあり、第2度MobitzⅡ型、高度もしくは第3度房室ブロックの既往のある場合 2 慢性の2枝または3枝ブロックがあり、投与不可欠な薬剤の使用が房室ブロックを誘発する可能性の高い場合 3。慢性の2枝または3枝ブロックとWenckebach型第2度房室ブロックを認め、失神発作の原因として高度の房室ブロック発現が疑われる場合
|
1 慢性の2枝または3枝ブロックがあり、失神発作を伴うが原因が明らかでないもの 2 慢性の2枝または3枝ブロックがあり、器質的心疾患を有し、電気生理検査によりHis束以下での伝導遅延・途絶が証明された場合
|
1 慢性の2枝または3枝ブロックがあり、電気生理検査でHis束以下での伝導遅延・途絶の所見を認めるが、器質的心疾患のないもの
|
|
洞機能不全症候群
|
1 失神、痙攣、眼前暗黒感、めまい、息切れ、易疲労感等の症状あるいは心不全があり、それが洞結節機能低下に基づく徐脈、洞房ブロック、洞停止あるいは運動時の心拍応答不全によることが確認 された場合。それが長期間の必要不可欠な薬剤投与による場合を含む
|
1 上記の症状があり、徐脈や心室停止を認めるが、両者の関連が明確でない場合 2 徐脈頻脈症候群で、頻脈に対して必要不可欠な薬剤により徐脈を来たす場合
|
1 症状のない洞房ブロックや洞停止
|
|
徐脈性心房細動
|
1 失神、痙攣、眼前暗黒感、めまい、息切れ、易疲労感等の症状あるいは心不全があり、それが徐脈や心室停止によるものであることが確認された場合。それが長期間の必要不可欠な薬剤投与による場合を含む
|
1 上記の症状があり、徐脈や心室停止を認めるが、両者の関連が明確でない場合
|
|
|
過敏性頸動脈洞症候群 反射性失神
|
1 過敏性頸動脈洞症候群で、心拍抑制による反復する失神発作を認める場合 2 反射性失神で、心電図で心拍抑制が記録され、反復する失神発作を認める場合
|
1 反射性失神で、反復する失神発作があり、head-uptilt試験により心拍抑制反応が認められる場合
|
|
1 head-up tilt試験により心拍抑制反応が認められない過敏性頸動脈症候群・反射性失神
|
閉塞性肥大型心筋症
|
1 有意な流出路圧較差があり、圧較差に基づく症状によりQOL低下を来たす閉塞性肥大型心筋症で、他にペースメーカ植込みの適応となる理由を有する場合(薬剤による徐脈を含む)。
|
1 有意な圧較差があり、圧較差に基づく症状によりQOL低下を来たす閉塞性肥大型心筋症で、症状と圧較差が関連しており、薬物治療が無効か副作用のため使用不能か、他の方法が不適当な場合
|
|
1 圧較差がなく、徐脈による植込み適応もない場合。
|
禁忌
参考
- 不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)
[★]
- 英
- syncope, faint
- 関
- 一過性意識障害
定義
- 1. 発作的に起こる脳の血流低下による一過性の意識消失
- 2.
- 一過性の意識消失の結果、姿勢が保持できなくなり、かつ自然に、また完全に意識の回復が見られること(失神の診断・治療ガイドライン)
- 発症は比較的速やかであり、意識は多くの場合速やかに回復する。「意識障害」のうちで、特異な臨床像を持った1 つの症候である。(失神の診断・治療ガイドライン)
- 3. 元来、一過性の全脳虚血による一時的な意識消失で、かつ数秒から数分で意識を回復する物を指していたが、現在ではあいまい、より広義となっている。例えば、てんかん発作、低血糖、過換気、一過性脳虚血発作を含んでいる。(IMD.241) ← ホント?誰かが誤用しつづけているだけなんちゃうか?
症状
- 眼前暗黒感、めまい感、悪心などの前駆症状に引き続き、顔面が蒼白となり、ついに意識が消失
意識消失までの時間経過と症状
- 脳への血流停止が5-10秒程度で失神、10秒前後で筋弛緩・尿失禁、15秒以上で痙攣を生じる、らしい(参考2) ← 根拠となる文献を調査中
原因
- 救急での覚え方
- QB.C345
- 研修医当直御法度 症例帳 p.36
参考
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2007_inoue_h.pdf
- 2. 失神 国立療養所西札幌病院循環器科 別役徹生
- http://www.aurora-net.or.jp/life/heart/saizensen/86/index.html
[★]
- 英
- digitalis
- 関
- 強心薬、強心配糖体, cardiac glycosides、ジギタリス効果。メチルジゴキシン、ジゴキシン、ジギトキシン
|
effect expression
|
max ffect
|
sustain
|
half-time
|
absorbance
|
excertion
|
治療域血中濃度
|
ジゴキシン
|
-1hr
|
3-6hr
|
2-6day
|
36hr
|
60-85%
|
kidney
|
1-2 ng/ml
|
ジギトキシン
|
1-4hr
|
5-10hr
|
2-3week
|
4-5day
|
90-100%
|
liver
|
10-25 ng/ml
|
特徴
構造
薬理作用
- 1. 心筋収縮の増強 (mechanical effect)
- 2. 房室結節で不応期を延長 (electrical effect)
- 洞房結節での伝導速度が低下し、不応期が延長する → だから上室性頻拍のおいて心拍数を下げることができるし、リエントリー性の上室性頻拍を洞調律に戻すことができる。
作用機序
房室結節で不応期を延長 (mechanical effect)
- →心筋収縮を増強する
房室結節で不応期を延長 (electrical effect)
- →房室結節をブロックする。
- 1. 心臓組織に直接作用
- 2. 自律神経に作用し、副交感神経の緊張亢進、交感神経の活動性抑制
動態
- ジゴキシンは腎代謝で半減期が短い。治療濃度 1-2ng/ml
- ジギトキシンは肝代謝で半減期が長い。
適応
- 心不全患者の心不全入院を減らす。予後は改善しない。
- AFを伴うHFでは、心室レートをコントロールし十分な心室充満圧を得るためにジギタリスが用いられる。(ジゴキシンは1-2ng/mlで用いる)
注意
- 低カルシウム血症、腎機能低下例、薬物相互作用に注意
禁忌
YN.C-59
副作用
- also see GOO.922
[★]
- 英
- paradoxical splitting
- 関
- II音、生理的分裂 physiologic splitting
概要
- 通常の心音はS1→A2→P2 だけど、奇異性分裂ではS1→P2→A2となる。
原因
- A弁閉鎖の遅延:(1)left bundle branch block(LBBB), (2)advanced aortic stenosis(AS), 高血圧?, (4)閉塞性肥大型心筋症 HOCM(YN.C-135).
呼吸性変動との関連
- 生理的分裂では、吸気時には、肺血管抵抗が下がる事によるP2の遅れ + 肺静脈拡張にともなうLVの拍出量減少によるA2の早期閉鎖により大きくA2→P2と広がっている。
- 呼気時:S2(P2→A2が打ち消されるため)
- 吸気時:P2→A2(A2のdelay)
[★]
- 英
- non-obstructive hypertrophic cardiomyopathy, hypertrophic nonobstructive cardiomyopathy HNCM, hypertrophic non-obstructive cardiomyopathy, HnOCM
- 関
- 肥大型心筋症、閉塞性肥大型心筋症
[★]
- 英
- cardiac muscle (K), heart muscle, myocard cardiac muscle, myocardium
- 関
- 心筋の活動電位、横紋筋、筋肉
- 筋小胞体が発達していない
心筋の酸素消費量 (SPC.226)
- (tension-time index)=左心室内圧曲線収縮期相の面積(mmHg/s)×心拍数
- (doble product)∝(tension-time index)
- 1. 骨格筋細胞と違い心筋細胞は介在板を有しており、介在板近傍に存在するギャップ結合によって活動電位が伝播する。
- 2. ギャップジャンクションを通じて活動電位が伝播すると、心筋細胞膜上の電位依存性Na+チャネルが開き、脱分極が筋細胞全体に広がる。
- 3. 脱分極はT細管(横行管)に伝わり、T細管に存在する電位依存性のタンパク質の構造を変化させ、筋小胞体上のCa2+放出チャネルを開く。
- 4. さらに少し遅れてCa2+/Na+チャネルが長時間開口し、細胞内に多量のCa2+/Na+を取り込む。
- 5. 心筋細胞のT細管は細胞外部に開口しており、Ca2+の取り込みが容易になっている。
- 6. このようにして、細胞外と筋小胞体中のCa2+が細胞質に拡散する。
- 7. ここで、筋収縮に関わるアクチンフィラメントにトロポミオシンとトロポニンが結合し、収縮開始を妨げているが、Ca2+がトロポニンに結合すると、トロポミオシンがアクチンフィラメント上で場所を変える。
- 8. この結果、トロポミオシンが覆い隠していたアクチンフィラメントのミオシン結合部位が露出する。
- 9. ミオシンはATPの加水分解のエネルギーを使って、アクチンフィラメントに結合できる構造をとり、アクチンに結合する。
- 10. ミオシンがアクチンフィラメントで首振り運動をすることで筋収縮が起こる。
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
[★]
- 英
- cardiomyopathy CM
- 関
心筋症比較
- HIM.1482
YN
|
C-132
|
C-134
|
C-136
|
HIM
|
1481
|
1484
|
1485
|
|
拡張型心筋症
|
肥大型心筋症
|
拘束型心筋症
|
DCM
|
HCM
|
RCM
|
胸部単純X線写真
|
中等度~重度心陰影拡大
|
中等度~重度心陰影拡大
|
軽度心陰影拡大
|
肺静脈拡張
|
|
|
心電図
|
ST領域、T波の異常
|
ST領域、T波の異常
|
低電位
|
|
左室肥大
|
伝導障害
|
|
異常Q波
|
|
心エコー
|
左心室拡張・機能不全
|
非対称性中隔肥大
|
左心室壁肥厚
|
|
収縮期僧帽弁前方運動
|
収縮能:正常~軽度減少
|
核医学検査
|
左心室拡張・機能不全
|
収縮能亢進
|
収縮能:正常~軽度減少
|
|
血液還流異常(201Tl/Tc-MIBI)
|
|
心カテーテル検査
|
左心室拡張・機能不全
|
収縮能亢進
|
収縮能:正常~軽度減少
|
左室・(右室)充満圧上昇
|
左室・右室充満圧上昇
|
左室・右室充満圧上昇
|
心拍出量減少
|
左室流出路狭窄
|
|
[★]
- 英
- occlusion
- 関
- 促通
- 詰まること、詰まっていること
- (神経)2種の異なる興奮性のシナプス前性のニューロン群が1つのニューロン群へ収束と発散によりシナプス結合する回路において、2種のシナプス前線維群内の同期して興奮するニューロンの数が多い場合には、興奮するシナプス後ニューロンの数は、個々のシナプス前線維群だけの活動による場合の和よりも少なくなる。
[★]
- 英
- obstructive、occlusive、obliterative、constrictive、obliterans、occlusively
- 関
- 狭窄、筋収縮性、収縮、収縮性
[★]
- 英
- hypertrophy
- ラ
- hypertrophia
- 関
- 過形成、増殖