出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/09/24 20:15:03」(JST)
心臓超音波検査(しんぞうちょうおんぱけんさ)は、超音波検査の一つであり、心臓を観測する。「心エコー」(しんエコー)とも呼ばれる。体の様々な部分の超音波検査の中でも、心臓超音波検査は特に専門的な知識が必要である。
心臓の機能の測定。
心筋梗塞、心臓弁膜症、収縮機能障害型の心不全、各種の心筋症、心内膜炎、心外膜炎、心タンポナーデ、心臓腫瘍、先天性心疾患の一部の診断。
肺高血圧症の間接的な診断。
上手な人が行うと、冠動脈の血流を評価し狭心症の一部の間接的な診断も行うことができる。
レントゲン検査やコンピューター断層検査(CT)といったX線を使用する検査と異なり、人体に対する悪影響は報告されていない。
よく描出できないときは左側臥位にしたり、あるいは十分に息を吐いてもらうと、肺のアーチファクトが消失し、見やすくなる。一般内科として扱う疾患や救急医療においては大量の心嚢水、著名な右心負荷(右心室の左心室圧排像)、明らかな壁の異常運動が描出できれば初期対応としては十分なことが多い。腹部の超音波のプローブでもある程度は描出可能である。その場合はプローブの長軸が体の長径に一致するようにプローブを当て、胸骨左縁長軸像を描出するようにしてはじめると分かりやすい。
プローブを第3または第4肋間に置き、左心室長軸方向にビームを向ける。心室中隔(IVS)、僧帽弁、大動脈弁が見える。基本的な像である。Mモード図もこの像で記録する。
胸骨左縁長軸像から90度方向回転させる。左心室が円形に描出されれば正しく操作できている。高さによって上から大動脈弁レベル、僧帽弁レベル、乳頭筋レベルに分かれる。
心尖拍動を探し、そこから少し左下にずらすと見えてくる像である。正しく操作すれば右心室が左側に一番大きな腔として見えてくる。その奥が右心室である。
四腔像の位置で探触子を90度反時計回りに回転させると、左心房と左心室のみが描出される。上行大動脈、右心房は描出されない。心臓カテーテル検査のRAOviewに相当する。左心室前壁の心尖部付近はこの像でしか見えない。
二腔像よりさらに少し反時計周りに回転させると、大動脈弁と上行大動脈が描出される。心室中隔の心尖部をみるのに適している。また、ドプラ(ドプラー、ドップラー)法(英語版)では僧帽弁口や大動脈弁口、左室流出路をみるのに適している。
Mモード法はビーム上にある心臓内の構造物の動きを横軸に時間をとって記録するものである。Mモードでは胸骨左縁長軸像では、大動脈弁レベル、僧帽弁レベルおよび左室レベルで記録される。
35mm以上であると大動脈の拡大が考えられる。
心室収縮末期、即ち最大となるところで測定する。42mm以上で左房拡大と診断する。正常では大動脈径と左房径は殆ど等しい。
心電図上Q波が見られる部位を左室拡張期とし計算する。55mm以上で左室拡大とする。斜めに測定してしまえば大きくなるのは当然であり、同部位で胸骨左縁短軸像をチェックし左室が円形に描出されるか確認し測定する。
心室中隔の収縮末期で計測する。
心電図のQ波の位置で測定する。8mmから12mmが正常範囲である。
IVSと同様に測定する。8mmから12mmが正常範囲である。
(LVDd-LVDs)/LVDd×100で計算される。28%以上が正常である。
55~80%が正常範囲と考えられている。最も多用される心機能の指標である。これとBNPが30未満ならばほぼ心不全はないと考えられている。
右房負荷の指標である。23mm以上が拡大と考えられている。正常は吸気時に40mm~100mmの減少を認めるが右房負荷時は40%以下の変動しか認めない。
左室流入血流速波形の解析で行う。E波(拡張早期波)とA波(心房収縮期波)とDTによって評価する。E/A>1、DTが150~250msecならば正常である。E/A<1、DTが250msec以上ならば弛緩障害、E/A>2、DTが150msec未満ならば拘束型である。拘束型は左房圧が20mmHg以上を示唆している。
E波と組織ドップラーを用いた弁輪速度E'の比が高いと心不全が疑われる。
近年注目されている新しい心機能の指標であり、0.47以上で心不全を示唆する。
心房中隔欠損
心内膜炎
拡張型心筋症
閉塞性肥大型心筋症
心タンポナーデ
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