出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/11/19 20:07:47」(JST)
アズレン | |
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IUPAC名
ビシクロ-[5.3.0]-デカ- |
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 275-51-4 |
KEGG | C13392 |
SMILES
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特性 | |
化学式 | C10H8 |
モル質量 | 128.17 |
外観 | 濃青色結晶 |
融点 |
99–100 |
沸点 |
242 |
特記なき場合、データは常温(25 °C)・常圧(100 kPa)におけるものである。 |
アズレン (azulene) は10個の炭素原子と8個の水素原子からなる炭化水素で、ナフタレンの構造異性体にあたる。分子式は C10H8、分子量 128.17、融点 99–100 ℃、沸点 242 ℃。ナフタレンのような特有のにおいを持つ、代表的な非ベンゼン系芳香族化合物である。後述する、アルキル基で置換されたアズレンはモノテルペンにも分類される。
アズレンは濃青色の昇華性の高い結晶であり、これはナフタレンやその他多くの炭化水素が無色透明であることと対照的である。名称もスペイン語で「青い」を意味する "azul" に由来する。多くの化粧品に用いられた。
その歴史は古く、15世紀にはカモミールの水蒸気蒸留によってアズレンを含む濃青色の精油が得られていた。1863年にセプティマス・ピアス (Septimus Piesse) によりノコギリソウやニガヨモギから単離され、彼によって命名された。レオポルト・ルジチカがアズレンの構造を解明し、1937年にプラシーダス・プラットナー (Placidus Plattner) によって初めて合成された。今日ではいくつかの合成法が知られている[1][2]。
目次
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ナフタレンが2つのベンゼン環の一辺を共有する構造である一方、アズレンは7員環と5員環が縮環した構造を持つ。ナフタレンと同様に10個のπ電子を含む共鳴構造を持つが、共鳴安定化エネルギーはナフタレンの半分である。それぞれ芳香族性を有する 6π 電子構造のシクロヘプタトリエニウムイオン(トロピリウムイオン)とシクロペンタジエニルアニオンが縮環した構造と見ることもでき、1.0 D の双極子モーメントはこの分極によって説明できる。その極性のため、求電子的反応は5員環側で、求核的反応は7員環側で受けやすい。ナフタレンなどより芳香族性はやや低く、水素化などの反応を受け付けやすい性質がある。
アズレンはKashaの法則から逃れる分子として知られており、その誘導体もまた最低励起一重項状態から蛍光しないものが多い。
5・7員環が縮環したテルペン類を加熱することにより、脱水・空気酸化を受けてアズレン骨格を生ずる。1,4-ジメチル-7-イソプロピルアズレンがユソウボクに由来するグアイアズレンとして、4,8-ジメチル-2-イソプロピルアズレンがベチバー油の主成分であるベチバズレンとして、それぞれ知られている。これらは穏やかな抗炎症作用を持つため、古くから民間薬として用いられてきた。現在でもその誘導体が目薬・胃薬などに配合され、一般に使用されている。
医薬品の中で、含嗽用アズレンと呼ばれる化合物があるが、これは 1-アズレンスルホン酸ナトリウムを指す。スルホン酸塩とすることで水溶性が高められており、抗炎症作用を利用したうがい薬、点眼薬などが市販されている。また、水溶性アズレンとL-グルタミンを配合したものが「マーズレン」(ゼリア新薬工業)、「グリマック」(沢井製薬)の名で消化性潰瘍、胃炎の治療薬として用いられている。
世界中に産する青いベニタケ科のキノコ・ルリハツタケ(Lactarius indigo)の発色成分はステアリン酸(7-イソプロペニル-4-メチルアズレン-1-イル)メチルである。
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[★] アズレンスルホン酸ナトリウム水和物(アズレン)、L-グルタミン
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