- 英
- arteriosclerosis obliterans, ASO
- 関
- 慢性動脈閉塞症、ルリッシュ症候群 Leriche症候群
定義
疫学
- 50歳以上の中年男性に多く、1-3%と報告されている。
診断基準
- 糖尿病大血管障害研究会
- (1)または(2)
- (3)+Minor criteria1つ以上
Major Criteria
- 血管造影にて閉塞が著明である
- API=0.8以下:(API=Ankle pressure index)
- 虚血による間欠性跛行 or 安静時痛
Minor Criteria
- 動脈拍動の減弱・欠損
- 壊疽・潰瘍の存在または既往
- 四肢動脈の著しい石灰化
リスク因子
- 年齢:加齢に伴いASOの罹患率が上昇し、60歳以上では1-3%、70歳以上では2-5%とされている。
- 性別:男性は女性に比べて1-2倍リスクが高い。
- 喫煙:オッズ比が3-4倍と高い。喫煙本数と重症度が比例している。禁煙によって発症頻度が低下する。
- 糖尿病:オッズ比が3-4倍と高い。
- 高血圧:オッズ比は1.5-2倍とされている。
- 脂質異常症:有意なリスクファクターであるが、発症の寄与度としては高血圧や糖尿病より小さい
- 冠動脈疾患 CAD:冠動脈に有意な狭窄が確認された患者においてABI0.9未満の頻度は13-19%。
- 脳血管疾患 CVD:脳卒中患者において、ABI0.9未満の割合は18.8%。
- 透析:ABI 0.9%未満の頻度は15-24%、ABI 1.3以上の異常高値は10%程度に認めた。
- その他:慢性腎臓病、CRP高値、高ホモシステイン血漿、血漿フェブリノーゲン高濃度がか指摘されている。
検査
分類
鑑別
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ASO
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TAO
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好発年齢と性差
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中高年の男性 (50歳以上)
|
若年男性 (20-40歳)
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全身性合併症 (基礎疾患)
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高血圧,糖尿病,脂質異常症
|
なし
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好発部位
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大動脈分枝部~大腿動脈 (下肢の中枢側)
|
膝窩動脈以下 (下肢の末梢側)
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遊走性静脈炎
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なし
|
あり
|
喫煙
|
危険因子の一つ
|
増悪
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血管造影
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虫食い像、動脈壁硬化
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先細り像、Corkscrew状側副路。多発性分節的閉塞(閉塞は途絶状)
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石灰化
|
多い
|
少ない
|
予後
|
不良
|
良好
|
治療
- 運動療法:歩行など。血管の側副路の発達などにより歩行距離の延長
- 薬物療法
- PTA:カテーテルにより血栓溶解(ウロキナーゼ)、血栓吸引、ステント留置術など
- バイパス術:適応は急性閉塞。大動脈-腸骨動脈・大腿動脈などPTAの困難例
- 外科手術:広範囲の潰瘍・壊死性病変、感染を伴う例では肢切断。
- 細胞移植治療:ASO による慢性重症の虚血で、PTA やバイパス術が適応できない場合には、自己骨髄細胞移植治療が試みられる。
|
ASO
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L-SCS
|
発生部位
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腓腹部
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大腿後面、下腿外側
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症状変動
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あまりない
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変動有り
|
改善
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急速で速やかに改善 たったままで治る
|
時間がかかる 座位(前屈)で軽減
|
頻度
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少
|
多
|
ガイドライン2015に基づく治療
- 末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン(2015 年改訂版)
-
- 高血圧:(クラスI)降圧目標は140/90mmHg未満、CAD/CVDがなければ130/80mmHgを目標とする。β遮断薬の使用は差し支えない。
- 脂質異常症:(クラスI)LDL-Cの管理目標は120mg/dL未満としてスタチンを導入する。(クラスIIa)低HDL-Cと高TGを有する場合にはフィブラート系薬やEPA製剤の投与を考慮する。
- 糖尿病・肥満・メタボリックシンドローム:(クラスI)糖尿病、高血圧、肥満、喫煙などのリスクファクターを早期から厳格にコントロールする。
- 喫煙:禁煙状況や禁煙医師の評価を行い、適宜カウンセリングし薬物療法、行動療法を含めた禁煙治療を行う。
- 血小板薬の適応:(クラスIIa)症候性ASO患者に対して、CVD/CAD予防のためにアスピリンやクロピドグレルを投与する。脳卒中の二次予防のためにはシロスタゾールを投与する。
- 冠動脈疾患合併:(クラスI)CADを有するASO患者に対してoptimal medical therapy(生活習慣改善指導、血圧・血糖・脂質コントロール、抗血小板薬・β遮断薬・RA系阻害薬・スタチン処方、基礎心疾患の介入)を行う。
- 脳血管疾患合併:(クラスIIa)症候性ASO患者に対して脳卒中予防のために抗血小板薬を投与する。
- 無症候性:(クラスI)無症候性ASO患者に動脈硬化のリスク管理と生活習慣の改善を行う;無症候性ASO患者の下肢予後は良好とされているが、5年後の生命予後は健常者と比べて有意に不良であることから動脈硬化性疾患の発症予防に努める必要がある。
- 有症候性:間欠性跛行
- 観血的歩行患者には初期治療として監視下運動療法を行う。
- 心不全のない間欠性歩行患者にシロスタゾールを投与する。
- 運動療法や薬物療法による跛行の改善が不十分な場合には血行再検の適応がある。
参考
- http://mymed.jp/di/zh8.html
ガイドライン
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_shigematsu_h.pdf
- 2. INTER-SOCIETY CONSENSUS FOR THE MANAGEMENT OF PERIPHERAL ARTERIAL DISEASE (TASC II)
- http://www.tasc-2-pad.org/upload/SSRubriqueProduit/Fichier2/597.pdf
- 3.末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン(2015 年改訂版)
- https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2015_miyata_h.pdf
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/06/09 11:50:21」(JST)
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閉塞性動脈硬化症 |
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
I73.9 |
ICD-9 |
443.9 |
DiseasesDB |
31142 |
eMedicine |
med/391 emerg/862 |
MeSH |
D016491 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう、ASO: arteriosclerosis obliterans)は、主に下肢の、主に大血管が慢性に閉塞することによって、軽い場合には冷感、重症の場合には下肢の壊死にまで至ることがある病気である。
目次
- 1 疫学
- 2 症状
- 3 診断
- 4 危険因子と予防
- 5 治療
- 6 鑑別
- 7 予後
- 8 関連項目
- 9 外部リンク
疫学
中年以降、特に50歳以降の男性に多い。
症状
病気の進行に従って、様々な症状を呈する。Fontaine分類(フォンテイン分類)は、病期と症状を結びつけたものとして広く用いられている。
- Fontaine 1度(もっとも軽症)
- 下肢の冷感や色調の変化
- Fontaine 2度
- 間歇性跛行(かんけつせいはこう) - 数十から数百m歩くと痛みのため歩行継続不可能になる症状。なお、腰部脊柱管狭窄症でもみられるため鑑別が必要。
- Fontaine 3度
- 安静時疼痛
- Fontaine 4度(もっとも重症)
- 下肢の壊死、皮膚潰瘍。糖尿病などによる末梢神経障害がない限り、患者は激痛を訴える。
その他の症状として、陰萎がある。
診断
特徴的な病歴や、下肢の色調・冷感などから、診断は比較的容易である。
- ankle brachial index (ABI) の低下。ABIとは下肢と上肢の血圧の比であり、正常では下肢が下にあるぶんやや下肢の方が血圧が高い(ABI > 1)。ASO患者では、しばしばこの比が1未満、場合によっては0.5未満にまで低下する。
- 動脈造影では動脈の狭窄像や側副血行路の発達がみられる。
危険因子と予防
- 喫煙
- 高脂血症
- 性別(男性であること)
- 高血圧
- 糖尿病等との合併
- 肥満(まれに、女性では皮下脂肪型肥満の方がなりやすい。)
などがリスクファクターであり、生活習慣病のひとつと考えられている。
治療
病期の進行に応じて、軽症では内服による治療が第一選択として考慮される。抗血小板剤、魚油やプロスタサイクリンがある。プロスタグランジンE1製剤や抗トロンビン剤の点滴が次に試みられる。Fontaine 2度以上では、外科的手術による血管バイパスや、バルーン拡張やステント留置による血管内治療が考慮される。下肢の壊死が重症である場合は、下肢の切断となることもあるが、合併症がない例でここまで至ることは稀である。
- 内服処方例(保険適応のあるもの)
- プラビックス®75mg 1錠 1x朝食後
- アンプラーグ®100mg 3錠 3x朝昼夕食後
- プレタール®100mg 2錠 2x朝夕食後
- エパデール®S900 2包 2x朝夕食後
- ドルナー®20μg 6錠 3x毎食後
- 注射処方例
- プロスタンディン®20μg 2~3A + 生食500mL div
- リプル®10μg 1A iv
生活指導も重要であり、特に、禁煙の必要性が非常に高い。
- 実験的治療:血管新生を促進するために、造血幹細胞移植が試みられている。骨髄細胞、末梢幹細胞 (PBSCT, peripheral blood stem cell transplantaion) を患部に数十カ所にわけ注入する。CD34陽性細胞を特に純化させている施設もある。また血管新生を促すホルモンを産生させる遺伝子(HGF, VEGF)を筋肉注射して血管の誘導をはかる治験も行われている。
骨髄細胞移植、末梢血幹細胞移植、末梢血単核球移植については、厚生労働省が規定する先進医療として認められており、一部医療機関で保険診療との併用が認められている。
鑑別
- 間歇性跛行(間欠跛行)を呈する疾患としては、腰部脊柱管狭窄症があり、鑑別のために画像検査などが追加されることがある。
- 下肢の慢性動脈閉塞をきたす疾患としては、バージャー病があり、病歴や血管造影検査の結果などから鑑別する必要がある。
- 下肢の急性動脈閉塞症は、血栓や塞栓によって下肢の大血管が突然完全閉塞することにより、激痛が生じ、急速に壊死に陥る。
予後
ASO自体の予後は良好。手術療法などにより治療可能であり直接の死因とはなりづらい。しかし患者は全身の動脈硬化をきたしていることが多く、10年程度で何らかの合併症により過半数が死亡するという報告もある。
関連項目
- 動脈硬化症
- 血管内治療
- メタボリックシンドローム
- 義足
- 車椅子
外部リンク
- 財団法人 先端医療振興財団 下肢血管再生治療の治験参加募集
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病態・症候 |
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左心不全 | 右心不全 | 両心不全
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血圧異常
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所見・検査 |
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治療 |
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外科的治療
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冠動脈バイパス術(CABG)
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CABG | off-pump CAB(en) | MIDCAB(en) | TECAB(en)
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弁膜症手術
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弁置換術(en) | 弁形成術(en) | 弁輪形成術 | 交連切開術(en)
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大動脈手術
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大動脈人工血管置換術 | 大動脈基部置換術 (Bentall, David) | ステントグラフト内挿術(en)
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小児心臓外科
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動脈管結紮術 | BTシャント | 肺動脈絞扼術 | ノーウッド手術 | グレン手術 | フォンタン手術 | ロス手術
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心不全外科
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心移植術 | 補助人工心臓装着術
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不整脈外科
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メイズ手術(en) | ペースメーカー | 植え込み型除細動器
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末梢血管手術
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末梢動脈血行再建術 | 末梢静脈血行再建術 | 静脈抜去術(en) | 静脈血栓摘除術(en) | 内シャント作成術 | 肢切断
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内科的治療
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循環作動薬
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抗不整脈薬
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Ia群: プロカインアミド, キニジン
Ib群: リドカイン, フェニトイン
Ic群: フレカイニド(en), プロパフェノン(en)
II群: 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)
III群: アミオダロン, ソタロール(en)
IV群: カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
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心不全治療薬(en)
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利尿薬 | 血管拡張薬 | 強心配糖体 | 強心剤 | PDEⅢ阻害薬
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狭心症治療薬
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交感神経β受容体遮断薬 | 硝酸薬
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高血圧治療薬
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利尿薬 | 交感神経β受容体遮断薬 | レニン-アンジオテンシン系 (ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬(en)) | カルシウム拮抗剤 | アドレナリン作動薬 | 脂質降下薬
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血管内治療
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経皮的冠動脈形成術
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循環器系の正常構造・生理 |
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 胸部外科の指針 CABGと上行大動脈 : 両側大腿動脈バイパス同時手術の検討
- Windowとしての末梢動脈閉塞症をみる (特集 Polyvascular diseaseのリスクと対策を探る)
- 閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患)の診断と治療 (特集 動脈硬化症--一次予防から二次予防まで) -- (動脈硬化症の治療と適応)
- 症例報告 強皮症と閉塞性動脈硬化症の合併による右足趾潰瘍の1例
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- 閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう、ASO: arteriosclerosis obliterans)は、主に下肢の、主に大血管が慢性に閉塞することによって、軽い場合には 冷感、重症の場合には下肢の壊死にまで至ることがある病気である。
- 2011年11月4日 ... 閉塞性動脈硬化症は、足の血管の動脈硬化がすすみ、血管が細くなったり、つまったり して、充分な血流が保てなくなる病気です。そのため、血液の流れが悪くなり、歩行時に 足のしびれ、痛み、冷たさを感じます。さらに進行すると、安静時にも ...
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[★]
- 82歳の男性。歩行困難を主訴に来院した。IgA腎症による慢性腎不全で14年前から1回4時間、週3回の血液透析を受けている。2年前から歩行速度が低下し、最近は横断歩道を渡りきれないことがある。階段昇降も両手で手すりにつかまらないと困難で、通院以外の外出を控えるようになったという。体重は1年前から5kg減少し、このまま歩けなくなることを心配して受診した。身長 167cm、体重 47kg(透析直後体重 46kg)。脈拍 72/分、整。血圧 138/72mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。浮腫はない。徒手筋力テストで両下肢とも4である。その他、神経診察に異常を認めない。両足背動脈は左右差なく触知する。血液所見:赤血球 338万、Hb 11.0g/dL、Ht 33%、白血球 5,200、血小板 14万。血液生化学所見:総蛋白 6.8g/dL、アルブミン 3.6g/dL、AST 22U/L、ALT 18U/L、LD 178U/L(基準 120~245)、CK 38U/L(基準 30~140)、尿素窒素 72mg/dL、クレアチニン 7.8mg/dL、尿酸 7.4mg/dL、Na 138mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 101mEq/L、Ca 9.2mg/dL、P 5.6mg/dL。CRP 0.1mg/dL。
- 歩行困難の原因として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114C038]←[国試_114]→[114C040]
[★]
- 次の文を読み、64~66の問いに答えよ。
- 75歳の男性。歩行時に右足が痛くなるため来院した。
- 現病歴:1か月前から、200m歩くと右下肢の大腿部と腓腹部とが重い感じに痛くなった。少し休むと痛みは軽快した。
- 既往歴:高血圧で内服薬を服用中。
- 生活歴:喫煙は20本/日を50年間。
- 現症:身長170cm、体重78kg。脈拍72/分、整。血圧160/86mmHg。胸腹部に異常を認めない。右足背動脈拍動が減弱している。膝蓋腱反射とアキレス腱反射とは正常。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液生化学所見: 空腹時血糖108mg/dl、HbA1C5.0%(基準4.3~5.8)、総蛋白7.0g/dl、総コレステロール280mg/dl。
[正答]
※国試ナビ4※ [102E063]←[国試_102]→[102E065]
[★]
- 疾患と用いられる治療との組合せで誤っているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112C012]←[国試_112]→[112C014]
[★]
- たばこ煙成分とその影響の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [103A004]←[国試_103]→[103A006]
[★]
- 歩行時に増強し、立ち止まることでは軽快せず、座ることで消退する両下肢痛を認める。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106A004]←[国試_106]→[106A006]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106E002]←[国試_106]→[106E004]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [104I016]←[国試_104]→[104I018]
[★]
- 喫煙によって発症のリスクが増大しない疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107D011]←[国試_107]→[107D013]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [104E021]←[国試_104]→[104E023]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [099B044]←[国試_099]→[099B046]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [108C010]←[国試_108]→[108C012]
[★]
- 英
- hypotensor, depressor, hypotensive drugs hypotensive agent hypotensive drug
- 同
- 降圧剤、血圧降下薬、高血圧症治療薬、抗高血圧薬 antihypertensive antihypertensive drug, antihypertensive drugs
[show details]
ja
hypotensor : 約 1,170 件
depressor : 約 13,000 件
hypotensive drugs : 約 1,410 件
hypotensive agent : 約 1,320 件
hypotensive drug : 約 1,200 件
en
hypotensor : 約 12,100 件
depressor : 約 1,220,000 件
hypotensive drugs : 約 29,100 件
hypotensive agent : 約 37,600 件
hypotensive drug : 約 12,500 件
降圧薬
-
- 近位尿細管:アセタゾラミド:炭酸脱水酵素を阻害
- 太いヘンレループ上行脚:フロセミド:Na+-K+-2Cl-共輸送体(NKCC)を阻害
- 遠位尿細管前半部:チアジド系利尿薬:Na+とCl-の共輸送体を阻害
- 遠位尿細管後半部と集合管:
- スピラノラクトン:アルドステロン受容体に競合的に結合
- トリアムチレン:Na+流入を抑制
-
-
-
- カルベジロール(α1遮断により末梢血管を拡張。β遮断により陽性変力作用を抑制)
- アムスラロールなど
- 強力な降圧効果を示す
- 細胞内へのCa流入を抑制することにより血管平滑筋を弛緩させ末梢血管抵抗を下げる
- 脳、心臓、腎臓への血流を保つ
- 膜電位依存性Caチャネルに作用して血管平滑筋を弛緩させる
-
- 副作用:ジルチアゼムの副作用:洞性徐脈、洞性ブロック
- ニフェジピン: 血管への親和性が高い→抗高血圧薬として優れる
- 副作用:反射性交感神経緊張、顔面紅潮、浮腫(静脈拡張より動脈拡張の度合いが大きいため)、便秘
- 臓器障害の改善、進展予防 beyond blood pressure
- RA系の抑制
- アンジオテンシノゲン→(レニン)→アンジオテンシンI→(アンジオテンシン転換酵素)→アンジオテンシンII-(アンジオテンシン受容体遮断薬)-|アンジオテンシン受容体1
- ACE阻害薬の腎機能保護
- ACE阻害薬:輸入細動脈 拡張、輸出細動脈 拡張 → 糸球体内圧↓
- Ca拮抗薬 :輸入細動脈 拡張、輸出細動脈 なし → 糸球体内圧↑
-
- 副作用
- ACEはブラジキニンを分解するキニナーゼIIと同一の酵素である。ACE阻害薬はこの酵素を阻害するが、ブラジキニンは血管拡張、決勝滲出決勝進出、発痛作用に関わっている。このため咳を誘発することがある。
- 禁忌
- 妊婦。ブラジキニンは胎児の動脈管閉鎖に関わっている。このた、母胎にACE阻害剤を加え、ブラジキニンが増えると胎児の動脈管が閉鎖してしまう。(血管浮腫?)
- 1型アンジオテンシンII受容体拮抗薬(AT1受容体拮抗薬)
降圧薬の積極的な適応と禁忌
- 合併症を有する高齢者高血圧に対する第一選択薬と併用薬
○:第一選択 空欄:適応可 △:注意が必要 ×:禁忌
- 理由はACE参照
使用できる降圧薬
- α2作動薬
- β遮断薬
- α遮断薬
参考
- http://www.jhf.or.jp/a&s_info/guideline/kouketuatu.html
漢方薬
- 降圧目的に釣藤散が使われることが多い。補助的に防風通聖散が用いられることがある。
[★]
- 英
- acute arterial occlusion
- 同
- 急性動脈閉塞
- 関
- 動脈閉塞症
病因
- ガイドライン1改変
臨床的分類
|
予後
|
臨書所見
|
ドプラ聴診器所見
|
|
知覚消失
|
筋力低下
|
動脈
|
静脈
|
I
|
viable (下肢循環が維持されている状態)
|
ただちに下肢生命が脅かされることはない
|
|
なし
|
聞こえる
|
聞こえる
|
IIa
|
threatened viability (下肢生命が脅かされる状態)/marginally(境界型)
|
早急な治療により救肢が可能
|
軽度(足趾)/なし
|
なし
|
(しばしば) 聞き取れない
|
聞き取れる
|
IIb
|
threatened viability (下肢生命が脅かされる状態)/immediately(緊急型)
|
ただちに血行再建することにより救肢が可能
|
足趾以外にも 安静時痛を伴う
|
軽度~中等度
|
聞き取れない
|
聞き取れる
|
III
|
irreversible (不可逆的な状態)
|
組織大量喪失または、恒久的な神経障害が避けられない
|
重度 知覚消失
|
重度 麻痺(筋硬直)
|
聞き取れない
|
聞き取れない
|
治療
- ガイドライン1 SSUR.421 YN.C-152
- 急性動脈閉塞症の診断がつけばすぐに血栓形成の進展、およびこれによる再閉塞を予防するためにヘパリンを投与。
- 急性下肢虚血の臨床的分類(TASC区分?)I, IIaでは経カテーテル直接血栓溶解療法(catheter directed thrombolysis, CDT)を考慮
- TASC区分IIbでは外科的血行再建の適応(フォガティカテーテルによる血栓除去など)
- TASC区分IIIやTASC区分IIb以上で血栓塞栓除去術が奏効しない例において、肢切断が行われる。
合併症
予後
- ガイドライン1
- 動脈閉塞から6時間以内であれば高率に救肢可能であり、血栓塞栓除去術の良い適応。
- 24時間を経過すると約20%の症例で肢切断を要する。
- 死亡率は15-20%
ガイドライン
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_shigematsu_h.pdf
- 2. INTER-SOCIETY CONSENSUS FOR THE MANAGEMENT OF PERIPHERAL ARTERIAL DISEASE (TASC II)
- http://www.tasc-2-pad.org/upload/SSRubriqueProduit/Fichier2/597.pdf
[★]
トコフェロール、ビタミンA
適応
副作用
消化器
- 0.1~5%未満 食欲不振、胃部不快感、胃痛、悪心、下痢、便秘
過敏症
肝臓
- 0.1%未満 肝機能障害 (AST (GOT)、ALT (GPT) の上昇等)
その他
- 0.1%未満 温感、潮紅
- 頻度不明 顔面浮腫、浮腫
臨床効果
- 高血圧症:しびれ感、めまい感、首筋や肩のこり、頭痛、不眠、耳鳴、息切れ、抑鬱、四肢冷感などの随伴症状を改善
- 脂質異常症:T-CHO低下、HDL-C上昇
- 末梢循環障害:閉塞性動脈硬化症などの末梢循環障害に対して有用性
薬効薬理
- (1) 加齢ラットやコレステロール負荷ラットの実験でコレステロールの代謝回転を高めることにより、血中総コレステロール値を低下させる。これは本薬がコレステロールの異化・排泄を高めるためと考えられる。さらに過酸化脂質、中性脂肪も低下させる。
- (2) ヒトの血中総コレステロールを低下させ、リポ蛋白代謝において血中HDL‐コレステロールを上昇させる。
- (1) 本薬の微小循環系賦活作用は、神経系を介さず、血管平滑筋に直接作用し、血管運動性を維持しながら耳殼血流を増加させることが無麻酔ウサギの実験で認められている。
- (2) ヒトの末梢循環不全に対する改善作用は、ビタミンEとニコチン酸との併用よりも明らかに優れている。
- 3. 血管強化作用 ヒトの毛細血管の透過性亢進を改善し、紫斑数を減少させることが認められている。
- 4. 血小板凝集抑制作用
- (1) ヒトの凝集能が亢進している血小板に対するアドレナリン凝集、アラキドン酸凝集、コラーゲン凝集、ADP凝集のいずれにおいても血小板凝集抑制が認められている。
- (2) ヒトの多血小板血漿に対するアラキドン酸凝集、コラーゲン凝集において血小板凝集抑制作用をトコフェロールニコチン酸エステル、トコフェロール酢酸エステル、トコフェロールで比較した結果、トコフェロールニコチン酸エステルが強力な抑制効果を示した。
- 5. 血中酸素分圧上昇作用 ヒトにおいて低下した血中酸素分圧を上昇させることが認められている。
[★]
- 英
- β-blocker, beta-blocker, beta-antagonist, β-adrenoceptor blocking agent, β-adrenergic blocking agent, beta-adrenergic blocking agent, beta-adrenergic blocker, beta-adrenergic antagonist, beta-adrenergic receptor antagonist, β adrenergic receptor blocker, β adrenergic receptor antagonists
- 同
- β遮断薬、β阻害薬、βアドレナリン遮断薬、βアドレナリン拮抗薬、アドレナリンβ受容体拮抗薬、βブロッカー、βアドレナリン受容体遮断薬
- 関
- アドレナリン受容体
β受容体遮断薬
適応
禁忌および慎重投与
YN.C-57
- 平滑筋拡張が求められる病態、酸素供給を減らせない病態では使ってはいけないということ?
注意
- 突然休薬すると離脱症候群として、狭心症や高血圧発作が生じることがある(高血圧治療ガイドライン2009)。
- β2受容体遮断作用のある薬剤では、β2受容体を介した膵臓のインスリン分泌促進作用がブロックされる(アドレナリン受容体#アドレナリン受容体)ので、糖尿病患者に投与する場合には注意が必要、らしい。
各論
慢性心不全
[★]
- intermittent claudication
- 英
- intermittent claudication
- 同
- 間欠跛行, 間欠性跛行症
- 血管硬化性間欠性歩行困難症 arteriosclerotic intermittent claudication
- 関
- 歩行
[show details]
定義
- ある一定の距離を歩くと歩行困難となり、休息により回復するが、再び歩き続けると同様の現象が生じ歩行持続困難となるというエピソードを繰り返すもの。
- ある距離を歩くと下肢の筋組織に生じる痛みのために、歩行をつづけることができなくなり、しばらく休息すると疼痛が消失して歩行可能となるが、また歩行すると同様の症状が出現する病態を間欠性跛行という。
分類
- 閉塞性動脈硬化症 arteriosclerosis obliterans ASO
- バージャー病 thromboangitis oblitrans TAO
- Leriche症候群
- 腰部脊柱管狭窄症:下肢の異常感覚や疼痛の拡大・増悪と筋力低下。増悪:立位、腰椎伸展位。軽快:坐位、腰椎屈曲位
- 脊髄動静脈奇形
症状
- ある一定時間歩くと両下肢の傷み、重苦しさ、しびれなどが増強する。
- 休憩することで軽快するが、歩行によりこれらの症状が再発する。
鑑別
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ASO
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L-SCS
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発生部位
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腓腹部
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大腿後面、下腿外側
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症状変動
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あまりない
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変動有り
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改善
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急速で速やかに改善 たったままで治る
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時間がかかる 座位(前屈)で軽減
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頻度
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少
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多
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- 足背動脈の拍動、腰痛合併の有無、姿勢の症状に与える影響
- SSUR.424
[★]
- 英
- arteriosclerosis (M)
- 関
- 動脈硬化
定義
病型
リスクファクター BPT.344
-
-
- 肥満
- 運動不足
- ストレス
- 閉経後エストロゲン欠乏
- 高炭水化物食
- リポ蛋白(a)
- 硬化不飽和脂肪酸の摂取
- Chlamydia pneumoniae感染
検査
粥腫のマーカー?
-動脈硬化
[★]
- 英
- occlusion
- 関
- 促通
- 詰まること、詰まっていること
- (神経)2種の異なる興奮性のシナプス前性のニューロン群が1つのニューロン群へ収束と発散によりシナプス結合する回路において、2種のシナプス前線維群内の同期して興奮するニューロンの数が多い場合には、興奮するシナプス後ニューロンの数は、個々のシナプス前線維群だけの活動による場合の和よりも少なくなる。
[★]
- 英
- consolidation、stiffening、curing、hardening、induration、sclerosis、harden、indurated
- 関
- 加硫、強化、硬化症、固定、治療、ハードニング、圧密、硬結
- コンソリデーション
[★]
- 英
- sclerosis、scleroma
- 関
- 硬化
- 臓器や組織が硬くなること。
- 皮膚 → 皮膚硬化症(強皮症など)
- 肝臓 → 肝硬変
[★]
- 英
- obstructive、occlusive、obliterative、constrictive、obliterans、occlusively
- 関
- 狭窄、筋収縮性、収縮、収縮性