- 英
- carperitide
- 商
- ハンプ
- 関
- 心房性ナトリウム利尿ペプチド ANP
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/04/21 19:20:09」(JST)
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カルペリチド(Carperitide)、商品名ハンプ®とはヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドの薬理作用をもった心不全治療薬である。
薬理作用
腎血管の拡張により緩徐な利尿作用による前負荷の軽減のほか、血管拡張による後負荷の軽減および心筋細胞のアポトーシス、ネクローシスを防止する心筋保護の作用をもつ。利尿薬と血管拡張薬を合わせたような作用となるが、電解質代謝異常、不整脈の発生といった副作用が極めて少なく急性心不全の治療薬として非常に好まれる。副作用としては血圧の低下と徐脈があるため、低血圧、右室梗塞、脱水の状態では使用禁忌となる。
使い方
急性心不全を呈した患者でEFが35%以上で収縮期血圧が100mmHg以上の場合に適応がある。心係数(CI)が2.2以下の場合は強心薬や昇圧剤を併用して使用する場合が多い。ハンプ®の1アンプルには1000μg含まれている。開始量は0.05γであり、収縮期血圧をみながら増量し、0.05γずつ増量していく。維持量は0.1~0.2γであるため、体重が50Kgの場合はハンプ®3Aを5%ブドウ糖液50mLに溶解すると、0.06mg/mLとなるため2.5mL/hrにて開始量0.05γとなる。
γとは、臨床医学において、微小な薬剤の量を表すのに慣用される単位。1ガンマ(γ)は体重(kg)あたり時間(min)あたりの薬剤量(μg)。日本でしか通用しない麻酔科関係慣用単位。麻酔、集中治療関係以外の分野や外国では、通用しないので注意が必要。
参考文献
- 循環器内科ゴールデンハンドブック ISBN 9784524243860
- 循環器治療薬ファイル ISBN 4895922952
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- ミルリノンとカルペリチドの低用量併用療法を実施した重症心不全の犬5例
- 有田 申二,有田 昇,日笠 喜朗
- 日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association 64(9), 728-732, 2011-09-20
- NAID 10029702284
- 循環器疾患 急性心不全 (特集 救急薬剤プラクティカルガイド) -- (疾患別救急薬剤ベストプラクティス)
Related Links
- 総称名 ハンプ 一般名 カルペリチド(遺伝子組換え) 欧文一般名 Carperitide(Genetical Recombination) 製剤名 注射用カルペリチド ... 販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分 ハンプ注射用1000 HANP FOR INJECTION 第一 ...
- カルペリチドとは?goo Wikipedia (ウィキペディア) 。出典:Wikipedia(ウィキペディア)フリー百科事典。 カルペリチドとは - goo Wikipedia (ウィキペディア) gooトップ サイトマップ スタートページに設定 RSS ヘルプ メニューへスキップ 本文 ...
- カルペリチド(遺伝子組換え)注射用 薬価 2017.00 規格 1,000μg 1瓶 区分 (劇) 製造メーカー 第一三共 販売メーカー 第一三共 薬効 2.個々の器官系用医薬品 21.循環器官用薬 217.血管拡張剤 2179.その他の血管拡張剤 ・ 用量 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ハンプ注射用1000
組成
有効成分
添加物
- D-マンニトール 375mg、
グリシン 50mg、
pH調節剤
禁忌
- 重篤な低血圧、又は心原性ショックのある患者[本剤は降圧作用を有するため、その病態を悪化させる可能性がある。]
- 右室梗塞のある患者[一般的に、右室梗塞のある患者に対して血管拡張薬や利尿薬を用いると、静脈還流が減少し、低心拍出状態を増悪させるといわれている。]
- 脱水症状の患者[本剤は利尿作用を有するので、循環血漿量の減少している患者に投与した場合、その病態を更に悪化させる可能性がある。]
効能または効果
- 急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)
- 本剤は日本薬局方注射用水10mLに溶解し、必要に応じて日本薬局方生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で希釈し、カルペリチドとして1分間あたり0.1μg/kgを持続静脈内投与する。なお、投与量は血行動態をモニターしながら適宜調節するが、患者の病態に応じて1分間あたり0.2μg/kgまで増量できる。
慎重投与
[上記の患者に本剤を投与すると過剰の前負荷軽減、利尿効果が強く発現し、過度の血圧低下が起こる可能性が高い。]
- 右房圧が正常域にある患者(例えば5mmHg以下の患者:過度の血圧低下が発現する可能性がある)
[上記の患者に本剤を投与すると過剰の前負荷軽減、利尿効果が強く発現し、過度の血圧低下が起こる可能性が高い。]
- 利尿剤が投与されている患者[過剰の利尿により電解質異常、心室性不整脈(心室頻拍、心室細動等)、赤血球増加、血小板増加が認められることがある。]
[上記の患者に本剤を投与すると過剰の前負荷軽減、利尿効果が強く発現し、過度の血圧低下が起こる可能性が高い。]
[上記の患者に本剤を投与すると過剰の前負荷軽減、利尿効果が強く発現し、過度の血圧低下が起こる可能性が高い。]
- ネフローゼ症候群の患者[本邦で実施された臨床試験において尿蛋白が増加した例が認められた。]
- ヘマトクリット値が著しく高い患者[ヘマトクリット値が上昇した例が報告されている1)。]
- 重篤な肝障害、腎障害を有する患者[肝障害、腎障害を有する患者に対する使用経験が少ない。なお、重症の腎障害患者では、血漿中濃度が健康人の2倍程度に上昇し、血漿中からの消失半減期はほぼ同様の値を示したという報告がある2)。]
- PDE5阻害薬(シルデナフィルクエン酸塩等)を投与中の患者[過度の血圧低下を来すおそれがある。]
重大な副作用
- 血圧低下(8.6%)、低血圧性ショック(0.2%)、徐脈(0.2%)等があらわれることがある。
予防及び処置方法:本剤投与にあたっては観察を十分行い、上記のような症状があらわれた場合は減量又は中止等、また、血圧等の回復が不十分な場合あるいは徐脈を伴う場合には、輸液、アトロピン硫酸塩水和物の静注等の適切な処置を行うこと。
- 過剰利尿(脱水)により、電解質異常(1.8%)、心室性不整脈(心室頻拍(0.2%)、心室細動(0.1%)等)、赤血球増加(0.1%)、血小板増加(0.1%)が認められることがあるので、このような症状が認められた場合は、減量又は中止等、適切な処置を行うこと。
- 重篤な肝機能障害(頻度不明注1))が認められることがあるので、このような症状が認められた場合は、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 重篤な血小板減少(0.1%)が認められることがあるので、このような症状が認められた場合は、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
血管に対する作用13,14)
- イヌの摘出動・静脈血管条片を濃度依存的に弛緩させ、その作用は動・静脈ともに肺血管で強くみられた。
腎臓に対する作用15)
- イヌにおいて腎血流量、糸球体濾過率を増加させることにより、尿量及び尿中ナトリウム排泄を増加させた。
内分泌系に対する作用13)
- ラット腎臓スライス標本においてイソプロテレノールによるレニンの分泌亢進を抑制する傾向がみられた。
- ウシ副腎皮質球状層遊離細胞標本においてアンジオテンシンIIによるアルドステロンの分泌亢進を抑制した。
実験的心不全に対する作用16)
- 冠状動脈結紮、容量負荷、プロプラノロール塩酸塩及びメトキサミン塩酸塩で作製した低拍出量型急性心不全モデルイヌにおいて、平均肺動脈圧及び全身血管抵抗を低下させ、心拍出量を増加させることにより、急性心不全時の血行動態を改善した。
作用機序
- α型ヒト心房性ナトリウム利尿ポリペプチドの受容体に結合し、膜結合型グアニル酸シクラーゼを活性化させることにより細胞内のcGMPを増加させ、血管拡張作用、利尿作用等を発現すると考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
Carperitide(genetical recombination)
分子式
分子量
性状
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- chronic heart failure CHF, chronic cardiac failure
- 関
- 心不全
薬物療法
- 以下、左室収縮能不全に対する治療のみ採り上げる
- 左室収縮能不全の原因は非虚血性の拡張型心筋症と虚血性心筋症に大別できる。これらの疾患においては交感神経系とRAA系が賦活化され、進行性の左室拡大と収縮性の低下、すなわちリモデリングが生じ病態の悪化に繋がっていると考えられている。治療の焦点は神経内分泌系の抑制、心不全に伴う症状の緩和である。
- (PHD.244)慢性心不全の治療のゴールは5つある:(1)病因の同定、(2)増悪因子の除去、(3)心不全症状の管理(前方障害、後方障害の軽減)、(4)神経ホルモン系の調節、(5)長期予後の改善
治療に用いられる薬物
- 参考(1))
- 配糖強心薬(ジギタリス)
- 利尿薬:静脈還流量の減少 → 前負荷の軽減 → 左室拡張終期圧低下 → 肺うっ血の改善 → 低血圧誘発がありうる
- 血管拡張薬(vasodilator)
- venous dilator(ex.硝酸薬):静脈のcapacitanceを増加させる。利尿薬と同じ薬理作用。
- arteriolar dilator(ex.ヒドララジン):後負荷を低下させSVを上昇させる。血圧は下がりそうだが、SVが上昇する結果、血圧は軽度低下あるいは保たれる(PHD.246)
- "balanced vasodilator:「アンジオテンシン転換酵素阻害薬」心不全で起こる血管収縮、体液貯留(volume retension)、心室モデリングを防ぎ、回復(reverse)させうる?CHF患者の生命予後改善効果がある(PHD.245,246)。ACE阻害薬は循環血液中のブラジキニンを増加させる。ブラジキニンは心不全の患者において血管拡張という重要な働きをしている(PHD.247)。「アンジオテンシンII受容体拮抗薬」はACE阻害薬とほぼ同等であり、ACE阻害薬による副作用が問題となる場合に用いる。(PHD.247)。これらの薬剤は腎不全と高カリウム血症が存在する場合には適さない。「nesiritide」human recombinant B-type natriuretic peptide。静注薬。速効で強力な血管拡張、心拍出量増加、RAA系の抑制、利尿作用(PHD.247)
カルシウム拮抗薬:長期に用いると心不全を悪化させる危険があり推奨されない。
- β遮断薬
- 抗アルドステロン薬
- アミオダロン
- 末梢血管拡張薬
- 経口強心薬
- ナトリウム利尿ペプチド:ANP製剤(カルペリチド) → 静注薬しかないので急性心不全の時に用いる。
治療に用いられる薬物名
参考
- 1. 慢性心不全治療ガイドライン(2010年改訂版)
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_matsuzaki_h.pdf
- http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0049/1/0049_G0000132_0127.html
国試
[★]
- 英
- acute heart failure
- 関
- 心不全、慢性心不全
概念
治療
薬物療法
- モルヒネ:鎮静・除痛
- フロセミド:前負荷軽減、フォレスター分類II,IV
- ジゴキシン:配糖強心薬、フォレスター分類IV
- ドパミン:強心薬、フォレスター分類IV
- ドブタミン:強心薬、フォレスター分類IV
- ノルエピネフリン:強心薬、フォレスター分類IV
- ミルリノン:強心薬。ホスホジエステラーゼIII阻害薬。強心作用と血管拡張作用。フォレスター分類IV。
- オルプリノン:強心薬。ホスホジエステラーゼIII阻害薬。強心作用と血管拡張作用。フォレスター分類IV。
- コルホルシンダロパート:強心薬。アデニル酸シクラーゼ亢進作用。強心作用と血管拡張作用。フォレスター分類IV。
- ニトログリセリン:血管拡張薬。前負荷軽減。静脈系血管拡張。フォレスター分類II
- 硝酸イソソルビド:血管拡張薬。前負荷軽減。静脈系血管拡張。フォレスター分類II
- ニトロプルシド:血管拡張薬。前負荷軽減。静脈系血管拡張。フォレスター分類II
- カルペリチド:。心房性ナトリウム利尿ペプチド。前負荷、後負荷軽減。 禁忌:重篤な低血圧、心原性ショック、急性右室梗塞症例、脱水症
使い分け
- 肺うっ血:カルペリチド、フロセミド
- 難治性心不全:カルペリチド+カテコラミン
- 肺うっ血+収縮期血圧90 mmHg以上:PDE阻害薬、アデニル酸シクラーゼ賦活薬。血圧下がればドブタミン、ドパミン。血圧安定後、肺うっ血あればニトログリセリン。尿量少なければ利尿薬。
- 肺うっ血+収縮期血圧90 mmHg未満:ドパミン、ノルエピネフリン。駄目ならIABP,PCPS
- 肺うっ血+収縮期血圧70 mmHg未満:ドパミン+ノルエピネフリン。ドブタミン+ノルエピネフリン。駄目ならIABP,PCPS
治療目標
- 呼吸困難の軽減
- 状態の改善
- 心拍数の減少
- 尿量>0.5ml/Kg/min
- 収縮機血圧の維持と改善
- 適正な灌流に回復
参考
- 1. 急性心不全治療ガイドライン(2006年改訂版)
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2006_maruyama_h.pdf
[★]
- 英
- atrial natriuretic peptide, ANP (SP)
- 同
- 心房性Na利尿ペプチド、心房性利尿ペプチド、心房性ナトリウム利尿因子 atrial natriuretic factor ANF、心房性ナトリウム利尿ホルモン atrial natriuretic hormone ANH
- 関
- カルペリチド、ナトリウム利尿ペプチド
[show details]
ヒト心房性ナトリウム利尿ポリペプチド : 66 件
ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド : 約 58,100 件
心房性ナトリウム利尿ポリペプチド : 71 件
心房性ナトリウム利尿ペプチド : 約 25,900 件
分類
性状
産生組織
標的組織
受容体
作用
- GFRの増加、腎髄質血流の増加、尿細管のNa輸送の抑制
分泌の調整
分子機構
- 受容体に結合した後、膜結合型のグアニル酸シクラーゼを活性化し、cGMPがセカンドメッセンジャーとして機能
臨床関連
[★]
- 英
- hump