- 英
- enalapril
- 化
- マレイン酸エナラプリル enalapril maleate エナラプリルマレイン酸塩
- 商
- エナラート、エナリン、カルネート、ザクール、シンベノン、スパシオール、セリース、ファルプリル、ラリルドン、レニベース、レニベーゼ、レニメック、レノペント、レビンベース、レリート、Vasotec
- 血圧降下剤
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エナラプリル
|
|
IUPAC命名法による物質名 |
(2S)-1-[(2S)-2-{[(2S)-1-ethoxy-1-oxo-4-phenylbutan-2-yl]amino}propanoyl]pyrrolidine-2-carboxylic acid
(Diagrams above are enalapril and enalaprilat, respectively. Data below refers to enalapril unless indicated) |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
C,D |
法的規制 |
処方箋医薬品 |
投与方法 |
経静脈、経口 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
60% (経口) |
代謝 |
肝代謝 (エナラプリラート) |
半減期 |
11時間 (エナラプリラート) |
排泄 |
尿中 |
識別 |
CAS登録番号 |
75847-73-3 |
ATCコード |
C09AA02 |
PubChem |
CID 5388962 |
DrugBank |
APRD00510 |
ChemSpider |
4534998 |
UNII |
69PN84IO1A?[[[en:Wikipedia:WikiProject Chemicals/Chembox validation|]]] |
KEGG |
D07892 |
化学的データ |
化学式 |
C20H28N2O5 |
分子量 |
376.447 g/mol |
SMILES
- O=C(O)[C@H]2N(C(=O)[C@@H](N[C@H](C(=O)OCC)CCc1ccccc1)C)CCC2
|
エナラプリル (enalapril) とはアンジオテンシン変換酵素阻害薬の1つ。アンジオテンシン変換酵素 (ACE) を抑制することにより血圧を低下させる。アルドステロン分泌の抑制による利尿作用を有する。高血圧、うっ血性心不全の治療に使用される。副作用として肺のブラジキニン増加による空咳が生じる。
製剤[編集]
エナラプリルは、マレイン酸塩として製剤化されている。剤形は錠剤で経口により投与する。投与量は成人に対して5mg/日から10mg/日の間が標準だが、当初は2.5mg/日とする場合もある。血中濃度が最高になるのは服用後3時間から4時間で、半減期は13時間(ただし±1時間程度の個人差はしばしば見られる)程度。
重大な副作用としては、気道に浮腫が発生し呼吸困難になること、肝臓や腎臓の機能障害、まれに高カリウム血症が発生し心臓などの機能が障害されることが挙げられる。その他の副作用として血管の拡張が原因のめまいや頭痛が起こることもある。またこれはどの薬剤に対しても起こりえることでマレイン酸エナラプリルに限ったことではないが、やはり本剤に対してもアレルギー反応が起こって発疹などが出ることもありえる。なお本剤は母乳に移行することが知られている。
参考文献[編集]
- 伊藤勝昭ほか編集 『新獣医薬理学 第二版』 近代出版 2004年 ISBN 4874021018
関連項目[編集]
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Japanese Journal
- 症例 アンギオテンシン転換酵素阻害薬(マレイン酸エナラプリル)が原因と考えられた血管性浮腫の1例
- 長島 真由美,藤村 奈緒,松山 阿美子 [他]
- 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会雑誌 4(4), 220-224, 2010-10
- NAID 40017398647
- 症例 マレイン酸エナラプリル(アンギオテンシン変換酵素阻害薬)内服により発作が誘発された血管性浮腫の1例
Related Links
- エナラプリル (enalapril) とはアンジオテンシン変換酵素阻害薬の1つ。 アンジオテンシン変換酵素 (ACE) を抑制することにより血圧を低下させる。 アルドステロン分泌の抑制による利尿作用を有する。高血圧、うっ血性心不全の治療に 使用される。 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
レニベース錠2.5
組成
有効成分の名称
含量
添加物
- 乳糖水和物、トウモロコシデンプン、アルファー化デンプン、炭酸水素ナトリウム、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、ステアリン酸マグネシウム
効能または効果
- 本態性高血圧症、腎性高血圧症、腎血管性高血圧症、悪性高血圧
- 下記の状態で、ジギタリス製剤、利尿剤等の基礎治療剤を投与しても十分な効果が認められない場合
慢性心不全 (軽症?中等症)
高血圧症:
- 通常、成人に対しエナラプリルマレイン酸塩として5?10mgを1日1回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
但し、腎性・腎血管性高血圧症又は悪性高血圧の患者では2.5mgから投与を開始することが望ましい。
慢性心不全 (軽症?中等症):
通常、成人に対しエナラプリルマレイン酸塩として5?10mgを1日1回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
但し、腎障害を伴う患者又は利尿剤投与中の患者では2.5mg (初回量) から投与を開始することが望ましい。
- 重篤な腎機能障害のある患者〔本剤の活性代謝物の血中濃度が上昇し、過度の血圧低下、腎機能の悪化が起きるおそれがあるので、クレアチニンクリアランスが30mL/分以下、又は血清クレアチニンが3mg/dL以上の場合には、投与量を減らすか、もしくは投与間隔をのばすなど慎重に投与すること。〕
慎重投与
- 両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者〔「重要な基本的注意」の項参照〕
- 高カリウム血症の患者〔「重要な基本的注意」の項参照〕
- 重篤な腎機能障害のある患者〔〈用法・用量に関連する使用上の注意〉の項参照〕
- 脳血管障害のある患者〔過度の降圧が脳血流不全を惹起し、病態を悪化させることがある。〕
- 高齢者〔「高齢者への投与」の項参照〕
重大な副作用
血管浮腫
(頻度不明)
- 呼吸困難を伴う顔面、舌、声門、喉頭の腫脹を症状とする血管浮腫があらわれることがあるので、このような場合には直ちに投与を中止し、アドレナリン注射、気道確保等適切な処置を行うこと。また、腹痛、嘔気、嘔吐、下痢等を伴う腸管の血管浮腫があらわれることがあるので、このような場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
ショック
(頻度不明)
- ショックがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。
心筋梗塞、狭心症
(いずれも頻度不明)
- 心筋梗塞、狭心症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。
急性腎不全
(0.1%未満)
- 定期的に検査を実施するなど、観察を十分に行うこと。
汎血球減少症、無顆粒球症 (いずれも頻度不明)、血小板減少 (0.1%未満)
- 重篤な血液障害があらわれることがあるので、定期的に検査を実施するなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。
膵炎
(頻度不明)
- 血中のアミラーゼ、リパーゼの上昇等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。
間質性肺炎
(頻度不明)
- 発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、本剤の投与を直ちに中止し適切な処置を行うこと。
剥脱性皮膚炎、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、天疱瘡
(いずれも頻度不明)
- 剥脱性皮膚炎、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、天疱瘡があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。
錯乱
(頻度不明)
- 錯乱があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。
肝機能障害、肝不全
(いずれも頻度不明)
- 肝機能障害、肝不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。
高カリウム血症
(0.22%)
- 重篤な高カリウム血症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群 (SIADH)
(頻度不明)
- 低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群 (SIADH) があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
薬効薬理
高血圧に対する作用
- エナラプリルマレイン酸塩は経口吸収後ジアシド体に加水分解され、このジアシド体がアンジオテンシン変換酵素を阻害し、生理的昇圧物質であるアンジオテンシンIIの生成を抑制することによって降圧効果を発揮する。
アンジオテンシン変換酵素阻害作用
- in vitro 試験においてエナラプリルマレイン酸塩のジアシド体はブタの血漿から精製したアンジオテンシン変換酵素、正常血圧ラットの血漿及び組織中のアンジオテンシン変換酵素に対して強い阻害作用を示す。また、ラット及びイヌにエナラプリルマレイン酸塩を経口投与すると外因性のアンジオテンシンIに対する昇圧反応を抑制する。
降圧作用
- エナラプリルマレイン酸塩は高血圧自然発症ラット、1腎型腎性高血圧ラット、2腎型腎性高血圧ラットの血圧を下降させ、その作用はカプトプリルの約3?5倍強い。なお、その降圧効果は2腎型腎性高血圧ラットにおいて特に著明である。6) また、ヒドロクロロチアジド、メチルドパ、ヒドララジンとの併用により降圧効果の増強を示す。
- エナラプリルマレイン酸塩を2腎型腎性高血圧ラット、高血圧自然発症ラットに連続経口投与すると投与期間中安定した降圧効果が得られ、また、投与中止に伴う血圧のリバウンド現象は生じない。6)、7)
- イヌを用いた試験で、エナラプリルマレイン酸塩は血圧下降と共に全末梢血管抵抗の低下、心拍出量のわずかな増加をもたらすが、心拍数には変化がみられない。また、臓器血流を減少させることなく、逆に腎血流量を増加させる。
慢性心不全に対する作用
- エナラプリルマレイン酸塩の活性体であるジアシド体が、亢進したレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を抑制することによって、主に末梢血管抵抗を減少させ、前負荷及び後負荷を軽減する。その結果、血行動態が改善され、心拍出量の増大あるいは長期投与による延命効果、心肥大の改善が認められる。
血行動態に及ぼす影響
- ラットの慢性心不全モデルにおいて、ジアシド体は心拍数、心収縮性にはほとんど影響を与えることなく、前負荷 (左室拡張末期圧) 及び後負荷 (平均動脈圧) を軽減させ、心機能を改善する。8)
- イヌの慢性心不全モデルにおいて、エナラプリルマレイン酸塩は心拍数にはほとんど影響を与えることなく、末梢血管抵抗を減少させ、心拍出量を増大させる。9)
なお、イヌの急性心不全モデルにおいて、ジアシド体は、上昇した血漿アンジオテンシンII及びアルドステロン濃度を抑制することによって、前負荷 (肺動脈楔入圧) 及び後負荷 (平均動脈圧) を軽減し、心拍出量を増大させることが認められる。10)
延命効果
- ラットの慢性心不全モデルにおいて、エナラプリルマレイン酸塩を1年間経口投与した結果、対照群に比べ生存期間ないし生存率が有意に増加し、さらに心肥大が改善する。11)、12)
有効成分に関する理化学的知見
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- angiotensin receptor blocker, ARB, angiotensin II type 1 receptor blocker
- 同
- アンジオテンシン受容体拮抗薬
- 関
- 降圧薬
概念
- PHD.408
- アンジオテンシンIIの受容体はAT1とAT2がある。アンジオテンシンIIの生理作用としては血管収縮、アルドステロンの分泌、腎臓におけるNa+再吸収促進、交感神経系の刺激などがある。これらの作用はAT1受容体を介している(AT2受容体は胎児期の発生の際には豊富にあり、成人の一部臓器にも分布しているが、生理機能は不明)。アンジオテンシンII受容体拮抗薬はこのAT1受容体に競合的に結合して降圧をはかる薬剤である。血液中のアンジオテンシンIは循環血液中のACE以外の酵素によってアンジオテンシンIIに転換されうるので、アンジオテンシンII受容体拮抗薬の方がアンジオテンシン転換酵素阻害薬よりRAA系をより阻害するとされている。
1型アンジオテンシンII受容体拮抗薬(AT1受容体拮抗薬)
配合錠
CaB
妊婦に禁忌である理由
- コディオ配合錠MD添付文書より引用
- アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤並びにアンジオテンシン変換酵素阻害剤で、妊娠中期~末期に投与された患者に胎児死亡、羊水過少症、胎児・新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全、羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、脳、頭蓋顔面の奇形、肺の発育形成不全等があらわれた。
比較
- http://koccr.ame-zaiku.com/dousyudoukouyaku40.htmlより改変
半減期比較
[★]
- 英
- angiotensin-converting enzyme inhibitor angiotensin converting enzyme inhibitor , ACE inhibitor, ACEI
- 同
- アンジオテンシン変換酵素阻害剤 アンギオテンシン変換酵素阻害薬 アンギオテンシン変換酵素阻害剤 アンジオテンシン転換酵素阻害薬、ACE阻害薬 ACE阻害剤 ACE inhibitor、アンギオテンシン変換酵素拮抗薬, アンギオテンシン変換酵素拮抗薬, angiotensin-converting enzyme antagonist
- 関
- アンジオテンシン, アンジオテンシン転換酵素 ACE, 1型アンジオテンシンII受容体拮抗薬 アンジオテンシンII受容体拮抗薬 ARB
アンジオテンシン変換酵素阻害薬
=粉砕可能性
一般名
|
製品名
|
規格
|
剤形
|
用法
|
粉砕
|
アラセプリル
|
セタプリル
|
12.5,25,50
|
錠
|
1日
|
25-75mg
|
1日
|
1-2回分服
|
|
イミダプリル
|
タナトリル
|
2.5,5,10
|
錠
|
1日
|
2.5-10mg
|
1日
|
1回
|
○
|
エナラプリル
|
レニベース
|
2.5,5,10
|
錠
|
1日
|
2.5-10mg
|
1日
|
1回
|
|
カプトプリル
|
カプトリル
|
12.5,25
|
錠,細粒
|
1日
|
37.5~75mg
|
1日
|
3回
|
|
キナプリル
|
コナン
|
5,10,20
|
錠
|
1日
|
5~20mg
|
1日
|
1回
|
|
シラザプリル
|
インヒベース
|
0.25,0.5,1
|
錠
|
1日
|
0.25~2mg
|
1日
|
1回
|
○
|
テモカプリル
|
エースコール
|
1,2,4
|
錠
|
1日
|
1~4mg
|
1日
|
1回
|
|
デラプリル
|
アデカット
|
7.5,15,30
|
錠
|
1日
|
15~120mg
|
1日
|
1-2回分服
|
|
トランドラプリル
|
オドリック
|
0.5,1
|
錠
|
1日
|
0.5~2mg
|
1日
|
1回
|
○
|
トランドラプリル
|
プレラン
|
0.5,1
|
錠
|
1日
|
0.5~2mg
|
1日
|
1回
|
○
|
ベナゼプリル
|
チバセン
|
2.5,5,10
|
錠
|
1日
|
2.5~10mg
|
1日
|
1回
|
|
ペリンドプリル
|
コバシル
|
2,4
|
錠
|
1日
|
2~8mg
|
1日
|
1回
|
○
|
リシノプリル
|
ロンゲス
|
5,10,20
|
錠
|
1日
|
2.5~20mg
|
1日
|
1回
|
○
|
リシノプリル
|
ゼストリル
|
5,10,20
|
錠
|
1日
|
2.5~20mg
|
1日
|
1回
|
○
|
副作用
- 咳嗽:ACEはブラジキニンを分解するキニナーゼIIと同一の酵素である。ACE阻害薬はこの酵素を阻害するが、ブラジキニンは血管拡張、血漿滲出、発痛作用に関わっている。このため咳を誘発することがある。
- 高カリウム血症:間接的に血漿中のレニン濃度が低下するためにナトリウム取り込みとカリウム排泄が低下して高カリウム血症を来す
- 低血圧
- 腎不全
空咳の頻度
禁忌
- 腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれ。アンジオテンシンIIによる輸出細動脈の収縮作用がblockされ、両腎共に腎血流が減少しているためにGFRの低下を代償できず腎機能の悪化をきたす。
参考
- http://www.naoru.com/ace.htm
- http://kanri.nkdesk.com/drags/arb.php
[★]
- 関
- 降圧薬
商品
[★]
- 英
- chronic heart failure CHF, chronic cardiac failure
- 関
- 心不全
薬物療法
- 以下、左室収縮能不全に対する治療のみ採り上げる
- 左室収縮能不全の原因は非虚血性の拡張型心筋症と虚血性心筋症に大別できる。これらの疾患においては交感神経系とRAA系が賦活化され、進行性の左室拡大と収縮性の低下、すなわちリモデリングが生じ病態の悪化に繋がっていると考えられている。治療の焦点は神経内分泌系の抑制、心不全に伴う症状の緩和である。
- (PHD.244)慢性心不全の治療のゴールは5つある:(1)病因の同定、(2)増悪因子の除去、(3)心不全症状の管理(前方障害、後方障害の軽減)、(4)神経ホルモン系の調節、(5)長期予後の改善
治療に用いられる薬物
- 参考(1))
- 配糖強心薬(ジギタリス)
- 利尿薬:静脈還流量の減少 → 前負荷の軽減 → 左室拡張終期圧低下 → 肺うっ血の改善 → 低血圧誘発がありうる
- 血管拡張薬(vasodilator)
- venous dilator(ex.硝酸薬):静脈のcapacitanceを増加させる。利尿薬と同じ薬理作用。
- arteriolar dilator(ex.ヒドララジン):後負荷を低下させSVを上昇させる。血圧は下がりそうだが、SVが上昇する結果、血圧は軽度低下あるいは保たれる(PHD.246)
- "balanced vasodilator:「アンジオテンシン転換酵素阻害薬」心不全で起こる血管収縮、体液貯留(volume retension)、心室モデリングを防ぎ、回復(reverse)させうる?CHF患者の生命予後改善効果がある(PHD.245,246)。ACE阻害薬は循環血液中のブラジキニンを増加させる。ブラジキニンは心不全の患者において血管拡張という重要な働きをしている(PHD.247)。「アンジオテンシンII受容体拮抗薬」はACE阻害薬とほぼ同等であり、ACE阻害薬による副作用が問題となる場合に用いる。(PHD.247)。これらの薬剤は腎不全と高カリウム血症が存在する場合には適さない。「nesiritide」human recombinant B-type natriuretic peptide。静注薬。速効で強力な血管拡張、心拍出量増加、RAA系の抑制、利尿作用(PHD.247)
カルシウム拮抗薬:長期に用いると心不全を悪化させる危険があり推奨されない。
- β遮断薬
- 抗アルドステロン薬
- アミオダロン
- 末梢血管拡張薬
- 経口強心薬
- ナトリウム利尿ペプチド:ANP製剤(カルペリチド) → 静注薬しかないので急性心不全の時に用いる。
治療に用いられる薬物名
参考
- 1. 慢性心不全治療ガイドライン(2010年改訂版)
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_matsuzaki_h.pdf
- http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0049/1/0049_G0000132_0127.html
国試
[★]
- 英
- serum creatinine
- 関
- クレアチニン
基準値
- ♂:0.8-1.3mg/dl(流れが分かる実践検査マニュアル上巻 p.12)。0.6-1.0mg/dl(臨床検査法提要第32版 p.1793)。0.5-0.9mg/dl(HIM A.)。
- ♀:0.6-1.1mg/dl(流れが分かる実践検査マニュアル上巻 p.12)。0.4-0.8mg/dl(臨床検査法提要第32版 p.1793)。0.6-1.2mg/dl(HIM A.)。
単位の変換
- 1 mg/dL = 10 x 10^3 ug/L = 10 ^ 4 / 113.12 μmol/L = 88.4 μmol/L
臨床関連
- 血清クレアチニン3mg/dl以上ではACE阻害薬の使用により腎機能が悪化しうる。
- →禁忌とはされていないが添付文書の「用法・用量に関連する使用上の注意」に注意事項の記載がある。
- 重篤な腎機能障害のある患者[本剤の活性代謝物の血中濃度が上昇し、過度の血圧低下、腎機能の悪化が起きるおそれがあるので、クレアチニンクリアランスが30mL/分以下、又は血清クレアチニンが3mg/dL以上の場合には、投与量を減らすか、もしくは投与間隔をのばすなど慎重に投与すること](エナラプリル)
- 急性腎不全の透析導入:血清クレアチニン 7mg/dl以上で透析導入を考慮。