Japanese Journal

皮膚の糜爛, 潰瘍に対する外用アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネート粉末剤(ISP)の臨床治療成績:—アルキサ軟膏との比較検討—

ISP臨床研究班
西日本皮膚科 44(4), 690-697, 1982
… アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネートを含有する粉末剤(ISP)の皮膚糜爛, 潰瘍に対する治療効果を検討するために同成分を主薬とするアルキサ軟膏(AL)を対照薬として, 5施設にてハーフサイドテストおよび対比較により臨床治療試験を行つた。 …
NAID 130004721017

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Japan Pharmaceutical Reference

薬効分類名

びらん・潰瘍組織修復剤

販売名

アルキサ軟膏2％

組成

成分・含量

1g中、アルクロキサ20mg(2％)含有

添加物

マクロゴール400
マクロゴール4000
白色ワセリン
プロピレングリコール

効能または効果

進行性指掌角皮症
胼胝状皸裂性湿疹
外傷・熱傷によるびらん・潰瘍

1日数回患部に適量を、塗布するか、又はガーゼにのばして貼布する。

薬効薬理

角質の水分保持作用：神経性皮膚炎患者落屑を粉砕して製したカラム(粉砕角質組織よりなるカラム)を通過するsqualeneの流速測定法、また、粉砕脱脂角質層のSH基をBennett氏試験法により測定した結果及び鱗屑性皮膚疾患から採取した試料について行った水分保持能の比較試験から、アルクロキサは、角質の水分保持能を増加させることが認められている。⁶⁾^,⁷⁾
角質溶解作用：乾癬症患者鱗屑及び正常角質層(硬結皮膚)から得た試料を用いたin vitroの実験で、アルクロキサは角質溶解作用を有することが認められている。⁸⁾
組織修復作用：ラット、モルモットを用いた実験潰瘍（ストレス潰瘍、幽門結紮潰瘍、ヒスタミン潰瘍、フェニルブタゾン潰瘍、レセルピン潰瘍）に関する薬効薬理試験からアルクロキサに組織修復作用のあることが認められている。⁹⁾^,¹⁰⁾
線維化抑制作用：ラットに石英粉末を吸入させると、肺で肺胞滲出液と大食細胞の増加、レチクリンの増加を伴う間質の変化を生じるが、これに対してアルクロキサは予防作用を示すことが認められている。¹¹⁾ また、シリカ粉末を吸入させた場合、実験動物に肺の珪粉症を発現するが、アルクロキサはこれに対しても抑制作用を有することが認められている。¹²⁾
白血球増加作用：ウサギ及びイヌにアラントインを静注、筋注、経口投与した場合、正常好中球の増加が認められている。¹³⁾

有効成分に関する理化学的知見

一般名：アルクロキサ(Alcloxa）
化学名：chlorotetrahydroxy[(2-hydroxy-5-oxo-2-imidazolin-4-yl)ureato]dialuminium
分子式：C₄H₉Al₂ClN₄O₇
分子量：314.55
性状：白色の粉末で、においはなく、味は収れん性がある。水にやや溶けにくく、エタノール(95)に極めて溶けにくく、ジエチルエーテル又はクロロホルムにほとんど溶けない。
水溶液(1→100)のpHは4.0〜5.0である。
吸湿性である。
融点：236〜244℃(分解)
構造式：