エソメプラゾール
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エソメプラゾール
|
IUPAC命名法による物質名 |
(S)-5-methoxy-2-[(4-methoxy-3,5-dimethylpyridin-2-yl)
methylsulfinyl]-3H-benzoimidazole |
臨床データ |
商品名 |
Nexium |
AHFS/Drugs.com |
monograph |
MedlinePlus |
a699054 |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
- AU: Prescription Only (S4)
- UK: POM
- US: ℞-only
- 処方せん医薬品(日本)
|
投与方法 |
経口 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
50 - 90% |
代謝 |
肝臓 (CYP2C19, CYP3A4) |
半減期 |
1–1.5 時間 |
排泄 |
80% 腎臓
20% 糞便 |
識別 |
CAS番号 |
119141-88-7 |
ATCコード |
A02BC05 |
PubChem |
CID 9579578 |
DrugBank |
APRD00363 |
ChemSpider |
7853936 |
UNII |
N3PA6559FT |
KEGG |
D07917 |
ChEBI |
CHEBI:50275 |
ChEMBL |
CHEMBL1201320 |
化学的データ |
化学式 |
C17H19N3O3S |
分子量 |
345.417 g/mol |
SMILES
- COc1ccc2nc([nH]c2c1)S(=O)Cc1ncc(C)c(OC)c1C
|
InChI
-
InChI=1S/C17H19N3O3S/c1-10-8-18-15(11(2)16(10)23-4)9-24(21)17-19-13-6-5-12(22-3)7-14(13)20-17/h5-8H,9H2,1-4H3,(H,19,20)/t24-/m1/s1
Key:SUBDBMMJDZJVOS-XMMPIXPASA-N
|
エソメプラゾール (英: esomeprazole) は、日本では4番目に開発・上市されたプロトンポンプ阻害剤である[1]。
目次
- 1 概要
- 2 薬理
- 3 適応症[4]
- 4 脚注
- 5 関連事項
概要
日本国外では Zoleri、Nexium、Lucen、Esopralなどの商品名でアストラゼネカから製造販売されている。日本では2011年よりネキシウム®の商品名で製造・開発: アストラゼネカ、流通・販売: 第一三共で上市された。
エスメプラゾールはオメプラゾール(商品名:Losec/Prilosec)のS-エナンチオマーであり、アストラゼネカは、単一のエナンチオマーであるエスメプラゾールはラセミ混合物であるオメプラゾールよりも薬効が改善していると主張している[2]。しかしながら、活性が向上しているかについては議論があり、一部ではオメプラゾールからエスメプラゾールに切り替える利点はないと主張されている[3]。
プロトンポンプ阻害剤であるエスメプラゾールは、胃壁細胞のATPアーゼを阻害することによって胃酸分泌を抑制する。
薬理
エソメプラゾールは、オメプラゾールを光学分割したS-エナンチオマーである。S体はR体に比べ、肝臓での初回通過効果を受けにくく、未変化体のAUCはオメプラゾールに比べおよそ1.7倍で推移するため、より強い酸分泌抑制効果を示す。S体とR体の酸分泌抑制作用には差はない。
適応症[4]
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍
- 逆流性食道炎
- Zollinger-Ellison症候群
- 非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
- 下記におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助(他剤との組み合わせで用いる)
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃
脚注
- ^ 北村 正樹 (2011年8月25日). “【新薬】エソメプラゾールマグネシウム水和物:ネキシウム:4成分目のプロトンポンプ阻害薬”. 日経メディカルオンライン. 2011年10月21日閲覧。
- ^ Gladwell, Malcolm (2004-10-25). "High Prices: How to think about prescription drugs". The New Yorker. Retrieved 2006-06-23.
- ^ von Markus, Grill (2007年8月14日). “Vorsicht, Pharma - Wie die Industrie Ärzte manipuliert und Patienten täuscht” (ドイツ語). Der Stern. http://www.stern.de/wirtschaft/news/unternehmen/pharmaindustrie-vorsicht-pharma-wie-die-industrie-aerzte-manipuliert-und-patienten-taeuscht-595277.html 2009年6月23日閲覧。
- ^ アストラゼネカ・第一三共 (2011年9月). “ネキシウム®カプセル10mg (PDF)”. 2011年10月20日閲覧。
関連事項
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ネキシウムカプセル10mg
組成
有効成分(1カプセル中)
- エソメプラゾール10mg(エソメプラゾールマグネシウム水和物として11.1mg)
添加物
- モノステアリン酸グリセリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウム、メタクリル酸コポリマーLD、ポリソルベート80、白糖・デンプン球状顆粒、タルク、クエン酸トリエチル
禁忌
- 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
- アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者(「相互作用」の項参照)
効能または効果
- <ネキシウムカプセル10mg>
- ○胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、Zollinger-Ellison症候群、非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
- ○下記におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃
- <ネキシウムカプセル20mg>
- ○胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群、非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
- ○下記におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃
- 非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制の場合
- 関節リウマチ、変形性関節症等における疼痛管理等のために非ステロイド性抗炎症薬を長期継続投与している患者を投与対象とし、投与開始に際しては、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往を確認すること。
- 低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制の場合
- 血栓・塞栓の形成抑制のために低用量のアスピリンを継続投与している患者を投与対象とし、投与開始に際しては、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往を確認すること。
- ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助の場合
- 進行期胃MALTリンパ腫に対するヘリコバクター・ピロリ除菌治療の有効性は確立していない。
- 特発性血小板減少性紫斑病に対しては、ガイドライン等を参照し、ヘリコバクター・ピロリ除菌治療が適切と判断される症例にのみ除菌治療を行うこと。
- 早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃以外には、ヘリコバクター・ピロリ除菌治療による胃癌の発症抑制に対する有効性は確立していない。
- <ネキシウムカプセル10mg>
- ○胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger-Ellison症候群
- 通常、成人にはエソメプラゾールとして1回20mgを1日1回経口投与する。なお、通常、胃潰瘍、吻合部潰瘍では8週間まで、十二指腸潰瘍では6週間までの投与とする。
- ○逆流性食道炎
- 通常、成人にはエソメプラゾールとして1回20mgを1日1回経口投与する。なお、通常、8週間までの投与とする。さらに再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法においては、1回10〜20mgを1日1回経口投与する。
- ○非びらん性胃食道逆流症
- 通常、成人にはエソメプラゾールとして1回10mgを1日1回経口投与する。なお、通常、4週間までの投与とする。
- ○非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
- 通常、成人にはエソメプラゾールとして1回20mgを1日1回経口投与する。
- ○低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
- 通常、成人にはエソメプラゾールとして1回20mgを1日1回経口投与する。
- ○ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
- 通常、成人にはエソメプラゾールとして1回20mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)の3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、1回400mg(力価)1日2回を上限とする。プロトンポンプインヒビター、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの3剤投与によるヘリコバクター・ピロリの除菌治療が不成功の場合は、これに代わる治療として、 通常、 成人にはエソメプラゾールとして1回20mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びメトロニダゾールとして1回250mgの3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。
- <ネキシウムカプセル20mg>
- ○胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger-Ellison症候群
- 通常、成人にはエソメプラゾールとして1回20mgを1日1回経口投与する。なお、通常、胃潰瘍、吻合部潰瘍では8週間まで、十二指腸潰瘍では6週間までの投与とする。
- ○逆流性食道炎
- 通常、成人にはエソメプラゾールとして1回20mgを1日1回経口投与する。なお、通常、8週間までの投与とする。さらに再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法においては、1回10〜20mgを1日1回経口投与する。
- ○非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
- 通常、成人にはエソメプラゾールとして1回20mgを1日1回経口投与する。
- ○低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
- 通常、成人にはエソメプラゾールとして1回20mgを1日1回経口投与する。
- ○ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
- 通常、成人にはエソメプラゾールとして1回20mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)の3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、1回400mg(力価)1日2回を上限とする。プロトンポンプインヒビター、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの3剤投与によるヘリコバクター・ピロリの除菌治療が不成功の場合は、これに代わる治療として、 通常、 成人にはエソメプラゾールとして1回20mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びメトロニダゾールとして1回250mgの3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。
慎重投与
- 薬物過敏症の既往歴のある患者
- 肝障害のある患者[本剤は肝代謝型であり、血中濃度が高くなるおそれがある。](「薬物動態」の項参照)
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重大な副作用
- ショック、アナフィラキシー様症状(いずれも頻度不明):ショック、アナフィラキシー様症状(血管浮腫、気管支痙攣等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 汎血球減少症、無顆粒球症(いずれも頻度不明)、血小板減少(1%未満):汎血球減少症、無顆粒球症、血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸、肝不全(いずれも頻度不明):劇症肝炎、肝機能障害、黄疸、肝不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明):中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 間質性腎炎(頻度不明):間質性腎炎があらわれることがあるので、腎機能検査値(BUN、クレアチニン等)に注意し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 低ナトリウム血症(頻度不明):低ナトリウム血症があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 錯乱状態(頻度不明):錯乱、激越、攻撃性、幻覚等があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
ヒトでの作用
胃内pHに及ぼす影響
- 健康成人において、エソメプラゾール10mg、20mg及び40mg投与により24時間中に胃内pHが4以上を示す時間の割合は、それぞれ48±23%、62±14%及び68±8%であった17)。
非臨床試験
プロトンポンプ阻害作用
- ウサギ胃粘膜由来のプロトンポンプ(H+, K+-ATPase)に対して阻害作用を示した18)。
胃酸分泌抑制作用
- 単離ウサギ胃底腺における胃酸産生に対して抑制作用を示した19)。胃瘻ラット及びHeidenhain Pouchイヌにおいて、刺激薬に惹起された胃酸分泌に対して抑制作用を示した20),21)。本剤の有効成分であるエソメプラゾールは、ラセミ体であるオメプラゾールの一方の光学異性体(S体)である。
作用機序
- 胃壁細胞の細胞膜上に存在する受容体へ各種酸分泌刺激物質が結合することにより、胃壁細胞内において一連の胃酸分泌反応がおきる。この反応の最終過程では、胃壁細胞内からH+を放出し、代わりにK+を取り込むプロトンポンプと呼ばれる酵素が働いている。エソメプラゾールは、このプロトンポンプの働きを阻害することによって、胃酸分泌を抑制する。
有効成分に関する理化学的知見
- 一般名:エソメプラゾールマグネシウム水和物(Esomeprazole Magnesium Hydrate)(JAN)
- 化学名:Bis{5-methoxy-2-[(S)-(4-methoxy-3,5-dimethylpyridin-2-yl)methanesulfinyl]-1H-benzimidazol-1-yl}monomagnesium trihydrate
- 構造式:
- 分子式:C34H36N6O6S2Mg・3H2O
- 分子量:767.17
- 融点 :約170℃
- 性状 :エソメプラゾールマグネシウム水和物は白色〜ごくうすい灰色又はごくうすい黄色の粉末である。
★リンクテーブル★
[★]
商品
[★]
- 英
- esomeprazole
- 化
- エソメプラゾールマグネシウム水和物 esomeprazole magnesium hydrate
- 商
- ネキシウム
- 関
- オメプラゾール、消化性潰瘍用剤
ADME
代謝
- CYP2C19及び一部CYP3A4で代謝:in vitro肝代謝試験の結果から、ヒドロキシ体、5-O-脱メチル体の生成にはCYP2C19、スルホン体の生成にはCYP3A4が関与し、これら3種の代謝物への代謝クリアランスは同程度であると報告されている(添付文書ネキシウム20mg)
=排泄
外国人のデータでは、14C標識エソメプラゾールを単回経口投与したとき、投与放射能の約95%が48時間までに尿中及び糞中に排泄され、尿中排泄量と糞便中排泄量の比は約4対1であった(添付文書ネキシウム20mg)