- 32歳の男性。四肢の脱力のため搬入された。10日前から37℃台の発熱を3日間認めその後回復した。一昨日から下肢の動きが悪くなり、昨日朝にはトイレで立ち上がれなくなった。午後になると上肢も力が入らなくなり、本日朝には手足を動かすのが困難となった。意識は清明。身長170cm、体重65kg。体温36.2℃。脈拍88/分、整。血圧 138/82mmHg。両側の末梢性顔面神経麻痺、四肢の筋力低下および腱反射消失を認めるが、感覚系の異常を認めない。
- 治療として適切なのはどれか。2つ選べ。
- a. 血漿交換
- b. 抗菌薬投与
- c. 免疫抑制薬投与
- d. ビタミンB1投与
- e. 免疫グロブリン大量投与
[正答]
※国試ナビ4※ [103I054]←[国試_103]→[103I056]
★リンクテーブル★
[★]
- 50歳の女性。頸肩腕部の痛みとしびれ感とを主訴に職場の産業医を受診した。職場で端末キーボードからデータを入力する作業を行っている。2週前から残業時間が長くなり、1週前から症状が強くなった。糖尿病、高血圧および脂質異常症の既往はない。左右の上肢とも関節に変形、圧痛および関節可動域制限はなく、腱反射と徒手筋力テストとは正常である。
- 産業医の指導として適切でないのはどれか。
- a. 残業の禁止を助言する。
- b. 足元の障害物を取り除く。
- c. キーボードを肘よりも高い位置に置く。
- d. 他の作業とのローテーションを導入する。
- e. 空調の冷気が頸肩腕部に直接当たらないようにする。
[正答]
※国試ナビ4※ [103I053]←[国試_103]→[103I055]
[★]
- 54歳の女性。右手指のしびれを主訴に来院した。5か月前から右母指、示指および中指にビリビリした感じがあり、特に朝、目を覚ました時に強かった。1年前から縫製の内職をしているが、3か月前から針を持つ時に指に力が入らない。みられるのはどれか。2つ選べ。
- a. 母指球筋の萎縮
- b. 示指伸展筋力の低下
- c. 母指背側の感覚障害
- d. 肘管部でのTinel徴候
- e. 手関節掌屈による感覚異常の増強
[正答]
※国試ナビ4※ [103I055]←[国試_103]→[103I057]
[★]
[★]
- 英
- Guillain-Barré syndrome Guillain-Barre syndrome GBS
- 同
- (国試)Guillain-Barre症候群
- 急性炎症性脱髄性多発神経根ニューロパチー acute inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy AIDP
- 感染性多発神経炎 infective polyneuritis infectious polyneuritis、急性炎症性多発ニューロパシー acute inflammatory polyneuropathy
- 関
- 免疫介在性ニューロパチー
病型
- SPE.645
- ギラン・バレー症候群:経過中に蛋白細胞解離が見られたもの
症状
- 知覚異常:(初発)腰痛、手足のしびれ感。感覚障害は軽度にとどまる
- 運動神経:下肢末梢から左右対称性、上行性の弛緩麻痺。腱反射消失
- 自律神経:自律神経の障害による症状(不整脈、洞性頻脈、血圧の変動、発汗異常)が見られることがある。
検査
-
- 抗原:GM1、GQ1b(→Fisher症候群と関連)、GD1a、GalNAc-GD1a、ガラクトセレブロシド
- 蛋白細胞解離。発症から1週間後の患者の80-90%の患者で見られる。近位神経根のレベルで血液神経関門の透過性が亢進したことによるのかもしれない(increased permeability of the blood-nerve-barrier at the level of the proximal nerve roots)。(参考1)
治療
- 免疫吸着療法(プラスマフェレーシス):侵襲の大きさから大量ガンマグロブリン静注療法が行われることが多いらしい。
- 大量ガンマグロブリン静注療法(高ガンマグロブリン大量静注法)
予後
- 予後良好:2週間程度で極期に達し徐々に回復する。しかしながら約5%の例で死亡、約10%の例では重篤な機能障害を残す。(IMD)
関連疾患
参考
- 1. [charged] Clinical features and diagnosis of Guillain-Barré syndrome in adults - uptodate [1]
- 2. [charged] Treatment and prognosis of Guillain-Barré syndrome in adults - uptodate [2]
国試