- 80歳の男性。右眼の視力低下を主訴に来院した。約2年前から縦の線がうねって見えることに気付いていた。3か月前に急激な視力低下をきたし、硝子体出血の治療を近医で受けたが改善しなかった。5年前から糖尿病と高血圧とを指摘され治療を受けており、1年前から不整脈が発生し抗血小板療法を受けている。視力:右手動弁/30cm(矯正不能)、左0.8(矯正不能)。前眼部、中間透光体所見:両眼に軽度の白内障を認めたが、角膜、前房および隅角には異常を認めなかった。右眼の硝子体に強い混濁を認めた。血液所見:赤血球350万、Hb 11.0g/dl、Ht 33%、白血球 4,230、血小板 13万。血液生化学所見:血糖 145mg/dl、HbA1C 7.2%、総蛋白 6.3g/dl、アルブミン 4.0g/dl、尿素窒素 20mg/dl、クレアチニン 0.9mg/dl、Na 142mEq/l、K 4.7mEq/l、Cl 107mEq/l。右眼の硝子体切除術を施行した。混濁した硝子体を除去すると網膜下にも出血があり、出血は黄斑部を含んで下方に広がっていた。手術後3日の右眼(手術眼)の眼底写真と左眼の眼底写真とを以下に示す。
- 硝子体出血の原因として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103I078]←[国試_103]→[103I080]
★リンクテーブル★
[★]
- 28歳の男性。めまいと嘔気のため搬入された。1か月前から微熱を自覚していた。今朝から回転性のめまいと嘔気とが持続している。体温37.8℃。脈拍96/分、整。血圧122/58mmHg。胸骨左縁第3肋間に拡張期雑音を聴取する。水平性の眼振と構音障害とを認める。眼底に小出血斑を認める。血液所見:赤血球413万、白血球10,200。CRP 6.6mg/dl。頭部単純MRIのFLAIR像を以下に示す。
- まず行うのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [103I079]←[国試_103]→[104A001]
[★]
- 28歳の2回経産婦。妊娠35週。交通事故による腹部打撲のため搬入された。意識は清明。体温37.2℃。脈拍92/分、整。血圧120/80mmHg。胎児心拍数90bpm。痛みを伴う持続的な子宮収縮と性器出血とを認める。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103I077]←[国試_103]→[103I079]
[★]
[★]
- 英
- age-related macular degeneration, age related macular degeneration, ARMD, AMD
- 同
- 老人性黄斑変性 老人性黄斑変性症 senile macular degeneration、老人性円板状黄斑変性 senile disciform macular degeneration、加齢黄斑変性、加齢黄斑変性症、加齢黄斑症、加齢性黄斑症、加齢性黄斑変性症
- 関
- 黄斑、黄斑変性症。黄斑疾患
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加齢黄斑変性 : 約 49,500 件
加齢黄斑変性症 : 約 20,000 件
加齢黄斑症 : 約 36,600 件
加齢性黄斑症 : 74 件
加齢性黄斑変性症 : 約 25,700 件
加齢黄斑症 : 約 194,000 件
加齢性黄斑症 : 95 件
加齢黄斑変性症 : 約 197,000 件
加齢性黄斑変性症 : 約 225,000 件
概念
- 加齢に伴って生じる黄斑変性
- 主として網膜色素上皮細胞、ブルッフ膜、脈絡膜毛細血管板の加齢変化に関係した黄斑変性の総称
疫学
- 60歳以上の片眼に発生し、70歳までに両眼性となり失明(SOP.147)。
- 欧米で頻度が高く失明の原因の第一位(3)。日本でも増加傾向(3)。
- 放置すれば約90%の症例で視力が0.1以下となる (3)
- (日本)有病率:0.87%。(欧米の半分) (3)
- (日本)5年間の発症率:0.8%(欧米と同程度) (3)
病型
- 1. 萎縮型(dry type) :血管新生なし。網膜色素上皮細胞や脈絡膜毛細血管板の萎縮のみ。
- 2. 滲出型(exudative type):血管新生あり → これは脈絡膜に由来する ← こちらの方が治療の対象となる(3)。
- 2. = 老人性円板状黄斑変性症
病因
病態
2. 滲出型
- 黄斑部の加齢変性に基づいて脈絡膜新生血管, choroidal neovascularization, CNVが発生し、色素上皮状あるいは色素上皮下に伸びて出血・滲出を生じる。
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- 新生血管から出血や滲出(網膜。もちろん黄斑にも) → 瘢痕化 → 視力の著明な低下や中心暗点
- 新生血管から出血・滲出の繰り返視し → 網膜下血腫、硬性白斑、漿液性網膜剥離、網膜色素上皮剥離 → 線維性瘢痕 (3)
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病理
脈絡膜新生血管分類
- 脈絡膜神経血管と網膜色素上皮との位置関係で分類
- 1型:網膜色素上皮下
- 2型:網膜色素上皮の上に達したもの
症状
検査
- 本方法は一般的に色素上皮下の新生血管を検出する際に用いられる(3)。
- 特殊病型のポリープ状脈絡膜血管症と網膜血管腫状増殖の確定診断に有用(3)。
- 新生血管の有無、網膜剥離、上皮剥離の有無を観察 (3)
治療
萎縮型加齢黄斑変性
- 参考4
- 有効な治療が確立していない。
- ビタミンA,C,E、およびZnのサプリメント (中等度から重症の患者には病態の進行リスクを下げる作用が見られた)
- 手術療法:(ドルーゼンを有する高リスク群を対象とした)レーザー治療。有効性については相反する研究結果が出ておりやらない方がよい。
滲出型加齢黄斑変性
- 脈絡膜新生血管が中心窩から離れている場合に利用できる。新生血管全体にレーザー光凝固を行いこれを破壊する。(3)
- → 黄斑部は組織を損傷するので照射できない
- 2. (欧米)光感受性物質 + レーザー → 光線力学療法
- 日本における光線力学的療法の治療成績は、欧米のそれより良好(3)
- 脈絡膜には光感受性物質であるベルテポルフィンが集積しやすい(3)。この物質を静注後、病変に弱いレーザー光を照射することで新生血管を閉塞する(3)。網膜に障害を来すことなく中心窩のCNVを破壊できる(3)。2004年より認可
- 脈絡膜新生血管の発生にVEGFが重要な役割を果たしている(3)。抗血管新生薬によりCNVを押さえようとする治療が臨床応用されてきている。例えば抗VEGF薬がある
- 抗VEGF薬:VEGFは血管新生を促進するサイトカインで、増殖糖尿病網膜症や加齢黄斑変性の眼内新生血管の発生にも関与(3)。bevacizumabの硝子体内治療が前述の眼内血管新生性疾患の治療に応用されつつある(3)。日本では保険未収載(2010年現在)。加齢黄斑変性を対象としたpegaptanibやranibizumabがある(3)。
予後
- 萎縮型加齢黄斑変性の患者は5年間で7%が滲出性加齢黄斑変性に移行する (参考4)
参考
- 1. 加齢黄斑変性症に対する光線力学的療法のガイドライン
- http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/karei.pdf
- http://www2.wind.ne.jp/tanakaganka/pdt.htm
- (3) 現代の眼科学 第10版第1刷 金原出版株式会社 ISBN 9784307351355
- 4. [charged] Age-related macular degeneration: Treatment and prevention - uptodate [1]
- 5. 難病情報センター | 加齢黄斑変性 - 難病情報センター
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/228
臨床関連
- 黄斑下の脈絡膜新生血管は、網膜色素線条症、強度近視、眼ヒストプラスマ症、外相殿脈絡膜破裂などに続発(SOP.149)
国試