- 67歳の女性。下血を主訴に来院した。5日前から時々下腹部痛を自覚していたが、昨夜、突然暗赤色の下血をきたした。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。血液所見:赤血球422万、Hb 13.2g/dl、Ht 43%、白血球 10,200、血小板 38万。血液生化学所見:総蛋白 8.2g/dl、尿素窒素 16mg/dl、クレアチニン 0.7mg/dl、総コレステロール 202mg/dl、総ビリルビン 1.2mg/dl、AST 22IU/l、ALT 30IU/l、LD<LDH> 286IU/l(基準176~353)、ALP 202IU/l(基準115~359)。CRP 1.4mg/dl。下部消化管内視鏡写真を以下に示す。
- 下血の原因はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103I043]←[国試_103]→[103I045]
★リンクテーブル★
[★]
- 26歳の女性。未経妊。過多月経を主訴に来院した。半年前から月経量は極めて多く、凝血塊の排出も自覚していた。1か月前の健康診断で著明な貧血を指摘された。身長 158 cm、体重 48 kg。尿所見: 蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 312万、Hb 6.8 g/dl、 Ht 24%、白血球 5,800。子宮頸部細胞診はクラスII、子宮内膜細胞診は陰性。腟鏡診では、外子宮口から突出する暗赤色の腫瘍を認める。内診で子宮は正常大で可動性良好。骨盤部単純MRIのT2強調矢状断像を以下に示す。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103I042]←[国試_103]→[103I044]
[★]
- 52歳の女性。健康診断で胸部異常陰影を指摘され来院した。昨年の健康診断では胸部エックス線写真の異常を指摘されていない。自覚症状はない。胸部エックス線写真を以下に示す。
- 考えられるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [103I044]←[国試_103]→[103I046]
[★]
[★]
- 英
- diverticulum of the colon (SSUR)
- 関
- 結腸憩室、憩室
概念
- 大腸壁の脆弱な部分が腸管内圧の上昇により壁外に袋状に突出した状態。 → 多発している場合大腸憩室症 (消化器疾患ビジュアルブック p.131)
原因
- 低残渣食などによる過剰な分節異常により慢性的な腸管内圧の異常を来し、これにより結腸壁の脆弱な直動脈貫通部の筋層を貫いて粘膜が脱出して形成される(後天性の仮性憩室)。(SSUR.531)
疫学
- アジアでは右側結腸に多く、また若年にみられる。S状結腸に好発するのは欧米人や老人。(SSUR.531)
症状
- 多くは無症状 (SSUR.531)
- 腹痛、腹部不快感、膨満感、便秘・下痢
合併症
- 憩室炎、膿瘍、穿孔、腹膜炎、狭窄、瘻孔形成、消化管出血(憩室出血)
- 約80%は無症状で経過するが、20%の例で症状を呈する。有症状例の2/3が憩室炎、1/3が憩室出血。有症状例の30%が再発性。 (消化器疾患ビジュアルブック p.132)
診断
- 下部消化管内視鏡検査:出血部位の同定、癌・ポリープ等の合併病変の有無の確認
- 腹部超音波検査、腹部CT、腹部MRI:膿瘍などの評価
- 腹部血管造影、出血シンチグラフィ:大量出血。出血部位の同定
鑑別診断
- アジアでみられる右側結腸の大腸憩室では、虫垂炎が鑑別となる。(SSUR.531)
治療
- SSUR.531
- 症状がない場合は治療対象とならない。
- (腸管運動異常)繊維食、下剤
- (憩室炎)鎮痛薬、鎮痙薬、抗菌薬
- (憩室出血)内視鏡的止血、動脈塞栓術
- (膿瘍)絶食、抗菌薬、CT下穿刺ドレナージ
- 手術療法:腸管穿孔による腹膜炎、保存的治療に反応しない多量出血
参考
- 1. [charged] 結腸憩室症の疫学および病態生理 - uptodate [1]
- 2. [charged] 結腸憩室症の臨床症状および診断 - uptodate [2]
国試