- 36歳の男性。息切れと疲労感とを主訴に来院した。2年前から労作時の息切れを自覚していた。意識は清明。脈拍84/分、整。血圧112/72 mmHg。胸部聴診でIII音を聴取するが、心雑音は聴取しない。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。浮腫を認めない。胸部エックス線写真での心胸郭比66%。心エコー図を以下に示す。
- この患者の予後を改善するのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [103D039]←[国試_103]→[103D041]
★リンクテーブル★
[★]
- 4歳の男児。咳嗽を主訴に入院した。今朝から37.6℃の発熱と軽い乾性咳嗽とが出現し、午後からはのどの奥から絞り出すような咳嗽となった。声もかすれてきた。嚥下困難はなく、食物・水分の摂取はできていた。午後10時になって吸気性の喘鳴が聞かれるようになり、機嫌も悪くなった。意識は清明。身長98cm、体重14.8kg。体温38.1℃。呼吸数30/分。脈拍112/分、整。心音に異常を認めない。全肺野で上気道から放散する吸気性のrhonchi(いびき様音)を聴取するが、cracklesは聴取しない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)は90%である。頸部エックス線写真(正面像)を以下に示す。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103D040]←[国試_103]→[103D042]
[★]
- 1歳の男児。発熱と頸部の腫脹とを主訴に来院した。3日前から38℃台の発熱が続き、今朝から頸部の腫脹に気付いた。体温38.7℃。脈拍144/分、整。前胸部に紅斑を認める。眼球結膜に充血を認める。左頸部に径3cmのリンパ節を1個、径2cmのリンパ節を1個触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。右肋骨弓下に肝を2cm、左肋骨弓下に脾を1cm触知する。血液所見:赤血球394万、Hb 10.5g/dl、Ht 33%、白血球 17,400(桿状核好中球 8%、分葉核好中球 71%、好酸球 2%、好塩基球 0%、単球 4%、リンパ球 15%)、血小板 43万。血液生化学所見:総蛋白6.2g/dl、AST 35 IU/l、ALT 83 IU/l、LD(LDH) 287 IU/l(基準176~353)。CRP 8.7mg/dl。顔面下部の写真を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [103D038]←[国試_103]→[103D040]
[★]
[★]
- 英
- dilated cardiomyopathy DCM
- 同
- うっ血性心筋症 congestive cardiomyopathy CCM COCM
- 関
- 心筋症、特発性拡張型心筋症 idiopathic dilated cardiomyopathy
概念
- 左心室内腔の拡張と収縮不全を来す原因不明の疾患
- 特発性拡張型心筋症は難病であり、特定疾患治療研究事業に指定されている。
疫学
- 30-40歳より徐々に発生。男性に多い(男女比=2:1) (YN.C-132)
病理
- DCM is caused by ventricular dilatation with only minor hypertrophy.(PHD.253)
病態
- 心室内腔の拡張 → 血栓形成、不整脈
- 心収縮力低下 → 左心不全
症状
合併症
- 参考6
- 左室壁在血栓:左室拡張よりびまん性左室壁運動が低下するため
- 心房内血栓:左房拡張に伴う心房細動
身体所見
- 胸部聴診:III音(房室弁の弁輪拡大により僧帽弁閉鎖不全症をきたし、これにより容量負荷が起こっている場合)
検査
心エコー
[show details]
- 傍胸骨左室長軸断層像
[show details]
- Mモード
[show details]
- 左室拡張
- Mモードで僧帽弁を描出したとき、B-B' stepがみられる。僧帽弁エコー上のB-B'形成(B-B')は左室拡張末期圧(LVEDP)上昇を示す所見として重要視される(参考文献(1))。拡張期末期における心房収縮において、心室のコンプライアンス低下を反映している。
治療
- 治療目標:心リモデンリング抑制、心負荷軽減、心不全、不整脈、心臓移植
生活指導
薬物療法
- 参考6
- 慢性心不全の治療に準ずる。βブロッカーとRAA系を抑制する薬剤を用い、必要があれば利尿薬、アルドステロン拮抗薬、硝酸薬を用いる。
- βブロッカー
- RAA系抑制:ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(アンジオテンシンIIの作用(細動脈収縮、アルドステロン分泌)に拮抗、水とNaの再吸収の抑制、心室リモデリングを抑制)
- 利尿薬:
- 強心薬?
- 抗不整脈薬:クラスIは催不整脈作用を有するため適さない。重症心室性不整脈が存在する場合にはアミオダロンを投与。
心臓細動期療法
植え込み式除細動器
心臓移植
予後
- 肥大型心筋症に比べて不良で、死因の半数は突然死
- 5年生存率50%、10年生存率30%。(YN) 5年生存率76%で死因の多くは心不全・不整脈(参考6)
- 予後の悪化と関連する因子は男性、年齢の増加、家族歴、NYHAⅢ度の心不全、心胸比60%以上、左室内径の拡大、左室駆出率の低下(参考6)
参考文献
- 1. 心不全患者における僧帽弁B-B'stepの成因と意義に関する研究
- 三木 隆
- 神戸大学医学部紀要 51(1), 55-63, 1990-03
- … NYHA心機能分類,Mモードエコー図上の左房径(LAD),B-B'持続時間(BB'T),パルスドプラー図上の急速流入期最大速度peakR,心房収縮期最大速度peakA,その減速度(ADcR),peakAとpeakRの比A/R,左房前駆出時間(APEP),左房駆出時間(AET)心カテーテル上左室圧曲線a波の立ち上がりからそのpeakまでの上昇圧(LVa),LVEDP,肺動脈模入圧(PCWP)を測定した。 … (2) BB'TはpeakA,ADcR,APEPとの聞に有意の逆相関を示した。 …
- NAID 110002328905
- 2. B-B's stepちょっとだけ説明 画像が小さいけど・・・
- http://seminar.aloka.co.jp/muse4/ch2/sub2/index.html
- 3. 拡張型心筋症|慶應義塾大学病院 KOMPAS
- http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000200.html
- 4. TOP > 循環器系疾患> 特発性拡張型(うっ血型)心筋症> 診療ガイドライン - 難病ドットコム
- http://jpma-nanbyou.com/Category.aspx?view=c&oid=8&sid=2&kid=5
- http://grj.umin.jp/grj/dcm-ov.htm
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/301
国試