- 1歳の男児。発熱と頸部の腫脹とを主訴に来院した。3日前から38℃台の発熱が続き、今朝から頸部の腫脹に気付いた。体温38.7℃。脈拍144/分、整。前胸部に紅斑を認める。眼球結膜に充血を認める。左頸部に径3cmのリンパ節を1個、径2cmのリンパ節を1個触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。右肋骨弓下に肝を2cm、左肋骨弓下に脾を1cm触知する。血液所見:赤血球394万、Hb 10.5g/dl、Ht 33%、白血球 17,400(桿状核好中球 8%、分葉核好中球 71%、好酸球 2%、好塩基球 0%、単球 4%、リンパ球 15%)、血小板 43万。血液生化学所見:総蛋白6.2g/dl、AST 35 IU/l、ALT 83 IU/l、LD(LDH) 287 IU/l(基準176~353)。CRP 8.7mg/dl。顔面下部の写真を以下に示す。
[正答]
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★リンクテーブル★
[★]
- 36歳の男性。息切れと疲労感とを主訴に来院した。2年前から労作時の息切れを自覚していた。意識は清明。脈拍84/分、整。血圧112/72 mmHg。胸部聴診でIII音を聴取するが、心雑音は聴取しない。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。浮腫を認めない。胸部エックス線写真での心胸郭比66%。心エコー図を以下に示す。
- この患者の予後を改善するのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [103D039]←[国試_103]→[103D041]
[★]
- 30歳の女性。発作性に起こる頭痛と右下肢のしびれ感とを主訴に来院した。神経学的には異常を認めない。頭部単純MRIのT1強調像と左頸動脈造影写真側面像とを以下に示す。診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103D037]←[国試_103]→[103D039]
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[★]
- 英
- Kawasaki disease, Kawasaki's disease
- 同
- Kawasaki病。皮膚粘膜リンパ節症候群, 粘膜皮膚リンパ節症候群, mucocutaneous lymph node syndrome, mucocutaneous lymphnode syndrome, MCLS, 急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群, acute febrile MCLS,(小児)急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群, acute febrile mucocutaneous lymphnode syndrome
- HIM.2130
概念
- 乳児~幼児(0-4歳、0歳半~1歳が最多)に後発する熱性疾患(全身性の心血管炎)
- 原因不明の急性熱性発疹性疾患。リンパ節腫脹と粘膜病変が特徴(SPE.370)
検査
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診断基準
- 参考1より引用
- 本症は、主として4歳以下の乳幼児に好発する原因不明の疾患で、その症候は以下の主要症状と参考条項とに分けられる。
A 主要症状
- 1.5日以上続く発熱(ただし、治療により5日未満で解熱した場合も含む)
- 2.両側眼球結膜の充血
- 3.口唇、口腔所見:口唇の紅潮、いちご舌、口腔咽頭粘膜のびまん性発赤
- 4.不定形発疹
- 5.四肢末端の変化:
- (急性期)手足の硬性浮腫、掌蹠ないしは指趾先端の紅斑
- (回復期)指先からの膜様落屑
- 6つの主要症状のうち5つ以上の症状を伴うものを本症とする。
- ただし、上記6主要症状のうち、4つの症状しか認められなくても、経過中に断層心エコー法もしくは、
- 心血管造影法で、冠動脈瘤(いわゆる拡大を含む)が確認され、他の疾患が除外されれば本症とする。
B参考条項
- 以下の症候および所見は、本症の臨床上、留意すべきものである。
- 1. 心血管:聴診所見(心雑音、奔馬調律、微弱心音)、心電図の変化(PR・QTの延長、異常Q波、低電位差、ST-Tの変化、不整脈)、胸部X線所見(心陰影拡大)、断層心エコー図所見(心膜液貯留、*冠動脈瘤)、狭心症状、末梢動脈瘤(腋窩など)
- 2. 消化器:下痢、嘔吐、腹痛、胆嚢腫大、麻痺性イレウス、軽度の黄疸、血清トランスアミナーゼ値上昇
- 3. 血液:核左方移動を伴う白血球増多、血小板増多、赤沈値の促進、CRP陽性、低アルブミン血症、α2グロブリンの増加、軽度の貧血
- 4. 尿:蛋白尿、沈査の白血球増多
- 5. 皮膚:BCG接種部位の発赤・痂皮形成、小膿疱、爪の横溝
- 6. 呼吸器:咳嗽、鼻汁、肺野の異常陰影
- 7. 関節:疼痛、腫脹
- 8. 神経:髄液の単核球増多、けいれん、意識障害、顔面神経麻痺、四肢麻痺
備考
- 1. 主要症状Aの5は、回復期所見が重要視される。
- 2. 急性期における非化膿性頸部リンパ節腫脹は他の主要症状に比べて発現頻度が低い(約65%)
- 3. 本症の性比は、1.3~1.5:1で男児に多く、年齢分布は4歳以下が80~85%を占め、致命率は0.1%前後である。
- 4. 再発例は2~3%に、同胞例は1~2%にみられる。
- 5. 主要症状を満たさなくても、他の疾患が否定され、本症が疑われる容疑例が約10%存在する。この中には冠動脈瘤(いわゆる拡大を含む)が確認される例がある。
鑑別診断
- IMD
参考
- 診断の手引き、治療ガイドラインなど
- http://www.kawasaki-disease.org/tebiki/index.html
uptodate
- 1. [charged] 川崎病:臨床的特徴および診断 - uptodate [1]
- 2. [charged] 川崎病:初期治療および予後 - uptodate [2]
- 3. [charged] 川崎病:疫学および病因 - uptodate [3]
- 4. [charged] 不完全(非定型)川崎病 - uptodate [4]
- 5. [charged] 川崎病:合併症 - uptodate [5]
- 6. [charged] 難治性川崎病の治療 - uptodate [6]
- 7. [charged] 川崎病の心血管後遺症 - uptodate [7]
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