- 38歳の男性。右下腿の安静時痛を主訴に来院した。1年前から歩行時の痛みを自覚していたが、休むと軽快するため放置していた。最近、痛みを感じるまでの歩行距離が短くなり、安静時痛が出現するようになった。喫煙40本/日を18年間。
- 糖尿病や高血圧を指摘されたことはない。身長170cm、体重65kg。脈拍76/分、整。血圧124/76mmHg。右下腿から足にかけて腫脹と発赤とを認める。右大腿動脈造影写真を以下に示す。
- 対応として誤っているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101G023]←[国試_101]→[101G025]
★リンクテーブル★
[★]
- 32歳の女性。急激な体重減少を主訴に来院した。6か目前から心窩部痛を自覚している。腹部は膨隆し、波動を認める。肝・脾を触知しない。穿刺腹水所見:淡黄褐色、総蛋白4.0g/dl。血液所見:赤沈4mm/1時間、赤血球344万、Hb9.8g/dl、Ht28%、血小板6万、プロトロンビン時間70%(基準80~120)、フィブリノゲン100mg/dl(基準200~400)、FDP28μg/ml(基準5以下)。血清生化学所見:総蛋白6.9g/dl、アルブミン3.5g/dl、AST30IU/l、ALT22IU/l、LDH719IU/l(基準176~353)、ALP230IU/l(基準260以下)。CEA5.5ng/ml(基準5以下)。上部消化管造影写真を以下に示す。
- 考えられるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
BE
- 不正な隆起と陥凹が認められ、胃体中下部から幽門が狭窄
-
- 基礎疾患あり 1点、臨床症状 出血?/臓器?、血小板数 2点、血清FDP 2点、フィブリノゲン 2点、PT比 ? ≧7点 ゆえにDICと診断される。
※国試ナビ4※ [101G024]←[国試_101]→[101G026]
[★]
- 56歳の男性。突然に発症した胸背部痛を主訴に来院した。意識は清明。顔貌は苦悶様で冷汗を伴う。呼吸数26/分。脈拍104/分、整。血圧:右上腕150/82mmHg、左上腕122/70mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)92%。胸部造影CTを以下に示す。
- 処置として適切でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101G022]←[国試_101]→[101G024]
[★]
- 英
- thromboangiitis obliterans TAO
- 同
- バージャー病、ビュルガー病、Buerger病、Buerger's disease, Buerger disease
- 関
- 下腿潰瘍、血管炎、血管内膜炎、難病。≠Berger disease
概念
- 特定疾患治療研究事業に指定されている難病
- 若い男性かつ喫煙者に好発する血管炎であり、細い動脈(前腕の動脈や下腿の動脈)を冒す。動脈壁、特に中膜が肥厚し、血管内腔を狭窄させる。
疫学
病因
- 喫煙、感染、栄養障害、自己免疫(HLAとの関連)、血管内皮細胞の活性化などが考えられている。
- 高血圧、高脂血症、糖尿病は関係ない(?) ← 診断基準で除外されている。
増悪因子
病態
身体所見
- 参考1
- 視診:肢端の筋萎縮、脱毛、爪の発育不良、遊走性静脈炎、表在静脈に沿う色素沈着
- 聴診:腸骨動脈、大腿動脈、膝窩動脈の雑音の有無
- 触診:肢端の皮膚温低下、末梢動脈拍動の減弱有無
- 負荷テスト:アレンテスト、下肢挙上下垂テスト
検査
- 血管造影:先細り、corkscrew状側副路、多発性分節的閉塞
診断
診断基準
- 参考1
- 1. 50歳未満の発症
- 2. 喫煙歴を有する
- 3. 膝窩動脈以下の閉塞がある
- 4. 脈閉塞がある、または遊走性静脈炎の既往がある。
- 5. 高血圧症、高脂血症、糖尿病を合併しない。
- 以上の5項目を満たし、膠原病の検査所見が陰性の場合,バージャー病と診断できるが、女性例、非喫煙者では鑑別診
断を厳密に行う。
鑑別
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ASO
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TAO
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好発年齢と性差
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中高年の男性 (50歳以上)
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若年男性 (20-40歳)
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全身性合併症 (基礎疾患)
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高血圧,糖尿病,脂質異常症
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なし
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好発部位
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大動脈分枝部~大腿動脈 (下肢の中枢側)
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膝窩動脈以下 (下肢の末梢側)
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遊走性静脈炎
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なし
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あり
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喫煙
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危険因子の一つ
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増悪
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血管造影
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虫食い像、動脈壁硬化
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先細り像、Corkscrew状側副路。多発性分節的閉塞(閉塞は途絶状)
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石灰化
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多い
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少ない
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予後
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不良
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良好
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参考
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2008_ozaki_h.pdf
国試